手づかみで食事をし、 介護者に対して怒り出す

食 事 における困難事例①
手づかみで食事をし、
介護者に対して怒り出す
Aさん(男性・84歳)
経緯・状況
既往歴など
・アルツハイマー型認知症
グループホームに入居中のAさんは、食事のとき、ほかの
入居者と一緒に食事をしますが、途中から箸を使わず手づか
・脳梗塞のため左半身に軽い麻痺
みで口に詰め込みます。介護者がゆっくりと食べるよう促す
・記憶障害
と、怒り出したり、大声を出します。食事中はいつもテレビ
・見当識障害
やほかの人を見るなどして終始落ち着きがありません。
・ADL全介助
対応方法
① 機能面・環境面での工夫
② ケア面での工夫
途中で箸を使わなくなることから、箸の利用に対
介護者に向かって怒り出したり、大声を出すなど
して、認知機能の弊害による障がいがあると考えら
の行為から、介護者の言動に対する反発、どうやっ
れました。そこで、先割れスプーンを用意して、介
て食べたらいいのか分からないもどかしさ、いらだ
護者が口に運ぶまでをサポートし、食器を色分けす
ち、孤独感を感じているようでした。そこで、Aさ
るなどして識別しやすくしました。さらに、テレビ
んに分かりやすいように、介護者が正面からゆっく
や周りの状況がうるさく、食事に集中できていない
り話すように心掛けました。
様子だったため、テレビを消し、周囲の音にも気を
Aさんの立場に立って考えることによってAさんの
配るなどの環境を整えました。
気持ちを理解することができ、介護者の言動、行動
にも変化が出てきました。
改善した内容
先割れスプーンと茶わんをAさんに持ってもらい、
食べ始めるまでをサポートすることで食事の一連の
動作をスムーズに行えるようになりました。
介護者がAさんのペースに合わせて意思確認をし
ながら支援することで、怒り出したり大声を出した
りといった行動が減少しました。Aさんの周りを動
き回らないようにし、テレビを消すことでAさんは
落ち着いて食事に集中できるようになりました。
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