2011年 10月号 水島協同病院 院内感染防止対策委員会 ICT 発行 作成:岡野 喀痰の品質評価 ∼その痰、ほんとにいい痰?検体提出前にもチェック!∼ ●喀痰検査では「常在菌混入の少ない良質の喀痰をいかに採取するか」が重要になってきます。 ●喀痰の品質評価方法には主に「肉眼的評価」と「顕微鏡的評価」の2種類があります。 「肉眼的評価」とは書いて字のごとく目で見て評価をするもので、検査室だけではなく病棟でも評価することができます。 「顕微鏡的評価」とは、顕微鏡を使って感染の指標となる「白血球数」と雑菌(口腔内、上気道常在菌)混入の指標となる「扁平上皮数」 を基準に評価するものです。 ◆顕微鏡的評価 ↓細菌検査の「塗抹結果」のところを参考に ◆肉眼的評価 悪 グループ 白血球数 扁平上皮細胞数 ・粘性痰の中に少量の膿性痰 1 <10 >25 ・膿性痰で膿性部分が1/3以下 2 10∼25 >25 ・膿性痰で膿性部分が1/3∼1/2 3 >25 >25 ・膿性痰で膿性部分が2/3以上 4 >25 10∼25 ※下に行くほど良い痰ということ。 5 >25 <10 ※多量の血液が含まれた検体も培養には不適と されています 6 <25 <25 良 ・唾液、完全な粘性痰 口腔内汚染が考えられる (培養に適していない×) 良質とされている◎ ※⑥は経気道吸引痰では良質とされる。それ以外では× ← 良い ← 悪い → ★検体提出前の基本的留意点★ ① 適切な時期に採取する ⇒感染症の検体は起因菌が最も多く含まれている時期に採取すべきであり、呼吸器感染症ではその症状が最も強い時期 に喀痰を採取する ② 抗菌薬治療前に採取する ⇒治療の開始によって病巣中の細菌数は急激に減少し検出が困難となるので、治療開始前の検体採取が大原則!! ③ できるだけ無菌的に採取し、常在菌の混入を最小限にとどめる ⇒喀出される過程で上気道、あるいは口腔内の常在菌の汚染を受けるため、うがいなどを行わせて常在菌の混入・汚染を 最小限にとどめる ④ 必要十分な量を採取する ⇒検体量が少ないと含まれる細菌の数も少なくなり、検出しにくくなる この段階で明らかな唾液様の検体しか得られない場合は、可能 な限り検体を再度採取した方が良いと考えます
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