Health, Safety and Environment

知っておきたい
第 37 回
Health, Safety and Environment
HSE とは、Health(健康)、Safety(安全)、Environment(環境)のそれぞれの頭文字をとった略号です。今回は、石油
開発事業を例とした「HSE(労働安全衛生・環境)
」についてご紹介します。
「 HSE 」とは ?
皆さん、子どもの頃に、家に帰ったら手を洗ってうがいすること
(H:健康)
、信号を渡るときは右を見て左を見て
から渡ること
(S:安全)
、ごみはちゃんとごみ箱に捨てること
(E:環境)を教わったことと思います。いずれも当たり
前のことですが、健康で安全な毎日を送るためには大切なことです。会社が事業を進めていくうえでも同様で、
この何げない「HSE」の積み重ねが危険の芽を摘み取って事故を未然に防ぎ、会社の信頼を高めているのです。
石油・天然ガス開発における「 HSE 」の変遷
石油・天然ガスの開発では、多くの場合、海上や未開発地域において、地下深く眠ったエネルギー資源を採
掘していますが、ひとたび事故が生じるとその事業規模から、被害は甚大なものになります。過去に発生した
大事故として、1988年に英国北海油田で発生した爆発・炎上事故※1 や、近年では2010年にメキシコ湾で発
生した原油流出事故※2 がよく知られています。これらの事故は、人的・物的・経済的被害だけではなく、地球
環境に対しても重大な影響を与え、また事業者の社会的信用を大き
く失墜させる結果となりました。北海の事故は、法規制による事故
防止には限界があることを認識させるきっかけとなり、現在では事
業者には自主保安という考えに基づいた「HSE」への取り組みが求
められるようになりました。
メキシコ湾で発生した原油流出事故
出典:US Coast Guard ホームページ、URL:http://coastguard.dodlive.mil/ 2010 / 04 /admiral-allen-briefs-president-obama-on-deepwater-horizon-operations/
HSE 活動の実践
「HSE」への取り組みの基本は、事業者自らが「労働安全衛生・環境」を管理するためのシステム(HSE
Management System)を構築し、それに基づいて目標(Plan)を設定し、目標を目指して日々の操業管理
(Do)を行い、結果を点検・是正(Check)した後、新しい目標に反映(Action)するという PDCA サイクルに
より、継続的に事故発生のリスクを低減し、事故を未然に防ぐ仕組みを実践していくことです。
また、一度事故が発生した場合に、その被害を最小限に留
PDCA リサイクル
める対処も重要です。火災が発生した時の消火活動や、ヘリ
コプターの墜落事故から身を守る訓練も大切な HSE 活動で
す。これらの HSE 活動は、油・ガス田開発に際して産油国政
次へ反映
(継続的改善)
府から強く求められており、開発事業者としての評価におい
〈Plan〉
計画
ても重要視されています。
〈Act〉
見直し
プラットホームでの放水訓練
着水したヘリからの脱出訓練
〈Do〉
実施・運用
〈Check〉
点検・是正
PDCA 概念図
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