表.腎前性腎障害と腎性腎障害(急性尿細管壊死)の鑑別 腎前性 腎性腎尿細管壊死 腎障害 解釈 尿沈査所見 正常 尿細管上皮細胞か 腎前性は糸球体・尿細管機能はほぼ正常 らなる円柱,血尿など 尿中Na排泄分画*(FENa, %) <1 >2 尿中Na濃度(mEq/L) <20 >40 腎不全指数** <1 >1 尿浸透圧(mOsm/kgH2O) >500 腎前性は腎血流が低下するためNaを再吸収して保持し、脱水を防ごうとする虚血 を防ぐ生体恒常性が働いているが、腎性ではNa再吸収能が低下している。FENa が尿中Naよりも感度、特異度ともに高く有用。ただし利尿薬が投与されている患者 ではFENaは使えないのでFEureaを用いる。 <350 尿中Cr濃度/血漿Cr濃度 比 (CCr/尿量) >40 <20 腎前性は体液が減少しているので乏尿となり、分母の尿量が減少して尿中Cr濃度 /血漿Cr濃度比(Ucr/Pcr比)は上昇する。腎性では分子のクレアチニンクリアランス Ccrが低下してUcr/Pcr比は低下する 尿中尿素排泄分画*** (FEurea, %) <35 >50 腎前性では水、Naとともに尿素も再吸収されるため腎前性では低値になる。利尿 薬が投与されている患者では有用。 BUN/Cr比 10前後 20以上 腎前性では尿細管が正常に反応し、水、Naとともに尿素も再吸収されるため腎前 性では上昇する。ただし、消化管出血や蛋白質の摂取増加でも上昇する。心不全 では腎血流が低下するため上昇する。 *(尿中Na/血清Na)×(血清Cr/尿中Cr)×100 FENaは利尿薬を投与している場合やNaを含む輸液をしている場合にはNaの再吸収が抑えられるため腎前性腎障害でもFENaは低値には ならない。このような場合にはFEureaを用いる。 **尿中Na×血清Cr/尿中 ***(尿中尿素 / 血清尿素) ×( 血清Cr /尿中Cr ) ×100
© Copyright 2024 ExpyDoc