Application Note # ET-21 ターゲット有り、無し両方におけるUHR-Q

O
O
O
NH
Targeted/
untargeted Analysis
OMe
OH
OH
Fast LC separation
coupled to highresolution mass
spectrometry
OH
Verification/
Identification
Application Note # ET-21
ターゲット有り、無し両方におけるUHR-Q-TOF
メタボロミクス分析への挑戦
イントロダクション
実験
マイコバクテリアは自然に存在する生理活性物質の宝庫です。新
規医薬品のリード化合物として現在いくつかのマイコバクテリアの
代謝物が研究されています。しかしながら、マイコバクテリアは2次
代謝産物を産出する遺伝的能力とこれまでに調べられたその化
合物 [1,2]の数において際立った特徴を示します。通常の分析に
おいて同定された代謝物濃度は遺伝子情報から予測されるより
もはるかに低いです。そして遺伝的に優れたマイコバクテリアから
得られる新規二次的代謝物の発見がボトルネックになっていま
す。LCと結合した高分解能質量分析装置と統計データ解析によ
って”隠された”バクテリアの二次的代謝物 [3,4]が明らかにされま
した。
5種類の異株からなるMyxococcus xanthusを培養したものをサ
ンプルとしました。各種とも4種の複製を準備しました。4種の株
は異なる遺伝子 knockout (Mut.1 から Mut.4)を有し、DK1622
株をリファレンスとしました。評価とQCの目的で全ての抽出物を
プールしたものを作りました(各5μl)。試料はメタノールで10倍に
希釈され、注入されます。各試料n=2で注入しました。
Myxococcus xanthus抽出物はRP C18 カラム (50 x 2 mm,
1.7 μm)を装備した UltiMate 3000™ rapid separation liquid
chromatography system RSLC (Dionex).で分離しました。
分離条件を以下に示します。 流速:400 μL/min 移動相 (A) 水 + 0.1% HCOOH
(B) Acetonitrile + 0.1% HCOOH グラジエント 0 min
-1 min
B 1%
1min
- 10 min B 99%
10min - 12 min B 99%
12min - 12.5 min B 1%
12.5min - 14 min B 1%
ここで我々はmaXis ESI-UHR-Q-TOFによるマイコバクテリアの2
次的代謝物の分析例を紹介致します。この例で代謝物プロファイ
リング研究でしばしば遭遇する問題が解決可能になります。問題
は、高速、堅牢、高感度、高分解能、高精度、そして優れた再現性
を同時に満たす事です。ターゲットが有る無しにかかわらず、それ
ぞれの場合におけるESI-UHR-Q-TOF-MSを使用したメタボロミ
クス実験例について議論します。
広いダイナミクレンジで化合物が検出されています
図1:high resolution EICでトレースしたMyxococcus xanthus抽出物のベースピーククロマトグラムおよびMyxalamid Aの質量スペクトル
The achieved accuracy is independent of the acquisition speed
A
B
404.1814
3Hz
Myxochelin B
0.5 ppm; 6.0 mSigma; Res. 38647
3Hz
404.1814
0.4 ppm; 0.6 mSigma; Res. 38036
5Hz
5Hz
Cittilin A
404.1815
0.2 ppm; 0.8 mSigma; Res. 38383
10Hz
10Hz
Myxovirescin A
404.1813
0.8 ppm; 8.8 mSigma; Res. 39034
20Hz
20Hz
Myxalamid A
404.1816
Simulated isotope pattern C20H26N3O6
405.1849
1
2
3
4
5
6
7
406.1883
8
Time [min]
図2 A:代謝物の1mDa幅の抽出された高分解能イオンクロマトグラム。 B:Myxochelin Bの質量スペクトル、両データ取得速度は異なります。
404.0
404.5
405.0
405.5
406.0
406.5
407.0
m/z
明確なスクリニング結果の表示
A
B
Name
Formula
[M+H]+
m/z theo.
Error
[ppm]
mSigma
N
Cittilin A
C34H39N4O8
631.2762
0.34
6.07
19
DKxanthene 534
C29H35N4O6
535.2551
0.79
5.01
19
Myxalamid A
C26H42NO3
416.3159
0.26
4.46
19
Myxochelin B
C20H36N3O6
404.1816
0.47
3.49
19
Myxovirescin A
C35H62NO8
624.447
0.29
6.19
18
ESI-MS測定はmaXis UHR-Q-TOF-MS を使いポジティブオン
化モード、測定範囲 100-1200m/z、取得速度 3, 5, 10, 20Hzで
おこないました。 ターゲットスクリーニングは高分解能EIC traces(hrEIC、保持時間
、および S i g m a F i t™ を 経由した同 位体 パタ ーンで の評 価 を
TargetAnalysis™を利用し行いました。PCAを利用した統計解
析にはProfileAnalysisTM 2.0を用い評価しました。パラメータに
はFindMolecularFeatures (FMF) および advanced bucketing
(Bucket filter 75%; Pareto scaling).を使用しました。
結果
感度とダイナミックレンジ
マイコバクテリア抽出物は培地中成分および2次代謝物までの複
雑な成分の混合物となっています。高濃度のマトリックスでマスク
され、かつ低濃度で存在する代謝物を検出する為には広いダイナ
ミックレンジを有し、高感度な手法が必要になります。
図1はこの研究で使われたすべての抽出物から構成された品質
管理用試料(QCサンプル)のベースピーククロマトグラム(BPC)を
示します。
色つきのクロマトグラムはMyxococcus xanthus から抽出された
既知代謝物の高分解能イオンクロマトグラム(hrEIC)を示しま
す。Myxalamid Aの例で示すように、maXisの質量安定性により、
広範囲のダイナミクレンジで化合物が検出され特性評価されま
す。
図3: A:TargetAnalysis™ ターゲットスクリニングの結果 B:異なる2次代謝物に対する平均質量精度と
mSigma値に関するまとめ(N=サンプル数)
選択性、分解能、質量精度、データ取得速度
複雑な混合物のスクリーニングにおいて、選択性と取得速度がお
互い妥協しない事が重要です。精密質量、高分解能LC-MS測定
において選択性は、hrEICトレースを使い視覚化できます。図2A
は代謝物のデータを3Hzから20Hzで取得した1mD幅のhrEICトレ
ースです。ここで、基本的にEICトレースに変化ながない事がわか
ります。この様に完成された精度は取得速度とは独立している事
がわかります。
Myxochelin Bの質量スペクトルは図2Bに示します。質量精度、
分解能と同位体分布の質は取得速度によって影響を受けていま
せん。 mSigma-Value は同位体分布の実測と理論スペクトルの
一致度を示します。 mSigma-Valueが小さいほど 同位体のパタ
ーンマッチングがうまくいっている事を示します。
Targeted Analysis
サンプルの注入前後でプールされたQCサンプルをランダムに注
入しました。計19サンプルの結果です。
強度の異なる化合物の同定
A
PC 2
PC 2
Scores plot
Loadings plot
1.0
1.0
0.5
0.5
QC
0.0
0.0
Mut. 2
Mut. 2
Mut. 3
Mut. 4
DK1622
-0.5
-1.5
B
-0.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5 PC 1
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
1.0
1.5 PC 1
Bucket: 4.8min : 549.27m/z
Bucket: 7.5min : 416.32m/z
3.5
0.5
4
3.0
4
2.0
1.5
1.0
0
5
10
15
20
25
30
35
40 Analysis
Myxalamid A
Intensity x 10
Intensity x 10 5
3
2.5
2
1
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40 Analysis
DKxanthene-548
図4
A:M. xanthus 野生株 (DK 1622) と異なるノックアウト変異株ーのPCA分析ースコアとローデイングプロットPC1vsPC2
(説明変数分散43%) 文字は複製、QC、品質管理コントロール試料を示します。
B:選択されたローデイングのBucket statistics プロット (QC試料なし)はMyxalamid AとDKxanthen-548の代謝物の相
対産量を示しています。
既知の代謝物のスクリーニングには保持時間、精密質量、同位体
分布などの情報を利用したTargetAnalysisTMが用いられた。スク
リーニングの為の選択性はhrEIC tracesで行いました。
スクリーニングの結果は、TargetAnalysisに示しました。化合物
名、分子式、保持時間(RT)質量精度、mSigma fit値、ピーク面積
、強度、RTの誤差(図3A)などが一目で見ることが可能です。QC
試料の中で検出されたターゲット化合物の選択されたものに対し
平均質量精度とmSigma値を図3Bに示しました。この結果は装
置が長時間に渡り精密質量が安定である事を示しています。
ターゲットが無い場合のPCA分析
TargetAnalysisで使われたフルスキャンMSデータをターゲットを
指定しないプロファイリングに仕様が可能です。
代謝物の異なる生産パターンがあるかあるいは欠落した代謝物
がノックアウト変異によるものかを調べる為、異なるMyxococcus
xanthus 株のデータを主成分解析(PCA)で分析しました。統計解
析に先立ち重要なステップはFindMolecularFeatures(FMF)を使
用した化合物ピークの抽出とLC-MSでの包括的な化合物の検出
です。
全ての株に対するPCA分析は図4Aに示しました。異なる株はそ
れぞれのクラスターを作り、複製を作ったものは互いに近いところ
に集まっています。QC試料はPCAプロットの中央でクラスターを
作っており、装置の長時間の安定性とデータは再現的に発生して
いる事がわかります。ローデイングプロットからクラスタ形成に関
与している化合物を取り出す事ができます。図4Bは代謝物生産
に異なるパターンを示した2例を示します。化合物はMyxalamid
A、 DKxanthene-548と同定されました。ここで異種株間で強度
は異なっています。
同定
未知化合物の同定はメタボロミクスのワークフローのなかで最も
チャレンジングです。MSおよびMS/MSにおける真の同位体パ
ターンと質量精度によって代謝物の分子式候補が絞られます。
SmartFormula3D™ によるMyxalamid Aの同定例を示します。
プレカーサとプロダクトイオンの計算された組成式に基づき、候補
の数を絞ったり、フラグメントの帰属が可能です。
結論
メタボロミクスのワークフローで共通した問題はmaXis UHR-QTOFを結合したハイフェネテイングU-HPLC技術に代表されま
す。
メタボロミクスプロジェクトで必要とされるスループットは複雑な
試料を高速液体クロマトグラムによる分析時間の短縮によって
達成可能です。質量精度、分解能、忠実な同位体パターンの再
現および選択性(hrEIC-traces)はmaXiのデータ取得速度には
依存しない為(20Hzまで)、本装置はU-HPLCとの結合には最
適です。高分解能、精密質量LC-MSデータはターゲツトの有る
無しにかかわらず分析が可能になります。質量精度の広いダイ
ナミクレンジの為、ピーク強度の低いものから高いものまで同じ
データセットの中(同じ質量スペクトル内でさえ)で解析できます。
SmartFormula3DはMSとMS/MSの質量測定値と同位体パタ
ーン情報を組成解析の為に自動的に結合し利用しており、メタボ
ロミクスのなかで最も重要なチャレンジングな未知化合物の同定
を可能にしています。
SmartFormular3Dによる同定
図5:SmartFormula3D による Myxalamid A解析結果とMS/MSスペクトル(はめ込み図)
Keywords
Instrumentation & Software
Metabolomics
maXis UHR-TOF
Metabolic profiling
Dionex UltiMate 3000 RSLC
Principle Component Analysis
ProfileAnalysis 2.0
Small molecule identification
著者
Aiko Barsch1, Gabriela Zurek1, Daniel Krug², Niña Cortina2 ,
Rolf Müller²
(1) Bruker Daltonik GmbH, Bremen, Germany
(2) Helmholtz-Institute for Pharmaceutical Research
Saarland (HIPS) & Universität des Saarlandes,
66123 Saarbrücken, Germany
www.bruker-daltonics.jp
本製品は研究用です。診断用ではありません。
ブルカー・ダルトニクス株式会社
営業本部・テクニカルサポートセンター
〒221-0022
神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-9
TEL:045-440-0471
FAX:045-453-1827
大阪営業所
〒532-0004
大阪府大阪市淀川区西宮原1-8-29
テラサキ第2ビル2F
TEL:06-6396-8211
FAX:06-6396-1118
to change specifications without notice. © Bruker Daltonics 10-2010, ET-21, #272829
[1] Wenzel SC, Müller R (2009). Curr. Opin. Drug Disc.
Dev. 12 (2), 220-230
[2] Garcia RO, Krug D, Müller R (2009). Methods in Enzymology
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[3] Krug D, Zurek G, Revermann O, Vos M, Velicer GJ,
Müller R (2008). Appl. Environ. Microbiol. 74, 3058-3068
[4] Krug D, Zurek G, Schneider B, Garcia R, Müller R (2008).
Anal. Chim. Acta 624, 97-106
Bruker Daltonics is continually improving its products and reserves the right
文献