第 7回目のスライド

物理学I
例題
© 素材のプチッチ (http://putiya.com/)
1. 綱,ねずみさん,うさぎさん,地面に加わる力を図に
書きこめ
2. 白組が勝つ場合,力の大小がどのようになるかを論ぜよ
例題
© いらすとや(http://www.irasutoya.com)
1. 熊と金太郎に作用する力を書き出せ。
2. 金太郎が勝つ場合,様々な力の関係はどうなっているか?
運動方程式を解くとい
うこと
運動方程式の2つの側面
物体に作用する力の定義
加速度を測定すると,力が分かる
様々な力の普遍的性質を調べる
どんな物体に作用するか
どんな大きさ・方向の力か
いつ作用するか
…
運動を求めるための方程式
物体にどんな力が作用するか
があらかじめ分かる
これを解いて
を求めると運動の様子を予言できる
運動方程式の2つの側面
物体に作用する力の定義
加速度を測定すると,力が分かる
様々な力の普遍的性質を調べる
どんな物体に作用するか
どんな大きさ・方向の力か
いつ作用するか
…
運動を求めるための方程式
物体にどんな力が作用するか
があらかじめ分かる
これを解いて
を求めると運動の様子を予言できる
微分方程式
運動方程式を物体の位置について解く
運動方程式は,微分を含んだ方程式(微分方程式)である
d2 r(t)
m
= F 未知なものが微分されている
2
dt
運動方程式に限らず,微分方程式は色々なところで登場する
(化学反応,バクテリアの増殖,金融工学…)
解き方にはいくつかのパターンがある
求積法→積分して解を求める
級数解→解を無限級数で表現する
演算子法,ラプラス変換→代数的・記号的な操作で解を求める
数値解法→コンピュータ等を利用して数値的に解く
「運動」を例に,微分方程式のあつかいにも慣れていく
位置・速度・加速度
1次元運動の場合の位置・速度・加速度の基本的な関係
x(t) =
x(t)
時間tで積分
時間tで微分
dx(t)
v(t) =
dt
v(t) =
a(t)dt
時間tで積分
時間tで微分
dv(t)
d2 x(t)
a(t) =
=
dt
dt2
v(t)dt
a(t)
簡単な例(重力のもとでの運動)
重力のもとでの投げ上げ運動を考える。
初期条件(境界条件)という
後で分かるように,微分方
程式を完全に解ききるには,
微分方程式の微分の階数に
応じた数の初期条件が必要
時刻t=0において
y
質量mの質点を
y=hから
速度v=v0で
y=h
v=v0
質量m
F=‒mg
投げ上げる
y=0
運動方程式=2階微分方程式
初期条件は2個必要
一般には,特定の時刻における物体の位置と速度
が初期条件として与えられる
地面
簡単な例(重力のもとでの運動)
重力のもとでの投げ上げ運動を考える。
運動方程式を書く
未知(これから求める)
d2 y(t)
m
= mg
2
dt
この物体には常に鉛直下向き
の重力が作用
(ここでは重力以外は無視)
時刻t=0において
質量mの質点を
y=hから
速度v=v0で
y
y=h
F=‒mg
投げ上げる
重力以外に,無視できないほどの力(空気抵抗等)
が作用するのであれば,その力を右辺に加える
必要がある。
v=v0
質量m
y=0
地面
簡単な例(重力のもとでの運動)
初期条件
運動方程式
d2 y(t)
m
=
2
dt
mg
y(t)についての方程式
時刻t=0において
質量mの質点を
y=hから
速度v=v0で
y
y=h
v=v0
質量m
F=‒mg
投げ上げる
y=0
地面
目標
運動方程式を解いて,任意の時刻tにおける位置y(t)と速度v(t)を求める
簡単な例(重力のもとでの運動)
d2 y(t)
m
=
2
dt
mg
=
両辺をmで割ってみる
加速度が一定の運動
(等加速度運動)
両辺をtで積分(不定積分)すると,速度v(t)が求まる
積分定数
このままでは速度が一意に決まらない
(積分定数の不定性がある)
初期条件の出番
簡単な例(重力のもとでの運動)
時刻t=0において
質量mの質点を
求めるべき解はt=0のときにv(0)=v0を
満たさなければならない!
y=hから
速度v=v0で
投げ上げる
Cは何でもいいわけではなかった!
※積分定数を含んだ形で書かれる解を一般解という
よって,
簡単な例(重力のもとでの運動)
v
t=0のときにv=v0となる
傾きが ‒g
v0
のはこの1本だけ
t
これは傾き‒gの無数
にある直線の集合を表す
簡単な例(重力のもとでの運動)
=
次に位置y(t)を求める
再び積分定数
両辺をもう一度tで積分する
時刻t=0において
質量mの質点を
y=hから
速度v=v0で
投げ上げる
初期条件による
積分定数の決定
簡単な例(重力のもとでの運動)
初期条件
運動方程式
d2 y(t)
m
=
2
dt
mg
時刻t=0において
質量mの質点を
y=hから
速度v=v0で
y
y=h
F=‒mg
投げ上げる
まとめると,運動方程式の解は,
v=v0
質量m
y=0
地面
任意の時刻における,この物体の
位置と速度が完全に予言された!
重力による運動を考察する
得られた解の特徴を吟味する(物理をやるには重要!)
重力による運動は質量によらない
数学的には,最初に運動方程式の両辺をmで割ったとき
y
y=h
に,方程式からmが完全に消えてしまったことが原因
この意味は何か?
y=0
v=v0
質量m
F=‒mg
地面
質量の本来の意味: 運動の変化のしにくさ。質量に比例して,加速度
を生じさせるために大きな力が必要になる。
重力: 質量に比例する力
つまり,質量が大きくなると,重力は強くなるが,同時に運動の変わ
りにくさも増す。このため,運動が質量によらなくなった
重力による運動を考察する
v(t) =
v=0となるのは
ここで速度が0になる v = gt + v = 0
0
v0
より t = g のとき。
v0
t
g
v
v0
y(t) =
y
v02
h+
2g
gt + v0
y=h
g 2
t + v0 t + h
2
y=0
上に凸の放物線 y =
h
y
左右対称
=
g
2
g
2
t
2
t
v=v0
質量m
F=‒mg
地面
2v0
t +h
g
v0
g
2
v02
+h+
2g
t>0でy=0となる(地上に到達する)のは
v0
g
t
g 2
t + v0 t + h = 0
2
t=
v0 +
2gh + v02
g
機械論的自然観
運動方程式を解くと,物体の運動が予言される
このことは何を意味するか?
デカルト
(1596-1650)
wikipediaより
物体に作用する力の性質が完全に分かっているとする
ある瞬間における宇宙の全ての物体の位置と速度(初期条件)が分かれば,
無限の過去から無限の未来までの全ての運動の状態が完全に予言される。
ラプラス
(1749ー1827)
wikipediaより
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知
ることができ,かつもしもそれらのデータを解析できるだ
けの能力の知性が存在するとすれば,この知性にとっては,
不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同
様に)全て見えているであろう。
量子力学における不確定性原理「位置と運動量(速度)を両方同時に厳密に決定することはできない」
により,原理的にこのような知性は物理的には存在できないことが明かになった。
一般には…
力が分かる→運動方程式をmで割ると加速度が求まる
加速度や速度が時間の関数として与えられていれば,
単純に積分していけばよいが,現実はそう単純ではない。
速度が時間だけでなく物体の位置に依存して決まったり,
加速度が時間・位置・速度によっていたりする。
dx(t)
= v(x, t)
dt
dv(t)
= a(x, v, t)
dt
これを満たすような,v(t)やx(t)を求める必要がでてくる!
dv(t)
例:
例:雨粒の落下
= g kv(t)
dt
d2 x(t)
2
例:ばねによる運動
=
x(t)
2
dt