ホタル事業

ホタル事業
成富兵庫茂安が嘉瀬川・石井樋に「象の鼻」
「天狗の鼻」などを設けて多布施川に分流さ
せ、佐賀城内や周辺の城下全体の飲料・生活用水として機能させたことは、佐賀ではよく
知られています。飲料水にも使うのだから、昔はごみなどを捨てることは固く禁じられて
おり、その結果清らかな水が流れ、ホタルもたくさん飛んでいました。
この多布施川にかつてのようにホタルを再生させようと東城内、西城内の両自治会が平
成20年8月、小城・源氏ボタル保存会の東島毅会長を招き、ホタルの飼育・再生に向け
た勉強会を開催。その2カ月後の11月には 金武医院南の小川を暫定の飼育場所に決め、
ホタル幼虫の餌になる川ニナを放流。東島会長や、使用済みカイロを使った水質浄化で成
果を上げていた佐賀大学の宮島徹教授らを招いて2回目の「ホタル再生勉強会」を実施す
るとともに、かつて佐賀藩の馬洗い場だった川岸の場所を幼虫を育てる「人工川」に決め
ました。
その年12月には「ホタル再生準備委員会」立ち上げ、県や市の協力を仰ぎながら本格
的準備に入り、川面から数メートル高い位置にある馬洗い場に電気で水をポンプアップ。
翌年2月にはその設備や許可を県にもらい県・市の担当者たちとともに人口川を造成、金
立園から幼虫100匹、3月にはさらに県・市から300匹の幼虫をもらい子どもたちが
放流。にぎやかなスタートを切り、新聞報道されました。
しかしその後は苦戦の連続。産卵がなかなか難しいうえに、せっかく産んでも幼虫がう
まく育ちません。小城だけでなく、神埼や金立などの先進地の指導者のみなさんに教えを
乞いました。その助言に従い、卵が無事に孵化するため、幼虫が元気に育つために水温が
15度を超えないよう、扇風機も導入しました。成虫がすごすためミズバショウやクレソ
ンなどを分けていただき、それを植え付けたり、金立などからは雌ボタルを分けもらいま
した。世話係を当番制にしてさまざまな努力や工夫を重ねてきましたが、結局は毎年奈良
県などの業者から毎年300匹ほどの幼虫を購入、育て放流していますがまだ10数匹が
飛び回る程度、なかなかそれ以上には増えません。
ついに東城内自治会だけの取り組みになってしまっていましたが、今年度から赤松校区
全体で取り組む事業に拡大、あらためて先駆者の東島・元小城源氏ボタル保存会長を校区
にお招きしてお話を伺い、事業の再スタートを切ります。域内の川は、地域の方の頑張り
で昔のようなきれいな流れになりました。あとはたくさんのホタルが舞い飛ぶ地域をめざ
し、校区の人々の力を結集して進んでいきます。