TDM対象薬(特定薬剤治療管理料の算定できる薬物) TDM対象薬(特定薬剤治療管理料の算定できる薬物)の有効治療濃度は基本的に単位はμg/mLであると覚えましょう。その例外は赤字で書いているもののみです。そして採血時間は次回投与直前、つまりトラフ値が基本である と覚えましょう。それ以外の例外は赤字で示しています。 TDM対象薬の条件は薬物血中濃度と治療効果や副作用との間に関係が明らかになっている薬物と言われましたが、最近の新規抗てんかん薬のように必ずしも血中濃度と治療効果の間に相関性が認められないものもありま す。しかし抗てんかん薬のTDMはコンプライアンスの確認という重要な役割があるからかもしれません。 有効治療域 対象薬物 および中毒域 (μg/mL) 採血時 間 t1/2β (hr) CL 体内動態 BA Vd (mL/min) (L/kg) fe TDMのポイント PBR (%) (%) (%) 下熱鎮痛薬 アセトアミノフェン** 鎮痛5~20(10~17)、下熱2~6(5) 投与直前 2.0-2.5 250-350 1.0 85、坐薬は 53 3-5 8-40 腎不全患者では抱合体が蓄積し、胆汁排泄され、脱抱合されて再吸収される腸肝循環により健 常者の約3倍に血中トラフ濃度が上昇するが、トラフ値自体は低いため、AUCは大差ない。 100〜300 投与直前 2-30 450-650 0.14-0.2 68-100 2-80 76-90 代謝過程に飽和現象が認められるため大量投与によりt1/2βが延長する。尿のアルカリ化で尿中 排泄率が増大する。 1.5〜15ng/mL(中毒20ng/mL以上) 1~12ng/mL 投与直前 投与直前 12-40 24 767 850 17-29 24 60-65 50 1 0 90-92 90-97 治療初期0.8〜1.2mEq/L 通常(安定期):0.4〜1.0mEq/L 高齢者:0.4~0.8mEq/L 急性双極性障害:最大1.2mEq/L 中毒域:1.5mEq/L以上 投与直前 8-45 27 0.5-0.8 85-100 95 0 2相性の血中濃度推移を示すため、最終服薬後10〜12時間、または投与直前に採血する。中 毒症状は消化器症状、傾眠、錯乱、運動障害、発熱・発汗などで、このような症状が現れたら投 与を中止し、利尿薬や補液によって薬の排泄を促す。薬物除去には血液透析も有効。 40〜100 投与直前 40-60 10-12 0.62-0.67 100 12-20 0 投与初期に副作用が起こりやすいため少量から開始し、1週間かけて20mg/kg日に徐々に増量 する。 5-8 116 0.7 41-70、用量 依存的に低 下 ほぼ100 <3 明らかな有効血中濃度、中毒域が確認できておらず、TDMは必要ないと考える識者が多い。た だし、腎障害患者、高齢者、コンプライアンスの確認では有用である。消化管吸収は輸送担体 を介しており、吸収に飽和が見られるため非線形の薬物動態を取る。 投与初期836、連続投 与時10-20 18-70 0.8-2.1 70-90 3以下 75 代謝酵素の自己誘導により繰り返し投与でCL上昇するため2〜3週間毎にTDMを実施し投与量 を調節する。代謝物の毒性が強い。8 μg/mLを超えると、複視、眠気、知覚障害、眼振、運動失 調、嘔気・嘔吐などの副作用の発現頻度が高まる。他の抗てんかん薬を併用している患者で は、カルバマゼピンの副作用が生じやすいため、治療域はやや低めの4-8 μg/mLを推奨する報 告(Lee, 2009)もある。血清分離剤入りの採血管を用いると吸着するため要注意。 抗リウマチ薬 サリチル酸 抗精神病薬 ハロペリドール ブロムペリドール 抗躁薬 リチウム 10ng/mLで最高の効果が得られ、17ng/mL以上で治療効果がプラトーに達する。 適正投与量・投与方法の決定、副作用発現の回避、服薬状況の把握、効果の指標として有用。 抗てんかん薬 エトスクシミド ガバペンチン 投与直前、 2~20、ただし副作用発現率と血中濃度の 中毒時は 直接的な関係は認められない ピーク濃度 4〜12 カルバマゼピン(躁うつ病・躁 (ただし4以下でコントロール可能な12以 投与直前 病でも算定可能) 上の濃度が必要な患者もいる) 20〜70ng/mL 投与直前 18-60 100 1.5-4.4 90-100 1以下 85 t1/2βが長いため、定常状態に達するのに約1週間必要。40~70で中毒が見られるという報告も ある。 クロバザム 0.1~0.4 活性代謝物の濃度は8倍高値 投与直前 25-30 60 1.5 45 1-2 90 CYP3A4によって産生される活性代謝物N-デスメチルクロバザムはCYP2C19により水酸化され るため、CYP2C19のPMでは効果・副作用が現れやすい。 ジアゼパム 0.6〜1.0 投与直前 20-70 30 1.1-2.0 100 1以下 98-99 抗不安作用は低濃度0.3〜0.4µg/mLで発現する。 ゾニサミド 10〜30 投与直前 50-68 15-25 0.9-1.9 97 29-48 40-60 フェニトインとの併用によりt12βは27〜36時間に短縮する。高用量になると濃度が急上昇する非 線形薬物動態を示す。30μg/mL以上で認知機能の低下、40μg/mL以上で眠気/注意力低下の 報告がある。血清分離剤入りの採血管を用いると吸着するため要注意。 トピラマート 5~20 投与直前 5-20 21-26 1.5 80 35-59 15-41 用量の増加に伴い尿中排泄率が上昇する。効果とSEが血中濃度に依存しないためTDMは必 要ない。また、400mg/日で効果があるかないかがほぼ判断できる。コンプライアンを確認する目 的で、TDMができる。CCr<70mL/minでは半量にする。 ニトラゼパム 0.03~0.18 投与直前 24-40 61-81 1.8-4.8 78 1 87 0.2µg/mL以上で過剰鎮静が現れることがある。 バルプロ酸(躁うつ病・躁病・ 偏頭痛でも算定可能) 40〜125(A) 投与直前 8-21 8.3 0.14-0.23 90-100 1-3 90 高用量になるとPBRが低下しCLが上昇するため非線形の薬物動態を示す。副作用は肝障害と 肥満。部分発作患者ではしばしば100μg/mL以上のバルプロ酸濃度を要し、難治性部分発作の 患者では80-150μg/mLでコントロールが得られることがある。低濃度域でも嘔気・嘔吐、傾眠、め まい、運動失調などの副作用が発現し、100µg/mL以上で昏睡、せん妄が現れやすくなる。 フェニトイン/ホスフェニトイン 10〜20(A) 遊離型1~2 投与直前 7-60 変化する 0.65 90-98 1以下 90 代謝酵素が飽和し非線形薬物動態を示すため、少量ずつ用量を増減する。酵素誘導あり。血 清分離剤入りの採血管を用いると吸着するため要注意。 フェノバルビタール 10~35 投与直前 50-150 44-62 0.6-1.0 90-100 25-67 45-59 CYP3A4を強く誘導する。ピーク濃度が50μg/mLを超えても眠気、歩行失調などの中毒症状を起 こしうる。疾患および年齢によりクリアランスが変動する。血清分離剤入りの採血管を用いると吸 着するため要注意。35µg/mL以上で眠気、歩行失調などが出現する。 プリミドン 10~35 投与直前 3-23 35-51 0.64-0.86 90-100 40以下 0-20 代謝され、活性を有するフェノバルビタールおよびPEMAになる。腎障害ではフェノバルビター ルおよびPEMA濃度が上昇する。血清分離剤入りの採血管を用いると吸着するため要注意。 10〜20(A) 遊離型1~2 投与直前 7-60 親化合物0.3 変化する 0.65 90-98 1以下 90 750mgはフェニトインとして500mgに相当する。てんかん(けいれん)重責状態には22.5mg/kgを 負荷投与するとフェニトインの有効治療域である10~20μg/mL内に入る。投与後ホスフェニトイン がフェニトインになるまで2時間を要し、その間に本剤を追加投与すると蛋白競合置換を起こす ため、その間は追加投与しない。 3~15(単剤治療では24まで) 投与直前 31-38 16-24 1.2 98 10 55 血中濃度と薬効や副作用との関連性が明らかでない。有効治療域は1~4、また患者によっては 20以上でも対訳性があるという報告がある。バルプロ酸などグルクロン酸抱合を競合的に阻害す る薬物との併用により半減期が延長する。 12~46 投与直前 8 62 0.56 95-100 66 10未満 レベチラセタムの血漿中濃度と有効性及び安全明確な 相関は認められていため、現時点では 定期的 TDM の必要性は低い。腎排泄性薬物である。 0.8〜2.0ng/mL(C) (心不全患者の場合:0.5〜1.0ng/mL) 投与直前 36-48 181 4.0-8.0 70 75 25 ジゴキシン様免疫反応因子の存在によりCKD患者・妊娠時・小児では特に偽性高値になること がある(特にFPIA法)。内服後6時間以上経過して採血しないと組織内濃度と平衡状態にならな い。 0.01〜0.025 投与直前 120-216 3.3 0.5-0.6 90-95 8 90 t1/2βが長いため、作用時間も長いが中毒時には不利である。 0.25〜1.25 投与直前 30-50 217-1133 3.7 100 0 96 非線形の薬物動態を示すため増量により血中濃度が著明上昇することがある。副作用は幻覚、 肝障害、催不整脈、無顆粒球症など。 クロナゼパム ホスフェニトイン ラモトリギン レベチラセタム 強心配糖体 ジゴキシン ジギトキシン (製造中止) 抗不整脈薬 アプリンジン アミオダロン キニジン ジソピラミド シベンゾリン 1.0〜2.5 投与直前 40-55日 150 66-106 31-65 0 96-99 t1/2βが非常に長いため、定常状態に達するのに2ヶ月必要。 2〜5 (中毒8-10以上) 投与直前 5-12 150-455 2.0-3.0 70-80 10-50 70-95 CYP2D6、P糖蛋白質を阻害する。 2〜5 投与直前 4-10 60-90 0.4-0.8 70-90 50-60 5-95 代謝物MNDにも抗不整脈作用があり、かつ強力な抗コリン作用を持つtためMND濃度が1μ g/mL以上で高コリン作用の副作用が発現しやすい。。蛋白結合の飽和により非線形薬物動態 を示す。α1-酸性糖蛋白質と結合するため、蛋白結合率が変動しやすい。 0.075〜0.4 投与直前 (中毒0.8以上だが0.4以上で低血糖発症) 5-8 700-900 5.0-7.0 83-92 55-62 50-60 腎不全患者では意識障害を伴う低血糖を起こしやすい。透析患者には禁忌。 ソタロール >2.55 投与直前 9~20 123.4 1.2~2.4 80以上 75~90 9% 1%未 β受容体遮断作用(ClassⅡ作用)とカリウムチャネル遮断作用(ClassⅢ作用)を併せもつ不整脈 満と報告に 治療剤 より異なる ニフェカラント ~0.5 投与直前 1.53 850 0.13 該当しない 28~37 代謝にはUDP-グルグロン酸転移酸素が主に関与。他にCYP3A4、2D6,1A1などが関与する。ク 86.4~94.6 ラスⅢの抗不整脈薬で他の抗不整脈薬が無効又は使用できない生命に危険のある心室性不 整脈(心室貧拍、心室細動)に有効性を示す。 ピルシカイニド 0.2〜0.9 投与直前 3.4-5.0 280 3.0 93以上 75-86 27-35 腎障害患者には腎機能に応じた投与設計が必須。 ピルメノール 0.4~(1.0〜3.8) 投与直前 7.0-9.0 210 1.3 87 30 78-87 主にα1-酸性糖蛋白質と結合するため、蛋白結合率はα1-酸性糖蛋白質濃度と相関する。 フレカイニド 0.2~1.0 投与直前 11-15 44-62 9-10 70-95 40-50 40-60 CYP2D6で代謝されるため、個体間変動が大きい。腎障害患者には腎機能に応じた投与設計 が必要。 プロカインアミド 4〜10 投与直前 2.2-5.2 400-700 1.7-2.3 85 50-60 15-20 約25%が活性代謝物のNAPAになる。肝のアセチル化酵素に遺伝子多型あり、SLEはslow acetylatorで高頻度に発生。 N-アセチルプロカインアミド 6〜20 投与直前 6-10 80-165 1.3 該当しない 81 11-15 親化合物プロカインアミドと活性比は等しく、親化合物濃度と加算して有効治療域5-30µg/mLと する。 プロパフェノン 0.05〜1.0 投与直前 2-10 963 3.7 5-25 0 77-97 肝代謝の飽和現象があり非線形の薬物動態を示す。水酸化代謝物には活性あり。 ベプリジル 0.25~0.8 投与直前 24~48 300 8.0 60 0 99 メキシレチン 0.5〜2.0 投与直前 9-13 300-450 2.1-9.0 80-100 10 50-75 血清濃度と効果、副作用の関係は十分には確立されていない。心不全によりCLが低下する。 CYP1A2を競合阻害することによりテオフィリンCLを半減させる。副作用は振戦、胃腸障害。 1.5〜5(中毒10以上) 投与直前 1.2-2.2 450-700 1.0-1.5 該当しない 10以下 10-80 血清分離剤に吸着しやすいため、血漿分離剤入り採血管を用いない。α1-酸性糖蛋白質と結合 するため、蛋白結合率が変動しやすい。 3-12 10-60 0.45-0.5 95-100 7-13 40-60 喫煙により酵素誘導を受ける。有効治療域上限で非線形薬物動態を示す。 リドカイン CYP2D6により代謝され、非線形性の薬物動態を示し、半減期が長く、定常状態に達するまで 通常3週間かかるとされていること、 代謝酵素の影響などにより薬物体内動態の個人差が大き い。中毒性副作用はQT延長や心室頻拍(torsades de pointesを含む)、間質性肺炎など。Ⅳ群だ がⅠ群、Ⅲ群の作用を併せ持つ。 気管支拡張薬 テオフィリン 免疫抑制薬 5〜15*(効果を重視して10~20という意見 投与直前 もある) 有効治療域 対象薬物 および中毒域 (μg/mL) エベロリムス(全血) シクロスポリン(全血) シクロスポリンマイクロエマル ジョン(腎移植時の、術後3ヶ 月間;全血) タクロリムス(全血) ミコフェノール酸モフェチル 採血時 間 シクロスポリン併用時3~8ng/mL シクロスポリン非併用時は明らかでない 投与直前 200ng/mL 以下 (300を超えない) 移植後0~1か月:150~250ng/mL 移植後1~3か月:100~150ng/mL 移植後3か月以降:<100ng/mL 投与直前 t1/2β (hr) 23 CL 体内動態 BA Vd (mL/min) (L/kg) fe PBR CL/F:300mL 高脂肪食摂 V1/F: 2.5-3.0 /min 取後は上昇 0 74 腎移植後1~2L、心移植後1~3 トラフ値(た だしAUCが 変動しやす いためピーク 値の測定も 必要な場合 がある) マクロライド免疫抑制剤でラパマイシン(Sirolimus)を改善したもの。腎移植後の免疫抑制薬とし て標準治療であるカルシニューリン阻害薬と同等の有効性および安全性を維持しつつ、12ヵ月 後の腎機能を有意に改善し、長期予後の改善をさらに促進する可能性があることがZEUS試験 で示された。サイトメガロウイルス感染症の発症を抑制する。副作用としてeGFRには影響しない が、蛋白尿が報告されている。ABO不適合移植にも用いられる。相互作用ではシクロスポリンが エベロリムスのバイオアベイラビリティを増加させるため、シクロスポリンの血中濃度が大幅に低 下すると、エベロリムスの血中濃度が低下し、シクロスポリン増量によりエベロリムスの血中濃度 が上昇する。 トラフ値高値による腎血流低下による虚血性腎障害に要注意。ただし夕食後服用やDM患者で はGER遅延による吸収遅延によってトラフ値が上昇してもAUCが上昇しないことがある。脂溶性 薬物であり約20%が白血球と、約40%が赤血球と結合し、残りの40%が血漿成分に存在し、リポ タンパク質と結合している。これらの血液成分との結合性は温度依存性があり、血液の保存には 要注意。 5-20 100-700 1.5-13.3 5-70 0-1 90-99 再現性の高い吸収特性がある。移植後の急性期はCtのみ、またはCtとC2の両値、あるいは AUC0-4のモニタリングが必要。維持期はCtをモニタリングする。 投与2時間後の濃度を1300〜1800ng/mLに保つことによって腎移植後の拒絶反応が低下する。 あるいはCtと投与後2時間値(C2)の両値(あるいは投与後4時間目までのAUC(AUC0-4)を測定 する。移植後0~1か月AUC0-4:3000~3500ng・hr/mL、移植後1~3か月AUC0-4:2000~ 3000ng・hr/mL、移植後3か月以降AUC0-4:1500~ng・hr/mL) 4-41 45-63 0.9(全血) 5-65 0-1 98以上 吸収に個人差が大きい。高血糖、中枢毒性の副作用が発症しやすい。 15.8 177-193 3.6-4.0 94 0.7 98 2-4 60-90 0.3 該当しない 70-90 0-10 700ng/mL以上 移植後0~1か月C2:1000~1200ng/mL 投与 移植後1~3か月C2:800~1000ng/mL 2時間後 移植後3か月以降C2:<600~800ng/mL 5〜15ng/mL(MMF, ミゾリビン、ステロイ ド、バシリキシマブ併用時の腎移植0~1 か月:8~12ng/mL、1~3か月5~ 8ng/mL、3カ月以上:<5ng/mL) MMF, ミゾリビン、ステロイド、バシリキシマ 投与直前 ブ併用時の肝移植0~4日:平均7以上ま たは10ng/mL以上、4~7日:10~ 15ng/mL, 7~14日:9~12ng/mL、14~ 28日:8~10ng/mL、退院後:5~8ng/mL TDMのポイント (%) (%) (%) アザチオプリン、ミゾリビンと類似の代謝拮抗薬だが、これらの薬物よりも腎移植による急性拒絶 の予防には有効であるというエビデンスがあり、その目的でつかわれることが多い。目標血中濃 度はAUC0-12を30-60 μg・hr/mL、トラフ値として1.5-3.0 μg/mLを目安とする。 抗菌薬(アミノグリコシド系) アミカシン アルベカシン イセパマイシン カナマイシン ゲンタマイシン ジベカシン ストレプトマイシン トブラマイシン 41~60μg/ml MDRPには60を目標に <1 15〜20 <2 <30 <10 30〜35 <10 8~15、心内膜炎3~5 <1 5〜10 <2 40〜50 <5 8~15 <1 ピーク時 10〜30 (15~30) トラフ時 28-56 18-19 0.9-1.1 該当しない 60 90 添付文書上では適正トラフ濃度5〜10µg/mLになっているが、蛋白結合率が高いため10〜30µ g/mLに設定した方が効果が高い(専門家は15µg/mL以上、重症例では20µg/mLを推奨)。初回 負荷投与は最初の3日間で2400mgの投与が推奨されている。トラフ28µg/mLで肝障害の報告あ りSawchuk Zaske法を用いた3ポイント採血による投与設計は消失相での採血が困難なため適応 できないMICが8μg/mLの株が散見される。 4-11 60-100 0.9-1.0 該当しない 80-95 30-55 腎障害患者には腎機能に応じた投与設計が必須。ピーク値のモニタリングは必要ないという考 えもある。トラフ値10μg/mL以下ではヘテロVISAが発現しやすいという報告あり。MICが2μg/mL の株が増加しつつあり、この場合、TEICを除く他剤の選択を考慮する。 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 ピーク時 トラフ時 抗菌薬TDMガイドラインにおいては、採血時間のバラツキの標準化を図るため、点滴開始1時 間後をCpeakとすることが提案されている(点滴時間は通常30分)。ただしルーチンにCpeakの測定 は不要。 有効性に対してはピーク濃度、腎毒性などの副作用に対してはトラフ濃度の測定が有意義。 腎障害患者には腎機能に応じた投与設計が必須。 健常者のVdは0.2L/kgであるが、感染症患者のVdは0.3L/kgに増大する。 溢水・低アルブミン血症によりVdが増大するため、初回投与量を増加する必要性あり。 アルベカシンはMICが8μg/mLの株が散見される。 グラム陽積菌にはゲンタマイシンのみ適応がある。緑膿菌に対してはアミカシン、セラチアや腸 球菌にはゲンタマイシンがよく用いられる。 抗菌薬(グリコペプチド系) テイコプラニン バンコマイシン (成人) バンコマイシン (小児) 25〜40 点滴終了 2時間 10~20* トラフ時 5~10 トラフ時 2~4(1~5) トラフ時 3.2-6.4 415-830 4.6 100 2 58 肝機能障害が発生した症例で、かつ、血中濃度が測定されていた症例の血中濃度トラフ値はい ずれも4.5μg/mL以上である。ただし有効性はトラフ値を2μg/mL以上。非線形薬物動態を示す。 1000ng/mL以上 トラフ時 10.5-18 活 性代謝物40 246 7-9 0.983 5.4 95% 主とし てアルブミン 及びα1-酸性 糖蛋白 有効治療濃度は1000ng/mL以上。クリアランスは欧米人14L/hrと日本人のクリアランス8.7L/hrと 体格だけでは説明できない人種差があり、CYP3A4、OATP1A2、OATP1B3、MDR1、BCRPの 影響を受ける。腎排泄性薬物ではないが、腎機能低下によって血中濃度の上昇するが、尿毒 素の影響によると考えられている。 3-15 100-200 0.4-1.0 65-70 80-95 50-95 毒性を回避するため十分な水分補給と尿のアルカリ化を保つ。必要に応じてロイコボリン救援療 法の強化を行う。t1/2は高用量で延長する 小児に負荷投与は必要ない。2~5歳ではトラフ値5~10µg/mLになってしまう。7日以 内:15mg/kgを12hr毎、2~8歳: 20mg/kgで1日4回、9~13歳:15mg/kgで1日3回。または1~6 歳:70mg/kg/日、6歳以上:60mg/kgという報告もある。 該当しない 抗真菌薬 ボリコナゾール 抗がん薬 イマチニブ メトトレキサート <5µM(中毒10µM) 投与 24時間後 <0.5µM(中毒1µM) 投与 48時間後 投与 2時間後 <0.05µM(中毒0.1µM) (A)血清アルブミン濃度低下の時には有効域を低く設定する (B)血清プリミドン濃度12µg/mLではフェノバルビタール濃度15µg/mLになるが、患者間で変動する (C)うっ血性心不全には0.5〜0.8ng/mLの低めに、心房細動では1.0〜1.5ng/mL以上の高めに設定する。1.5ng/mL以上でも消化器症状などの中毒症状が起こることがある *最近の報告による有効治療域(MRSA肺炎・心内膜炎・髄膜炎 に対してバンコマイシンのトラフ値は15~20ng/mL) 上記の有効治療域は単剤投与時のものであり、抗てんかん薬、免疫抑制薬などが多剤併用された場合には有効治療域以下の濃度で有効にコントロールされる場合が多い。有効治療域に入っていなくても低めの濃度で有効であれば、それがエンドポイントになる。 t1/2: 消失半減期、CL:クリアランス、Vd: 分布容積、BA: バイオアベイラビリティ、UER: 尿中排泄率、PBR: 蛋白結合率 **特定薬剤治療管理料ではないが、月1回の測定が算定できる。血清分離剤入り容器の使用は避けること。 特定薬剤は基本的に470点で、月に1回算定できる。ただし、ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合又はてんかん重積状態の患者に対して、抗てんかん剤の注射等を行った場合は、所定点数にかかわらず、1回に限り740点を特定薬剤治療管理料として算定する。 免疫抑制薬は臓器移植を行った日の属する月を含め、最初の3カ月に限り2,740点を加算し、1回目の特定薬剤治療管理料を算定すべき月に限り、所定点数に280点を加算する。 アミノグリコシド系の有効治療域は報告によって異なるが、1日1回投与が推奨されている現在では高めにコントロールすることが推奨されている。 無断転載を禁じます(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・平田純生 2015年6月作成)
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