前回の小テストの回答とコメントへの応答

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1)積極的に振る舞い注目されることを避ける自由
2)誰からも指示をされないので仕方なく好きなことを
する自由
3)自ら目標をたて、その達成のために努力する自由
4)外部からの束縛などを受けず、自分の望むことを行
う自由
正答率87.3%
1)『自由からの逃走』
2)『自然からの逃走』
3)『過去からの逃走』
4)『ナチスからの逃走』
正答率96.6%
1)全体主義などの危険を招く
2)伝統的規範を内面化することでのみ達成される
3)絶対に保護すべき最小限度の消極的自由がある
4)いかなるときも絶対に侵害されてはならない
正答率91.5%
1)自分自身で設計したということに意味があるから
2)人は自分の設計が失敗したとは認めたがらないの
で、無理にでも最善だと思いこむから
3)自分のことは自分が一番よくわかっているので、最
善の設計ができるから
4)自分で設計したものなので、自分で修正するのも
容易だから
正答率82.2%
1)個人の独立を尊重するアトミズムを提唱した
2)原子力エネルギーに頼るアトミズムを批判した
3)欲求の質を区別しない評価を弱い評価と呼んだ
4)欲求の質を区別する評価を弱い評価と呼んだ
正答率51.7%
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アイデンティティという言葉の意味がよくわからない
同一性:「他のものから対立区分されていること
で変わらずに等しくある個の性質をいう」
自己同一性:「ある者が何者であるかについて
他の者から区別する概念、信念、品質および表
現」
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自分は何者なのか?
アイデンティティが問題になるとき、名前や出自がわかる
だけでは十分な答えにはならない
何が善いか、何が価値あるかを判断するためのフレーム
ワーク(枠組み)を提供するのがアイデンティティだと、
テイラーは考える
アイデンティティに関わる強い評価では、対照的な評価
語(気高い/卑怯、誇らしい/恥ずかしい etc.)が
用いられる
対照的ということは、ある種の方向感覚を前提
たとえば上が善で下が悪だとして、気高い振る舞い・誇
らしい行為は、自己を上昇させる
自分の欲求を、対照的な評価言を用いて分節化
(articulate)し、どういう欲求を選ぶのがよりほんものの
(authentic)自分なのかという自己解釈を行っている
※ articulate
authentic
:はっきり表現する、関連づける
:(書類などが)信頼できる
本来の、本物の、
「もともと不完全だったり、混乱していたり、間違って規定
されていたものを完全化する試み」
「分節化を行うということは、われわれが望むものや重要
だとみなすものについての感覚を形成すること」
フレームワークは一から個人が作り出すことは不可能で、
すでにあるものを採用することだけが可能だとテイラーは
考える
フレームワークは人格形成の初期段階でのみ必要なも
の、子供が使う補助輪のようなものではなく、自分の立
ち位置や、進むべき方向を考える上で、常に必要
すべりやすい坂
個人主義は近代の倫理にとって重要な理念
しかしそれが「自分の勝手にして良い」「判断基準を探
すには、他者や社会を見るのではなく、自分の内側だけ
見つめれば良い」という、本来とは異なる思想へとすべり
落ちている、というのがテイラーの考え
哲学的思考のためには言葉の定義・用法について敏感
になること
テイラーの主張は説得力があって納得した。テイラーに
対して批判する人はいないのではないか
誰に対しても、多数の批判者が常にいるのが学問の世
界。ただし「批判する=拒絶する」ではない。先人の蓄
積を捨て去っては進歩がない。
哲学・思想は言葉を通じて表現される以上、さまざま
な解釈の余地がある。
「巨人の肩の上に立つ」生産的な批判精神が大切。
※ 12世紀の哲学者の言葉で、ニュートンが書簡に記
したことで有名。Google Scholarにも表示。
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