D.C.通信 海外だより 連載 50 中村岳志(JA全中農政部WTO・EPA対策課<在ワシントン>) July, 2015 アメリカ大統領選挙と TPP交渉との関係 人がどの候補に投票するかは予 想できるため、一般投票の結果 が確定した時点で次の大統領が 事実上決定する。 32 ここ最近、来年11月に実施 アイオワ州および北東部ニュー 各州には、その州の上下両院 される大統領選挙に向けた出馬 ハンプシャー州での戦いである。 議員の総議席数と同数の選挙人 表明が相次いでおり、いよいよ これらの緒戦は大きく報道され、 が割り当てられており 3 、ほと 各陣営が本腰を入れ始めた印象 その後の選挙戦に影響を与える んどの州では、一般投票で 1 位 を受ける。そこで今回は、大統 ので、候補者はまず 2 州での勝 になった候補が州の選挙人を総 領選挙の仕組みと、環太平洋連 利に向けて全力を注ぐ。 取りする仕組みになっている。 携協定(TPP)交渉との関係に もうひとつが、 「スーパー・ 選挙人は合計538人であり、 ついて取り上げたい。 チューズデー」と呼ばれる 2 月 過半数の270以上を得た候補が 下旬~ 3 月上旬の火曜日だ。こ 大統領に当選することになる。 ■大統領選挙の流れ の日には、多くの州で同時に党 全体のプロセスは大きく「候 員集会や予備選挙が実施される ■ TPP 交渉との関係 補者選定に向けた党内手続き」 ため、大勢を左右する日として 時間の経過につれ、選挙戦が と「本選挙」の 2 つに分かれる。 重要視されている(例えば2008 本格化していく。加えて、大統 党内手続き 年には、50州のうち民主党が 領選と同日に実施される上下両 大統領になるためには、まず 22州で、共和党が21州で実施) 。 院議員選挙に向けた動きも活発 党(民主・共和各党)を代表す これらを通じて州ごとに選出 化していくことになる。 る候補者となるための戦いを勝 された代議員は、 7 ~ 8 月の各 これに伴い、賛否が大きく分 ち抜かなければならない。 党全国大会で一堂に会して投票 かれる TPP に関する政治的な判 党を代表する候補者は、一般 2 し 、党の候補者を指名する。 断を行うことは難しくなってい 党員の代表となる「代議員」が、 本選挙(一般選挙) くことから、オバマ政権として 各党の全国大会において投票し 各党全国大会で指名された候 は早期決着を目指して交渉を急 て決める。この代議員を決める 補は、11月の一般選挙に臨む。 いでいる。 のが、州ごとに行われる党員集 ここでは、まず有権者が「大 会や予備選挙である 1 。 統領選挙人」を選出し、選挙人 これらは通常 1 ~ 6 月にかけ が大統領を選出するという間接 て州ごとに順次行われていくが、 選挙の方式がとられている。し 重要なタイミングが 2 つある。 たがって、選ばれるのはあくま まずは皮切りとなる、中西部 で「選挙人」であるが、各選挙 月刊 JA 2015/07 1:州ごとによって形式は異なる。 2:民主党では、州代表の代議員に加 え、党役員や上下両院議員などか ら構成される特別代議員も投票に 参加する。 3:上下両院議員を選出することのな いコロンビア特別区にも選挙人が 割り当てられている。
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