臨床研究に関する同意書管理マニュアル【研究者版】

2015/02/28
臨床研究推進室
臨床研究に関する同意書管理マニュアル【研究者版】
1.
背景
これまで当院では臨床研究に関する同意書管理は研究者に一任しており、同意書の取
扱いは明確に定められていなかった。「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針
(平成26年12月22日文部科学省・厚生労働省告示第3号)
」において「研究に係
る試料及び情報等の保管」について明記されたことを受け、必要な期間、適切に保管
するよう院内手順を明確にし管理する必要がある。
2.
目的
研究責任者・分担者が、被験者から得た同意書(研究開始時、実施中の再同意時)
の取り扱い手順を理解し、適正に保管・管理することができる。
3.
本マニュアルの適応範囲
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年12月22日文部科学
省・厚生労働省告示第3号)
」および「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
(平成13年3月29日、文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示1号、平成16
年12月28日全部改正、平成17年6月29日一部改正、平成20年12月1日一
部改正、平成25年2月8日全部改正)
」に基づいて行われる文書同意を必要とする医
学系研究。
4.
用語の定義
1)同意書
被験者(または代諾者)が自由意思に基づいた当該臨床研究への参加又は継続につ
いて自署した文書。
2)被験者識別対応表
当該臨床研究の参加に同意した被験者のカルテ番号・氏名と新たに付された符号又
は番号(被験者識別番号、登録番号等)を対応させる表。
3)研究責任者
当院において当該臨床研究に係る業務全般を統括する者。
4)研究分担者
研究責任者から当該臨床研究の分担業務の指示を受け、院長から研究分担者として
指名された者。
5)研究者等
研究責任者その他の当該臨床研究の実施に携わる関係者。
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6)個人情報管理者
院長の指示を受け、被験者の個人情報が院外に漏えいしないよう個人情報を管理す
る責任者。
7)個人情報管理者(補助者)
個人情報管理者の指導・監督のもと、本マニュアルの適応となる臨床研究の同意書
原本と被験者識別対応表を管理する者。
5.
本マニュアルにおける「同意書(原本)
」の考え方
通常診療では電子カルテ内に取り込まれている診療に係るあらゆる文書が原本となる
(診療録取扱規程)が、本マニュアルにおける「同意書(原本)」とは、ICH-GCP に
準拠し、被験者(または代諾者)が自署した文書のことを指す。
6.
本マニュアルにおける研究責任者の責務
1)同意書が適正に保管・管理できるように本マニュアルに沿い運用を行うこと。
2)研究者等に対して本マニュアルを遵守するように必要な指導及び管理を行い、研究責
任者が自ら点検を行うこと。
7.
同意書管理の具体的手順
1)受託研究審査委員会(IRB)終了後から研究開始まで
(1)研究責任者は、IRBより当該臨床研究の承認を得た後、当該臨床研究に必要な書
類(
「同意書(原本)」
、
「被験者識別対応表」、研究計画書、IRB 関連書類等)を保管
するための A4 ボックスファイル(以下ファイル)をIRB事務局より受け取る。
(2)研究責任者は、ファイルの保管場所を決定し、ファイルの使用目的・方法、保管場
所等について研究者等へ周知する。
・同意書はすべてファイルに入れて、一括保管とすること。
・ファイルの保管場所は、原則として不特定多数の人の出入りがなく鍵のかかる場
所とする。
2)研究実施中
(1)研究責任者・分担者は、研究を開始する前に被験者から必ず自由意思に基づく文書
による同意を取得する。併せて電子カルテにも必ず同意取得したことを記載する。
(2)研究責任者・分担者は、同意取得日に電子カルテのスキャン用に同意書の写をとる。
<外来の場合>
研究責任者・分担者は、
「同意書(写)」を同意取得日にカルテ庫へ提出する。
<入院の場合>
研究責任者・分担者は、
「同意書(写)」を入院用書類ファイルに入れ、
退院時にカルテ庫へ提出する。
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(3)研究責任者・分担者は、速やかに(同日に)「同意書(原本)」をファイルに保管す
る。
①研究責任者・分担者は、同意取得後は速やかに「被験者識別対応表」に必要事項
を記載する。
②研究責任者は、「同意書(原本)」と「被験者識別対応表」に不整合がないか、適
宜確認し、当該臨床研究全体の同意取得数を常に把握する。
3)継続審査時(IRB 初回申請から1年後。以後、毎年 1 回審査が必要。
)
(1)研究責任者は、継続審査書類の提出時に、以下の(ア)と(イ)をIRB事務局に提出
する。
(ア) 「同意書(原本)」
(イ) 「被験者識別対応表(写)
」
※(イ) は写しを提出し、原本は引き続き使用する。
※(ア)と(イ)は個人情報が記載されているため、封筒に入れて提出する。
これらの書類はIRB事務局経由で個人情報管理者(補助者)に提出される。
(2)研究責任者は、個人情報管理者(補助者)から同意書管理状況の疑義照会があっ
た場合には、速やかに対応する。
※疑義事項が解決しない場合は、被験者の倫理性が確保されていないと見なし、当
該臨床研究の新規エントリーの一時停止や研究実施の承認取り消しも有り得る。
(3) 研究責任者から提出された「同意書(原本)」と「被験者識別対応表(写)」は、
個人情報管理者(補助者)が研究課題ごとに同意書保管用 A4 ファイルに入れて
保管する。
4)研究終了時
(1)研究責任者は、研究終了報告書類の提出時に、以下(ア)と(イ)を併せてIRB事務
局に提出する。
(ア)同意書(原本)
(イ)被験者識別対応表(原本)
※(ア)と(イ)は個人情報が記載されているため、封筒に入れて提出する。
これらの書類はIRB事務局経由で個人情報管理者(補助者)に提出される。
(2)研究責任者は、個人情報管理者(補助者)から同意書管理状況の疑義照会があっ
た場合には、速やかに対応する。
(3) 研究責任者から提出された「同意書(原本)」と「被験者識別対応表(原本)」は、
個人情報管理者(補助者)が研究課題ごとにファイリングして保管する。
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5)研究責任者交代時の対応
(1)研究責任者が退職や異動する場合は、IRB事務局に速やかに報告し、研究責任
者変更手続きを行うとともに、新しい研究責任者に同意書管理について次の内容を
引き継ぐ。
(ア) 同意書(原本)が入ったファイル(保管場所、管理方法の説明含む)
(イ) 研究分担者が同意書を取得した場合の研究責任者への受け渡し方法
(ウ) 直近の継続審査時に提出している書類の内容
8.保管期間
「同意書(原本)
」と「被験者識別対応表」が入ったファイルは、当該臨床研究の終了に
ついて報告された日から 5 年を経過した日又は当該臨床研究の結果の最終の公表について
報告された日から 3 年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管する。
保管期間終了後にファイルを廃棄する場合は、個人が特定できない方法で廃棄する。
9.施行日
本マニュアルは平成 27 年 4 月 1 日以降に新たに取得した同意書管理から施行する。
なお、平成 27 年 3 月 31 日以前に取得した同意書の保管・管理については、従前の通り
として差し支えない。
しかし、研究責任者から要望があり「同意書(原本)」と「被験者識別対応表」が整合し
ている場合は、個人情報管理者(補助者)に保管を依頼することができる。
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臨床研究に関する同意書管理方法の流れ
※平成 27 年 4 月 1 日以降に新たに取得した同意書管理から施行。
IRB事務局より当該臨床研究に必要な書類(「同意書(原本)
」、
「被験者識別対応表」
、研
究計画書、IRB 関連書類等)を保管する A4ボックスファイル(以下ファイル)を受け取る
研究責任者は、ファイルの保管場所を決定し、
ファイルの使用目的・方法、保管場所等について研究者等へ周知する
被験者から文書同意取得
同意取得日に同意書のコピー(
「同意書(写)
」)をとる
「同意書原本」をファイルに入れる
「同意書(写)」
をカルテ庫にお
ろす
「被験者識別対応表」に ID・氏名と被験者識別番号を記載し、ファイルに入れる
ファイルは研究責任者が一括保管
【継続審査時】※IRB 初回申請から1年後。以後、毎年 1 回審査が必要
・「同意書(原本)」
・「被験者識別対応表(写)
」
臨床研究推進室に提出
・実施状況報告書
【研究終了時】
・直近の継続審査以降の「同意書(原本)」
・
「被験者識別対応表(原本)」
臨床研究推進室に提出
・終了報告書
※「同意書(原本)
」と「被験者識別対応表」が入ったファイルは、当該臨床研究の終了に
ついて報告された日から 5 年を経過した日又は当該臨床研究の結果の最終の公表について
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報告された日から 3 年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管する。