1 「形式段落並び替え読み」で、本文をすらすら読めるようにする 2 「資料

考 え る 音 読 で 創 る 説 明 文 の 授 業 「 ウ ナ ギ の な ぞ を 追 っ て 」( 光 村 図 書 4 年 )
福村 美咲@岩国市立米川小学校
UD や ま ぐ ち 支 部 で は 、「 考 え る 音 読 」 の 研 究 を し て い ま す 。「 考 え る 音 読 」 に
は 、 大 き く 分 け て 3 つ の 音 読 が あ り ま す 。「 す ら す ら 音 読 」「 イ メ ー ジ の 音 読 」、
そ し て 、「 論 理 の 音 読 」 で す 。 今 回 は 、 説 明 文 教 材 「 う な ぎ の な ぞ を 追 っ て 」 の
実践をもとに、考える音読で創る授業についてご紹介します。
1 「形式段落並び替え読み」で、本文を すらすら読める ようにする
教材文「ウナギのなぞを追って」は、4年生児童にとってはページ数も多く、
内容の理解も簡単ではありません。そこで、最初に教材文を読み始めるとき、形
式段落ごとに交代しながら音読させることで、全文音読でも集中を途切れさせず
に音読することができるようにしました。そうすることで、言語理解が苦手な子
どもも、友達と交代しながら楽しく音読することができました 。
また、少し音読に慣れてくると、音読の活動に気持ちが集中できなくなってく
る子どももいます。そこで、授業の導入で
形式段落をわざと入れ替えた文章を提示し、
形式段落通りに正しく音読するようにして
内容理解を深めたり、先生や友達に「3 段
落!」と言われたら 3 段落を音読する等、
ゲーム的な要素を取り入れたりして、興
味・関心を持続させながら繰り返し音読が
できるようにしました。
2 「資料指さし読み」で、内容の イメージをつかむ
教材文「ウナギのなぞを追って」は、資料がたくさん提示されています。そし
て、形式段落に合わせて文章の要約ができるようになっています。そこで、内容
理解を深めるために、
「 資 料 指 さ し 読 み 」を 取 り 入 れ て 、ど の 資 料 が ど の 形 式 段 落
に当てはまるか考えながら音読できるようにしました。すると、子どもたちは自
分が音読している段落がどの資料で具体的に説明されているか、どこで資料が変
わり、説明の内容が変わっているかを自然と意識しな
がら音読するようになりました。
例えば、
「ウナギの赤ちゃんをどのルートで探してい
っ た の か 」と い う 資 料 の 説 明 で は 、
「より小さいウナギ
を探していく」研究活動が資料の中では矢印と数値、
絵で説明されていますが、本文にも具体的に
数値が書かれてあり、音読しながら指で矢印
をたどることにより、資料をさらに具体化し
て内容理解を深めることができました。
3 「資料入れ替え読み」で 筆者の意図(論理)を読む
この教材文は、23年度版に引き続き、27年度版にも掲載されていますが、
実 は 、今 回 の 改 訂 に よ っ て 、本 文 と 資 料 に も 変 わ っ た 箇 所 が あ り ま す 。
「月の満ち
欠けとウナギの赤ちゃんレセプトファルスを見つける数に関係がある」という資
料です。
まず、資料を提示する時にわざと一部の資料を抜いておきました。子どもたち
が足りない資料があることに気づき、資料が足りないことを指摘してきたので、
資 料 A( 前 の 資 料 ) と 資 料 B( 改 訂 後 の 資 料 ) を 提 示 し 、「 ど ち ら の 資 料 の 方 が
分 か り や す い か な ? 」と た ず ね ま し た 。す る と 、
「本文の○○というところに合う
の は B だ 。」、「 A に 描 い て あ る 絵 が 、 本 文
で は 説 明 さ れ て い な い よ 。」と 資 料 の 根 拠 と
なる文章を子どもたちは自然と読み取りな
がら、意見を出すことができました。単な
る内容理解だけでなく、筆者がなぜ資料を
新しく改訂したのか、という筆者の意図ま
で考えることができたのです。
今回は、3つの「考える音読」を紹介してきました。子どもたちの中には、そ
もそも国語の学習が苦手な子ども、言葉の理解に困難さがある 子どももたくさん
いいます。そのような子どもにいきなり論理的な発問(下線部 )をしても、なか
な か 難 し い で し ょ う 。「 す ら す ら 」「 イ メ ー ジ 」「 論 理 」 の 三 段 階 を 意 識 し て 、 国
語 の 授 業 を デ ザ イ ン す る こ と で 、国 語 の 授 業 で 到 達 さ せ た い と こ ろ ま で 、 楽 し く
「わかる」
「 で き る 」と い う 実 感 を 持 た せ て 子 ど も た ち を 連 れ て 行 く こ と が で き ま
す。
「考える音読」には、この他にもたくさんのアイデアがあります。詳しくは、
「 考 え る 音 読 」 の 会 ( 授 業 の UD 研 究 会 ・ や ま ぐ ち 支 部 ) を ご 覧 く だ さ い 。
http://www.geocities.jp/kingof_nabe/