教育課程指導資料について - 山梨県総合教育センター

教育課程指導資料について
はじめに
小学校では平成23年度から,そして,中学校では平成24年度から,平成20年3月告示の
学習指導要領が全面実施となっている。学習指導要領において,「見通しを立てたり,振り返っ
たりする学習活動の重視」は「今回特に規定を新たに追加したもの」であり,言語活動の充実な
どと同様に各教科等での授業では,特に重視すべき事項といえるものである。
そこで,今年度の教育課程研究委員会では,「学習の主体性と思考力・表現力・判断力等を育む
『見通し・振り返り』」について,言語活動の充実と関連を図り,各教科等の特性に合わせて具
体化するとともに,よりよい実践が図れるよう,例示することとした。
■各教科等での『見通し・振り返り』活動の充実
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学習指導要領と「見通し・振り返り」学習活動
「見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視」は,小・中学校ともに学習指導要
領の「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」において,小学校では2(4),中
学校では2(6)で第1章総則の「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」として,
新たに「各教科等の指導に当たっては,児童(中学校は「生徒」)が学習の見通しを立てたり
学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること(中学校は「取
り入れるようにすること」)」と示されており,義務教育9年間を通し,一貫して重視し指導
する事項ともいえる。
なお,この事項は「今回特に規定を新たに追加したもの」であることから,言語活動の充実
などと同様に,現在の学習指導要領下での教育実践,各教科等での授業では,特に重視すべき
事項ともいえるものである。
【参考】
小学校学習指導要領解説 総則編
第3章 第5節 4 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視(p58,59)
中学校学習指導要領解説 総則編
第3章 第5節 4 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視(p61,62)
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各教科等での「見通し・振り返り」学習活動の充実
「見通す.振り返る」学習活動は,日々の授業展開の中で「当たり前」のこととして捉えら
れている。しかし,その「当たり前」のことが児童生徒と共有できているか,また,児童生徒
自身が,その授業において「何を学ぶのか」を理解し,結果として授業で「何を学んだのか」
を実感できるようになっているか,実践を通して確認していく。
見通しでは,子供の側に立った目標(めあて・ねらい・課題)を示し,この時間に何ができる
ようになればよいのか,何が分かるようになればよいのかがはっきり分かる具体的な表現にし
て,子供が何をめざして学習すればよいかゴールを意識して取り組めるようにする。
振り返りでは,実際に学習したことや,何が分かり,何ができるようになったかを子供自身
が自分のことばで振り返ることができるようにしていく。
「見通し・振り返り」活動は一連の学習活動であるため,意図的・計画的・組織的に実施し,
各教科等における内容のまとまりごとに,あるいは毎時の授業において,「見通しを立てたり,
振り返ったりする学習活動」について,どのように見通しを立てる学習活動や振り返る学習活
動を設定し,その充実を図ればよいのかについて,各教科等の特質を踏まえた基本的な考え方
や具体的な指導方法等を紹介する。
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「見通し・振り返り」学習活動と言語活動の充実
「見通し.振り返り」学習活動と言語活動を適切に組み合わせることで.より効果的な学
習指導が展開される。
児童生徒が授業の導入段階で学習の見通しを確実に持ち,展開段階で,めあてに沿って一
人一人に自分で考えさせ,自分の考えを持たせて,話し合いをさせていく。筋道を立てて考
えたり,話し合ったり,実験したり,レポートを書いたり,論述したりした後に,まとめの
段階で,児童生徒自身が学習活動や学習内容を振り返る。この一連の学習活動がしっかりし
ていれば,子供たちは毎時間の学び合いによる学びを深めていける。
見通し・振り返りにおける言語活動が,「話す・書く」という表現行為であり,見通しが
振り返りの質を高め,逆に充実した振り返りが次の活動への見通しを持たせることにつなが
っていく。
■提示の方法と内容
教育課程指導資料は,冊子とホームページの2部構成になっている。
教育課程指導資料
教育課程指導資料
【冊 子 版】
【ホームページ版】
http://www.ypec.ed.jp/gimukyo/
Ⅰ
各教科における「見通す」学
「見通し・振り返り」を取り入
習活動のポイント
Ⅱ 各教科における「振り返る」
学習活動のポイント
れた具体的な学習指導について,
掲載
■『教育課程指導資料』の活用の方法
その1
その2
【冊子版】では,各教科等ごとの特性に合わせ,まず,「見通し・振り返り」の
ポイントを示す。これを踏まえて,【ホームページ版】では,言語活動の充実
とともに具体的な事例を掲載している。
下に示したURLにアクセスし,「見通し・振り返りを生かした指導のポイント」
を具体的な事例をもとに指導の在り方について理解する。
ホームページでは,PDF版で「学習指導の事例」の詳細が見られるようになっています。
これらを参考に実際に指導計画に取り入れたり,新たな単元(題材)づくりの参考にしたり
してください。また,必要に応じてダウンロードできるので,印刷して,校内研究会の資料
等に御活用ください。
教育課程指導資料
ホームページのURL
http://www.ypec.ed.jp/gimukyo/
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平成26年度全国学力・学習状況調査【中学校】
【目標(めあて・ねらい)を示す活動】
○授業の冒頭に目標(めあて・ねらい)を示す活動を計画的に取り入れた学校の割合は,「よく行った」「どちらかといえば,行った」が山梨県
は87.2%である。全国は94.0%で全国平均よりも低い。
○授業のはじめに目標(めあて・ねらい)が示されたと思う生徒の割合は,「よく行った」「どちらかといえば,行った」が山梨県は60.1%であ
る。全国は71.5%で全国平均 との差が大きい。
○学校と生徒の回答状況を比較すると,学校が「めあて・ねらい」を示す指導を行ったと考えていても,生徒はそのように受け取っていない。
【振り返る活動】
○授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に取り入れた学校の割合は,「よく行った」「どちらかといえば,行った」が山梨県は
87.3%である。全国は91.6%で全国平均を下回っている。
○授業の最後に学習したことを振り返る活動を「よく行った」「どちらかといえば,行った」と思う生徒の割合は,52.2%である。全国は53.3%
で全国平均をやや下回っている。
○学校と生徒の回答状況を比較すると,学校が「振り返る」指導を行ったと考えていても,生徒はそのように受け取っていない。
〔学校質問紙〕
〔生徒質問紙〕
調査対象学年の生徒に対して,前年度までに,授業の冒頭で目標
(めあて・ねらい)を児童生徒に示す活動を計画的に取り入れました
か
1,2年生の時に受けた授業のはじめに,目標(めあて・ねらい)が
示されたと思いますか
1.1
山梨
25.8
61.8
山梨
11.2
22.3
37.8
30.1
9.7
0.1
全国
49.0
全国
45.0
32.9
38.6
21.5
6.9
5.9
0.0
(%)
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
0.0
(%)
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
全国
山梨
全国
山梨
よく行った
49.0
25.8
よく行った
32.9
22.3
どちらかといえば,行った
45.0
61.8
どちらかといえば,行った
38.6
37.8
あまり行っていない
5.9
11.2
あまり行っていない
21.5
30.1
全く行っていない
0.1
1.1
全く行っていない
6.9
9.7
〔学校質問紙〕
〔生徒質問紙〕
調査対象学年の生徒に対して,前年度までに,授業の最後に学習し
たことを振り返る活動を計画的に取り入れましたか
1,2年生のときに受けた授業の最後に,学習内容を振り返る活動
をよく行っていたと思いますか
山梨
20.2
66.3
13.5
山梨
15.7
36.5
36.5
11.1
全国
15.6
37.7
34.6
11.6
0.1
全国
28.6
0.0
60.6
10.5
(%)
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
0.0
(%)
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
全国
山梨
全国
山梨
よく行った
28.6
20.2
よく行った
15.6
15.7
どちらかといえば,行った
60.6
66.3
どちらかといえば,行った
37.7
36.5
34.6
36.5
11.6
11.1
あまり行っていない
10.5
13.5
あまり行っていない
全く行っていない
0.1
0.0
全く行っていない
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