スーパーテールアルメ工法 設計・施工ガイドライン

スーパーテールアルメ工法
設計・施工ガイドライン
2015 年 1 月
日本テールアルメ協会
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(日本テールアルメ協会)
1.総
説
1.1 適用に当たっての基本
スーパーテールアルメの適用に当たっては,本ガイドラインに従い,計画,調査,設計,施工,お
よび維持管理を適切に実施しなければならない。
スーパーテールアルメは、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に
おける性能設計の導入により,仕様規定の追記はされないものとし,補強土壁として 従来から記載
される仕様のテールアルメと同等の要求性能を満足していることにより、スーパーテールアルメ工法
設計・施工ガイドライン(以下,本ガイドライン)において適用する。
本ガイドラインは,テールアルメに対してスーパーテールアルメ工法の実施にあたり,個別の特筆
すべき事項について示すものとする。したがって,テールアルメに共通する基本事項は,『補強土(テ
ールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準じ,スーパーテールアルメの適用を本
ガイドラインにより補完する。
1.2 適用の範囲
スーパーテールアルメ工法設計・施工ガイドラインは,道路に適用する 仮想壁高 12m 以下かつ
嵩上げ盛土高 7m 以下 のスーパーテールアルメの計画,調査,設計,施工,および維持管理に適
用する。
本ガイドラインでは,スーパーテールアルメの計画,調査,設計,施工および維持管理の基本的
な考え方ならびに一般的な技術的事項を示す。本ガイドラインの構成を以下に示す。
第1章 総 説
本ガイドラインで取り扱う適用範囲や用語の定義,スーパーテールアルメの概要,適用
性を示す。
第2章 目的と構造
スーパーテールアルメの目的,適用(計画・設計・施工)に対する基本的な考え方,
構造部材,各部材の役割や安定照査の考え方,盛土材料を含めた使用材料の規定を示す。
第3章 計画・調査
スーパーテールアルメの実施において行われる計画・調査の基本的な考え方と留意事
項を示す。
第4章 設計に当たっての一般事項
補強土壁の性能設計の基本方針,設計に用いる荷重,許容応力度および安全率を示す。
第5章 設計
スーパーテールアルメの設計法について規定し,必要な性能を確保していることを照
査するための手法を示す。
第6章 施工
スーパーテールアルメの施工について規定し,スーパーテールアルメが必要な性能
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を確保するための手法を示す。
第7章 維持管理
スーパーテールアルメの維持管理の基本方針を示し,記録の保存,点検・保守,補修・
補強対策について説明する。
スーパーテールアルメの設計・施工においては,本ガイドラインに示した規格に準じた構造部材
を採用し,かつ,各種構造細目に準拠すれば,これまでの十分な実績と経験的な手法により必要な
性能を確保することが検証されている。本ガイドラインは,道路に適用する 仮想壁高 12m 以下かつ
嵩上げ盛土高 7m 以下 のスーパーテールアルメの計画,調査,設計,施工,および維持管理に適用
する。
一方,土構造物の種類や規模,地形や地盤,施工条件によっては,本ガイドラインの適用を越え
るスーパーテールアルメを建設する場合もある。このような場合にも,本ガイドラインの基本的な
考え方を踏まえて詳細な検討項目に加えて,応力や変形解析,材料,施工管理等に関する合理的な
設計,施工を行うことが必要である。
本ガイドラインは,スーパーテールアルメの原理,構造,適用例を解説するとともに,計画,調
査,設計,施工および維持管理を合理的に行うための方針,手順を示し,テールアルメの適切な活
用を図る一助として編集されたものである。また,スーパーテールアルメの実施にあたっては,本
ガイドラインの記述によるほか,以下の基準・指針類に準じて行う。
「補強度(テールアルメ)壁工法 設計・施工マニュアル 第4回改訂版」(平成26年;土木研究
センター)
「両面テールアルメ設計・施工ガイドライン」(平成27年;日本テールアルメ協会)
「道路構造令の解説と運用」(平成16年;日本道路協会)
「道路橋示方書・同解説 下部構造編」(平成24年;日本道路協会)
「道路橋示方書・同解説 耐震設計編」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工要綱」(平成21年;日本道路協会)
「道路土工-擁壁工指針」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工-軟弱地盤対策工指針」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工-盛土工指針」(平成22年;日本道路協会)
「道路土工-切土工・斜面安定工指針」(平成21年;日本道路協会)
「防護柵の設置基準・同解説」(平成20年;日本道路協会)
「道路照明施設設置基準・同解説」(平成19年;日本道路協会)
「道路標識設置基準・同解説」(昭和62年;日本道路協会)
「地盤調査の方法と解説」(平成25年;地盤工学会)
「地盤材料試験の方法と解説」(平成21年;地盤工学会)
「冬期土工設計施工要領」(平成11年;通年施工推進協議会)
なお,これら準拠する基準・指針類が改訂され,参照する事項について変更がある場合は,新旧の
内容を十分に比較した上で適切に準拠するものとする。
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1.2 用語の定義
本マニュアルで用いる主な用語の意味は,以下のとおりとする。
(1)スーパーテールアルメ工法
大型の壁面材であるコンクリートパネルを使用し、補強材の配置を最適化したテールアルメ工法。
(2)スーパーテールアルメ
スーパーテールアルメ工法により構築された補強土壁。
(3)コンクリートパネル,パネル
スーパーテールアルメ工法の壁面を形成するコンクリート製のスキン。
ここで示した用語は,本ガイドラインで取扱う基本的な事項について定義したものであり,その他
の用語に関する定義は「補強度(テールアルメ)壁工法 設計・施工マニュアル 第4回改訂版」を
参照されたい。
2.目的と構造
2.1 スーパーテールアルメの目的
スーパーテールアルメは,供用開始後から長期間にわたり,外部からの荷重ならびにスーパーテール
アルメ自体の荷重を安全に地盤に伝え,スーパーテールアルメ背面の土砂の崩壊を防ぐとともに,道
路交通の安全かつ円滑な状態を確保するための機能を果たすことを基本的な目的とする。
スーパーテールアルメの目的に関しては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル
第4回改訂版』に準じるものとする。
2.2 スーパーテールアルメの適用の基本
(1) スーパーテールアルメの適用に当たっては,使用目的との適合性,構造物の安全性,耐久性,施
工品質の確保,維持管理の容易さ,環境との調和,経済性を考慮しなければならない。
(2) スーパーテールアルメの適用に当たっては,スーパーテールアルメの力学的な安定のメカニズム
や特徴,使用される材料の特性及びその適用性について十分認識しておく必要がある。
(2)スーパーテールアルメの適用における基本事項
スーパーテールアルメの適用に当たっては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュア
ル第4回改訂版』に示されている適用条件ごとの留意点のほか、以下の項目に留意すること。
① 谷地形,縦断勾配を有する地形への適用
谷地形および縦断勾配を有する地形への適用においては,コンクリートパネルが大型であるた
め、掘削量の増加や壁面材の割付が煩雑にならないよう留意する。また縦断勾配のが急な場合に
おいては、笠コンクリートが大きくなる傾向にあることに留意する。
② 軟弱地盤への適用
軟弱地盤への適用においては、コンクリートパネルの幅が大きく、そのため不等沈下の追随性
はテールアルメのスキンに比べて劣ることに留意する。
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2.3 スーパーテールアルメの詳細構造と使用材料
2.3.1 スーパーテールアルメの詳細構造と使用部材及び盛土材料の機能と性能
スーパーテールアルメは,コンクリートパネルの壁面材,帯状の鋼製補強材であるストリップ,砂質
系の盛土材料,連結材であるボルト・ナット,緩衝材の水平目地材,盛土材の流出を防止する透水防
砂材によって構成されている。
(1)スーパーテールアルメの詳細構造
コンクリートパネルを使用するスーパーテールアルメは,図-2.1 に示したように基礎の上にコン
クリートパネルを設置し,背面の盛土中にストリップを敷設した構造である。コンクリートパネルと
ストリップはボルト・ナットで連結される。コンクリートパネル同士からなる水平目地には,緩衝材
である水平目地材が設置され,鉛直目地は所定の間隔の隙間となる。この水平目地と鉛直目地の構造
により,テールアルメの壁面は,ある程度の柔軟性を有する構造となっている。これは,盛土や基礎
地盤の挙動に追従するためである。このため,コンクリートパネル同士は,基本的には剛結されるこ
とがなく,この点が他の補強土壁と異なる特徴の一つである。なお,鉛直目地は,この他に排水機能
を有しており,排水時に,盛土材料が目地の隙間から流失することがないように,コンクリートパネ
ル背面に透水防砂材が敷設されている。
図-2.1 スーパーテールアルメの構造
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(2) 部材及び盛土材料の機能と性能
スーパーテールアルメは,図-2.1 に示すようにコンクリートパネルの壁面材,帯状の鋼製補強材
であるストリップ,砂質系の盛土材料,連結材であるボルト・ナット,緩衝材の水平目地材,盛土材
の流出を防止する透水防砂材によって構成されている。スーパーテールアルメに使用する盛土材料及
び各部材には固有の機能があり,その機能を果たすだけの性能を有したものでなければならない。ま
た,スーパーテールアルメの供用期間中にわたって機能し続けるだけの耐久性が必要である。
特に記載の無い箇所については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改
訂版』に準じる。
2.3.2 スーパーテールアルメの使用材料
使用材料は,使用目的等に応じて要求される強度,施工性,耐久性,環境適合性等の性能を満足す
る品質を有し,その性状が明らかで,定められた品質規格に適合したものでなければならない。
スーパーテールアルメの使用材料は,使用目的,用途や施工条件に応じて,設計により決まる個々
の要求性能を満足する品質を有しているとともに,スーパーテールアルメの部材として,その性状が
明らかにされている必要がある。したがって,これまでの実績からその材料の品質・性状が明らかな
ものを除き,試験,検査によってスーパーテールアルメの部材として要求性能・性状を満足すること
を確認したものを使用する。
スーパーテールアルメに使用する部材には,ストリップ,コンクリートパネル,その他の部材(連
結部材と目地部材)があり,盛土材料には土質材料及び岩石材料の盛土材料がある。部材及び盛土材
料の種類と名称を図-2.2 に示す。また,主な部材の規格を表-2.1 に示す。
コンクリートパネル
コーナーパネル
図-2.2 盛土材料及び主な部材の種類と名称
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表-2.1 主な部材の規格
部
材
リブ付きストリップ
規
格
鋼材記号または種別品種
一般構造用圧延鋼材 SS400 に亜鉛めっきを施したもの。亜鉛めっきは,溶融亜鉛めっ
き JIS H 8641 に示す HDZ35 または HDZ50 を標準とする。
JIS G 3101
溶接構造用圧延鋼材 SM490A に亜鉛めっきを施したもの。亜鉛めっきは,溶融亜鉛めっき
補
高強度
強
リブ付きストリップ
材
JIS H 8641 に示す HDZ35 または HDZ50 を標準とする。
JIS G 3106
溶融亜鉛めっき鋼板
平滑ストリップ
JIS G 3302
SGH 400 亜鉛めっきの両面付着量表示記号 Z45 を標準とする。
一般構造用圧延鋼材 SS400 に亜鉛めっきを施したもの。亜鉛めっきは,溶融亜鉛めっき
JIS G 3101 SS400 JIS H 8641 に示す HDZ35 または HDZ50 を標準とする。
壁
面
設計基準強度
コンクリートパネル
f ' ck  35N / mm 2 以上
部材厚
材
0.14m
材料による区分「鋼」
高強度リブ付きストリップ
機械的性質の強度区分 8.8
連
結
そ
の
ボルト
リブ付きストリップ
六角ボルト
機械的性質の強度区分 4.6,4.8
JIS B 1180
平滑ストリップ
部
機械的性質の強度区分 4.6,4.8
材
亜鉛めっきは,溶融めっき JIS H 8641 に規定する HDZ35 または
他
HDZ50 を標準とする。
の
部
ナット
材
目
地
部
材
ねじ種類「並目」,機械的性質 材料「鋼」,強度区分 4 又は以上
六角ナット
亜鉛めっきは,溶融亜鉛めっき JIS H 8641 に規定する HDZ35 ま
JIS B 1181
たは HDZ50 を標準とする。
水平 コルクプレート:密度 300kg/m3,
密度 560kg/m3
目地材
透水
防砂材
スパンボンド法ポリプロピレンまたはポリエステル連続長繊維
不織布
重さ 400g/m2 以上
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2.3.3
盛土材料
スーパーテールアルメに用いる盛土材料は,ストリップとの摩擦が確実に,かつ長期にわたり確保で
きるとともに十分なせん断強度を持ち,圧縮変形量が小さく,さらには締固めが容易な材料とする。
また,ストリップの耐久性に影響を及ぼすものであってはならない。
スーパーテールアルメの盛土材料に関しては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュ
アル第4回改訂版』に準じるものとする。
2.3.4 ストリップ
スーパーテールアルメに用いるストリップは,鋼製で十分な引張強さと耐久性,さらには盛土材料
に対する大きい摩擦抵抗をもち,かつ盛土材料となじみのよいたわみ性を有し,その性状が明らかで,
所定の品質規格に適合しているものでなければならない。
スーパーテールアルメのストリップに関しては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニ
ュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
2.3.5 コンクリートパネル及びコンクリートパネルとストリップとの連結部材
(1)コンクリートパネルは,背面の盛土材を拘束し,ストリップによる補強効果を確実なものとして,
盛土材のこぼれ出しを防ぐとともに,盛土表面の局所的な変形を抑制し,かつ十分な強度と耐久性を
有し,その性状が明らかで,定められた品質規格に適合したものでなければならない。
(2)コンクリートパネルに埋め込まれたコネクティブと呼ばれる連結金具は,コンクリートパネルと
ストリップをボルト・ナットにより確実に連結させ,その性状が明らかで,定められた品質規格に適
合したものでなければならない。
コンクリートパネルは,背面の盛土材を拘束し,ストリップによる補強効果を確実なものとして,
盛土材のこぼれ出しを防ぐとともに,盛土表面の局所的な変形を抑制する目的で設置する。さらに,
外観上の安定観,美観に寄与することのためにも設置される。
コンクリートパネルは,壁面に作用する土圧に対して十分な強度と耐久性を有し,かつ荷重をス
トリップに支障なく伝達できる構造を有し,その性状が明らかで,定められた品質規格に適合したも
のでなければならない。
表-2.2 に一般的に使用されているコンクリートパネルの仕様を示す。
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表-2.2 コンクリートパネルの仕様・規格
部材
規格
鋼材記号または
形
状
主な用途
種別品種
設計基準強度
コンクリート
f ' ck  35N / mm 2 以上
1.2m×2.7m×
部材厚 0.14m
パネル
0.14m
道路,造成等
(高強度リブ付きストリップ対応)
標準形状のコンクリートパネルは,スーパーテールアルメの壁面を形成する主要なスキンであ
り,図-2.3 に示すように,縦横の呼び寸法が,1.2m×2.7mの矩形をした版状のものであり,そ
の版厚は,0.14m である。コンクリートパネルは高強度リブ付きストリップに対応している。
図-2.3 コンクリートパネル(フルサイズ,4本取りの例)
2.3.6 ボルト・ナット
スーパーテールアルメに使用されるボルト・ナットは,スーパーテールアルメの部材を確実に結合
できるとともに,十分な強度を持ち,かつストリップと同等以上の耐久性を有し,その性状が明らか
で,定められた品質規格に適合したものでなければならない。
スーパーテールアルメのボルト・ナットに関しては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工
マニュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
2.3.7 水平目地材
スーパーテールアルメの水平目地材は,スーパーテールアルメが供用される期間にわたり,コンク
リートパネルに作用する鉛直荷重の範囲においてクッション性(収縮性)を発揮でき,十分な耐久性
を有し,その性状が明らかで,定められた品質規格に適合したものでなければならない。
スーパーテールアルメの水平目地材に関しては、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニ
ュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
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2.3.8 透水防砂材
スーパーテールアルメの水平目地、及び鉛直目地部に設置される透水防砂材は,高い透水性と排水
性とともに,十分なフィルター機能と耐久性を有し,その性状が明らかで,定められた品質規格に適
合したものでなければならない。
スーパーテールアルメのパネルは空積であり,盛土内に浸透した水は目地部から排水させる構造と
なっている。透水防砂材は,この排水に伴う盛土中の細粒土の流出を防ぐために用いるものである。
スーパーテールアルメの透水防砂材の形状を表-2.3 に示す。
表-2.3 一般的に使用されている透水防砂材の形状
壁面材の種別
公称幅(㎜)
公称厚(㎜)
コンクリートパネル
300
4.0
また,透水防砂材を使用する位置は,図-2.4 に示す壁面の排水箇所であり,コンクリートパネル
の裏側(盛土側)の水平目地、及び鉛直目地部に設置する。
図-2.4 透水砂防材を使用する位置
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5. 設
計
5.1 設計の概要
5.1.1 設計の考え方
(1)スーパーテールアルメの設計に当たっては,5.2 から 5.6 に従って,次の照査・検討を行う。
1)スーパーテールアルメを構成する部材の安全性
2)スーパーテールアルメの安定性
① スーパーテールアルメ自体の安定性
② スーパーテールアルメ及び基礎地盤を含む全体としての安定性
3)スーパーテールアルメの耐久性
4)基礎工,排水工及び付帯する構造
(2)上記は,「第 6 章施工」」及び「第7章維持管理」に示す施工,施工管理,維持管理が適切に
行われることを前提とする。
設計の考え方については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』
に準じるものとする。
5.1.2 設計手順
スーパーテールアルメの設計に当たっては,要求される性能を満足するよう設計手順に従い,照
査・検討を行う。
設計手順については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準
じるものとする。
5.1.3 基本条件の確認と設計条件の設定
スーパーテールアルメの設計に当たっては,調査の結果に基づいて現状を的確に判断し,基本条件
を確認し,設計条件を適切に設定する。
基本条件の確認と設計条件の設定については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュ
アル第4回改訂版』に準じるものとする。
5.1.4 設計断面形状の設定及び検討断面の決定
スーパーテールアルメの設計に当たっては,基本条件・設計条件に応じて適切な設計断面形状の設
定及び検討断面の決定を行う。
スーパーテールアルメの壁高は,コンクリートパネルの寸法規格(表-2.2 参照)の関係から,ハー
フサイズパネルの寸法の倍数、すなわち 0.6m の倍数とする。計画高が上記の倍数とならない場合は,
嵩上げ盛土または笠コンクリート等によって調整する。
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5.1.5 土圧係数及び摩擦係数
スーパーテールアルメの設計に当たっては,基本条件・設計条件に応じて適切な土圧係数及び摩擦
係数を設定しなければならない。
土圧係数及び摩擦係数については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回
改訂版』に準じるものとする。
5.2 部材の安全性及びスーパーテールアルメの安定性の検討
5.2.1 部材の安全性の検討(内的安定検討)
スーパーテールアルメの内的安定に対しては,以下に示す項目を照査する。
(1)ストリップの引抜きの発生といった土との大きな相対変位を起こさないことを照査する。
(2)ストリップが破断したり,ストリップの連結ボルトが折損したりしないことを照査する。
(3)コンクリートが破壊したり,ストリップとの連結部材(コネクティブ)が破断したり,コンク
リートパネルから引抜きが生じないことを照査する。
部材の安全性の検討については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改
訂版』に準じるものとする。
ストリップの水平間隔は,B1i ~B3i,B1Ei ~B3Ei のうち最小のものとするが、スーパーテー
ルアルメの上段付近については Pi が小さいため、B1i はかなり大きな値となる。このため、設計に
際しては,盛土材とストリップが相互に拘束効果を発揮しうる最大間隔を考慮し、適切な間隔を定め
る。また,コンクリートパネルのコネクティブの位置は,コンクリートパネルの種別によって規格値
として定められており,このため i 段目のストリップの水平間隔Bi は定まった値しかとれない。こ
れを計算上の間隔Bi と呼び,表-5.1 に示す値を用いてH を一定として換算する方法がある。
表-5.1 計算上のH,B
(単位:m)
スキンの種別
コンクリートパネル
ΔH
0.6
1.35
ΔB
0.9
0.675
5.2.2 スーパーテールアルメ自体の安定性の検討(外的安定検討)
スーパーテールアルメ自体の安定性については,スーパーテールアルメの補強領域を一つの土工構造
物とみなし,この土工構造物に作用する外力に対して安定であるとともに,変位が許容変位以下であ
ることを照査・検討する。
スーパーテールアルメ自体の安定性の検討(外的安定検討)については、『補強土(テールアルメ)
壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
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5.2.3 スーパーテールアルメを含む全体安定の検討
スーパーテールアルメ及び基礎地盤を含む全体としての安定性は,スーパーテールアルメ及び基礎地
盤を含む地盤全体のすべり破壊や基礎地盤の沈下,液状化に対して安定していることを検討する。
スーパーテールアルメを含む全体安定の検討については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・
施工マニュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
基礎地盤が軟弱な粘土層を含む場合には,必要に応じて圧密沈下に関する検討を行う。基礎地盤の
不同沈下によって,壁面の変状が許容される限界は,表-5.1 のとおりである。
表-5.2 壁面の変形量の目安
壁面材の種類
図-5.1 に示す tanの値
コンクリートパネル
1.0/100
図-5.1 壁面の不同沈下の模式図
5.3 耐久性
スーパーテールアルメの設計に当たっては,経年劣化に対して十分な耐久性が保持できるように配慮
しなければならない。
耐久性については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準じ
るものとする。
5.4 基礎の検討
壁面の基礎は,基礎地盤やコンクリートパネルの種類,荷重条件等に応じて適切な基礎形式を選定
する。また,基礎地盤は有害な沈下や変形等が起きないよう適切な措置を行うとともに,基礎の根入
れ深さは,将来予想される地盤の洗掘や掘削の影響を考慮して,適切に確保する。
基礎の検討については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に
準じるものとする。
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5.6 構造細目及び付帯する構造
5.6.1 ストリップの配置
(2) ストリップの最大間隔
スーパーテールアルメの上段付近は,一般に土圧が小さいので,ストリップの応力度のみをみれば,
その水平間隔は,かなり広くてもよいことになる。しかし,現在までの実施例や,これにともなう設
計・施工上の経験等から,表 5.3 に示す値を水平間隔及び鉛直間隔の最大間隔としている。
表-5.3 ストリップの最大間隔 (単位:m)
スキン種別
コンクリートパネル
鉛直間隔 Hsd
0.6
水平間隔 Bsd
1.35
5.6.2 平面形状
(2)壁面が局面となる場合
スーパーテールアルメは空積みであり,隣り合うコンクリートパネルとは,15~20mm の空目地
となっているので,その壁面は,かなり小さい曲線半径の曲面を形成することができる。このとき,
曲線半径とは,コンクリートパネル 1 枚ごとに,若干の角度をもたせて設置することによって得ら
れる壁面表側の多角形の外接円半径をいう。コンクリートパネルとしたときの曲線半径は、表-5.4
に示すところを目安とする。
表-5.4 壁面材の種類に応じた壁面の最小曲線半径 (単位:m)
壁面材の種類
コンクリートパネル
壁
状 態
高
H≦9m
H>9m
内 曲 り
30
40
外 曲 り
20
30
6.施 工
6.1 施工一般
6.1.1 施工の基本方針
スーパーテールアルメの施工にあたっては,設計で前提とした施工の条件に従うものとし,十分な
品質と安全の確保に努める。また,施工計画策定にあたっては,設計目的を満足し,安全確実な施工
ができるよう前もって施工計画を作成する。
(1) 施工の基本
施工にあたっての記載なき項目については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュ
アル第4回改訂版』に準じるものとする。尚,同マニュアル中に示された使用材料については,本
ガイドラインに示された「2.3.2 補強土(スーパーテールアルメ)壁の使用材料」に準じるものと
する。
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(2) 施工計画の策定
スーパーテールアルメの施工計画の策定については、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施
工マニュアル第4回改訂版』に準じる。
6.2 施工方法
6.2.1 施工手順
スーパーテールアルメの施工にあたっては,施工を円滑かつ確実なものとし,設計の目的を満足で
きるよう施工手順を定める。
スーパーテールアルメの施工は,設計に用いられた諸条件が満たされるよう細心の注意を払わな
ければならない。施工にあたっては,所要の性能を確保するよう,設計の前提とした施工条件が満
足できる施工方法を採用しなければならない。
スーパーテールアルメの施工にあたっては,施工を円滑かつ確実なものとし,設計の目的を満足
できるよう施工手順を定めておくものとする。スーパーテールアルメの施工は,盛土材料の選定か
ら試験盛土を含め,準備工,掘削・整地・基礎工,スーパーテールアルメの施工,付帯工などがあ
り,これらの流れを図-6.1,図-6.2 に示し,スーパーテールアルメの施工手順は,図-6.1 に示
す。
スーパーテールアルメの施工手順は,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第
4回改訂版』に準じる。
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準
備
測量,諸材料の搬入仮置きなど
工
盛土材料の選定
試験盛土工
掘削・整地・基礎工
伐開・除根
締
固
め
回
数
の
決
定
表土はぎ
掘削・整地
設計図書に
示された排水工
で十分か
NO
地下排水溝
排水ブランケット
等を検討
YES
基 礎
スキン組立て,ストリップ取り付け,
パネル組立て
補強土壁の施工
付 帯 工
工
盛土材料まき出し,敷ならし,締固め
笠石コンクリート工
上 載 盛 土 工
(のり面保護工を含む)
道路付帯設備工
(側溝,防護柵工など)
舗装その他
完
工
図-6.1 施工全体の流れ
パネル組立て
パネルの垂直度
すべてのパネルを
組み立てたか
図-6.2 スーパーテールアルメの施工の流れ
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敷
な
ら
し
厚
の
決
定
締
固
め
機
械
の
決
定
⑤
1 -3
1 -2
ストリップ
1 -1
⑧
⑦
⑥
④
③
②
図-6.3 スーパーテールアルメの施工手順の詳細
6.2.2 準備工
準備工は,工事の進捗,スーパーテールアルメの出来形等に支障をきたさないよう,工事の内容や
現場状況を適切に考慮し,着手する。
準備工は,本工事のための段取りとして,工事準備測量,施工機械の準備,部材の準備,諸材料
の組立てに必要な治具や道具の準備などを行うものであり,工事の進捗,出来形の良否に与える影
響が大きいので,十分検討して工事の内容に最も適応した方法を採用する。
準備工に関して記載なき項目については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュア
ル第4回改訂版』に準じるものとする。
(1) 工事準備のための測量
(2) 施工機械の選定
(3) 資材及び仮置き
1)盛土材料
2)ストリップ
3)コンクリートパネル
コンクリートパネルは,コネクティブが接触しないように所定の大きさの角材などで間隔を
あけ積み置きする。このとき,コンクリートパネルのフルサイズ 1 枚の重量がほぼ 2 トン程度あ
るので,5 枚を超えて積み置きしてはいけない。また,積み卸しは,水平に行い,4 点吊りまた
は,ナイロンスリングを用いて製品の積み卸しを行う場合は,2 本使用し製品を水平に保てるよ
うに留意し積み卸しを行ない,その際,DEHA アンカー位置を避けるように留意すること。
高さ 1.8mタイプパネルの積み卸しは,製品重量からコネクティブの変形が懸念されることから,
コネクティブを利用した積み下ろしは,ナイロンスリングまたは,避け別途設置した『吊用金具
等』を利用すること。
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仮置きに際して積み重ねる場合は,パネルに作用する応力を考慮し角材の配置を行う必要が
ある。(解図-6.4)
(a)コネクティブを利用する場合
(b)ナイロンスリングを利用する場合
(c)仮置きする場合の角材の配置例
図-6.4 積み卸しと仮置き
6.2.3 掘削および整地
掘削および整地は,設計図書に示された所定のストリップ長さが十部確保され,かつ敷均し,転圧
が十分に行える範囲まで行う。
掘削および整地については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂
版』に準じるものとする。
6.2.4 基礎工
(1)スーパーテールアルメの基礎地盤面および壁面工の基礎の施工は,要求性能を確保するため,
定められた施工手順と適切な施工管理に基づいて行う。
(2)基礎地盤を改良土や良質土に置き換える場合には,所要の支持力が得られるように入念な施
工を行う。
基礎工については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に
準じるものとする。
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6.2.5 パネルの組立て
パネルの組み立ては,パネルの種別に応じて,適切な施工手順と施工管理に基づいて施工する。
パネルの組立てにおいて記載なき事項については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工
マニュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
(1)コンクリートパネルの組み立て
1)組立て時の出来形の確認
2)パネルの組立て冶具
3)パネルの吊上げ
4)パネルの組立て
最下段のパネルは,あらかじめ基礎面に描いた墨だし線に合わせ仮置きを行なう。この時,調
整用のスペーサーをパネル1枚につき2箇所置いてください。その後,バールなどを用いて墨だ
し線にきちんと合わせます。
最下段パネルの組立ての良否は壁面の出来形に大きく影響するため,重要な作業である。
最下段のパネルは,設置後すぐに支柱をパネル 1 枚あたりに 2 本建て,安定を図る。また,最
下段のパネルだけは全数レベルによって高さを確認し,調整を必要とするパネルは,基礎に空モ
ルタルを敷いて高さを揃えておかなければならない。コンクリートパネルは空積みであり,水平
目地部分には,
規定の目地材だけを敷込んでいくので,最下段のパネルを設置するとき以外には,
高さ調整ができないことになるので,この作業は入念に行わなければならない。
最下段のパネルを設置する場合は,ただちにクランプと鉄パイプで壁前面から支柱を設け立て
なければならない。(図-6.5)。
図-6.5
最下段のパネルの支柱
最下段パネルの支保工
最下段以外のパネルについても,定規を用いて所定の目地間隔をとり,鉛直度,パネル相互のず
れがないことを確認のうえ,木製クランプで固定する。この際,鉛直度を調整し,それを保持する
ために,決められた箇所にくさびを必ず用いる。
組立てた状態でのパネルの目地は,あくまで背面土の挙動に追従し,パネル相互がせり合って損
傷がでないように工夫されたものであるので,組立て作業中は,できるだけ所定の間隔が保てるよ
うに,常に定規を用いて組立てなければならない。
最下段のパネルは,支柱で鉛直度の保持をするが,それ以外のパネルはすべて木製クランプとく
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さびで保持するので,くさびはパネル 1 枚につき 2 箇所程度用いる。くさびはパネルを建て込むと
きにはさむようにして用いる。(図-6.6)なお,パネルの鉛直目地部に使用するくさびは,次の
段のパネルを組立てる際に必ず撤去する。くさびを放置したままパネルを組立てると,パネルに破
損を生じる場合がある。
盛土材料の性質,締固め程度によっても差はあるが,くさびを調節してパネルを鉛直に対して
1%程度背面側へ傾斜させて設置すれば,完成時の鉛直度が確保されやすい。
コンクリートパネル
くさび
コネクティブ
拡 大 図
ストリップ
コンクリートパネル
クランプ
くさび
コンクリートパネル
ストリップ
コネクティブ
平面図
ストリップ
透水目地材
水平目地
透水目地材
縦目地
図-6.6 くさびとクランプのかけ方
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6.2.6 ストリップの取付け
ストリップは,設計に定める補強効果を発揮できるように,所定の形状,長さのものを定められた
位置,定められた連結方法に従って,水平にかつ弛みを生じないように設置する。また,パネルとス
トリップは,コネクティブにより確実に取り付け,ストリップにはゆるみが出ないように丁寧に設置
する。
ストリップの取付けは,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』
に準じるものとする。
6.2.7 盛土材料の敷均し,締固め
(1)盛土材料の敷均しは,所定の仕上がり厚さを確保するよう,適切な施工管理の下で実施する。
(2)盛土材料の締固めは,所要の締固め度を得られ,ストリップがその機能を十分に発揮できる
よう適切な施工管理の下で行う。
盛土材料の敷均し,締固めにおいて記載なき事項については,『補強土(テールアルメ)壁工法
設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準じるものとする。
(1) 盛土材料の敷均し
スーパーテールアルメにおけるまき出し,敷均し作業は,壁面の出来形に大きな影響を与えるこ
とから,山積みにまき出された盛土材料は,平滑に敷均し,その層厚の管理を確実に行う。
一層の敷均し厚は,所定の締固め度が確保でき,しかも締固め後の仕上り面がストリップの埋設
位置で正しい高さとなるよう表-6.1 を参考にして定めるとよい。スーパーテールアルメのストリ
ップの鉛直間隔(ΔH)は,4本取りの場合,通常 0.60m であるので,これを 2 層に分け,締固め
後の 1 層の仕上り厚さを 0.30m とすれば,通常の方法で所定の締固め度が確保できるので,その
層厚から判断して,敷均し厚さを決定する。なお,工事の規模や環境,施工性等を考慮して,大型
の建設機械を採用する場合には,所定の締固め度が確保できるように,一層の敷均し厚を,場合に
よっては試験施工等により適切に定める。盛土材料に大きな岩や木の根等が含まれる場合は,締固
め不足の原因にもなるため,敷均しの際に必ず除去する。
表-6.1 盛土材料の一層の敷均し厚
壁面材の種類
一層の敷均し厚
ストリップの
鉛直間隔
スーパーテールアルメ
0.30m
0.60m
(2) 盛土材料の締固め
(3) 両面補強土(スーパーテールアルメ)壁のまき出し,敷均し作業
幅員が広く,ストリップがラップしない場合は問題ないが,幅員がせまく,両方からのストリッ
プがラップする場合は注意が必要である。まず両方のストリップ取付け高から敷均し厚を決め,次
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にストリップがたるまないように建設機械を走行させる手順を検討する(図-6.7)。
1m
1m
スキン
スキン
(ストリップ
の鉛直間隔)
ΔH
図-6.7 両面補強土(スーパーテールアルメ)壁のまき出し,敷均し
6.2.8 付属施設の施工
付属施設の施工は,その影響がスーパーテールアルメ本体に及ばないように,付属施設の特性に応
じた施工方法および管理方法を選定し,施工する。
交通安全施設,交通管理施設,環境保全施設等の付属施設の施工にあたっては,用地条件,周辺
環境条件等を十分に考慮し,付属施設の特性に応じた施工方法および管理方法を選定し,施工を行
う。
スーパーテールアルメの仕上り面に縦断勾配がついている場合には,頂部に場所打ちの笠コンク
リートを設けることにより対処する。場所打ちの笠コンクリートについては,『補強土(テールア
ルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』の「5.6.3 付帯する構造」に準拠するものとす
る。
6.3 施工管理
6.3.1 施工管理の基本
スーパーテールアルメの施工管理は,設計図書,仕様書に示された盛土材料を用い,決められた工
期内に安全,円滑に施工し,安定かつ確実なスーパーテールアルメを構築するために,適切に管理を
行う。
施工管理の基本は,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』に準
じるものとする。
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6.3.2 出来形の確認
(1) パネルの組立てにあたっては,鉛直度が確保され,かつ所定の精度が得られるように管理する。
(2) スーパーテールアルメの出来形は,設計で定めた形状,寸法に施工されているか,あるいは完
成しているかどうかを出来形管理基準に基づき確認し,記録する。
出来形の確認については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』
に準じるものとする。
6.3.3 締固め管理
盛土材料の締固め管理は,締固め度によって管理することを標準とし,一般の場合は「JIS A 1210
(突き固めによる土の締固め試験方法)」の A,B 法による最大乾燥密度の 95% 以上,または C,D,
E 法による最大乾燥密度の 90% 以上を管理値とする。
締固め管理については,『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第4回改訂版』
に準じるものとする。
6.4 安全管理
スーパーテールアルメの安全管理は,工事に伴い発生する事故や労働災害を未然に防止できるよう
適切に安全管理を行い,施工者は安全性の確保に努める。
一般に建設工事における災害は,建設工事の施工に直接関係のない付近の住民や通行人に被害を
与え,あるいは住宅,公共施設などに損害を与える「公衆災害」と直接建設工事に携わる作業者が,
その業務に起因して負傷する「労働災害」との 2 種類に区分することができる。補強土(スーパー
テールアルメ)壁の施工にあたっては,工事に伴い発生する事故や労働災害を未然に防止できるよ
う適切に安全管理を行い,安全性の確保に努める。
ここでは,労働災害防止の為のスーパーテールアルメに特有な作業,即ちコンクリートパネル建
込み時,場所打ち笠コンクリート施工時の安全を確保するための,使用治具,施設,方法について
述べる。
1) コンクリートパネル組立て時の安全管理
パネルの組立ては,段違いに 1 枚おきに組立てを行うため,図-6.8 に示すような作業時墜落防止
用の施設を講じる。
作業時墜落防止用施設の一例として図-6.8 のように鉄筋で製作した金具をコンクリートパネル
天端に填め込み鋼管パイプ(φ48.6 mm)と緊結する方法がある。
鋼管パイプは,作業時の安全手摺りの役割を果たし,盛土面より 0.75m 以上の高さを確保して取
付ける。
<取付け方法(順次盛替使用する)>
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図-6.8 のように取付けることにより,盛土面より手摺りまでの高さは,0.85m 以上確保できる。
さらに,パネル組立完了後,安全手摺を上段パネルに設置しなおす。以降も,同様に順次手摺を取
付けて,作業を進める。
図-6.8
金具の取付け方法の例
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2) 場所打ち笠コンクリート施工時の安全管理
パネル組立て時には,通常足場工を必要としない。しかし,スーパーテールアルメの仕上げ面に
縦断勾配がついている場合は,頂部に場所打ち笠コンクリートを設ける場合が多く,その際は高所
作業となるため,足場工が必要となる。笠コンクリートの施工は,『補強土(テールアルメ)壁工
法設計・施工マニュアル第4回改訂版』の「5.6.3 付帯する構造」にしたがって行われるが,施工
に際しては,適切な施工計画と作業者への徹底,併せて十分な安全対策を講ずる必要がある。
足場工として,図-6.9 に示したように,事前にコンクリートパネルに,塩ビ管(φ30mm 程度)に
より箱抜きした穴や目地部分に,コンクリートパネル組立て治具に使用したクランプの長ボルトを
通し,等辺山形鋼等で製作したブラケットと緊結する方法などがある。頂部施工完了後,足場工を
体する際は,安全に充分留意する。
図-6.9
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足場工取付け工の例
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