せなかがみ

せなかがみ
「無意識の意識化」による姿勢改善の試み
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大庭 広明
現代ではデスクワークが増えたため
「猫背」などと呼ばれる背筋の歪み
による健康の問題が起こっている。
そのため自身の背筋と連動した動き
をすることで、これまで「無意識」
だった背筋状態の「意識化」を行う
プロダクトを制作し、自然な姿勢の
改善を試みた。
近年、情報収集やコンテンツ閲覧、デジタルものづくりなど
、様々な目的でコンピュータを操作する場面が増えた。その
主たる利用スタイルは「椅子」に座り、キーボードやマウス
などを用いて操作する形である。この様に「デスクワーク」
が多い状態では、人間の姿勢は悪くなりがちである。
「猫背」などの姿勢の歪みは、科学的にも人体への悪影響が
多くあると言われている。これではテクノロジーが進歩する
のに対して人間のパフォーマンスは衰退してしまう。そこで
今回は着席状態での姿勢改善に取り組んだ。
猫背改善のためのプロダクトはこれまで多く存在していたが
骨盤の位置を治具で無理やり固定するもの、背中に固い部材
を入れるようなものなどの、強制的な器具であった。これら
のプロダクトは、どうしてもある程度ストレスを避けること
が出来ないものであり、今回はその部分を解決するために、
デジタルファブリケーションの技術を利用した。
環境による変化の例として「自室に鏡を置くと綺麗になる」
「体重を毎日測ると痩せる」などといった現象が存在するが
これらは自分自身の状態を客観的に見えるようにし、それを
意識の中に入れることで起こる。そこでこのプロダクトでは
それを応用し、自身の背筋の状態を意識化に置くようにする
ことで、自然な姿勢の改善を狙った。
具体的には、Kinectを用いて姿勢を評価。姿勢が悪くなると
、Arduinoで連動、制御したライトの「姿勢」も悪くなる。
作業中の机の上に、自身の背筋の状態を反映したモノが存在
することで、これまで無意識のうちにあった自身の「姿勢」
の状態を自然と自覚し、改善できるようになる。
ライト本体は紙をレーザーカッターで加工することで作成した。また台座には
MDF板の切れ込みを入れることで曲がるような性質を利用して、曲面を作った。
動作部分は、紙の両極をバネとテグスで挟み込み、その先端にサーボモーターを
付け、その回転で紙をひっぱることで、形を変化させている。
背筋が曲がっている時に
は、紙も一緒に曲がる。
曲がることによって、
おりがみで作られた
ライトは、直立していた
時とは違う形に変わる。
姿勢を評価するプロセス
ではKinectを用いて骨格
をセンシングしたのち、
その値をシリアル通信で
特に本体は「おりがみ」を利用して、自身の背筋が凛々しく
正常な状態では、ライトも美しく。そして逆に、歪んだ状態
では縮込まってしまうような、まるでライト自身が生きてい
るかのような動きを狙った。
まるで自分の背中の「鏡」のように動くそのライトは、見て
いると姿勢改善のみではなく、様々な感情を呼び起こす。
Arduinoへ送ることで、
リアルタイムにライトの
駆動部を動かしている。