資料:東京都の地域包括ケアに必要な電子カルテ・介護システムを結ぶ

東京都の地域包括ケアに必要な電子カルテ・介護システムを結ぶネット
ワークについて
東京都医師会は、2025年問題を見据え、都民が可能な限り住み慣れた地域で自分らし
い暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムを実現するた
めの病院-病院間、病院-診療所間、そして在宅医療に係る多職種を結ぶネットワークの構
築を計画しております。ネットワークの構築にあたっては、病院-病院間、病院-診療所間
の 連携ではセキュリティ等を重視した堅固なネットワークを、在宅医療に係る多職種間
連携では情報伝達速度や簡便なアクセス性を重視したSNSの仕組みを利用したネットワー
クを使用することを考えています(図1)。
しかし、病院-病院間を結ぶ医療情報連携においては、基幹となるべき大病院が都内に
数 多く存在し、既に各自で完結したネットワークを作っていることや、システムのベンダー
が 異なると相互接続が困難になることが普及を妨げる大きな原因となっていました。
そこで、本会では「地域医療連携システム構築検討委員会(林宏光委員長)」を設置し
て検討を行い、本年7月に尾
会長に答申を行いました。この答申の中で、医療連携のた
めの規格 SS-MIX2 の発展型である IHE 規格による「データセンター間接続」を用いて富
士通の地域医療連携システム「Human Bridge」と NECの地域医療連携システム「IDLink」を結び、患者の頭書き情報を病院相互でアナログ的に確認しあえば、相互の電子カ
ルテ間で医療情報の継ぎ目のない表示が可能となることを報告しました(図2)。
この方式を実現するにあたり、「ID-Link」には大きな問題はありませんでしたが、
「Human Bridge」には当初「連携サーバを個別病院ごとに設置が必要」(図2におけるC
病院・D病院に相当)という条件がありました。しかし、富士通側の努力で複数の病院の
連携情報を受け入れるデータセンターが準備され、「Human Bridge」の最低限のバージョ
ンアップを行えば対応できるようになりました(図2におけるA病院・B病院に相当)。こ
のネットワーク には上記2社以外の参入を妨げるものではなく、前述の「IHE規格による
データセンター間接続」を受け入れるシステムであれば問題なく接続できるものです。
この答申に基づき東京都医師会では東京都へ事業計画について提言を行っておりました
が、来年度の補助事業において、すでに地域医療連携 システムが導入済みの医療機関であっ
ても、このデータセンターへの接続機能を実現するためのバージョンアップについて補助
対象となる予定です。この補助金事業は、明年1月に募集が始まります。
図1:東京都の地域包括ケアに必要な電子カルテ・介護システムを結ぶネットワーク
図2:各病院の電子カルテシステムを IHE 規格で繋ぐネットワークのイメージ
(平成 27 年 7 月「地域医療連携システム構築検討委員会答申」8 ページより)