IM室より 「起承転結」など文章構成についての雑感 インキュベーションマネージャー 吉田 建彦 vol.2 起 承 文章構成には“起承転結が良い”としばしば言われ る。「起承転結」の定義を広辞苑(※1)で引くと ①漢詩の句、特に絶句の配列の名称、第一の起 句で詩思を提起し、第二の承句で起句を承 け、第三の転句で詩意を一転し、第四の結句 で全詩意を総合する ②転じて、物事の順序と定義されている。 「起承転結」はもともと漢詩の構成を意味し、実際 唐代の漢詩などはこの構成によるものが多い。 江戸時代の漢学者 頼山陽(らいさんよう)は弟子 達が「起承転結」の意味をなかなか理解しないので 業を煮やし、次の戯句(ざれく)を作って見せたと いわれる。 京の五条の糸屋の娘 姉は十九で妹は十七 諸国諸大名は弓矢で殺し 糸屋の娘は目で殺す 年頃の娘さんにキッと流し目をおくられると、ドキ ドキした経験は男性諸氏に多いかもしれない。 転 「起承転結」のもう一つの定義・・物事の順序・・ は、文章構成としてしばしば採り上げられる。 文章構成を示したある本(※2)では「起承転結」の 文章の一例を挙げている。 起:真夏にカゼを引きました 承:冷房をつけたまま寝たからです 転:今年の夏は異常です 結:猛暑もカゼも秋まで長引きました 我々仕事人は報告書や申請書、案内文のために文章 を作ることが多く、「起承転結」を使うことはある し、積極的に勧める人も少なくない。しかし詩歌や 文学と異なり、論文などに「起承転結」を適用する ことには批判も多い。 その理由は「起承転結」のうち「転」は論理的文章 では唐突であり、「起承結」であるべきだというも のである。 あるいは論文などで「起承転結」を構成したい場合 は、「転」を“別の視点からの検討”と解釈して使 うなら論理構成上おかしくないと主張する人もいる。 *編集ノート* 前号より始まりました新コーナー『和地山日和(わじやま びよ り)』。ここHI-Cubeは、“和地山”という地名の、緑溢れる公 園や静岡大学と隣接した文教地区にあり、晴れた日はとても気持 結 文章構成のあるべき姿についてはいろいろな意見 がある。 ①三段論法・・演繹的推理法として知られ、大前 提、小前提、結論からなる。広辞苑の例は 大前提:植物は生物なり 小前提:松は植物なり 結論:故に松は生物なり ②5W1Hの手法・・特にイベントの案内状や提案 などに用いられる。 誰が(who)、何を(what)、いつ(when)、 どこで(where)、何のために(why)、どのよ うに(how)を明示 する。 ③序論・主論・結論の手法・・学術論文などでも 用いられる場合が多い。 序論で問題を提起し、必要な場合は自分の 主張を述べ、本論で主張を検証し反対意見 を論破し、結論で主張をまとめて強調する。 上述の「起承結」に近い。 報告書や申請書などの文章はさまざまな構成が提 唱されており、「起承転結」はその一つである。 とまれ他人に読んでもらう文章作成の要点は、第 三者が読んで理解しやすく、かつ納得できる書き 方であるべきだということであろう。それには Simlpe is the Bestと考えて、できるだけ要点を絞 った文章とする。ダラダラした文章は良くないこ とを上記の文章構成法は示しており、箇条書きに するだけで引きしまる場合が少なくない。その上 で、論理の飛躍や、むつかしい専門用語の羅列、 主張したいことが不明確、細目にこだわりすぎ、 などはあってはならないと言える。また技術系の 文章では、文章構成のなかにグラフ、写真、図、 表などを散りばめて、読む人の理解を増す配慮が 必要である。 <出展> ※1 新村 出編「広辞苑」岩波書店 1969年版 ※2 高橋俊一著「文章がかける」すばる舎 2012年版 ちの良い陽気であることから名づけました。 季節の移り変わりや風を感じ、時に萌ゆるような緑に心癒される この環境から、新たな閃きやイノベーションが生まれるのでは・ ・・そんな予感がします。この先、秋の深まりが愉しみです。 【 編 集 者 ・ 発 行 人】 中 小 機 構 関 東 (独 立 行 政法 人 中 小 企 業 基盤 整 備 機 構 関 東 本 部 ) 平成26年9月発行 浜 松 イ ノベ ー シ ョ ンキ ュ ー ブ ( HI - Cu be ) I M 室 〒432-8003 静岡県浜松市中区和地山3-1-7 〔TEL〕 053-478-0141 〔FAX〕 053-473-7221 〔E-Mail〕 [email protected] ハイキューブ Click! URL http://www.smrj.go.jp/incubation/hi-cube/ 6
© Copyright 2024 ExpyDoc