第9回 星間物質その2(星間塵) 東京大学教養学部前期課程 2014年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研) 星間塵 • 固体の星間物質(質量で1~2%) • 星間ガスに比べて光の吸収・放射が非常に 強い 減光 = 吸収 + 散乱 星間塵の元素組成 D log( 星間ガス中の元素量 / 太陽組成) 酸素・炭素・マグネシウム・シリコン・鉄 などが主成分 星間減光 D F=L / (4 p D2) m=M+5log(D/10pc) D F=L exp(-t)/ (4pD2) m=M+5log(D/10pc)+A t A=2.5(loge) t =1.086 t A=星間減光(Interstellar Extinction)と呼ばれ、星間空間中の微小な 固体微粒子が原因と考えられている。 「天体輻射論I/恒星物理学特論IV」 東京大学(学部/大学院) 中田好一先生講義資料 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html 星間減光曲線 Log(Av/Aλ) 「天体輻射論I/恒星物理学特論IV」 東京大学(学部/大学院) 中田好一先生講義資料 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html 星間吸収曲線 0 -1 -2 -3 -1 0 1 log(λ) 2 MW:天の川銀河 LMC:大マゼラン雲 SMC:小マゼラン雲 紫外~可視光で の減光曲線 Calzetti et al. 1994 減光係数の計算例(Mie散乱・吸収) 非常に小さい塵からの赤外線放射 宇宙塵が小さくなればなるほど,その熱容量は小さくなる。 (半径0.001mの塵は 熱容量CH=0.01 [eV/K]くらい。) 一方星間空間の光子のエネルギー(E=h)は1~10eV(=1.2~0.12m)。 このため一個の光子が吸収されると塵の温度は非常に上がる! 半径0.001mの塵の場合h=10eVに対して T= h/CH=10/0.01=1000 [K] !! 半径0.03m以下の塵についてはこの効果が顕著に見られる。 一個の光子のエネルギー 温度 大きな塵の熱容量 小さな塵の熱容量 8 星形成の活発な銀河の 中間赤外スペクトル 赤外未同定 (PAH?)バンド ISOの15μmバンド フラックスの対数 ISOの7μmバンド ホットダスト (~200K) 5 10 15 20 波長〔ミクロン〕 R2-p9 多環芳香族炭化水素 (polycyclic aromatic hydrocarbons, PAH) ベンゼン環 • 中間赤外線スペクトル でしかはっきりと同定で きない星間塵種族 Draine & Li 2006 銀河系の星間塵からの放射スペクトル 中性水素ガスの分布と良 く相関している。 Dot-dashed: graphite Dotted: silicate Dashed: PAH Solid: total (Dwek et al.1997 & Takagi et al.2003) R2-p11 第9回の問題 問9. Vバンド(0.55m) での減光等級AVとKバンド (2.2m)でのそれAKの間には AK AV / 10 の関 係がある。 – 1)銀河中心と我々の太陽系の間に、 N ( HI ) 3.8 1022 cm-2 の中性水素ガスがあるとする。AVおよび、AB (Bバンド、波長0.44m)を求めよ。 – 2)上の場合、Vバンドで観測される銀河中心の 天体のフラックスは、塵に依る減光で何分の1に なっているのか?またKバンドではどうか?
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