層状粘土触媒ハイドロタルサイトおよびモンモリロナイトを用いる One-Pot 反応系の開発 Development of Heterogeneous One-Pot Reaction Systems Using Layered Clay Catalysts 本倉 健、藤田 紀輝、森 浩亮、水垣 共雄、海老谷 幸喜、金田 清臣* Ken Motokura, Noriaki Fujita, Kohsuke Mori, Tomoo Mizugaki, Kohki Ebitani, and Kiyotomi Kaneda, Department of Materials Engineering Science, Graduate School of Engineering Science, Osaka University 560-8531 大阪府豊中市町兼山町 1-3, 大阪大学大学院基礎工学研究科 Tel: +81-6-6850-6262, Fax: +81-6-6850-6260, E-mail:[email protected] Several one-pot reaction systems have been developed using heterogeneous catalyst based on clay materials, hydrotalcite (HT) and montmorillonite (mont). A ruthenium-grafted hydrotalcite (Ru/HT) efficiently promoted one-pot syntheses of quinoline derivatives and α-alkylated nitriles through a cooperative catalysis by the surface Ru species and base sites. A combi-catalyst system using a Ti4+-exchanged montmorillonite (Ti4+-mont) and the HT also promoted the efficient acid/base one-pot reactions. 複数の反応を同一反応器内で進行させ、目的生 還元反応、アルドール反応などを進行させてキノ 成物を得る one-pot 合成は、従来の他段階を経る リン誘導体 3)および α-アルキル化ニトリル化合物 合成法と比べ、煩雑な中間体の単離操作を省き、 4) 反応に必要な時間、エネルギー、試剤を最小化で 固体酸触媒 Ti4+-mont の 3-20 Å の層間に存在する きるなどの利点をもつ環境調和型の合成法であ H+酸点と, 平均粒径 40 µm の HT 粒子表面の塩基 る。1)しかしながら、現行の化学プロセスにおけ 点とは接触しないため、複数の酸塩基反応、例え る one-pot 合成の達成は困難な場合が多い。なぜ ばアルドール反応、マイケル反応、エステル化反 なら、複数の反応を行うために必要な、活性種同 応 、 ア セ ター ル 化 な どを 連 続 し て進 行 さ せ 、 士の相互作用による失活や、各反応における最適 one-pot で 目 的 生 成 物 を 得 る こ と が で き る 条件が大きく異なるためである。これら問題点の (Figure2)。5) の one-pot 合成を可能とした(Figure 1)。一方、 解決には、複数の活性点を創成でき、それらが他 の試剤の存在下でも影響を受けることなく機能 A し、かつ種々の反応条件に適応可能な高機能触媒 OH- RuIV の開発が必要である。 HCO3- 不均一系触媒を用いた精密有機合成反応は、触 H2O 媒の分離・回収・再使用の容易さから, 近年, 注 目を集めている。中でも, 天然に存在する層状粘 Product [B] OH CO32- H2O Figure 1. One-Pot Reaction Using the Ru/HT Catalyst 土鉱物ハイドロタルサイト(HT)やモンモリロナ イト(mont)は、カチオン・アニオン交換能、強い 塩基性および酸性、活性金属の吸着能などの特徴 A から、新規な不均一系触媒としての利用が期待さ H+ O Ti O Ti Ti O O H+ Acid (Ti4+-mont) および mont 触媒を開発し、効率的有機合成を可 本研究では、上記の層状粘土触媒の特性を活か した one-pot 反応系の開発を行っている。単核 4 価 Ru 種 を 表 面 に 固 定 し た Ru 表 面 固 定 化 HT(Ru/HT)は固体表面に塩基点と Ru 種を有する 多機能触媒としてはたらき、アルコールの酸化・ HCO3OHOHH2O れている。当研究室では、これまでに種々の HT 能としてきた。2) Product [B] CO32- Base (Hydrotalcite) Figure 2. Sequential Acid/Base Reactions 1) N. Hall, Science 266 32 (1994). K. Kaneda, et al. J. Org. Chem. 65 6897 (2000), Green Chem. 2 157 (2000), Angew. Chem. Int. Ed. 44 3423 (2005). 3) K. Kaneda, et al. Tetrahedron Lett. 45 6029 (2004). 4) K. Kaneda, et al. J. Am. Chem. Soc. 126 5662 (2004). 5) K. Kaneda, et al. J. Am. Chem. Soc. 127 9674 (2005). 2)
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