偶然から生まれる出会い

キャリアの積み方∼私の場合
リレーコラム 20
偶然から生まれる出会い
RAISE Study研究班のメンバーと
国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター
臨床研究企画室 室長 小林 徹
自分でいうのもどうかとは思いま
すが、私ほどおかしなキャリアを重
ねている小児科医は少ないのではな
いかと思います。とある方には私の
経歴はブラウン運動(溶媒中の微粒
子が不規則に動く現象)のようです
ね、と評されました。
な挑戦でしたが、先輩や疫学の先生
にご指導をいただき小児循環器と臨
んでした。目の前の仕事を120%の
床研究のon the job trainingを始めま
尽くす事だけに注力しました。その
中でたくさんのすばらしい先生方、
患者さん家族に出会い、偶然複数の
プロジェクトが成功したことが自分
の今のキャリアにつながっているよ
うに感じています。出会った多くの
方々に感謝しつつ、自分自身がこれ
から偶然出会うであろう多くの方々
す。知識も経験もなかった私でした
ので、当時の事は思い出したくない
くらい苦しいことばかりでした。何
度もやめようと思ったのですが、足
そもそも学生時代は小児科医にな を洗うことができず数年間自分なり
るつもりありませんでした。元々は のbestを尽くす努力をします。そう
外科系に進みたかった私は、某外科 しましたら、なぜか運良く複数のよ
系の科に入局する事を決めます。と い研究成果を上げることができまし
ころが入局のための早朝教授面接を た。そして群馬の枠を超えて全国規
目覚まし時計の電池切れのため寝坊
したことが教授の逆鱗に触れ、入局
拒否されます。そんな私を拾ってく
れたのが小児科の森川昭廣教授でし
た。小児科入局後、重症患者をなく
した経験から絶対に選ばないと心に
決めていたのが小児循環器でした。
ところがたまたま医局人事で小児循
環器を選びなさいと言う指示に逆ら
えなかったことが、私のその後の運
命を決めることとなります。
にpositiveな影響を与えられるよう
な存在になりたいと願っています。
模 の ラ ン ダム 化 比 較 試 験 ( R A I S E
Study)を実施し、主任研究者の東
邦大学佐地勉教授をはじめとした多
小林 徹 くの 先 生 方 の ご 協 力 の 下 、 R A I S E
1997年 群馬大学医学部卒業 同年群馬大学小児科に入局し、関連
病院で小児循環器の診療と川崎病の
臨床研究を実施。 2006年 群馬大学大学院卒業 2012年よりトロント小児病院(カナ
ダ)臨床薬理学分野にて臨床薬理、
系統的レビューについて学ぶ 2015年4月より現職。 Studyを完遂することができまし
た。その後、トロント大学の伊藤真
也教授に師事して主として系統的レ
ビューの仕事を行った後に、現在は
国立成育医療研究センターで自らの
研究テーマを極めると共に、臨床研
究や医師主導治験の企画や実施支援
私が小児循環器の修錬をはじめた を行っています。
2000年、群馬大学の関連病院で川崎
力で取り組み、自分ができるbestを
結果的に自分自身のやりたい事と
病のランダム化比較試験が動き始め は異なる道を歩むこととなった私
ました。今思い返すとずいぶん無謀 は、研究分野にこだわりを持ちませ
プライベートでは3児の父であると
共に全国亭主関白協会の会員として
陛下に仕える日々を過ごす(亭主関
白検定一級取得)。