授業研究に関する研修の充実のために 第4章 Ⅰ 授業改善に向けて 1 保護者向け資料で授業の質を上げる 「保護者向け資料作成」 1 はじめに 推進のために 「授業が命」とはよくいわれる言葉です。しかし、中学校現場では、 <研究部の役割> 行事の準備、生徒指導、学級事務、保護者との対応、部活動の指導等 に追われてしまうことも多いのが現実です。さらに中学校は教科担任 ○年度初め 制であるため、「授業研究」といっても、教科任せにな ることも尐な ・職員会議において「保 くありません。学校全体として授業力を向上させていくためには、教 護者向資料の作成」に 科の枠を超え て校内全 体で一致して 取り組ん でい く試みが 求めら れ ついての趣旨説明と ます。 提案 小学校ではよく行われていることですが、中学校においても保護者 ・具体例の提示 向けの公開授 業の時に 全ての教室で 「保護者 向け資料」を 作成し 、 A4 プリント 1 枚程度を授業者が作成し、授業会場の入口に置いてお ○公開授業1週間前 くという工夫も効果的です。 ・資料作成の連絡 2 ○授業公開後 作成の目的 資料を作成する主たる目的は、保護者に授業の見所を伝え、授業の 内容に興味をもっていただくことです。しかし、もう一つ、教師の授 ・資料の提出依頼とファ イリング 業力を向上させるという目的もあります。それは、授業をする教師が、 授業をする上でのポイントを再確認し、焦点化された授業を実施する このような流れで、 ためのものです。「保護者向け資料」を作成するためには、保護者に 研究部が中心となって もわかるように授業を説明できなければな りません。普段よりも一段 声かけをする。 噛み砕いた教材解釈が指導者には求められるのです。つまり、「保護 資料の作成は年4回 者向け資料」を作成することにより、授業の質を向上させることが期 (4月、5月、11 月、 待されるのです。 12 月)公開授業ごとに 行い、その内容につい 3 各教科での動き ては、校内研修会のテ 多忙化により、時間割の中に「教科会」のコマの設定も不可能にな ーマとして活用してい った現在、資料を作るために教科での打合せの時間等を一斉に確保す くことも視野に入れて ることは実質的には困難です。また、公開授業は年度始めの忙しい時 いる。 期と重なることが多く、放課後に一斉に「教科会」を取る時間もあり ません。僅かな時間を生み出しながら打合せをし、資料の作成を行 わ なければなりません。 しかし、時間的には短いながらも、打合せの中では、例えば新任の 教員は同じ教科の教員から資料の作成の仕方を聞いたり、2人以上で 同じ教科・学年を組んでいる教員は互いに授業内容について相談した りするなど、工夫し授業研究に取り組む必要があります。また、作成 したものについて互いに検討し合うなど、教員同士の学びあいの場と もなります。 校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 68 授業研究に関する研修の充実のために 第4章 Ⅰ 1 4 授業改善に向けて 保護者向け資料で授業の質を上げる 資料の実際 年度初めの職員会議で「保護者向け資料」の具体例を提示します。 しかし、詳細な形式までは定めません。したがって、教科ごとに、保 保護者向け資料の例 護者に分かりやすいように工夫して作成することとなります。 この他にも、授業の見所を分かりやすく文章化したもの、生徒が使 用するワークシートに短いコメントを加えたもの、教材文に保護者向 「保護者へ分かりやす けのコメントを加えたものなどが見られ、各教科で工夫している様子 く伝える」いう観点を大 が伝わります。この「保護者向け資料」は、授業を通して学校と保護 切にし、特に共通の書式 者を結ぶ架け橋となり、かつ、教員間で授業力向上を図る一助となる を設定しない。 のです。 各教科、教員ごとに 様々な工夫のある資料が 5 終わりに 作成される。 現在、年間4回の全ての公開授業において「保護者向け資料」を作 成しています。現状では作成するだけで精一杯です。しかし、今後、 この資料をもとに「どう授業改善を図っていくか」を校内研修会のテ ーマとして話し合っていければと思ってい ます。 校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 69
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