乳牛の第一胃発酵を安定させる 分離給与の給餌スケジュール 【背景・目的・成果】乳牛への分離給与法では、第一胃(ルーメン)発酵の安定のため給餌スケ ジュールが重要とされています。しかし、最初に給与する粗飼料や粗飼料給与から濃厚飼料給与ま での時間間隔がルーメン発酵に及ぼす影響は不明でした。そこで、ルーメン液pHを連続測定できる センサーを用いて、給餌スケジュールの違いによるpH変動を比較したところ、最初にイネ科乾草を 給与し、その30分後に濃厚飼料を給与するとルーメン発酵が最も安定することが分かりました。 実験1(最初に給与する粗飼料の影響) マメ科乾草、サイレージ、イネ科乾草 のいずれかを最初に給与 粗飼料 濃厚飼料 粗飼料(残り2品目) 濃厚飼料 実験2(粗飼料給与から濃厚飼料給与までの時間間隔の影響) (イネ科乾草) 0 濃厚飼料 (90分区) 濃厚飼料 (60分区) 濃厚飼料 (30分区) 粗飼料 30 ※各区とも濃厚飼料の30分後に マメ科乾草とサイレージ、60 分後に再度濃厚飼料を給与 60 90 飼料給与開始後の経過時間 120 150 (分) 無線伝送式pHメータ(ルーメンpHセンサー)を牛の胃内 に留置し、10分間隔でルーメン液pHを測定し、1時間毎の pH変動(最も高い値からの低下度)を比較検討した結果・・ 1.2 :給餌開始 マメ科(アルファルファ)乾草 1.0 pH変動幅 0.6 0.4 0.2 0.0 1.2 pH変動幅 :給餌開始 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1.2 イネ科(クレイン)乾草 1.0 60分区 変動幅 コーン主体サイレージ 1.0 0.8 90分区 変動幅 pH変動幅 30分区 変動幅 0.8 1.4 1.2 1.0 pH 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1.4 1.2 pH 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1.4 1.2 1.0 pH 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 0.6 0.4 0.2 0.0 15時 17時 19時 21時 23時 1時 3時 5時 7時 9時 11時 13時 図1 ルーメン液pHの時間帯変動幅 イネ科乾草を最初に給与するとpH変動が最も小さい! 15時 17時 19時 21時 23時 1時 3時 5時 7時 9時 11時 13時 図2 ルーメン液pHの時間帯変動幅 粗飼料給与の30分後に濃厚飼料を給与すると pH変動が最も小さい! 【技術の活用】分離給与方式の酪農家に対する飼養改善指導の技術的根拠として活用します。 兵庫県立農林水産技術総合センター 淡路農業技術センター
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