コーパスを基にした語彙リスト作成と利用 The corpus

コーパスを基にした語彙リスト作成と利用
The corpus-based vocabulary list for authentic materials in Japanese
下浦 伸治 (パデュー大学) SHINJI SHIMOURA (PURDUE UNIVERSITY)
外国語教育における語彙指導の重要性は、古くから指摘されていながら(West, 1930,他)今日でも繰り返し指摘され
続けている(Nation, 2001,他)。初級から中級、そして上級とレベルが上がるにつれ増え続ける語彙数は学習者の負担
となるとともに、教師にとっても、クラスでどのように扱うのかという問題がある。
外国語としての日本語学習では、語彙リストが使用されることが多く、中級レベル以上の日本語の教科書では語彙リスト
が必要であるという考えが一般的であるが、語彙リストの内容・形式などは教科書によって大きく異なっている。(柳
澤・工藤,2010)また、語彙リストと言っても、教科書に付随しているものや旧日本語能力試験の級別語彙リストなど
様々ある上、教師自身が生教材を用いてクラス活動を行う際には、どのように語彙リストを準備するのかという問題もあ
る。
そこで、本研究では、既に公開されている一般語彙リストやコーパス、そして web ツールを活用し、一つの分野に特化
した語彙リストの作成を試みた。日本国外で日本語を学習する学習者は、レベルが上がるにつれ日常で使用する機会の少
ない単語を覚える必要があり、学習意欲を妨げる可能性もあるが、彼らの興味がある分野の教材とそれに沿った語彙リス
トを提供できれば、学習意欲も高まるのではないかと考えた。そこで、全履修者が理工系を専攻している日本語中上級ク
ラスで理工系雑誌の記事を教材として利用する際に、語彙の頻度と親密度を基に語彙リストを作成した。本発表では、そ
の語彙リストの作成と利用について報告し、社会科学系など、他の分野での活用についても考察する。