初めて自動の水冷方式を開発 − Walter 教授の水冷式 X 線管− さらにひときわ重要な進歩は、1899 年に Bernhard Walter 教授が水冷式対陰極を提案したことである。 この特許を取得した考え方が、大きな負荷に耐える X 線管球の基礎となった。 C.H.F Müller は即座にこの考えを導入した。Walter 教 授 か ら 物 理 学 的・技 術 的 な 助 言 を、AlbersSchönberg 教授から医療診断の面で刺激を受け、 国内でも国外でも非常に多くの支持を得ることがで きた。X 線管を開発して“Röntgenmüller”の名を 世界中に知らしめたのである(図 20) 。 C.H.F Müllerが2つの電子集収系を持つ X 線管 で英国レントゲン学会の金賞を受賞。 Walter 教 授の水 冷式 X 線管の成 功と高 画質の X 線管によって、C.H.F. Müller はすぐに世界 を リードする X 線管メーカーの 1 つとなった。 1901年に、英国レントゲン学会は X 線撮影および 透視に最適な特性を持つ X 線管を求めて、英国メー カーと外国メーカーのコンテストを開催した。テス トされた 28 個の X 線管のうち、C.H.F. Müller の X 線管が最高であると認められて金賞を授与された。 受賞した X 線管はロンドンの科学博物館に収められ ている。 審査員会は「価格は決め手となる要素ではなかっ たが、最高位に選ばれた X 線管は最も低価格の X 線管でもあった(図 22)」と強調した。 16 図20 Walter教授による最初の水冷式X線管(1898年) 図21 C.H.F. Müllerのレターとインボイスのレターヘッド レターヘッドは人目を引くデザインで、顧客に“X線 管専門メーカー”としてのC.H.F Müllerの成功と業績 を伝えている。実物にはMüller社の象徴である風車 マークの透かしが入っている。 図22 金賞を受賞したC.H.F. MüllerのX線管(1901年) 17 図23 特許番号113430、水冷式対陰極を持つX線管の特許申請書 18 図24 特許番号113430、水冷式陽極を持つX線管の付図 19
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