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事
例
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構
「地域中小企業における国際展開の取組み事例
および課題に関する調査研究」P45より
株式会社ナガエ
(富山県高岡市)
「アジア市場の成長力を事業に取り組み、
さらに新ビジネスへも挑戦」
♠ 沿革と事業
㈱ナガエは、アルミ等のダイカスト鋳造、砂型鋳物、プレス加工等
によりガスメーター部品、物干し金物などの建材金具、自動車関
連部品や美術工芸品など幅広い製品を製作するメーカーである。
鋳物や金属加工の町として知られる富山県高岡市で 1954年11月
に創業し、アルミ製品用の金型や工作機械の製作を開始した。そ
の後ガスメーター部品やダイカストの製造、花器・置物等のダイカ
ストによる製造(業界初)、真鍮ダイカスト製品の生産、ロストワック
ス鋳造、仏具・仏像の企画生産、アルミ鋳物製ビル外壁(渋谷「ラ
イズビル」)などへ業容を拡大し、1986年 7月に㈱長柄製作所へ改
組した。1990年 11月に社名を「株式会社ナガエ」に変更し、ナガエ
生産革新活動「NPI」(1995年)、機械加工工場増設(2001年)、東
京営業所開設(2002年)、超高速 800tダイカストマシン導入・大型
薄肉成型技術開発(2002年)、ダイカスト第2工場竣工(2005年)、
Nプロジェクト発足(2009年。naft、銀雅堂、LOTUSLOTUSのブラン
ディング)など業務体制を強化していった。
経営理念は「常に、新製品開発と技術の研鑚を行い、社
会の進歩と信頼に応え、継続的発展と社員の豊かな生
活を実現する。」ことである。「アート&テクノ」を合言葉に、
職人による高度な伝統技法と最先端の金属成形・加工
技術を融合させ、創造性豊かな商品の開発・生産に取り
組んでいる。同社の強みは、ダイカスト鋳造については、
ごく薄・極小勾配による精密設計技術と多様な素材につ
いての経験に基づく最適素材による生産が可能なことで
ある。またオリジナル商品については、企画・デザイン開
発・製造・仕上げまでの全工程を一貫して実施する点に
ある。
♠ 国際化への取組み
同社は2つの海外展開戦略を検討している。第1は国内市場の伸び悩み状態の中でアジア
市場の成長力を事業に取り込んでいくための拠点の確保である。労働力が安価で経済・社
会情勢が安定しているところを拠点として、近隣諸国へも輸出する構想である。このための
課題は「何がいくらで売れるか」「コストがどうなるか」といった市場情報と、任せられる現地
人材の確保であるが、そのためには進出を前提とした現地での掘り下げた調査が必要であ
ろう。第2はアート関係の輸出の積極化である。現時点では有力なショウへの出展などで売
れ筋を研究している段階であるが、輸出をビジネス化するためには、良いチャネルを見つけ
て継続的な取引関係を創り出さなければならない。小ロット商品を安定的に市場へ結び付
ける機能を持った新しいサービス業の登場が期待されるところである。