ロシア市場における「青森県産食品」のマーケティングミックスを考える -2回目の市場調査から得られた諸発見数納祥平(株式会社マクロミル) Keyword: 地域経済の活性化、ロシア市場開拓、マーケティングミックス 【本稿の目的】 しかし、前回調査では、 「日本産食品」というかなり抽象 地域経済活性化の方法論は数多くあるが、最も望ましい 的なレベルでの聴取に限定されたため、実際の中小企業の ものの1つは、地域の優れた商品・サービスを地域外(県 担当者の「何の商品をどのように売ればよいのか?」の判 外、海外)へ提供することにより、外貨を地域に落とすこ 断に資するほど具体的なものではなかった。 とである。そして、そのような産業を地域の産学官が連携 して支え、雇用を拡大できる体制を作ることである。 本研究は、 そのような見地に立った上で、 「青森県産食品」 をロシアに輸出することを目的として行われた、2 回目の 今回の調査ではこの点も考慮して、具体的な商品カテゴ のマーケティングミックス(Product/Place/Promotion /Price)についての方向性が示されるような情報提供を目 指して実施された。 市場調査から得られた諸発見を報告するものである。 【データ収集の方法】 地域の中小企業への、消費者に関するデータの提供 調査方法 国際貿易において、海外市場への商品輸出を試みる場合 データは、インターネットを通じたアンケート調査に には、 「相手国の市場実態」と「そこに住む消費者達の嗜好 よって収集された。数ある調査手法から、インターネッ (1) や購買行動」を知る必要がある 。それは、地域の中小企 業がロシア市場への参入を試みる場合でも同様である。 「ロシア市場の実態」に関しては、 「官製マクロ経済デー (2) タ」を分析すれば比較的容易に把握できる 。一方で、ロ シア人消費者達の嗜好や購買行動に関して知ることは容易 ト調査を選択した理由は、①広大な国土を持つロシア各 地から、比較的に低コストでサンプルを確保できる点、 ②ロシア人のインターネット調査に対する回答精度が、 例えば中国でインターネット調査をした際の回答データ などと比べて非常に高い点、などである。 (3) ではない。既存データは十分ではないため 、やはり、直 接ロシア人消費者からデータを収集する試みが必要となる。 標本集団(サンプル)と選択基準 これについて丹野(2011)は、日ロ間交易を論じる際に 調査対象は、広くロシア全域の消費者としつつも、今 使用されているデータが「官製マクロ経済データ」が中心 回の調査が、日本産食品のマーケティングミックスを明 であり、交易現場の判断に資するような「ロシア人消費者 らかにするためになされるという観点から、日本産食品 の嗜好」や「物流現場の過程やその詳細」などの、 「中規模 を購入する可能性が高い人に限定された。具体的には、 なデータ」が不足していることが、無視できない問題の1 日本産食品への購買意向を示した人で、中流層以上にあ (4) つであるであると指摘している 。 たる世帯月収25,000ル-ブル以上である人に限定をした。 本研究は、そのような「中規模なデータ」を、地域に中 小企業に提供することも目的の1つとしている。 回収サンプルの構成(n=343) 上記条件に該当する 343 人の回答データを収集。サン 前回調査で明らかになったこと、残された課題 プル構成については、性年代別にできる限り均等になる 前回調査(数納・丹野、2013)では、ロシア市場におけ (5) よう努めた。これは、男女間および年代間における、消 る日本産食品の大まかなポジショニングが判明した 。具 費行動の差異も分析することを意図したものである。さ 体的には、①他国産と比べても好意度や購入意向度は高評 Table1. サンプルの内訳(n=343) 価であり、②「高価格で高品質な」商品群として認識され ていること、③「健康的でナチュラルな」イメージが強く、 ロシア全域 (極東ロシアを除く) それが、ロシア人消費者が重視する「安全性・健康的」と マッチすること、などが判明した。 極東ロシア 男性 女性 合計 18-29歳 30-39歳 40-49歳 50歳以上 26 27 27 28 29 28 28 30 55 55 55 58 合計 108 115 223 18-29歳 30-39歳 40-49歳 50歳以上 14 16 13 14 22 19 14 8 146 145 137 138 合計 男性 女性 合計 57 63 120 らに、青森県産品の輸出先として考慮されるであろう、 Table3. ロシアでの日本産食品の購入状況 最近1ヶ月以内に買った それ以前だが、これまでに買ったことがある 売っているのを見たことがない 「極東エリア」でも一定数のサンプル確保を試みた。 最近半年以内に買った 売っているのを見たことがあるが、買ったことは無い n= サンプルの確保に成功した。このような、細かい回収サ (醤油、味噌、酢、 はの利便性であろう。 以下では、調査結果の中から、マーケティングミック (343) 46.9 個 別 商 品 米 (343) 28.6 21.9 14.3 19.2 9.9 17.2 69.1 83.4 50.4 69.7 51.3 64.4 25.7 41.4 24.2 37.0 57.1 70.6 25.7 39.9 29.4 39.9 21.6 39.7 21.6 34.1 13.1 13.1 水産物 (魚、貝類、海藻類 (343) 30.6 20.7 13.1 17.5 18.1 など) 生鮮果物 (343) 12.5 13.1 生鮮野菜 (343) チューブいりわさ び (343) りんご (343) タルタルソース (343) 日本酒 (343) 8.7 12.8 ミネラルウォーター (343) 8.7 12.8 11.1 13.1 15.7 12.8 15.2 12.0 46.4 21.6 13.7 14.9 43.4 16.6 35.6 14.3 14.6 13.4 12.0 10.5 11.1 48.1 23.3 18.1 12.5 18.4 36.7 31.2 22.4 29.2 43.4 ※最近半年以内に購入計(TOP2):「最近1ヶ月以内に買った」~「最近半年以内に買った」までの合計スコア ※購入経験あり計(TOP3):「最近1ヶ月以内に買った」~「それ以前だが、これまでに買ったことがある」までの合計スコア ※購入経験あり計(TOP3)でカテゴリーごとに降順ソート ス(Product/Place/Promotion/Price)に関する示唆 が得られた結果の要旨を叙述する。 22.2 ドレッシングなど) 食 品 カ テ ゴ リ ー ンプル数のコントロールは、インターネット調査ならで 【データ分析から明らかになったこと】 購入経験 あり計 (TOP3) 調味料 回収されたサンプル構成は Table1 の通り。ほぼ均等な サンプルが回収され、また、 「極東エリア」単独でも 120 (%) 最近半年 以内に購 入計 (TOP2) 次いで、商品カテゴリー・個別商品ごとに、購入理由 をみてみる。ここでは、 「調味料」 「米」 「りんご」の購入 どんな商品が売れそうか?(Product:商品) 理由の上位を Table4 にまとめられた。 まず、現在ロシア市場で売れている日本産食品と、そ まず「調味料」については、 「おいしさ」はもとより、 の理由を調べてみた。前回調査では、 「日本産食品」への 「この国の商品にしかない味」が上位に挙げられており、 イメージと、ロシア人消費者のニーズがマッチしている 醸造商品を含む、他国が真似できない日本独自の味が、 ことも明らかにしたが、ロシア人消費者の嗜好や購買行 大きな差別化要因となっていることがうかがえる。 「わさ 動が未知であることを考えれば、日本人の予想を裏切る び」はその典型例であろう。 結果が出ないとも限らないため、率直にその理由を聴取 してみた。 回答者には Table2 の 5 つの食品カテゴリー、および、 「米」については、 「おいしさ」 「見た目のよさ」 「高級 品」などが上位に挙がっており、日本米ブランドへの高 評価が、大きな購入理由となっているようである。加え 5 つの個別商品について評価してもらった。これらは、 て、 「有機栽培」 「有毒物質がない」なども重要な理由の JETRO 等が公表している輸出データなども参照しつつ、よ 1つとなっており、アピールポイントとなりそうである。 り実購買が盛んと思われるものを中心に選別された。 Table2. 回答者に呈示した画像素材 「りんご」については、 「見た目のよさ」 「おいしさ」 という品質への評価に加え、 「有機栽培」 「農薬が少ない」 などの安全面が上位に挙げられている。さらには、 「子ど も・孫の成長によい」も上位に挙げられており、子ども を持つ母親なども有望なターゲットになり得そうである。 Table4. 日本産食品の購入理由 <調味料> <米> <りんご> 1位 おいしいものを食べたいから 74.1% 1位 おいしいものを食べたいから 64.4% 1位 見た目がよいから 69.3% 2位 日本の食品が好きだから 56.6% 2位 見た目がよいから 53.6% 2位 おいしいものを食べたいから 60.6% 3位 この国の商品にしかない味があるから 55.9% 3位 日本の食品が好きだから 51.5% 3位 有機栽培されているから 57.7% 4位 見た目がよいから 53.8% 4位 高級品だから 49.8% 4位 農薬が少ないから 47.4% 5位 試してみたかったから 48.3% 5位 有機栽培されているから 44.4% 5位 子ども・孫の成長によいから 45.3% 6位 添加物が少ないから 39.2% 6位 41.8% 6位 高級品だから 45.3% 7位 日本自体が好きだから 37.8% 7位 この国の商品にしかない味があるから 40.2% 7位 41.6% 8位 調理済みで手間がかからないから 37.4% 8位 試してみたかったから 8位 日本の食品が好きだから 40.9% ※上位8項目を掲載。 有害物質(重金属など)の恐れが無いから 39.7% 有害物質(重金属など)の恐れが無いから 購入状況の回答結果は Table3 にまとめられた。最も高 頻度で購買されているのは「調味料」であった。個別商 品では「わさび」がよく購買されているという結果であ る。丹野がその著作(2011)の中で、日本の醸造品が、 ロシアで高評価を受けていることを言及しているが(4)、 それを裏付ける形となった。加えて、 「米」 「水産物」な ども購入頻度が高い結果であった。 どこで売られるべきか?(Place:購買チャネル) 次いで明らかにしたいのは、 「日本産食品がどこで売ら れるべきであるか?」である。調査においては「普段の 購入場所」と「購入したい場所」を聴取した。その結果 は Table5 にまとめられた。 まず購買チャネルの分布を見ると、 「中級スーパー」や 「庶民的スーパー」の多さが目立つも、かなり多様な購 その重要性を失っていない。しかし、ロシアにおいては、 買チャネルが利用されていることがわかる。これに対し 日本のように魅力的な TV 番組コンテンツが少ないため、 ては、引き続き、幅広いチャネルで流通販路の拡大を目 TV はもっぱら映画の DVD を見るモニターになっているこ 指すべきであろう。 とを指摘する文献もあり(6)、その意味は日本とは異なる 次いで読み取れることは、 「購入している場所」と「購 入したい場所」に大きなギャップは見られない点である。 のかもしれない。国際間交易の予想外の難しさがここに も読み取れる(7)。 購入したい場所で、やや「高級食材の専門店」 「高級スー 加えて、日本産食品についての情報入手経路は、その パー」にシフトしている感はあるが、ロシア人消費者の 多くが「スーパマーケットの売り場」に偏っており、今 多くは、普段購入している場所で、引き続き日本産食品 後は、口コミ系の情報を広められるような、情報流通チ を購入したいと考えているようである。 ャネルの開拓も検討されるべきであろう。 Table6. 輸入食品の購入時に影響のある情報源/日本産食品の情報入手経路 35% 購入する際に最も影響を与えているもの また、高収入層(世帯月収が 10 万ルーブル以上)の結 30% 果にも注目したい。 「高級食材の専門店」 「高級スーパー」 67.8 情報入手経路(調味料) 27.1 情報入手経路(米) 25% 20.7 19.8 情報入手経路(水産物) 20% 情報入手経路(生鮮果物) が全体値よりも高いのは、高収入層としては当然であろ 15% 10% うが、 「ネット通販」の利用率も高くなっており、その親 6.4 日本産食品 購入時の 情報入手経路 購入している場所 全体 79.6 購入出来たら嬉しい場所 58.3 60% 45.5 3.5 4.7 11.9 2.0 家族の話 友人・知人の Web上の情 スーパーマー テレビ・ラジオ Web上の情 スーパーマー 新聞・雑誌の 話 報(消費者 ケットの売り の情報 報(広告) ケットの宣伝 情報 の評判など) 場で目に入る 情報誌の情 情報 報 27.1 20.7 19.8 11.4 6.4 4.4 3.5 2.0 4.7 13.8 21.9 13.8 67.8 10.0 13.4 11.9 9.7 2.8 米 (298) 13.4 14.1 12.1 67.8 10.4 12.8 10.1 7.4 3.0 水産物 (魚、貝類、海藻類など) (281) 13.5 18.9 11.7 65.1 8.9 16.0 12.1 8.9 4.3 生鮮果物 (194) 12.9 13.9 7.7 55.7 12.4 11.3 9.3 12.4 8.8 生鮮野菜 (184) 14.7 15.2 7.6 56.0 12.5 14.1 13.6 10.9 7.6 ※「購入する際に最も影響を与えているもの」のスコアで降順にソート 47.5 39.4 23.9 20% いくらで売るべきか?(Price:価格戦略) 5.0 0% 高級食材の 高級スー 中級スー 庶民的スー 集合市場・ 専門店 パーマーケッ パーマーケッ パーマーケッ 露天商 ト ト ト 全体 -5 ポイント 全体 -10 ポイント ネット通販 知人から その他 日本産食品の価格の高さは、海外ではつとに知られて n= 購入している場所 全体 ML層(2万5千~3万5千ルーブル未満) 月収別 MM層(3万5千~5万ルーブル未満) (世帯) MH層(5万~10万ルーブル未満) (343) 45.5 47.5 85.1 79.6 58.3 39.4 23.9 5.0 (108) 63.0 58.3 74.1 68.5 38.9 37.0 16.7 3.7 (111) 56.8 42.3 65.8 58.6 33.3 28.8 10.8 1.8 (94) 58.5 46.8 75.5 70.2 38.3 42.6 22.3 7.4 H層(10万ルーブル以上) (30) 60.0 63.3 73.3 76.7 56.7 46.7 30.0 6.7 購入出来たら嬉しい場所 (343) 59.5 50.4 71.7 66.5 38.5 36.7 17.5 4.4 2.6 6.4 差分 (購入している場所-購入したい場所) - -14.0 -2.9 その他 (320) 40% [比率の差] 全体 +10 ポイント 全体 +5 ポイント 9.7 n= (醤油、味噌、酢、ドレッシングなど) 85.1 10.0 (343) 調味料 80% 13.4 2.8 0% 購入する際に最も影響を与えているもの 100% 4.4 13.8 5% 本産食品は、ネット通販で流通させる方向性は検討され Table5. 日本産食品の購入場所 21.9 13.8 和性の高さが推察される結果である。高収入層向けの日 るべきかもしれない。 情報入手経路(生鮮野菜) 11.4 13.4 13.1 19.8 0.6 いるが、その価格は適切であろうか? ここでは、ロシ ア人消費者の各国の輸入食品に対する「価格感」と「購 買意向」の関係から、その方向性を考える。 まず、日本産の「調味料」についての結果を、Table7-1 どんなコミュニケーション戦略をとるべきか? にまとめられた。着目したいのは、日本産の「調味料」 (Promotion:広告戦略) が、自国であるロシア産の調味料とほぼ同じだけの購入 次いで、ロシア人消費者に対して、 「どのようなコミュ ニケーション戦略をとるべきか?」という点である。 意向を持たれている点である。日本人が「醤油」を愛す るように、ロシア人消費者も自国産の調味料の評価が高 ここでは、輸入食品の購入時に影響のある情報源、お いことは想像に難くないため、同じだけの評価を得てい よび、日本産食品について情報源の 2 点を聴取した。結 ることは特筆すべきであろう。一方で、その価格感はロ 果は Table6 にまとめられた。 シア産と比べてずっと高く、日本産の「調味料」は「高 まず、購入時に影響のある情報源は、 「家族の話」 「友 いけど買いたい」という商品ポジションを獲得している 人・知人の話」 「Web 上での情報(消費者の評判など) 」な ことがわかる。このポジションは、日本独自の味による どの、いわゆる口コミ系の情報源が上位に挙がった。一 メリットと考えられるため、今後も、品質を差別化した 方で、テレビやラジオ、スーパーの宣伝情報誌などは下 上での、高価格戦略が望ましいと思われる。 位に留まっている。 次いで、 「米」への評価を Table7-2 にまとめた。 「米」 ここで着目すべきは、マス広告のスコアの低さであろ への評価も「調味料」と似通っており、購入意向は自国 う。日本で消費者とのコミュニケーションを考える場合 産である「ロシア産」と同等の高評価を得ている一方、 には、依然としてマス広告(TV、ラジオ、新聞など)は 価格感は「ロシア産」に比べてずっと高く、 「高いけど買 いたい」というポジションを獲得している。同様のポジ Price(価格戦略)については、商品により異なるであ ションには、 「イタリア産」も含まれるが、購入意向では ろうが、高品質とそれに伴うポジティブなイメージを保 やや開きがあり、日本産が市場において差別化が明確に 持しつつ、 高価格戦略は1つの方向性として考えられる。 されているものと判断される。今後も、高品質のブラン ド維持をしながら、高価格戦略を維持すべきであろう。 データの留意点 最後に、本研究の分析結果の蓋然性を制限する点に言 及する。それは、サンプルの代表性についてである。イ Table7-1. 価格感×購入意向 <調味料> 1.5 高いけど、 平均:1.15pt 高 い 買いたい 高いし、 それほど買いたくない イギ リス産 生産国 X軸(横軸) -0.09 1.57 1.13 0.69 2 アメリカ産 ア メ リカ産 3 イギリス産 タイ産 0.5 韓国産 ロシ ア 産 安いし、 安いけど、 それほど買いたくない 買いたい 中国産 -0.5 0.0 0.5 1.0 買いたくない 1.5 購入意向 1.18 0.87 4 中国産 -0.40 0.74 5 日本産 1.16 1.57 6 韓国産 0.48 1.38 7 タイ産 0.57 1.24 8 ベトナム産 0.10 1.10 平均:0.51pt ベト ナム産 0.0 安 い Y軸(縦軸) 1 ロシア産 日本産 1.0 価 格 観 価格観 購入意向 (加重平均値) (加重平均値) 2.0 買いたい 価格感(選択肢名) 非常に高いと思う 高いと思う やや高いと思う どちらともいえない(中立) やや安いと思う 安いと思う 非常に安いと思う 加重値 3.00 2.00 1.00 0.00 -1.00 -2.00 -3.00 購入意向(選択肢名) 是非買いたいと思う 買いたいと思う まあ買いたいと思う どちらともいえない(中立) あまり買いたいとは思わない 買いたいとは思わない まったく買いたいとは思わない 加重値 3.00 2.00 1.00 0.00 -1.00 -2.00 -3.00 Table7-2. 価格感×購入意向 <米> 2.0 平均:0.44pt 生産国 高いし、 高 い それほど買いたくない 1.5 イギ リス産 1.0 価 格 観 高いけど、 1 ロシア産 -0.48 1.35 買いたい 2 アメリカ産 1.10 0.12 1.30 0.20 3 イギリス産 4 イタリア産 日本産 イタリア産 ア メ リカ産 南アフ リカ産 タイ産 0.5 平均:0.60pt 韓国産 台湾産 ベトナム産 0.0 カザフ スタン産 ウズ ベキスタン産 安いけど、 -0.5 ロシ ア 産 中国産 それほど買いたくない 安 い 安いし、 買いたい -1.0 -0.5 0.0 買いたくない 0.5 購入意向 1.0 価格観 購入意向 (加重平均値) (加重平均値) Y軸(縦軸) X軸(横軸) 1.5 2.0 買いたい 1.20 0.78 5 ウズベキスタン産 -0.30 0.65 6 カザフスタン産 -0.20 0.39 7 中国産 -0.50 0.38 8 台湾産 0.41 0.40 9 日本産 1.28 1.37 10 韓国産 0.45 0.69 11 ベトナム産 0.04 0.83 12 タイ産 0.53 0.63 13 南アフリカ産 0.93 0.07 価格感(選択肢名) 非常に高いと思う 高いと思う やや高いと思う どちらともいえない(中立) やや安いと思う 安いと思う 非常に安いと思う 加重値 3.00 2.00 1.00 0.00 -1.00 -2.00 -3.00 購入意向(選択肢名) 是非買いたいと思う 買いたいと思う まあ買いたいと思う どちらともいえない(中立) あまり買いたいとは思わない 買いたいとは思わない まったく買いたいとは思わない 加重値 3.00 2.00 1.00 0.00 -1.00 -2.00 -3.00 ンターネット・リサーチという手法をとっているがゆえ に、対象者は所謂「ネット住民」に限定される。また、 サンプル数は 343 と必ずしも多くない。ゆえに、今回の 対象サンプルが果たしてどれだけ「真の全人口」を反映 しているのかについては、留意されるべきであろう。 【参考・引用文献】 (1)この点については、小坂恕『グローバル・マーケテ ィング―世界市場での新たな成長への枠組み』 (国 元書房、2003 年)などを参照。 (2)官製マクロ経済データを使用して、ロシア市場を分 析した文献は多い。例えば、市今井雅和 『新興大 国ロシアの国際ビジネス』 (中央経済社、2011 年) や、大前研一『ロシアショック』 (講談社、2008 年) など。 (3)ロシア人消費者達の意識や行動に関しては、JETRO (日本貿易促進機構)や「JSN(Japan Sea Network) 」 社の機関紙( 『月間ロシア通信』と『ボストーク通 信』 )に、しばしば興味深い発見が報告されている。 【考察と課題】 しかし、本研究が意図するような、ロシア人消費者 Product(商品戦略)については、候補となる商品は多 の各国の輸入食品に関する”意識差”やマーケテ 様にあるが、 「日本にしかない味」を評価される商品とし ィングミックスに関する変数を測定しているもの ては、日本産の各種「醸造食品」が優位戦を持つとも考 は少ない。 えられる。青森県産品では、地元では有名な調味料であ る、 「源たれ」なども有望であろう。 (4)丹野大『青森リンゴが開拓したロシア市場~地域特 産品の輸入促進を考える』 (日本評論社、2011 年) 。 また、ロシア人消費者のニーズとマッチする「安全面・ (5)前回調査の要旨は、数納祥平・丹野大(2013) 「ロ 健康面」に関連して、 「有機栽培」 「農薬が少ない」など シア人消費者に関する調査報告(1)-ロシア市場 の特徴も、各商品で可能な範囲で積極的にアピールすべ における日本産食糧品/食品商品をポジショニング きであろう。 する為に-」青森公立大学経営経済学研究、第 18 Place(流通チャネル戦略)については、幅広い店舗チ ャネルを維持しつつも、高収入層向けの商品を、ネット 通販で流通させる方向性は検討されるべきであろう。 巻、第 2 号 にて報告されている。 (6)坂口泉・高橋浩・服部倫卓『ロシアのことがマンガ で 3 時間でわかる本』 (明日香出版社、2005 年) 。 Promotion(宣伝・コミュニケーション戦略)について (7)国際経営に関わる予想外の困難さに関しては、John は、未開拓な口コミ系の訴求経路の開拓が望まれる。マ B. Cullen(2002). Multinational Management 2nd スメディア(TV、ラジオ、新聞など)については、日本 Edition, Cincinnati, Ohio:South Western Thomson と同様の効果は慎重に考えるべきである。 Learnig などを参照。
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