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十角館の殺人
綾辻行人
十角形の奇妙な館が建つ孤島を大学ミステリ研の 7 人が訪れた。館を建てた
建築家は,半年前に炎上した青屋敷とよばれる自宅で焼死したという。やがて
学生たちを襲う連続殺人。
「島」と「本土」で発生する事件が絡み合うとき,ミ
ステリ史上最大級の,驚愕の結末が読者を待ち受ける!
この物語は,タイトルからもわかる通り,いわゆる推理小説です。そう聞く
と敬遠してしまう方もいるかもしれませんが,最後のどんでん返しには,誰も
が驚きミステリの面白さを堪能できると思います。
私がこの本に出会ったのは,高校生のときでした。それまで,本と言えば漫
画しか読まなかった私が,小説好きのクラスメイトの勧めでたまたま読んだの
が最初でした。この本を読んで小説の面白さを知った私は,それ以来,ジャン
ル問わず様々な小説を読むようになりました。つまり,私が読書好きになる原
点となったのが,この「十角館の殺人」というわけなのです。
「十角館の殺人」はトリックをメインとした推理小説です。簡単に言えば,
犯人はどのような方法を用いて殺人を犯したかを解き明かすことが物語の主軸
になるわけです。現在,小説や漫画を映像化することは当たり前になりました
が,この「十角館の殺人」で用いられているトリックは小説ならではのもので,
映像化は不可能と言われています。現在のところ小説でのみ表現可能な大どん
でん返しトリックをぜひ味わってみてください。
登場人物がその時どう感じたのかなど人の内面について描かれることは比較
的少ないジャンルの本なので,人によって,読みやすいと感じる方と物足りな
いと感じる方に分かれるかもしれません。それでも,テレビドラマや映画の魅
力にも引けをとらない,小説ならではの醍醐味を,改めて感じて頂けたらと思
います。