風力発電機が 野鳥に与える影響

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(公財)日本野鳥の会
風力発電機が
野鳥に与える影響
今、世界では、再生可能エネルギーと呼ばれ、地球温暖化対策に役立つクリーンエネル
ギーとして、太陽光と風力の発電所が次々と計画され、稼働しています。
特に風力発電は世界的規模で導入が進んでおり、日本各地でも山地の稜線や海岸線
にずらりと並んだ風力発電の風車を見ることができます。
(北九州市内では、若松区響灘埋め立て地の海岸や企業敷地内に建設され稼働しています。)
近年、陸上での風力発電の建設に適した場所が減少しています。それに代わり風況の
良さなどから、海洋上に建設する「洋上風力発電」が再生可能エネルギーの担い手として
注目され、今後日本国内でも導入が進むと予想されます。イギリスとデンマークではすで
にどちらの国においても 300 基以上の洋上風力発電が建設されています。
(我が国では福島県楢葉沖2基、千葉県銚子沖 1 基、福岡県北九州市若松区沖 1 基、長崎県五島市椛島
沖1基がそれぞれ実証実験中です。)
地球規模で進む地球温暖化は、野鳥をはじめとする野生生物に対しても影響を
与えていると言われており、私たち日本野鳥の会北九州は温暖化対策としての
自然エネルギー導入は重要だと考えています。
ところが、“環境にやさしい”と言われる風力発電ですが、回転する風車の羽根に
野鳥が衝突(バードストライク)し、死亡するという事故が各地で発生しています。
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(公財)日本野鳥の会
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(公財)日本野鳥の会
ではなぜ、野鳥が風車の羽根に衝突するのでしょうか?
その1.野鳥が風車に衝突しやすい場所は、風車の多くが建っている、岬・半島・海崖の
上・山の尾根・谷などです。そこは野鳥にとって飛行しやすい場所でもあります。
また、営巣地やねぐらとエサ場の間に風車があると衝突事故が起きやすくなりま
す。
その2.回転している羽根の向こうの景色が透けて見える現象を「モーションスミア現象」と
言いますが、鳥類の目は人間に比べて、この現象が起こりやすいと言われていま
す。野鳥は、回転直径約100mという巨大な羽根の向こうの景色に向かって飛ん
で行き、衝突するようです。
その3.特に中型・大型のタカ類は地上のエサを上空から探す時、エサである小鳥や魚類、
小動物が現れると、風車の羽根が回っていることの認識がなくなり、急降下した時
に羽根に衝突するようです。
その4.野鳥は夜間にも飛行しますが、風力発電機の照明に惹き付けられたり、悪天候の
際、高度を下げざるを得なくなり、風車の回転域に入り、衝突するようです。
野鳥の衝突を防ぐには?
その1.野鳥に大きな影響があると考えられる場所(渡り鳥のコースや繁殖地など)には風車を
建てない。
その2.計画段階で、計画地周辺の野鳥の生息状況から立地についてよく検討する。
(精度の高い入念な事前調査を行う)
その3.野鳥への影響が少ないと考えられる場所でも、風車の配置をよく考慮する。
その4.いわゆる扇風機型の風車よりも衝突の確率が低く、発電効率もよい形状の
風車を積極的に採用する。
その5.野鳥が風車を認識しやすいような工夫を研究開発する。
◇風力発電機の建設後は?
建設後は、野鳥の衝突調査やレーダー監視などでモニタリングを行い、渡り鳥の
渡り時期や衝突事故発生時には、風車の運転調整を行うなど、“野鳥にやさしい”
風力発電を目指してほしいものです。
野鳥と自然エネルギーの共存を目指して、みんなで知恵を出し合い、
本当の意味での “環境にやさしい風力発電” を実現しましょう!
『野鳥も人も地球のなかま』
参考・引用:(公財)日本野鳥の会
「風力発電が野鳥に与える影響のまとめ」