食品表示検定初級用 『食品表示法ガイドブック』 2015年8月 一般社団法人食品表示検定協会 食品表示検定はこの度の試験より2015年4月に施行された食品表示法に基づいた出題となります。 第12回初級試験については『改訂3版食品表示検定認定テキスト・初級』および、食品表示法の主な変 更点をまとめた本冊子【食品表示法ガイドブック】からの基礎知識と、それを理解した上での応用力を問 います。認定テキストに加え、本冊子もご参照の程よろしくお願いいたします。 また初級試験をお申込いただきました皆様には、請求書送付時に本冊子を1部同封させていただきま す。団体申込の受験者の皆様には、お手数ですがこちらよりダウンロードもしくは同封資料をコピーの上 ご利用くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。 なお食品表示法に基づいた『改訂4版食品表示検定認定テキスト・初級』は、2016年1月に発刊の 予定です。 -食品表示の新しい法律- 1. 食品表示法とは 2015年4月1日に施行された食品表示に関する新しい法律です。食品表示法は、これまでの「食品衛生 法」「JAS法」「健康増進法」の 3 法で定められていた食品の表示に関する規定を統合して、包括的で一元的な 制度としたものです。 法律の目的 食品表示法の目的は下記の通りであり、販売される食品に関する表示について、基準の策定その他の必要 な事項を定めています。 食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的で合理的な食品の選択の機会を確保することで、一般 消費者の利益の増進を図る 国民の健康の保護・増進、食品の生産・流通の円滑化、消費者の需要に即した食品の生産の振 興に寄与する 2. 旧制度からの主な変更点 これまでの「食品衛生法」「JAS法」の食品表示に関する基準の統合整理に加えて、新たな表示制度として 機能性表示食品に関する制度が設けられました。また、任意表示だった栄養成分表示が義務化されたことも 大きな変更点です。 ① 生鮮食品と加工食品の区分 以前は JAS 法と食品衛生法で異なっていた食品の区分について、JAS 法の考え方に基づいて区分が整理さ れました。これまでの基準では製造と加工の定義が 2 つの法律で異なり、各々の法律で生鮮食品と加工食品 の対象となる食品の範囲が異なるものが発生していたことを改善したものです。(改訂3版初級認定テキス トP27 図表 4 参照) 区分の統一・整理では、軽度の撒塩、生干し、湯通し、調味料等により、簡単な加工等を施したものが、 新たに加工食品に区分されました。また、これらの食品については、加工食品となったことで、新たに「ア レルゲン」「製造所等の所在地」等の表示義務が課されました。 (例:ドライマンゴー 等) ただし、従来から食品衛生法で安全のために表示を義務付けていた内容(食肉における鳥獣の種類や、魚 介類の生食の可否などの表示)については、新法でその食品の区分が変更されても表示が必要となります。 ② 原材料名表示等 旧制度で原材料名欄に表示されていた添加物とアレルゲンについて、表示方法に大きな変更がありました。 [1] 食品表示検定初級用 『食品表示法ガイドブック』 ● 添加物 添加物については、「添加物」と添加物以外の「原材料(食品)」とを明確に区分して表示することとな りました。 原材料と添加物を明確に区分する方法として、別記様式の原材料名欄の次に「添加物」の事項名で欄を設 けて記載する方法のほか、スラッシュ等の記号や改行する方法が例示されています。 【原材料名欄と添加物欄を設けた例】 原材料名 いちご、砂糖 添加物 ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC) 【原材料と添加物を記号で区分した例】 原材料名 いちご、砂糖 / ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC) 【原材料と添加物を改行で区分した例】 原材料名 いちご、砂糖 ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC) 【原材料と添加物を罫線で区分した例】 原材料名 いちご、砂糖 ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC) ● アレルゲン これまでの基準では「酵母エキス(小麦を含む)」といった個別表示と、「酵母エキス、…、(原材料の 一部に小麦を含む)」といった一括表示のいずれかで表示することとされていましたが、食品表示法では、 原材料名の直後に括弧を付して表示する「個別表示」が原則的な表示とされました。なお、一括表示につ いても相当程度普及していること、また、一覧性があるなどのメリットを踏まえ、個別表示が難しい場合 や個別表示がなじまない場合などは、一括表示も可能とされています。 【個別表示の表示方法】 特定原材料等を原材料として含む旨又は食品に含まれる添加物が特定原材料等に由来する旨を、原則、 原材料名の直後に括弧を付して表示します。表示方法は従来通り、次のように表示します。 ① ② 原材料に特定原材料等を含む場合は「《原材料名》(《特定原材料等》を含む)」と記載。 例)「…、酵母エキス(小麦を含む)、…」 添加物が特定原材料等に由来するものである場合は、「《添加物》(《特定原材料等》由来)」 と表示。 例)「…、乳化剤(大豆由来)、…」 【一括表示の表示方法】 一括表示を見ることで、その食品に含まれる全ての特定原材料等を把握できるようにし、アレルギー 表示の見落としの防止を図るため、特定原材料等そのものが原材料として表示されている場合や、代替 表記等で表示されているものも含め、一括表示には当該食品に含まれる全ての特定原材料等を表示する こととなりました。 原材料名 ○○○(△△△△、ごま油)、ゴマ、□□、×××、醤油、マヨネーズ、た ん白加水分解物、卵黄、食塩、◇◇◇、酵母エキス 調味料(アミノ酸等)、増粘剤(キサンタンガム)、甘味料(ステビア)、 ◎◎◎◎、(一部に小麦・卵・ごま・大豆を含む) ※下線は特定原材料等を含む食品 ※二重下線は代替表記及び代替表記の拡大表記であるが、一括表示にも表示 ※実際の表示には下線も文字囲も必要ありません [2] 食品表示検定初級用 『食品表示法ガイドブック』 <特定加工食品及びその拡大表記の廃止> また、対象となる特定原材料(義務)7 品目と特定原材料に準ずるもの(推奨)20 品目に関する「代替表 記」と「特定加工食品」のうち、「特定加工食品」とその拡大表記が廃止されました。 廃止 廃止 継続 特定加工食品 特定加工食品の拡大表記 代替表記 アレルギー物質が含まれることが明白 特定加工食品の名称を含んでいる 表記方法や言葉が違うが、アレ なときに、アレルギー物質名を表示し ため、アレルギー物質名を表示し ルゲンを含む食品と同一である なくてもよいとして認められたもの。 なくてもよいとされるもの。 ということが理解できるもの。 例:マヨネーズ 例:からしマヨネーズ 例:卵⇒エッグ ③ 製造所固有記号 旧制度では、販売業者が表示に責任をもつものとして製造者の製造所所在地の異なる製品を販売する場 合、製品を製造する工場が1つの場合でも製造所固有記号での表示が認められていましたが、新制度では、 原則として、同一製品を2以上の工場で製造する場合に限り利用可能となります。また、製造所固有記号 を使用する場合には、次のいずれかの事項を表示する必要があります。 製造所所在地等の情報提供を求められたときに回答する者の連絡先 製造所所在地等を表示したWebサイトのアドレス等 当該製品の製造を行っている全ての製造所所在地等 この製造所固有記号のルールは、2016 年 4 月 1 日に施行されます。 【同一製品を 1 つの工場で製造した場合の表示例】 旧 新 1つの工場では 製造所固有記号は 使用できません! ④ 栄養成分表示 栄養成分の表示については、国民の健康意識の高まりや国際社会の義務化への取組等の現状などを踏ま え、従来の栄養成分表示に関する課題を整理したうえで、新基準で表示が義務付けられました。 ● 対象となる食品と栄養成分等 <対象となる食品> 原則として、予め容器包装に入れて消費者に販売される全ての加工食品と添加物が義務化の対象となり ました。生鮮食品や外食及び業務用加工食品は対象となりません。また、栄養上あまり意味の無い食品、 酒類、日替わり弁当のようにレシピが短期間で変更される食品群等では表示が免除されます。 なお、消費税法第9条第1項で消費税を納める義務が免除されている事業者と小規模事業者(概ね従業 員が 20 人以下。商業、サービス業は5人以下)についても、栄養成分表示の省略が認められます。 <対象となる栄養成分等> ・義務表示の対象となる栄養成分及び熱量は、次の 5 項目です。 「熱量」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ナトリウム」 このうち、ナトリウムについては「食塩相当量」で表示することとなりました。また、任意でナトリウ ムを表示する場合は、ナトリウムの量の次に「食塩相当量」を括弧書きで表示します。ただし、ナトリ ウムの表示ができるのは、ナトリウム塩を添加していない食品に限定されています。 旧 新 食塩相当量に 変更! ・推奨表示の対象となる栄養成分及び熱量は、次の 2 項目です。 「飽和脂肪酸」「食物繊維」 [3] 食品表示検定初級用 『食品表示法ガイドブック』 ⑤ 栄養機能商品 栄養機能を表示できる食品として、機能性表示食品のカテゴリーが新設されたことにより、従来の栄養 機能食品の対象となる成分の見直しが行われました。 ● 対象となる食品と成分 旧法では、対象となる食品は「加工食品」と「鶏卵」でしたが、新たに「鶏卵以外の生鮮食品」も適用の 対象となりました。また、「n-3系脂肪酸」「ビタミンK」「カリウム」の 3 成分について、栄養機能 が表示できる成分として追加されました。 ⑥ レイアウト 小さい容器の食品の表示ルールについて、表示可能面積がおおむね 30 ㎝2以下の場合でも、安全性に関 する表示として、次の表示事項については省略できないこととされました。なお表示可能面積とは表示事項 を表示しても判読が困難な部分を除いた容器包装の表面積をいいます。 <省略できない表示事項> 「名称」「保存方法」「消費期限又は賞味期限」「表示責任者」「アレルゲン」 「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」 3. 新たな機能性表示食品の制度 特定保健用食品や栄養機能食品とは異なる新しい食品の機能性表示制度が新設されました。この制度で機 能性が表示される食品を「機能性表示食品」と言います。 ● 機能性表示食品とは この機能性表示食品は、特定保健用食品の ように国が個別に許可を与えたものではな く、「事業者の責任で、科学的根拠を基に 商品パッケージに機能性を表示するものと して消費者庁に届け出られたもの」です。 ● 制度の特徴 出典:消費者の皆様へ 「機能性表示食品」って何? 疾病に罹患していない方(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む)及び授乳婦を除く)を対象 にした食品で、生鮮食品を含めた全ての食品(一部除く)が対象となっています。安全性及び機能性の根 拠に関する情報や健康被害の情報収集体制など必要な事項は、商品の販売前に、事業者が消費者庁長官に 届け出ることとされ、届け出られた情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。なお、特定保健用食 品とは異なり、国による安全性と機能性の審査は行われていません。 ● 機能性表示食品の表示事項 食品の機能性として「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の 目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる食品です。 消費者への情報提供のため、パッケージに一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量、摂 取の方法や摂取する上での注意事項などの注意喚起事項、事業者の連絡先などの定められた表示事項適の 記載が必要となります。なお、食品の機能などに関して可能となる表示は、“疾病に罹患していない方の 健康の維持及び増進に役立つ旨又は適する旨”の表示に限られています。 [4]
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