函南町人口ビジョン

函
南
町
人口ビジョン
平成27年10月
函南町
目
次
1. はじめに .................................................................. 1
2. 人口の現状分析 .......................................................... 2
3. 将来人口の推計・分析 ................................................. 9
4. 人口の変化が地域の将来に与える影響 ........................... 17
5. 人口の将来展望に係る基礎的な調査 .............................. 20
6. 人口の将来展望 ........................................................ 28
1.
はじめに
1.1
人口ビジョンの位置づけ
函南町人口ビジョンは、町の人口の現状を分析し、人口に関する地域住民の認識を共有し、今後目指
すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するものです。
すでに、我が国の人口は、平成 20 年(2008 年)をピークに減尐に転じています。平成 26 年(2014
年)には、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の将来推計人口(平成 24 年 1 月推計)
」(出生中位
(死亡中位)
)を示し、我が国全体の人口は、平成 72 年(2060 年)に約 8,700 万人まで減尐すると推算
されています。
これをうけ、国では、平成 26 年(2014 年)12 月 27 日に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生長
期ビジョン」
(以下、国の長期ビジョン)では、地方への多様な支援と「切れ目」のない施策の展開を
目的に、平成 72 年(2060 年)に1億人程度の人口を確保する中長期展望を提示しているところです。
函南町人口ビジョンは、地方版総合戦略において、まち・ひと・しごと創生の実現に向けて、効果的
な施策を展開するうえでの基礎と位置づけます。
1.2
計画期間
本ビジョンの対象期間は平成 72 年(2060 年)とします。
これは、国の長期ビジョンの期間と同様となります。
1
2.
人口の現状分析
人口の現状分析では、過去から現在に至る人口の推移を把握し、自然増減の要因と社会増減の要因
とに分解して、それぞれがどのように影響してきたか等を分析しました。
2.1
(1)
総人口
函南町の人口
 平成 26 年(2014 年)3 月 31 日時点の住民基本台帳では、総人口は 38,514 人でうち外国人は
284 人です。
 昭和 38 年(1963 年)の町制施行以降、人口は一貫して増加傾向にあり、特に、昭和 35 年(1960
年)の新幹線三島駅の開通以降、1960 年代から昭和 55 年(1980 年)頃が急増期といえます。
人口ピーク 38,803 人
(平成 17 年(2005 年)
)
4.5
4
3.5
東
海
道
新
幹
線
開
通
(
熱
函
道
路
が
供
用
開
始
(
(
大伊
場豆
川中
南央
交道
差が
供
点用
~開
長始
岡
北
1973
)
)
1934
)
伊(
豆熱
ス海
カ峠
イ~
ラ巣
イ雲
ン山
が)
供(
用
開)
始
1964
1921
丹J
那R
ト函
ン南
ネ駅
ル開
開業
通
(
熱
海
駅
~
函
南
駅
間
(
1962
3
人
口 2.5
(
万
2
人
)
1.5
伊
豆
箱
根
駿
豆
線
伊
豆
仁
田
駅
開
業
(
)
IC 1985
町
制
施
行
(
1
)
(
1963
0.5
)
)
0
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
1975年
1970年
1965年
1960年
1955年
1950年
1945年
1940年
1935年
1930年
1925年
1920年
図 2-1
総人口の推移(資料:国勢調査)
【コラム】人口の分布
 大場駅周辺に多くの人口が分布して
います。
 丹那小学校区については、ダイヤラン
ド地区にまとまって分布しているこ
とがみてとれます。
 一方、桑村小学校区や丹那小学校区に
おいて、低密度に分散した人口分布が
確認できます。
大場駅周辺
ダイヤランド地区
2
2.2
年齢 3 区分別人口
年尐人口(0-14 歳)
・生産年齢人口(15-64 歳)
・老年人口(65 歳以上)の 3 区分別の推移より、戦後
から現在にわたる年齢 3 区分別人口の動向を分析します。
 生産年齢人口は、平成 12 年(2000 年)の 26,365 人をピークに減尐に転じています。
 ほぼ同時期に年尐人口と老年人口が逆転し、近年、年尐人口は減尐に転じています。
 老年人口の増加は昭和 45 年(1970 年)以降、増加傾向にあり、現在の高齢化率は約 25%とな
っています。
年少人口
生産年齢人口
老年人口
生産年齢人口ピーク
26,365 人(2000)
3
2.5
町
制
町
開
政
始
開
(
始
1
(
9
1963
2
6
3
人
口
( 1.5
万
人
)
1
)
)
老年人口
9,499 人(2010)
年少人口ピーク
7,681 人(1985)
生産年齢人口
年少人口
0.5
老年人口
0
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
1975年
1970年
1965年
1960年
1955年
1950年
1945年
1940年
1935年
1930年
図 2-2
年齢 3 区分別人口(資料:国勢調査)
【コラム】高齢者の分布
 地域別の高齢化率の分布では、丹
那小学校区や桑村小学校区の一
部地域で 40%を超える地域があり
ます。
 山間地域において高齢化率が 60%
を超える集落がある他、ダイヤラ
ンド地区ではまとまった範囲で
高齢化率が 40%を超えています。
 全体的に鉄道路線の沿線や、駅周
辺は、高齢化率が低い傾向にあり
ます。
3
2.3
出生・死亡、転入・転出の推移
出生・死亡からなる自然増減と、転入・転出からなる社会増減の推移を把握します。
 出生数のピークは平成 8 年(1996 年)の 407 人、死亡数は平成 25 年(2013 年)の 386 人です。
 出生数が死亡数を上回っていましたが平成 19 年(2007 年)ごろを境に死亡数が出生数を上回
っています。
 死亡数については、高齢化の影響もあり、今後、増加していくことが考えられます。
出生
死亡
出生数ピーク
407 人(平成 8 年(1996 年))
450
死亡数
386 人(平成 25 年(2013 年)
400
350
出 300
生
・
死 250
亡
(
人 200
)
平成 19 年(2007 年)ごろより
出生数と死亡数が逆転
150
100
50
0
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
1996年
1995年
図 2-3
出生・死亡の推移(住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数に関する調査)
 転入数のピークは平成 7 年(1995 年)の 2,445 人、転出数のピークは平成 9 年(1997 年)の
2,176 人です。
 転入・転出の動向は、両方とも減尐傾向にありますが、その規模は同程度で推移しています。
 平成 19 年(2007 年)ごろまでは、転入数が転出数を上回っていましたが、近年転出超過とな
っています。
転出
3000
転入
転入数ピーク
2,445 人(平成 7 年(1995 年)
)
平成 19 年(2007 年)以降、
転入が転出を上回る傾向が
続く。
2500
2000
転
入
・
転1500
出
(
人
)
1000
転出数ピーク
2,176 人平成 9 年(1997 年)
500
0
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
4
1996年
1995年
図 2-4
転入・転出の推移(住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数に関する調査)
2.4 総人口の推移に与えてきた自然増減と社会増減の影響
人口増加期から現代にかけての社会増減、自然増減の把握を行うため、人口の自然増減と社会増減の
影響を表すグラフとして、縦軸に「出生数-死亡数」、横軸に「転入数-転出数」をとり、各年の値を
プロットして分析しました。分析した結果を以下に示します。
 自然増減、社会増減ともに平成 7 年(1995 年)に比べて、縮小傾向となり人口移動が安定化し
ています。
 自然増加は現在までに徐々に収束しながら、近年減尐傾向に転じています。
 社会増加は減尐傾向にあり、これまでのような転入が必ずしも期待できない状況にあります。
500
1995(始点)
400
近年になるにつれ原点に近づく
(これまでに比べ人口増減が安定化)
300
社
会
増
減
200
2013(終点)
100
0
2005
-100
2000
2010
-200
-200
-100
0
100
200
300
400
500
自然増減
図 2-5
自然増減と社会増減の推移
5
2.5
年齢階級別人口移動の状況
人口の社会増減は、社会・経済的な変化とともに、時代や世代によって大きく異なります。
ここでは、住民の年齢階級別の人口移動の長期的動向をはじめ、転入超過・転出超過の特徴や各地域
ブロック別の移動数を分析します。
(1)
年齢階級別の人口移動の長期的動向
 分析として、
「昭和 55 年(1980 年)→昭和 60 年(1985 年)
」以降の各期間のグラフを作成し、
年齢別の移動状況及びその長期的動向を把握しました。
 結果として、就学年齢時(5~9 歳の世代が 5 年後に 10~14 歳の世代になるタイミング)の転
出、就職年齢時(15~19 歳の世代が 5 年後に 20~24 歳の世代になるタイミング)の転入が多
いことが分かりました。
 昭和 55 年(1980 年)から昭和 60 年(1985 年)にかけての 5 年間での人口増減と比較すると、
直近 5 年間(平成 17 年(2005 年)から平成 22 年(2010 年)
)では、就学時及び子育て世代の
転出が超過している傾向に転じています。
 各年のグラフは、近年になるにつれ、密になっており、人口移動が収束している傾向にあるこ
とが見て取れます。
600
1980年→1985年(人)
1985年→1990年(人)
転
入
超
過
400
1990年→1995年(人)
1995年→2000年(人)
2000年→2005年(人)
200
2005年→2010年(人)
0
転
出
超
過
-200
-400
-600
歳
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
~
歳
年齢階級別人口移動の長期的動向(資料:国勢調査)
~
歳
~
歳
85 89 →90
~
~
80 84 →85 89
歳
歳
75 79 →80 84
~
~
70 74 →75 79
歳
歳
65 69 →70 74
~
~
60 64 →65 69
6
歳
歳
55 59 →60 64
図 2-6
~
~
50 54 →55 59
歳
歳
45 49 →50 54
~
~
40 44 →45 49
歳
歳
35 39 →40 44
~
~
30 34 →35 39
歳
歳
25 29 →30 34
~
~
20 24 →25 29
歳
歳
15 19 →20 24
~
~
10 14 →15 19
歳
5 9 →10 14
0 4 →5 9
~
~
歳
歳
~
2.6
年齢階級別の人口移動の状況
 年齢階級別に純移動数(「転入数-転出数」:転入超過数)を算出し、転入超過は原点(0)か
ら上、転出超過は原点から下に棒グラフを作成し、転入超過・転出超過の特徴を分析します。
 結果として、0 歳~29 歳などの若年層の転出超過が多いことが分かりました。
 一方、60~69 歳の世代が転入の超過にあります。
2000
80~89歳, 123
90歳以上, 18
70~79歳, 137
1000
60~69歳, 325
90歳以上, 36
0
60~69歳, 317
50~59歳, 154
70~79歳, 72
30~39歳, 409
0~9歳, 53
0~9歳, -131
転
出
超
過
-1000
転
入
超
過
10~19歳, -1982
10~19歳, -2122
90歳以上, 24
60~69歳, 235
0~9歳, -165
80~89歳, 54
70~79歳, 129
90歳以上, 38
60~69歳, 322
80~89歳
70~79歳
10~19歳, -1844
10~19歳, -2143
20~29歳, -1269
-3000
20~29歳, -1342
転
出
超
過
-4000
40~49歳, -456
90歳以上
0~9歳, -829
-2000
/
80~89歳, 18
70~79歳, 95
60~69歳
50~59歳
20~29歳, -1599
40~49歳, -43
40~49歳
30~39歳, -171
30~39歳, -152
40~49歳, -505
20~29歳, -2383
50~59歳, -74
80~89歳, -22
30~39歳
50~59歳, -130
-5000
20~29歳
30~39歳, -957
-6000
40~49歳, -879
-7000
10~19歳
0~9歳
50~59歳, -174
-8000
2010年
2011年
図 2-7
2012年
2013年
年齢別人口移動の状況(資料:国勢調査)
【コラム】人口移動の理由
 転出者は、
「就職・転職」を機に転出する人が多い傾向にあります。
 転入者は、
「住宅の都合(新築・借換えなど)」「親や子供との同居・近居」の項目が挙げ
られ、良好な住環境の形成や親の介護等による住み替えなどによる転入も推察されます。
 就職を理由に転出する人が多いため、東京圏や三島市、静岡市等へ通勤しやすい環境を整
えることが転出減尐につながることも考えられます。
就職・転職
住宅の都合(新築・借換えなど)
学校の都合(進学・通学など)
結婚
転勤
家族からの独立
子どもの学校の都合(進学・通学など)
退職
親や子供との同居・近居
周囲の環境(交通・買い物・治安など)
地震・津波に対する不安
転出数
その他
0
図 2-8
10
20
30
40
50
60
70
転入数
80
90
年齢別人口移動の状況(資料:函南町転入・転出調査)
7
2.7
地域ブロック別人口移動の状況
 各地域ブロック別に純移動数(
「転入数-転出数」
:転入超過数)を算出し、転入超過は原点(0)
から上に、転出超過は下に棒グラフを作成します。これにより、都道府県別に、転入超過・転
出超過の特徴を分析します。
 東京圏、関西地方への転出が多く中部地方からの転入が多く近隣地域からの転入が多くなって
います。
2000
(人)
中国, 211
北海道・東北
888
1000
中国, 292
0
転
出
超
過
-1000
九州・沖縄
東京圏
-2677
東京圏
-4088
-2000
中国, 269
中国, 275
東京圏
-3676
四国
九州・沖縄, -375
-4000
-5000
中国
東京圏
-5131
-3000
関西
中部, -331
中部
九州・沖縄, -143
九州・沖縄, -262
東京圏
-6000
中部, -1084
北関東
北海道・東北
-7000
九州・沖縄, -385
-8000
2010年
2011年
図 2-9
2012年
2013年
地域別人口移動の状況(資料:国勢調査)
【コラム】転入・転出先の状況
 転出・転入ともに静岡県内での移動が多くなっています。以下、東京、神奈川、愛知、
埼玉、千葉と続いています。
 東京圏への転出が多い一方で、東京圏からの転入も同様に多い点も特徴的といえます。
 東京圏への転出を減らし、東京圏からの転入を促す施策をとることにより転入超過に転
じる可能性があります。
転出
78
転入
25
55
0
20
静岡県
東京都
10
40
神奈川県
9
5
5 4 22
80
埼玉県
千葉県
100
宮城県
120
大阪府
福島県
140
5
青森県
160
その他(国内)
図 2-10 年齢別人口移動の状況(資料:函南町転入・転出調査)
8
10
7 2 3 222 4
60
愛知県
19
180
国外
3.
将来人口の推計・分析
将来人口の推計では、函南町人口ビジョンにおいて、将来の人口を見通すため、後述する複数の推
計方式によって将来人口を推計しました。
3.1
将来人口の推計方法
将来推計は、以下の方法で実施します。
パターン1:社人研推計準拠
【何も対策を取らなかった場合】
<出生に関する仮定>
 原則として、平成 22 年(2010 年)の全国の子ども女性比(15~49 歳女性人口に対する 0~4 歳人口の比)と各市町
村の子ども女性比との比をとり、その比が平成 27 年(2015 年)以降平成 52 年(2040 年)まで一定と仮定。
<死亡に関する仮定>
 原則として、55~59 歳→60~64 歳以下では、全国と都道府県の平成 17 年(2005 年)→22 年(2010 年)の生残率の
比から算出される生残率を都道府県内市町村に対して一律に適用。
 60~64 歳→65~69 歳以上では、上述に加えて、都道府県と市町村の平成 12 年(2000 年)→17 年(2005 年)の生
残率の比から算出される生残率を市町村別に適用。
<移動に関する仮定>
 原則として、平成 17 年(2005 年)~平成 22 年(2010 年)の国勢調査(実績)に基づいて算出された純移動率が、平
成 27 年(2015 年)~32 年(2020 年)までに定率で 0.5 倍に縮小し、その後はその値を平成 47 年(2035 年)~平成
52 年(2040 年)まで一定と仮定。
出生率や移動率が総人口に及ぼす影響を把握するため、パターン1を基に 2 つのシミュレーションを実施します。
シミュレーション1:
【出生率が上昇したと仮定した場合】
シミュレーション2:
【出生率が上昇し、社会増減の影響を受けないと仮定】
<シミュレーション1における仮定>
 合計特殊出生率が平成 42 年(2030 年)に人口置換水準(人口を長期的に保てる水準)まで上昇と仮定。
<シミュレーション2における仮定>
 合計特殊出生率が平成 42 年(2030 年)に人口置換水準(2.1)まで上昇し、かつ人口移動が均衡した(転入数=転
出数)と仮定。
 移動については、原則として、平成 17 年(2005 年)~平成 22 年(2010 年)の国勢調査(実績)に基づいて算出され
た純移動率が、平成 27 年(2015 年)~32 年(2020 年)までに定率で 0.5 倍に縮小し、その後はその値を平成 47 年
(2035 年)~平成 52 年(2040 年)まで一定と仮定。
パターン2:創成会議推計準拠
【社会移動が社人研より大きくなると仮定】
<出生・死亡に関する仮定>パターン1と同様。
<移動に関する仮定>
 全国の移動総数が、社人研の平成 22 年(2010 年)~平成 27 年(2015 年)の推計値から縮小せずに、平成 47 年
(2035 年)~平成 52 年(2040 年)まで概ね同水準で推移すると仮定。(社人研推計に比べ、純移動率(絶対値)が大
きな値となる)
9
3.2
移動率の違いが将来人口に与える影響
パターン1(社人研)の推計を用い、人口減尐の推移の仕方について把握します。
(1)
総人口及び年齢 3 区分別の推計
 パターン1を活用して総人口及び年齢 3 区分別人口の将来人口を推計した結果を図に示します。
 総人口は平成 72 年(2060 年)まで一貫して減尐し、平成 72 年(2060 年)時点で 22,580 人と
の推計結果となりました。
 これは、このまま何も対策を講じないとすると、現在の約 60%にまで減尐することとなります。
 一方、老年人口は平成 52 年(2040 年)まで微増傾向にありますが、平成 27 年(2015 年)に
は高齢化率が 30%を超えることとなります。
 高齢者の数は、平成 52 年(2040 年)の 11,689 人をピークにその後減尐に転じることとなりま
す。
45,000
40,000
38,565
35,000
30,000
人 25,000
口
(
人 20,000
)
23,950
22,580
15,000
10,000
2050 年には
均衡
2010 年には約 1.4 万人の差
11,289
9,502
老年人口ピーク 11,689 人(2040)
5,113
5,000
9,300
1,990
0
2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年
総人口
図 3-1
10
年少人口
総人口及び年齢 3 区分別将来推計(平成 22 年国勢調査を基に作成)
(2)
人口減少段階の分析
 パターン1を活用して将来の「人口減尐段階」を分析します。
 「人口減尐段階」とは、
「第 1 段階:老年人口の増加(総人口の減尐)」
「第 2 段階:老年人口
の維持・微減」
「第 3 段階:老年人口の減尐」
)の 3 つの段階を示すものです。
 函南町の「人口減尐段階」は、
「第2段階」に該当します。
 このまま何も対策を講じないとすると、年尐人口、生産年齢人口ともに減尐の一途を辿ります。
 老年人口については、平成 52 年(2040 年)をピークに減尐に転じ、基準年としている平成 22
年(2010 年)の 50 年後の平成 72 年(2060 年)には、平成 22 年(2010 年)とほぼ同程度まで
減尐することとなります。
第1段階
第2段階
第3段階
140%
126%
123%
120%
98%
95%
100%
86%
78%
80%
81%
64%
59%
60%
47%
57%
40%
39%
20%
0%
2010年
2015年
2020年
総数
図 3-2
2025年
2030年
年少人口
2035年
2040年
生産年齢人口
2045年
2050年
2055年
2060年
老年人口
人口減少段階の推移(平成 22 年国勢調査を基に作成)
11
(3)
人口増減状況の分析
 パターン1のデータから得られる将来人口推計を活用して、平成 22 年(2010 年)を 100 とし
た場合の県内他市町村の人口増減状況を把握します。
 平成 32 年(2020 年)
、平成 42 年(2030 年)
、平成 52 年(2040 年)の人口変化を分析します。
 静岡県中部地域及び伊豆地域の人口が急速に減尐するなか、その減尐の進行は比較的緩やかで
はありますが、平成 52 年(2040 年)には 60~70%となっています。
凡例
60%以下
60~70%
70~80%
80~90%
90~100%
100%以上
函南町
平成 32 年(2020 年)
平成 42 年(2030 年)
凡例
60%以下
60~70%
70~80%
80~90%
90~100%
100%以上
函南町
凡例
60%以下
60~70%
70~80%
80~90%
90~100%
100%以上
函南町
図 3-3
12
平成 52 年(2040 年)
人口増減状況の推移(平成 32 年(2020 年)、平成 42 年(2030 年)
、平成 52 年(2040 年)
)
3.3
移動率と出生率の仮定値を変えた将来人口の
シミュレーション
調査・分析を参考し複数の仮定値を用い推計を行います。複数パターンを示すことで、人口減尐に対
する対策を検討する指針とするものです。
(1)
総人口の分析
 シミュレーション 1、2 のそれぞれについて、総人口の推計値を分析します。
 出生率が上昇した場合には、平成 52 年(2040 年)に総人口が 32,042 人、出生率が上昇しかつ
人口移動が均衡した場合には、平成 52 年(2040 年)に総人口が 33,206 人と推算されました。
 パターン 1(社人研推計)と比べると、平成 72 年(2060 年)時点でそれぞれ約 2,000 人、約
3,000 人多くなることがわかります。
出生率の改善と人口移動の抑制が
50 年後の総人口に与える影響は
最大で約 7,000 人と推算
シミュレーション 1:仮に合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準 2.1)まで上昇
したとした場合のシミュレーション
シミュレーション 2:仮に、合計特殊出生率が人口置換水準(2.1)まで上昇し、かつ人口移動が均衡したと
した場合(転入・転出数が同数となり、移動がゼロとなった場合)のシミュレーション
図 3-4
総人口の分析
13
(2)
人口構造の分析
 シミュレーションごとに、平成 22 年(2010 年)と平成 52 年(2040 年)の人口増減率を算出
します。
 年齢 3 区分別ごとにみると、パターン 1 と比較して、シミュレーション 1,2 ともに「0~14 歳」
の人口の減尐率は小さくなっていることがわかります。
 一方「15~64 歳」人口と「65 歳以上人口」は、パターン 1 とシミュレーション 1,2 の間でそ
れほど大きな差は見られない点が特徴といえます。
表 3-1
総人口
2010年
2040年
現状値
パターン1 シュミレーション1
シュミレーション2
パターン2
38,565
29,953
32,042
33,206
29,060
総人口
2040年
14
パターン1 シュミレーション1
シュミレーション2
パターン2
-22.3%
-16.9%
-13.9%
-24.6%
人口構造の分析
年少人口
5,113
2,899
4,535
4,935
2,709
内0-4歳人口
1,560
929
1,488
1,622
875
年少人口
-43.3%
-11.3%
-3.5%
-47.0%
内0-4歳人口
-40.5%
-4.6%
4.0%
-43.9%
生産年齢人口
23,950
15,365
15,819
16,795
14,663
生産年齢人口
-35.8%
-34.0%
-29.9%
-38.8%
老年人口
9,502
11,689
11,689
11,476
11,688
老年人口
23.0%
23.0%
20.8%
23.0%
20-39歳
女性人口
4,315
2,657
2,727
2,990
2,465
20-39歳
女性人口
-38.4%
-36.8%
-30.7%
-42.9%
(3)
老年人口比率の変化(長期推計)
 パターン 1 とシミュレーション 1,2 について、
平成 52 年
(2040 年)
時点の仮定を平成 72 年
(2060
年)まで延長して推計し、人口構造の変化を把握します。年毎に、年尐人口比率・生産年齢人
口比率・老年人口比率を表に示し、老年人口比率の推移をグラフに示します。
 これにより、老年人口比率がどのように変化するかを分析します。
表 3-2
パターン1
シュミレーション1
シュミレーション2
総人口
年少人口比率
生産年齢人口比率
老年人口比率
75歳以上人口比率
総人口
年少人口比率
生産年齢人口比率
老年人口比率
75歳以上人口比率
総人口
年少人口比率
生産年齢人口比率
老年人口比率
75歳以上人口比率
老年人口比率の変化
2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年
38565 37773 36660 35246 33602 31799 29953 28100 26279 24433 22580
13%
12%
11%
10%
10%
10%
10%
10%
9%
9%
9%
62%
58%
56%
56%
55%
54%
51%
50%
50%
50%
50%
25%
30%
33%
34%
35%
36%
39%
40%
41%
41%
41%
11%
13%
17%
21%
22%
22%
23%
24%
27%
28%
28%
38565 37840 36819 35751 34657 33374 32042 30702 29418 28149 26914
13%
12%
12%
12%
12%
13%
14%
14%
14%
14%
14%
62%
58%
56%
55%
54%
52%
49%
49%
49%
50%
51%
25%
30%
32%
33%
34%
35%
36%
37%
37%
36%
35%
11%
13%
17%
20%
22%
21%
21%
22%
24%
24%
23%
38565 38090 37228 36320 35412 34325 33206 32146 31172 30210 29289
13%
13%
12%
12%
13%
14%
15%
15%
15%
15%
15%
62%
58%
56%
56%
55%
53%
51%
50%
51%
53%
54%
25%
29%
32%
32%
33%
33%
35%
35%
34%
32%
31%
11%
13%
16%
20%
21%
20%
20%
20%
22%
22%
21%
 パターン 1 とシミュレーション 1,2 について、
平成 52 年
(2040 年)
時点の仮定を平成 72 年
(2060
年)まで延長して推計すると、パターン 1 では平成 72 年(2060 年)ごろに老年人口比率はピ
ークを迎えます。
 一方、シミュレーション 1,2 においては平成 42 年(2030 年)までに出生率が上昇するとの仮
定によって、人口構造の高齢化抑制の効果が平成 57 年(2045 年)ごろに表れ始めその後低下
します。その効果はシミュレーション 1 よりも 2 の方が効果が高いことがわかります。
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
人口減少の
「第1段階」
「第2段階」
「第3段階」
10%
5%
0%
2010年
2015年
2020年
2025年
パターン1
図 3-5
2030年
2035年
シュミレーション1
2040年
2045年
2050年
2055年
2060年
シュミレーション2
老年人口比率(高齢化率)の推移
15
(4)
自然増減、社会増減の影響度の分析
シミュレーション 1、2 から、地方公共団体ごとに、自然増減の影響度と社会増減の影響度が計算さ
れるので、5 段階で整理します。
これにより、当該地方公共団体について、自然増減影響度が「3」、「4」、「5」と上がるにつれて、出
生率を上昇させる施策に取り組むことが、人口減尐度合いを抑える上でより効果的であるといえます。
また、社会増減影響度が「3」、
「4」
、「5」と上がるにつれて、人口の社会増をもたらす施策に取り組む
ことが、人口減尐度合いを抑える上でより効果的であるといえます。
シミュレーション 1
シミュレーション 2
: 仮に、合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の 2.1)
まで上昇したとした場合のシミュレーション
: 仮に、合計特殊出生率が人口置換水準(2.1)まで上昇し、
かつ人口移動が均衡したとした場合(転入・転出数が同数となり、移動がゼロと
なった場合)のシミュレーション
表 3-3
分類
自然増減の影響度
自然増減、社会増減の影響度
計算方法
影響度
シミュレーション1の 2040 年推計人口
=30,702(人)
パターン1の平成 52 年(2040 年)推計人口
=28,100(人) 3
⇒30,702 (人)/28,100 (人) =109%
シミュレーション 2 の平成 52 年(2040 年)推計人口=33,206(人)
社会増減の影響度
シミュレーション 1 の平成 52 年(2040 年)推計人口=30,702(人) 2
⇒33,206 (人)/30,702 (人)=108%
※影響度について
「自然増減の影響度」
(シミュレーション 1 の平成 52 年(2040 年)の総人口/パターン 1 の平成 52 年(2040 年)の総人口の数値に応じ
て、以下の 5 段階に整理。
「1」=100%未満、「2」=100~105%、「3」=105~110%、「4」=110~115%、「5」=115%以上の増加
「社会増減の影響度」
(シミュレーション 2 の平成 52 年(2040 年)の総人口/シミュレーション 1 の平成 52 年(2040 年)の総人口の数
値に応じて、以下の 5 段階に整理。
「1」=100%未満、「2」=100~110%、「3」=110~120%、「4」=120~130%、「5」=130%以上の増加
16
4.
人口の変化が地域の将来に与える影響
人口の変化が地域に与える影響を、①経済、②社会保障、③家族・地域、④まちづくりの 4 つの観点
から考察します。
4.1
経済への影響
経済動向に起因して人口が移動する要因としては、豊富な就業機会や高い所得水準を求めた移動が
考えられます。こうした要因を背景に町の生産年齢人口(15~64 歳)は減尐の一途を辿っています。
この層の住民は、生産活動や消費活動の主力として、労働者であると同時に消費者であり、将来世
代を産み育てる「人口の再生産力」の高い世代である点で、町の経済に及ぼす影響は甚大です。
生産年齢人口が減少傾向
図 4-1
生産年齢人口の減少(男女)
上記から、生産年齢人口の確保には、数多くの就業機会の提供が重要であるため、町で期待できる
各種産業に対する雇用を創出・確保していくことが重要です。
4.2
社会保障等への影響
高齢化により社会保障分野での現役世代の負担増加が懸念されています。
国の 65 歳以上の高齢者人口と 15~64 歳人口の比率をみると、昭和 25 年(1950 年)には 1 人の高
齢者に対して 11.5 人の現役世代(15~64 歳の者)がいたのに対して、平成 27 年(2015 年)には高
齢者 1 人に対して現役世代約 2 人となっています。
今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、平成 72 年(2040)年には、1 人の高齢者
に対して 1.3 人の現役世代という比率になります。
17
高齢者 1 人を 11.5 人の
現役世代で支える
生産年齢人口
2000 年をピークに減少傾向
高齢者人口は、2020 年をピークに
減少に転じるが、当面増加傾向
高齢者 1 人を 1.3 人の
現役世代で支える
図 4-2
生産年齢人口の減少(男女)
高齢者が、いつまでも元気に地域社会で活躍していける仕組みづくりの形成が不可欠といえます。
4.3
家族・地域への影響
人口移動の社会的要因には、親との同居・近居等をはじめとした家族による事情や、自身または家
族の健康事情等があります。
平成 22 年(2010 年)の国勢調査によれば、町の世帯数は、13,974 世帯であり、そのうち 65 歳以
上の世帯員がいる世帯が 6,058 世帯で約 43%を占めています。そのうち、高齢者が 1 人で住む世帯が
1,110 世帯(高齢者がいる世帯の約 20%)あります。平成 12 年(2000 年)の世帯数と比べると、全
12,773 世帯に対し、65 歳以上の世帯数が 4,054 世帯、そのうち高齢者が 1 人で住む世帯が 574 世帯
でありその数はこの 10 年間で倍増しています。
世帯数増加
高齢者が含まれる世帯
単身高齢者世帯は、
10 年間で 2 倍弱に増加
図 4-3
高齢者世帯の増加
単身での高齢化世帯が増加することで、介護に関る家族の負担の増加が生じるとともに、空き家の
増加等の問題に、確実に取り組んでいくことが求められているといえます。
18
また人口減尐に伴い、特定空家の増加や民間賃貸住宅等の空き家率が上昇することが想定され、こ
れら空き家の有効活用が重要となります。
4.4
まちづくり(都市経営)への影響
高度成長の過程で、町の中心部へ急速に人口流入や都市機能の集積が進みました。人口集中地区の
面積は、昭和 50 年(1975 年)の 1.4 ㎞ 2 から平成 22 年(2010 年)の 3.7 ㎞ 2 へと増加しています。
旺盛な宅地開発を背景に、市街地が無秩序に外延化するスプロール化に対すべく、また、郊外に広が
る優良農地を開発から守るため、区域区分(線引き)が制定され、町の土地利用規制をコントロール
するなど、一定の効果を果たしてきました。
しかし、近年、町の人口が減尐局面を迎えるなど社会状況が大きく変化しています。
人口減尐により、町の人口密度が低下しているとともに、高度成長期に建てられた施設を中心に老
朽化が進んでいます。こうした公共施設は、人口減尐に伴って利用が減尐することが懸念されます。
これらは、町の維持費の負担となる恐れもあり、総人口の減尐は、税収の減尐を招き、これまでと
同じやり方では都市経営が困難になっている状況にあります。
函南駅周辺の
市街化区域の指定
(計画的な土地利用誘導)
人口集中地区は 1975 年の
1.4 ㎢(緑)から 2010 年の
3.7 ㎢(赤)へと拡大
図 4-4
人口集中地区の変化と現在の区域区分
町の土地利用をコントロールしつつ、人口減尐時代にあわせたコンパクトで効率的な都市経営の実
現と、誰もが安全・安心に移動できる公共交通ネットワークの形成が求められています。
19
5.
人口の将来展望に係る基礎的な調査
今後、地方創生を推進していくに当たっては、町民の定住意向や結婚・出産・子育ての希望を実現す
る観点を重視することが重要です。
函南町人口ビジョンでは、人口動向分析や将来人口推計に加え、基礎的な調査分析を行い、これらを
通じて、一層的確に人口の将来展望を見通すことを目的として実施します。
(1)
定住に関る調査(人口社会増減にかかわる調査)
住民の定住意向など人口の社会増減に関する分析を目的に、以下の調査を実施しました。
調査名
函南町まち・ひと・しごと創生に関する町民アンケート調査
実施期間
平成 27 年 7 月 14 日~7 月 27 日
対象者
調査対象:町内在住の 22 歳以上 40 歳未満の男女 2,000 人
回収数(率)
513 人(25.7%)
1) 住民の意向
①
定住について

住民の定住意向は、全体では 4 割程度となっています。

年齢別に見ると、20 歳代に比べて 30 歳代が高く、20 歳代は、
「住み続けたくない」、
「今
後、1~4 年は住み続けたい」が 30 歳代に比べて高い結果となっています。
ずっと、住み続けたい
今後、10~20年は住み続けたい
今後、5~9年は住み続けたい
今後、1~4年は住み続けたい
住み続けたくない
どちらとも言えない
0%
22~24歳
25~29歳
20%
39%
7%
41%
30~34歳
35~39歳
40%
9%
7% 4%
45%
80%
16%
13%
55%
5%
25%
4% 3%3%
6% 5%
年齢別の定住意向
100%
25%
11%
17%
18%
図 5-1
20
60%
8%
19%
20%
②
定住したい理由について

定住したい理由は、
「住みなれている」が最も高い傾向となっており、
「家族が近くにい
る」は定住意向に関らず、理由として挙げられています。

住み続けたくない人は、「鉄道の便が悪い」が最も多く、「教育・文化環境が悪い」、「公
共施設が不足している」と続いています。
自
住み続けたい 128
46
通
103
の
勤
・
住み続けたくない
0
便
11
通
1
学
6
教 育 ・ 文 化 環 境
12
子
39
育
て
支
10
援
9
医 療 機 関・ 福祉 サービス
21
公
15
共
施
6
設
10
暮 ら し の 安 全 性
69
家
172
族
と
の
距
4
離
3
住 み 慣 れ て い る か
185
150
100
50
0
図 5-2
③
道
自 動 車 利 用 環 境
124
200
然
鉄
5
0
2
4
6
8
10
12
定住したい理由
人口減少対策について

人口減尐対策の視点としては、
「現在程度の人口維持を目指すべき」が最も高い結果とな
りました。
その他
1.6%
人口減少は
やむを得ない
21.6%
なるべく減少に
歯止めをかける
べき
23.4%
図 5-3
現在よりも人口
が増加するよう
に務めるべき
21.4%
現在程度の
人口維持を
目指すべき
32.0%
人口減少対策の視点
21
2) 中学生・高校生など若者の意向
卒業後の進路など人口の社会増減に関する分析を目的に、以下の調査を実施しました。
①
調査名
函南町まち・ひと・しごと創生に関するアンケート調査
実施期間
平成 27 年 7 月 14 日~7 月 21 日
対象者
田方農業高校、函南中学校、函南東中学校
回収数(率)
高校生 199 人(100%)
、中学生 361 人(100%)
町への愛着

中学生、高校生ともに「好き」
「とても好き」を合わせると 8 割を超えています。
とても好き
やや好き
0%
20%
中学生
高校生
あまり好きではない
40%
39%
20%
無回答
80%
48%
64%
図 5-4
②
60%
好きではない
100%
9%
12%
1%
3%
2%
3%
町への愛着
町の好きなところ、嫌いなところ

中学生、高校生ともに「富士箱根山系など豊かな自然がある」が高い傾向にあります。

中学生は「買い物」や「遊ぶ場所」
、高校生は「鉄道の便」や「公共施設の不足」が挙げ
られています。
表 5-1
町の好きなところ、嫌いなところ
中学生
町の
好きなところ
町の
嫌いなところ
22
1.住み慣れている(251)
高校生
1.通勤・通学先が近い(64)
2.富士・箱根山系など豊かな自然がある(210) 2.富士・箱根山系など豊かな自然がある(56)
3.安全に暮らせる(210)
3.東名高速など自動車の便が良い(46)
1.買い物をできる場所が少ない(203) 1.鉄道の便が悪い(31)
2.公園など遊ぶ場所が不足している(136)
2.公共施設が不足している(28)
3.交通の便が悪い(88)
3.自動車の利用環境が悪い(渋滞など)(27)
③
卒業後の進路

中学生の進路動向は、大学まで進学を希望が最も多く、次いで高等学校まで進学を希望
している回答が多いものの、両回答群とも定住意向(将来、函南町に「住みたい」
「どち
らかといえば住みたい」を合わせた回答)が多い結果となっています。

高校生の進路動向は、町内または県内での就職を希望している人が約 6 割いる一方で、
東京圏での大学または専門学校への進学を希望している人が約 9 割となりました。
住みたい
どちらかと言えば住みたい
0%
20%
中学校卒業後、就職を希望
大学まで進学を希望
40%
11%
15%
38%
函南町内
40%
専門への進学を希望
50%
60%
70%
12%
80%
N=3
90%
27%
59%
29%
図 5-6
N=173
その他
29%
10%
33%
24%
N=71
N=8
38%
33%
60%
8%
14%
N=102
卒業後の希望進路(中学生)
59%
静岡県内
その他
33%
13%
大学への進学を希望
30%
11%
8%
67%
20%
N=2
45%
50%
就職を希望
100%
30%
35%
図 5-5
東京圏
80%
34%
その他
10%
60%
50%
25%
大学院まで進学を希望
0%
住みたくない
50%
高等学校まで進学を希望
短大・専門学校まで進学を希望
どちらかと言えば住みたくない
18%
100%
N=17
2% N=106
N=51
29%
N=17
卒業後の希望進路(高校生)
23
3) 企業の意向
地域での雇用など人口の社会増減に関する分析を目的に、以下の調査を実施しました。
①
調査名
函南町まち・ひと・しごと創生に関する企業・団体アンケート調査
実施期間
平成 27 年 7 月 14 日~7 月 27 日
対象者
町内の企業・団体 80 団体
回収数(率)
48 社(60%)
地元の人材の採用意向

地元企業の地元出身者の採用意向は、地元高校生で約 5 割、地元出身者では約 8 割と、
強い採用意向があります。
②
採用時に重視すること

採用において重視する項目として、
「町内在住者または地元出身者」であることは、特段
重視されておらず、
「熱意・情熱・意思の強さ」や「協調性・コミュニケーション能力」
を重視している傾向にあります。
積極的に採用したい
0%
どちらともいえない
20%
40%
地元出身
60%
80%
79%
地元高校生
図 5-7
特に、積極的に採用することはない
100%
15%
46%
35%
6%
19%
地元就職者採用と地元高校生採用意向(N=48)
0
5
10
15
20
25
30
35
40
熱意・情熱・意志の強さ
38
協調性・コミュニケーション能力
37
資格・実績・スキル
23
年齢
16
推薦や紹介
9
町内在住者または地元出身者
学歴・職歴
図 5-8
24
6
4
採用時重視する項目(N=78、複数回答)
③
従業員に対する就業支援

従業員に対する就業支援の項目は、高齢者再雇用制度が最も多い結果となりました。
0
5
10
15
20
25
高齢者再雇用制度
23
女性の活躍の推進
14
障害者雇用制度
8
育児支援
7
住宅補助
6
地域限定社員の採用
5
無回答
5
単身赴任への補助
4
図 5-9
④
従業員に対する従業支援
実際の募集人員

地元就職・U ターン就職を受け入れる際の問題点として、
「U ターン就職希望者に対して、
求人企業の情報がなかなか届かないこと」や「就職希望者とのマッチングの場がない」
ことがあげられています。
求人を出し、募集人数以上の応募があった。
求人を出し、募集人数には満たなかったものの、応募があった。
求人を出したが、応募がなかった。
求人を出していない
0%
積極的に採用したい
どちらともいえない
特に、積極的に採用す
ることはない
20%
40%
60%
37%
29%
50%
43%
33%
80%
100%
5% 8%
29%
67%
図 5-10 実際の採用状況
25
(2) 結婚・出産・子育てに関する調査(人口自然増減にかかわる調査)
人口の自然増減に関する分析を目的に、以下の調査を実施しました。
調査名
函南町まち・ひと・しごと創生に関する町民アンケート調査
実施期間
平成 27 年 7 月 14 日~7 月 27 日
対象者
調査対象:町内在住の 22 歳以上 40 歳未満の男女 2,000 人
回収数(率)
513 人(25.7%)
1) 結婚についての願望

独身者の結婚についての願望は、「いずれ結婚するつもり」が約 8 割となっています。

結婚しない理由は、
「理想的な結婚相手にまだめぐりあわない」が最も高い結果となりま
した。
無回答
3.6%
一生結婚
するつもり
はない
15.0%
いずれ
結婚する
つもり
81.3%
図 5-11 結婚についての願望
すでに結婚が
決まっている
4.1%
その他
7.3%
結婚してからの
資金のめどが
たたないから
4.7%
離婚、または
死別したため
5.7%
結婚するための
資金が足りないから
6.2%
異性とうまく
つき合えないから
14.5%
結婚するには
まだ若すぎる
(遅すぎる)と
今は、仕事
思うから
7.8%
(または学業)に
うちこみたいから
13.0%
今は、趣味や娯楽を
楽しみたいから
6.2%
独身の自由さや気楽
さを失いたくないから
6.7%
理想的な結婚相手に
まだめぐり会わない
から
23.8%
図 5-12 結婚しない理由
26
2) 出産・子育て
①
理想の子どもの数

子どもの数は、2 人以上ほしいと答えた方は、既婚者で約 9 割、独身者で約 6 割となり
ました。

住民が理想とする子供の数は、平均で 2.1 人となりました。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
子どもはいらない
既婚
1%
51%
6%
1人
38%
2人
3人
4人
独身
19%
13%
47%
5人以上
10%
無回答
図 5-13 理想の子どもの数
②
理想の数より少ない理由

理想の子どもの数より尐ない理由は、全ての世代で「子育てや教育にお金がかかりすぎ
る」が最も高い結果となりました。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
子育てや教育にお金がかかりすぎるから
家が狭いから
25~29歳
自分の仕事(勤めや家業)に支障が出るため
36%
15%
14%
7%
子どもがのびのび育つ環境ではないから
自分や夫婦の生活を大切にしたいから
高年齢でうむのは嫌だから
30~34歳
39%
10%
11% 4%
これ以上、育児の心理的、肉体的負荷に耐え
られないから
健康上の理由から
ほしいけれどもできないから
夫の家事・育児への協力が得られないから
パートナーが望まないから
35~39歳
27%
9%
13%
3%
末子が夫の定年までに成人してほしいから
その他
図 5-14 希望の子どもが持てない理由
27
6.
人口の将来展望
ここでは、町の人口の将来展望として、人口減尐克服に向けた課題と目指すべき方向性を示し、町の
将来人口の目標値の設定を行います。
6.1
人口減少克服に向けた課題
函南町は、主に東駿河湾都市圏におけるベッドタウンとして、急激に宅地化が進行し人口が増加しま
した。しかし近年は、長期に渡る経済の低迷により雇用環境の悪化や、人件費の安い海外移転等による
雇用の場が減尐しています。また、若者世代の県外流失により、核家族化が進むとともに、尐子高齢化
が進行しています。
町の主要産業であった農業においても、輸入飼料や燃料費の高騰、貿易の自由化による価格の低迷等
により経営状況が厳しさを増し、後継者が農業に魅力を感じなくなり、新たな雇用の場を求め町外流失
が進んでいます。
このような背景のもと、人口減少対策を何も講じない場合、
町の人口は、現在の約 3 万 9 千人から
50 年後の平成 72 年(2060 年)には、2 万 3 千人まで減少することになります。
人口減尐対策には、人口の社会増加(転入者数の増加)と自然増加(出生者数の増加)の両面があり
ますが、上述の背景をふまえ、先ずは、転入促進・転出の抑制として、安定した雇用の場の確保と函南
ブランドの情報発信が不可欠と考えます。さらに、定住の促進として、快適な居住環境の実現策として
の土地利用誘導と公共交通網の形成が求められています。
6.2
目指すべき将来の方向
近年の富士山や韮山反射炉の世界文化遺産登録や伊豆半島ジオパークの世界加盟に向けた手続きが
進む一方、伊豆縦貫自動車道の整備やこれにネットワークする新東名高速道路、圏央道、中部横断道等
の開通延伸もあり、観光入込客の増加が今後期待できます。
また、函南道の駅・川の駅の事業も進捗する中、観光関連産業への波及効果が期待でき、地場産品を
利用した加工・販売・食の提供等を推進することにより雇用の場が拡大することが考えられます。さら
に、東駿河湾環状道路の開通により物流機能が著しく向上し、企業誘致の環境が整いました。これら企
業誘致の基盤整備に合わせ、定住・移住の促進が図れる住宅地の供給も必要となります。
上記をふまえ、目指すべき将来の方向性を以下のように設定します。
28
方向性 1
若い世代が魅力を感じ、定住・移住したいと思えるまちづくり
方向性 2
子育て世代が安心と希望を感じ、将来にわたって暮らせるまちづくり
方向性 3
高齢者が安全に快適に、希望をもって暮らせるまちづくり
6.3
人口問題に取り組む基本的視点
平成 72 年(2060 年)には、伊豆縦貫自動車道の全線開通や新東名、圏央道、中部横断自動車道等が
開通し、伊豆半島を取り巻く高速道路ネットワークが充実し、また富士山の眺望景観を始め、韮山反射
炉、伊豆半島ジオパーク等世界規模の地域資源と海、山の豊富な食材そして、温泉がある伊豆半島は、
関東圏、中部圏等から身近な観光地として多くの観光誘客が期待できます。
また、函南道の駅・川の駅は、伊豆半島の玄関口に位置し、重点道の駅として伊豆道の駅ネットワー
クとの連携を強化し、各地域の情報発信やイベントを通して交流人口の増加に寄与することが期待され
ており、人口問題に取り組み基本的視点として、考慮すべき事項といえます。
(1)
平成 32 年(2020 年)までの短期的視点
函南町を取り巻く周辺環境としては、国道 414 号バイパスや東駿河湾環状道路西区間、熱函道路にア
クセスする伊豆縦貫道の開通により、市街地周辺の都市基盤が充実します。そのため高齢化に対応した
社会インフラとしては、鉄道駅を含めた市街地内の循環バス等の対策や、山間地への足の確保や生活必
需品の購入対策の検討も必要となります。
産業では、主要産業である農業において、高齢化や後継者不足が深刻な課題となるほか、不安定収入
等の影響もあり婚姻率が低下している現状があるなか、町の農業の存続においては、生産のみの農業経
営でなく、加工・販売や農業体験、加工体験等観光農業を含め、効率的で収益性の高い農業経営への転
換を促すことが必要です。
以上をふまえ、平成 32 年(2020 年)までの短期的視点として、以下の視点を示します。
《平成 32 年(2020 年)までの短期的視点》
短期的視点1 道の駅ネットワークとの連携による観光交流人口の増加
短期的視点2 鉄道駅・市街地と山間地域を結ぶ公共交通の確保
短期的視点3 雇用創出と定住・移住促進のための土地利用誘導推進
短期的視点4 函南ブランドの認定及び周知・PR と、ふるさと納税と連携した情報発信
短期的視点5 インバウンド観光への対応による観光誘客の推進
29
(2)
平成 52 年(2040 年)までの中期的視点
人口減尐対策としては、定住・移住を促進するため JR 函南駅及び伊豆箱根鉄道大場駅、伊豆仁田駅
へのアクセス性の向上と、駅周辺及びこれらを結ぶ地域における雇用の場を創出する土地利用誘導が必
要となります。併せて住宅地造成による宅地の提供、防災対策や子育て支援策の充実を図り安心・安全・
住みよいまちづくりを推進していくことが必要です。
以上をふまえ、平成 52 年(2040 年)までの中期的視点として、以下の視点を示します。
《平成 52 年(2040 年)までの中期的視点》
中期的視点1 土地利用誘導の実現(商業、工業、住宅地、農地)
中期的視点2 駅周辺の土地利用誘導の実現(商業、住宅地)
中期的視点3 市街地と鉄道駅を結ぶ公共交通の確保
30
6.4
人口の将来展望
以上の人口分析とアンケート結果を参考にし、目指すべき町の将来展望を示します。
 町の結婚・出産・子育てに関する意識調査によれば、子どもが 2 人以上ほしいとの若い世代の
希望がみられたことから、合計希望特殊出生率 2.07 を早期に実現することを目指します。
 近年、町をとりまく重要事業(東駿河湾環状道路や内陸フロンティア構想、ファルマバレープ
ロジェクト、伊豆半島グランドデザイン)の機を逃さずに「安定した雇用を創出」し、安心・
安全な生活環境の創出に取り組み、新しい人の流れをつくることで、人口の社会移動の均衡を
目指します。
人口
合計特殊出生率
平成 32 年(2020 年)に 2.07
社会移動
平成 32 年(2020 年)に均衡
平成 72 年(2060 年)に 2.97 万人を確保する
※長期的には 3 万人程度で安定的に推移
何もしなければ、平成 72 年(2060 年)
時点の人口に約 7,000 人の乖離が生じる。
図 6-1
函南町の人口将来展望
31