P-03 エストロゲン及び多環芳香族炭化水素類のキンギョの骨代謝に及ぼす影響評価 ○松本典子 1・川部季美 2・中野 淳 2・早川和一 2・鳥羽 陽 2・北村敬一郎 3・ 服部淳彦 4・笹山雄一 1・鈴木信雄 1 1 金沢大・環日セ・臨海、2 金沢大・薬・衛生化学、3 金沢大・保健・検査、4 東京医科歯科大学・教養・ 生物 多環芳香族炭化水素(PAH)類は化石燃料の燃焼に伴って生成して大気中に放出される非意図的生成 化学物質の一つであり、PAH のキノン体にエストロゲン様活性を示す化合物があることを、早川らの研 究グループは酵母 two-hybrid 法を用いて明らかにしている。一方、我々は、キンギョのウロコを骨のモ デルとして用いて、様々なホルモンに対する応答を解析し、エストロゲンが骨芽細胞と破骨細胞に作用 することを既に報告した。しかし、これまでの研究では比較的高濃度で実験を実施している。そこで本 研究では、PAH の内分泌かく乱作用を解析する基盤を作るため、低濃度(10-10∼10-7M)のエストロゲ ン(17β-estradiol: E2)に対する作用を調べることを目的とした。まず、ウロコ(再生 2 週間目のウロコ) においてエストロゲン受容体の発現を確認した。次に、E2 に対する毒性を評価して、ウロコの細胞に毒 性のない範囲で骨芽細胞及び破骨細胞に対する影響を評価した。 再生 2 週間のウロコに 3 種類のエストロゲン受容体が検出され、βタイプが主に発現していることが わかった。次に、Cell Counting Kit-8(同仁)を用いて E2 の細胞毒性を調べた。その結果、E2 を添加し て 6 時間培養しても細胞毒性がないことを確認できた。そこで、E2 に対する応答を解析した。E2 は骨芽 細胞に対しては 10-8M で有意に上昇した。一方、破骨細胞に対しては非常に感度がよく、10-10∼10-8M で有意に上昇することがわかった。現在、PAH のキノン体に対する影響を評価中であり、併せて報告す る。 23
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