パニック値とその時の病態について 電解質(Na+、K+) パニック値とは「即治療を要する危険な病態を示唆する異常値」のことです。治療が遅くれると生命の 危険につながることもあるため迅速に担当医へ報告する必要があります。 また、本来のデータでなく何らかの原因で誤った値となり、データーは正しくても実際は体に影響 がない場合もありますので臨床症状とあわせた「見極め」が必要です。 弊社で最も「異常値FAX」を送ることが多い電解質( Na+、CL-、K+ )について解説いたします。 はじめに電解質の働きについて 私達の身体には、たくさんの水分(体液)が含まれています。 その中に溶けて電気を帯びたイオンとして、体内の水分量を保ち、神経伝導系および筋肉の運動にも深く関 わっているのが電解質(Na+、CL-、K+)です。臨床検査として主にデーターを知ることができるのは、血液中 に含まれている電解質です。濃度は、内部環境保持の作用で生体内ではほぼ一定に保たれています。これは、 抗利尿ホルモンによって、浸透圧調整がなされ、アルドステロンが腎からの排泄調整が行われているからです。 水分が減少しても、増加してもNaは体液量の変化を反映するため、異常値となります。 つまり血清Naは水分のバランスによってきまるため、値が絶対量の不足や増多とは限りま せんのでご注意下さい。 Na+ Naが低い時 危険 精神症状 昏睡 痙攣発作 120mEq/L以下 主な症状 主な症状 皮膚や粘膜 の乾燥、血 圧低下 体液の減少 浮腫 体液の増加 尿中Na 尿中Na 尿中Na 尿中Na 20mEq/L以上 10mEq/L以下 20mEq/L以上 10mEq/L以下 腎臓以外の病変 急性・慢性 ネフローゼ症候群・ 嘔吐・下痢・火傷 腎炎 肝硬変・心不全 腎臓の病変 利尿薬過剰・アジソン病 腎臓の病変か腎臓以外の原因かは尿中のNaを測定してみると参考になります。 危険 Naが高い時 意識障害 痙攣 昏睡 160mEq/L以上 水分が下 がって濃度 が濃い状態 低張液(水 Na過剰 欠乏優位) 水欠乏症 尿中Na 尿中Na 尿中Na 尿中のNaは 20mEq/L以上 20mEq/L以上 10mEq/L以下 不定 原発性アルドステロン 糖尿病などで浸透圧 腎臓以外の病変 腎臓が原因 腎臓以外が原因 症・クッシング症候群 物質の増加 嘔吐・下痢 尿崩壊 発熱、熱中症 Cl- はNa+と平行して変動します。 Na CL いっしょ (株)クリニカルパソロジーラボラトリー
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