■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【スペシャルレポート】 『Globalな通貨安競争の中、豪ドル円に注目』 株式会社CKキャピタル 代表取締役CEO西原 宏一(20 15年 2月 24日(水) ) ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <1.globalな金融緩和競争と通貨安戦争> 1月22日にECB(欧州中央銀行)がオープンエンドのQE(量的緩和)を開始するこ とを決定。これを受けてユーロに加盟していない欧州諸国をはじめ、各国が利下げ競争と なっている。 その結果、主要国の中で、通常の金利の付く通貨は数えるほどしかなくなってきた。 これは歴史的にも異例なことで、世界のマネーは金利に飢えて、金融政策の正常化に向か いつつある米ドルに向かいやすい。 <2.米ドルの一人勝ちは続くか?> 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、2009年から実施してき た金融緩和(QE1、QE2、QE3)を終えて、今年は利上げに動くというのがコンセ ンサス。世界的にマイナス金利を導入する国が珍しくない状況下、金利が正常化にむかっ ている米ドルに世界のマネーが向かいやすく、昨年後半から年明けにかけてはドルが全面 高の展開となってきた。 しかし、通貨高はそれだけで金利引き上げに相当する経済の抑制効果があるうえ、輸出 にも不利益となる。米ドルの全面高をどこまで米国が容認するのかが為替市場の大きな注 目点。 特に2月18日に公表された1月27日~28日に開催されたFOMCの議事録では、 金利引き上げに対して慎重な姿勢を示しており、ドル買いは一服せざるを得ない状況とな っている。ただ、このFOMC後である2月6日に発表された1月の米国雇用統計は十分 に強いものであった。このためは2月24日と25日に行われる米国議会上院と下院での イエレンFRB議長の証言が注目され、ここでの議長の発言によっては再びドルが買われ る動きとなる可能性もある。(本稿執筆時は2月24日) <3.マイナス金利vs金利正常化通貨> 前述のようにECBがQE(量的緩和)を開始することにより、欧州各国は債券の金利 がマイナスとなってきている。 こうした中で、まともに金利が付く、正常な金融政策をとっているのは、主要国では、 オーストラリア、ニュージーランドあたり。 特にオーストラリアは、1月に政策金利を0.25%引き下げて、2.25%としており、 さらにもう一回の利下げの可能性が考慮されているが、仮にもう一度利下げを実施しても 2%の金利が残る。欧州諸国がマイナス金利に沈み、米国もこれからやっと金利をつけよ うという段階において、仮にもう一度下げても2%の金利がつく豪ドルはイールドハント という意味においては魅力的な通貨といえよう。 現在世界経済を牽引しているのが米国。そのため為替市場ではドル高が進行中。 そのため豪ドルは対ドル(AUD/US D)では、上値が重い可能性も残るが、対円(AUD /JPY) では、円は売られるため大きくは下げず、豪ドル金利に注目すれば買われる可能性の方が 高いと考えられる。 加えて、先日発表されたように日本郵政によるオーストラリアの物流最大手企業トー ル・ホールディングスの買収は、円売り豪ドル買いとなり、豪ドル円の上昇のバイアスと なる。 一方、他のクロス円の組み合わせを考えると、まずユーロ円はユーロ売りと円売りで動 きにくい。次にポンド円は、ポンドが買われれば上昇余地があるが、ポンド買いとなる理 由も弱く、取引候補としては考えてもまだ積極的な位置に置きたくない。またカナダも利 下げに動いているし、キウイ(ニュージーランド)は経済が小さい上、キウイ円(NZD/ JPY) の市場規模が小さく、流動性の点でも豪ドルが選好されやすい。 <4.豪ドル円の押し目買い> 前述のように中期では豪ドル円のロングに妙味がありそうだが、豪ドルの金利に惹かれつ つも、今後 RB A (豪州中銀)が利下げする可能性があることを考えると、高値を買い上げる ほどの積極性は持てない。しかし、89円~90円付近の押し目を待って慎重に買うので あれば、動きにくくなっている相場の中ではチャンスのある通貨ペアと思える。 豪ドル円の動きを見ると、昨年11月21日に102円824の高値をつけており、こ の高値への上昇の動きは、10月31日に実施された日銀の追加緩和による円売りの動き であることが明らか。その後は RBAの利下げ懸念などで下げて2月3日には89円354 まで下げてから、現在は少し戻している。 2月3日の安値からの動きは、安値を徐々に切り上げつつ、高値も更新して上昇しやす い動き。102円台の高値と2月3日の安値でフィボナッチ・リトレースメントすると、 38.2%は94.50となり、当面はここが上昇の目標値と考えられるが、ここを上抜け ると、61.8%の97円678が目標となりそう。
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