こちら。

第11章
関わりの中で成熟する
Question 11‐1(11章のテーマ)
• かつて,40歳は「不惑」,「四十にして惑わず」とい
われたが,青年期や成人初期に感じた揺らぎはな
くなるのだろうか。人生後半も発達するのだろうか。
Question 11‐2
• 人々は,職業生活では,どのような発達が認めら
れるのだろうか。また,成人中期には,どのような
課題に向き合うのだろうか。
親としての発達
「授かる子ども」から「つくる子ども」
へ
• かつての少子現象
• 多くの子どもが幼くして死んだ、多産多死
• 子どもの命は、人間や親の力や意思を超えたものの手
にあった“授かる”もの
• 現代の少子現象
• 乳幼児死亡率の低下と受胎調節の普及
• 子どもは、人間、親が“つくる”ものへ
• 子どもの数の理想
• 約半数が3人、ついで2人、平均2.6人
• 現実に夫婦がもつ子ども数は平均2.2人…理想をつね
に下回る
第1子が3歳未満の子どもの母親で専業主婦の者を対象とした面接調査
(徳田, 2002)
子どもという存在と共に
過ごすことによって得ら
れる時間や愛情
家族
母親としての自分
獲得
喪失
自分の時間
出産前の友人関係
働いていたはずの自分
• 母親であれば、育児に専念することが第
一である。
• わが子のためなら.自分を犠牲にするこ
とができるのが母親である。
• 子どもを産む母親だからこそ、子育ては
何にもさしおいて母親が行うべきことであ
る。
• 子どものためなら、たいていのことは我
慢できるのが母親である,
• 母親の愛情ほどに偉大で、気高く無条件
なものはない。
子育ての卒業と夫婦関係の見直し
• 空の素症候群
• 母子が密着している場合,子どもが自立することで,母
親は空虚感や役割の喪失感を感じる
• 熟年離婚の増加
• 同居期間20年以上に及ぶ夫婦の離婚件数
• 1970年…5,072件
• 2007年…40,353件
• (厚生労働省大臣官房統計情報部, 2009)
• 子どもの巣立ちが、それまで直面していなかった夫婦
関係の問題へ向き合う契機となっている ?
老親の介護や看取り
• 老親扶養の意識変化
• 「当然の義務」「よい習慣」→「やむをえない」
• 介護ストレス
• 子育てが一段落した頃,介護問題が浮上することも多
い。
• 身体的・心理的・経済的負担
• 時間的な拘束感や人生の喪失感
• 介護・看取りによる成長
• 無理をせず,「できる範囲でやる」と気持ちを切り替える
「気分障害」の総患者数の推移
年齢別に見た自殺者数
「人生の正午」
午前
正午
私の人生、これでよかったの?
本当の私って何?
これからどう生きよう?
すごくがんばってきたけど…
これでよかったのかな?
午後
できなかったこと、してこなかっ
たこと、あきらめた夢、色々あ
るなあ…
中年期の危機
身体的・心理的老化
自分の限界の自覚
残された時間の限界
自分の人生
が発達的に増
大・成長する
方向から、
衰退・下降す
る方向へと転
換することを
自覚する
人生の目標の再吟味
自己への
向き合い
終わり
中立圏
始まり
新しい生き方の模索
何かが終わる時期
混乱や苦悩の時期
新しい始まりの時期
ブリッジズのトランジションモデル
(金井, 2002, p.76より)
Ⅰ.身体感覚の変化に伴う危機期
• 体力の衰え、体調の変化への気づき
• バイタリティの衰えの認識
↓
Ⅱ.自分の再吟味と再方向づけの模索期
• 自分の反省への問い直し
• 将来の再方向付けの試み
↓
Ⅲ.軌道修正・軌道転換期
• 将来へ向けての生活、価値観などの修正
• 自分と対象との関係の変化
↓
Ⅳ.アイデンティティ再確立期
• 自己安定感、肯定感の増大
中年期のアイデンティティ再体制化のプロセス
(岡本, 1985, p.33より抜粋)
ジェネレイショナル・ケア
• 「子育て」と「介護」は世代から世代へと受け継が
れていくケアの営み
• ライフサイクルは個人の中で完結するものではなく,世
代から世代へと継続していく大きなサイクル
• 世代と世代が歯車のように噛み合い,世代交代によっ
てリニューアルされる
• ケア
• 気遣い,配慮,いたわり,育てる,世話,教育,介護,看
護など人が人に対して援助する多様な事象
• 成人中期
• ケアの担い手として,どのようなケアを引き受けるのか
という選択や労力の配分が問われる世代
ポイント
• □1 成人中期は,体力の衰えや,青年期までに苦成した
ものに危機を経験する人生の折り返し地点である。変化を
受けとめる「柔軟性」と,次世代を育成し,また自己の有限
性を受け入れる「世代性」が重要となる時期である。
• □2 子をもつこと・子育ての経験は,母親,父親ともに人
格的成長,価値観,そして夫婦関係に大きな変化をもたら
す。
• □3 ライフサイクルは個人で完結するものでなく,世代か
ら世代へとつながっていく。
• □4 成人中期は,仕事・子育て・介護をする/しないといっ
た選択が問われる世代であり,個人にとって「重要なことJ
が明確になる時期である。