「地球温暖化への生活者の意識」に 関する調査結果

「地球温暖化への生活者の意識」に
関する調査結果
2015年11月
月19日
日
目次
調査の背景と目的
調査方法
調査の主な結果
調査結果
1. 地球温暖化に関する人々の実感
2. 温室効果ガス削減に対する人々の評価
3. 地球温暖化に関する社会的機運の実感
4. 政策目標・国際イベントの認知度
まとめ
2
調査の背景と目的
(背景)2015年は日本及び世界の地球温暖化対策にとって重要な年である
(背景)
2030年の日本の温室効果ガス削減目標が発表
地球温暖化の影響に備える日本の適応計画について、決定予定
2020年以降の世界の気候変動対策の新枠組みが合意の見込み
(目的)地球温暖化について生活者はどのように感じ、考えているのかの
(目的)
現状を把握し、今後の日本の地球温暖化に関するコミュニケーションの
検討素材にするために調査を実施
3
調査方法
調査概要
調査期間
2015年10月10日(土)~10月12日(月)
調査手法
インターネットモニター調査
調査対象
全国の20歳以上の男女約3,000名 (有効回答者2,759名)
有効回答者の基本属性
性別と年代については、国勢調査のデータに割り付けて実施した
性別
年代
20代
12%
女性
53%
男性
47%
60代以上
41%
50代
15%
30代
15%
40代
17%
4
調査の主な結果
● 78%(4人に3人)が自分の生活において既に地球温暖化の影響が始まっていると回答
• 地球温暖化による自分自身の生活への影響は2000年代から多く感じられはじめ、78%の人
が既に始まっていると回答※1した。 ※1:過去のことを尋ねているため40代以上の回答者のみを集計
• 自分自身の生活において地球温暖化の影響を既に感じていると回答した人に、どのような時
に、温暖化の影響を実感し始めたり、温暖化が起こっていると考え始めたのかを尋ねた。その
結果、夏の暑さや猛暑、平均気温の上昇、異常気象や天候不順、豪雨や台風といった現象に
より影響を実感しているという声がほとんどだった。
● 温室効果ガス削減に対するこれまでの取り組みで、温暖化の影響を抑制できると
考えている人は2割程度
• 温室効果ガス削減に対する世界及び日本のこれまでの取り組みで、温暖化の影響を抑制で
きると考えている人は、2割程度に留まり、約6割の人が抑制できないと回答した。
• また、世界各国が温室効果ガス削減への取り組みを本格的に行い始める時期について、約3
割が「(実際にはまだ行われていないが)これまで以前に 行われているべき」と回答した。
● 日本の2030年の温室効果ガス削減目標について、目標を発表したことと、その目標値
まで知っている人は6%
• 日本の2030年の温室効果ガス削減目標について、目標を発表したことと、その目標値を知っ
ていた人は、6%に留まり、約3割の人が、発表したことも目標値についても知らないと回答した。
• COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)について、開催されることと、そこでの合意見
込みの内容まで知っていた人は、6%であった。
5
調査結果
6
1.地球温暖化に関する人々の実感
1.1 地球
地球温暖化の影響に関する
温暖化の影響に関する実感
実感
世界、日本、自分自身の生活のそれぞれにおいて地球温暖化影響が始まったと思う時期は、世界で
の影響が早い時期から始まったと回答した人が多い。
また、自分自身の生活への影響は2000年代から多く感じられはじめ、78%の人が既に始まっている
と回答していた。
地球温暖化の影響開始時期※1
■1990年より前
世界で影響が始まったと
思う時期
■1990年代
■2000年代
■2010~いま
■まだない
■今後も現れない・
(今後はあるかも
しれない)
そもそも起こって
いない
~1990
1990~
2000~
2010~
17%
22%
27%
12%
■わからない
20%
1% 1%
日本で影響が始まったと
思う時期
18%
11%
32%
19%
18%
1% 1%
自分自身の生活への影
響を感じ始めた時期
4%
9%
33%
32%
3%
78%の人が既に始まっていると回答
の人が既に始まっていると回答
0%
10%
20%
30%
※1:本設問は、過去のことを尋ねているため40代以上の回答者のみを集計
40%
50%
17%
1%
60%
70%
80%
90%
100%
(N=2,020)
7
1.地球温暖化に関する人々の実感
1.2 地球
地球温暖化が起こっていると考える
温暖化が起こっていると考える理由
理由
自分自身の生活において地球温暖化の影響を既に感じていると回答した人に、どのような時に、温
暖化の影響を実感し始めたり、温暖化が起こっていると考え始めたのかを尋ねた。
その結果、夏の暑さや猛暑、平均気温の上昇、異常気象や天候不順、豪雨や台風といった現象によ
り影響を実感しているという声がほとんどだった。
地球温暖化の影響を実感し始めたり、地球温暖化が起こっていると考え始めた理由
夏場の暑さが尋常でない。ゲリラ豪雨などの
異常気象。温暖化の影響以外考えられない。
気温の上昇や局地的豪雨などの異常気象や、
夏野菜の不作に伴う値上がりで実感しました。
近年は湿度の上昇が顕著で、温暖化が進んで
いると実感します。
夏、子供の頃は多少暑くても外で普通に遊べ
たが、今は熱中症が心配で子供を外に連れて
⾏くのさえためらわれるようになった。エア
コンをつけずにはいられない日も多くなった。
ゲリラ豪雨や⻯巻被害、熱帯に⽣息する昆⾍
類の北上化、北南極の氷の減少などのニュー
スを⾒聞きして。
(N=2,038)
8
2.温室効果ガス削減に対する人々の評価
2.1 温暖化による影響の抑制可能性
温室効果ガス削減に対する世界及び日本のこれまでの取り組みで、温暖化の影響を抑制できると考
えている人は、2割程度であった。
これまでの地球温暖化への取り組みの評価
■非常にそう思う ■ややそう思う ■あまりそう思わない ■まったくそう思わない ■わからない ■地球温暖化は起こっていない
これまでの世界の取り組みで、
温暖化の影響を抑制できる
16%
36%
23%
21%
1%
21%
1%
3%
これまでの日本の取り組みで、
温暖化の影響を抑制できる
15%
40%
21%
2%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
これまでの取り組みで温暖化の影響を抑制できると考えている人は2割程度
(N=2,759)
9
2.温室効果ガス削減に対する人々の評価
2.2 温室効果ガス
温室効果ガスの
の削減を本格的に行い始めるのに適切な時期
削減を本格的に行い始めるのに適切な時期
世界各国が温室効果ガス削減への取り組みを本格的に行い始める時期について、約3割が「(実際
にはまだ行われていないが)これまで以前に 行われているべき」と回答した。
世界各国の温室効果ガス削減への
取り組みを本格的に行い始める時期
日本の温室効果ガス削減への
取り組みを本格的に行い始める時期
既に行われている
わからない
24%
17%
23%
21%
1%
行わなくてよい 1%
10%
30%
いまより先
(実際にはまだ行われていない)
18%
いま(この1~2年)
これまで以前に
行われているべき
10%
25%
19%
(N=2,759)
10
3.地球温暖化に関する社会的機運の実感
3.1 地球温暖化に関する社会的
地球温暖化に関する社会的機運
機運
地球温暖化に関する社会的機運について、報道の多さ、政府や企業、市民活動の取り組みの積極
性の観点から尋ねた。結果、報道については多くなされていたと感じられている回答は2000年代と
2010年以降とでほぼ同程度であった。
また、政府や企業、市民活動が積極的に取り組んでいると思うと回答した人は、2000年代に入り大
きく増えており、自分の地球温暖化への関心が高いと思う時期としては、2010年からいまにかけて、
最も多くなっていた。
500
500
500
500
500
400
400
400
400
400
300
300
300
300
300
200
200
200
200
200
100
100
100
100
100
0
0
0
0
0
※本ページの設問は、1990年より前からいまの間に関しては複数回答可である。
なお、本設問は、過去のことを尋ねているため40代以上の回答者のみを集計
わからない
600
わからない
600
まだない
600
2010年~いま
600
2000年代
600
1990年代
700
1990年より前
700
わからない
700
まだない
700
2010年~いま
700
2000年代
800
1990年代
800
1990年より前
800
わからない
800
まだない
800
2010年~いま
900
2000年代
900
1990年代
900
1990年より前
900
わからない
900
まだない
1000
2010年~いま
1000
2000年代
1000
1990年代
1000
1990年より前
1000
まだない
自分の地球温暖化へ
の関心が高い時期
2010年~いま
市民活動が積極的に
取り組んでいると思う時期
2000年代
企業が積極的に
取り組んでいると思う時期
1990年代
政府が積極的に
取り組んでいると思う時期
1990年より前
報道が多いと
思った時期
(N=2,020)
11
3.地球温暖化に関する社会的機運の実感
3.2 (参考) 地球温暖化に関する報道件数の推移
地球温暖化・気候変動に関する報道件数の推移は、1997年の京都会議での盛り上がりを機に、
2000年代はベースアップした。特にIPCCからの第4次評価報告書の公表等を機にした2007年から
2010年に掛けてピークとなった後、東日本大震災以降は2000年代前半の水準に戻っている。
地球温暖化に関する報道件数の推移※1
14,000
●関連する主な
●関連する主な出来事
する主な出来事
温暖化
気候変動
IPCC
省エネ
節電
熱中症
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
2015*
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
(件)
1987
0
1988:IPCCの設立
1997:COP京都会議
2005:京都議定書発効
2005
2007:「不都合な真実」日本公開、安倍
総理「美しい星50」、IPCC第4次
評価報告書、
アル・ゴア氏・IPCCがノーベル平
和賞を受賞
2008:福田総理「クールアース推進構
想」、洞爺湖サミット、
中期目標検討委員会(~2009)
2009:鳩山総理「国連総会演説」
2011:東日本大震災
2013:IPCC第5次評価報告書
(~2014)
2015:日本の2030年の温室効果ガス削
減目標の発表、COP21(11月)
※1:4紙(日経・朝日・読売・毎日)の全国版・地域版の朝夕刊を対象。各社の新聞記事データベースにより各キーワードを、「見出し」及び「本文」から検索し、
みずほ情報総研が作成。
* 2015年については、8月31日までの暫定値
12
4.政策目標・国際イベントの認知度
4.1 政策目標・国際イベントの
政策目標・国際イベントの認知度
認知度
日本の2030年の温室効果ガス削減目標について、目標を発表したことと、その目標値を知っていた
人は、6%であった。
COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)について、開催されることと、そこでの合意見込み
の内容まで知っていた人は、6%であった。
日本の2030年の温室効果ガス削減目標の認知度
目標を発表したことは見聞きし、数値まで覚えていた
目標を発表したことは見聞きしたが、数値までは覚えていなかった
6%
42%
9%
28%
14%
目標を発表したことは知らないが、数値について見聞きしたことがある
目標を発表したことも、数値についても見聞きしたことがない
わからない
0%
20%
40%
60%
80%
100%
COP21の認知度
COPが開催されることと合意見込みの内容まで知っていた
6%
44%
29%
COPが開催されることは見聞きしたが、合意見込みの内容までは知ら
なかった
COPが開催されることを見聞きしたことがない
20%
わからない
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(N=2,759)
13
まとめ
今回の調査からは、既に78%(4人に3人)が自分自身の生活においても地球温暖化の
影響を感じ始めていると回答していた。
また、これまでの取り組みで温暖化の影響を抑制できると考えている人は2割程度に留
まり、世界各国が温室効果ガス削減への取り組みを本格的に行い始める時期について、
約3割が「(実際にはまだ行われていないが)これまで以前に 行われているべき」と回答
した。
一方、地球温暖化に関する社会的機運は2000年ごろから高まっていると感じている人
が多く、自分自身の関心の高さについては「2010年からいま」を選んだ人が最も多かっ
た。
本年は、COP21で世界の気候変動対策の新たな枠組みが合意される見込みなど、地
球温暖化対策は政策レベルにおいて重要な年であるが、先ほどのような個人レベルで
の意識の高さに比べ、こうした政策レベルのトピックスについてはまだ十分に生活者に
知られていなかった。
今後の低炭素社会の実現のためには、温室効果ガス削減への機運を更に高め、生活
者の行動に更に結び付けていく必要がある。そのためにも、生活者が地球温暖化の影
響を実感しているいま、政策や世界の動きについての情報を政府や報道機関、地球温
暖化防止活動推進員などのコミュニケーター達が伝え続けていくことは、生活者の背中
を押す規範を醸成し続けることにつながると考えられ、極めて重要と考える。
14
<お問い合わせ先>
部署:環境エネルギー第1部
TEL:03ー5281-5287
担当:小山田・吉川