新製品情報 材料設計支援統合システム 新製品MedeA-UNCLEリリース MedeAは原子・分子レベルのシミュレーション技術を基に様々な材料の物性評価を行うための統合環境 です。MedeA環境に搭載された新製品で、クラスター展開法に基づいた計算を行うMedeA-UNCLEを紹介 します。ランダムに混合した物質の特性を、第一原理バンド計算法の精度を保ちながら効率よく計算するた めの洗練されたツールです。 ■ クラスター展開法 ■ 原子配置の多様性に対する困難 合金など、構成原子が不規則に配列した構造を3 次元 2. 第一原理バンド計算よるエネルギー評価には、信頼 性に定評がある MedeA-VASP を使用します。 3. MedeAではフローチャート機能を使い、計算内容を 周期境界モデルで表現するには、多くの困難を伴います。 フロー形式で構築し実行することができます。計算 小さなモデルでは多様な原子配置を表現するには程遠 の流れに対する直感的な理解を助けます。また、煩 く、現実離れしてしまいます。一方で、第一原理バンド計算 雑な入力を必要としません。 法などの精度が高い方法でエネルギー評価を行いたい場 合には、計算量の制約からモデルサイズは小さくならざる を得ません。そのジレンマを解消するためのアプローチと して、クラスター展開法 1)が提案されています。 ■ アプリケーション領域 MedeA-UNCLE は、多元系の合金や半導体などのバル ク系に限らず、合金表面やその表面への吸着の問題など、 様々な系に適用可能です。 ■ クラスター展開法 クラスター展開法では、系のエネルギーを格子点にお かれた原子間の結合様式 (クラスター)によって展開し、そ の総和で評価します。ある構造σのエネルギーは E(σ) =ΣF d F J F ∏( F σ) ■ 計算できる物性・特性 クラスター展開法で得られる構造・エネルギー情報を 基に、様々な物性・特性を推算することができます。 ●安定相の構造と基底状態ダイアグラム (図 1) ●空孔密度 と展開することができます。縮重 度d F を考慮したうえ ●溶解度 で、構造ごとに固有の値を取る相関関数 ∏F(σ)の係数J F ●混合エネルギー (Effective Cluster Interaction, ECI)を第一原理バンド計 算の結果にフィッティングし決定します。計算に用いるク ●相安定性の温度・濃度依存性 ●秩序・無秩序転移温度 ラスターは、少ないクラスターで早い収束が得られる組み 合わせを遺伝的アルゴリズムによって選別します。 フィッティングの結果得られたエネルギー値や ECI は、 大規模なモデルに対するモンテカルロ法に適用すること ができ、有限温度における原子配置とエネルギー状態の シミュレーションを行うことができます。 ■ MedeA-UNCLE2)の特長 ■ UNiversal CLuster Expansion MedeA-UNCLE ( UNiversal CLuster Expansion)は、 Müller、Hartらによって開発されたクラスター展開法の 図1 Cu-Au二元系における基底状態ダイアグラム ソフトウェアです。普遍的なソフトウェアであることを目 指し、様々な計算対象を取り扱えるようにするとともに、 ユーザーの入力をできる限り少なくすることで、パラメー ター依存性を低くすることに成功しました。 1)J. M. Sanchez, F. Ducastelle, and D. Gratias, Physica A 128, 334 (1984). 2)D. Lerch, O. Wieckhorst, G. L. W. Hart, R. W. Forcade and S. Müller, Model. Simul. Mater. Sci. Eng. 17, ■ MedeA環境との統合 055003 (2009). 1. クラスター展開法では ECI を評価するため、数多くの 第一原理バンド計算が必要になります。JobServer -TaskServer 機能を使うことで効率よく計算の投入・ 回収を行うことができます。 5
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