中上級の学習者にとって、状況説明は大きな挑戦であり獲得しなければ

生教材の叙述に「起承転結」を取り入れる効果
小沢和子 Wellesley College
中上級の学習者にとって、状況説明は大きな挑戦であり獲得しなければなら
ない技能である。私は、日本語指導には教科書以外に、ビデオ、CM、小説、
Youtube 等の併用が学習者の興味と意欲を高め、効果的であると信じ、様々な機
会に活用してきた。生教材を使っての「 状況の説明、物語の叙述」については
今回は「起承転結」の手法を加えた。結果、以前よりも学習者の叙述技能に向上
が見られたので実例と併せて報告したい。
報告は、学習者にアニメの場面や小説の内容を、第三者に話す(叙述する)手
順である。
1.「起承転結」の典型例である4コマ漫画「サザエさん」を使い、
起(introduction) 承(development) 転(turn) 結(conclusion)の手法で状況説明
を練習。
2.アニメ「思い出ぽろぽろ」のエピソードを、4場面の静止画像を見ながら
「起承転結」の手法で短く話したり書いたりする。
この際、平行して学習している文法パターンをいくつか 中に入れること、
接続語の使用を指示。
3.「蜘蛛の糸」の話を「起承転結」の手法で約10分間相手に話して聞かせる。
ビデオの状況説明は写真を見ただけより、起承転結の手法を入れて話した方が
より論理的になり効果的。「蜘蛛の糸」の独り語りは、学習者が口調に工夫をこ
らし、生き生きと長く話続けられた。
状況説明は日本語の母国者でも慣れていなければ難しい。「起」で人物紹介と
場面説明、「承」で起きた事を説明、「転」でその発展を述べ、「結」でどう落
ち着いたかを話す。この手順で、叙述が論理的にまとまる。また叙述の際はヒン
トになる絵の使用が「鍵」である。欧米社会では馴染みがない「起承転結」だが、
この手法は生教材の叙述の際に非常に役立った。