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シリーズ「始まりつくるヒト!」
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「既成概念を、打ち破る」
富田にとって、そのろ過の仕組みや自浄
極的に売り込まない」というものだった。
機能の原理などはそれほど重要な情報
切削加工という工程の主役は切削で
ではない。富田がVORTEXに食いつい
あり、クーラントはそれを裏側で支える
たのは、それが顧客のクーラントユニッ
脇役的な存在にすぎない。普段フォーカ
トの簡素化に貢献すると考えたからだ。
スされないところだから、考え方も変わ
「切削液のタンクを小さくできるうえに、
りにくいのがクーラントだ。
「既成概念
画期的なシステムは、時に画期的過ぎてユーザーに受け入れられない。既成概念が新しいシステムへの
二次タンクとそこで使うポンプもいらな
を打ち破るために、まずはそこに問題意
理解を阻害してしまうのだ。しかし必ず課題解決につながるという信念を持って、既成概念を崩すとこ
くなる。フィルタのメンテナンス負担も
識を持ってもらい、テーマの一つに取り
軽減できるだろう。動作の原理はともか
上げてもらうことを、最初の目標にした」
く、顧客の課題解決に貢献できることは
(富田)
。わざわざ遠回りなプレゼンを、
東陽
ろから始めればユーザーは納得してくれる。それを実践しているのが機械・工具商社の株式会社東陽だ。
同社取締役の富田基実は、顧客の現場にある潜在的な問題を浮かび上がらせ、新たな選択肢を提示
することで、顧客とともに始まりをつくっている。
確かだ」
(富田)
。
顧客やクーラント装置メーカーなどに展
ただし、実際にこれを顧客にどう提案
開することにしたのである。
富田 基実 氏
東陽 取締役 第二・第六営業部熱処理事業部担当
実は富田は技術にことさら明るいわけ
カーを中心に活動を展開しており、顧客
トポンプ「VORTEX 」の存在を知った時
するかを考えると、相当困難なことが予
そうしたアプローチだから、当然なが
ではない。東陽に入社した1987年から
であるメーカーにスタッフを常駐に近い
だった。
想された。VORTEXの仕組みがあまりに
ら採用までにはかなりの時間がかかる。
「VORTEXを必要とする潜在顧客は今
営業ひと筋の富田は、新しい製品につい
形で配置し、要望にいつでも迅速に応え
もユニークなために、顧客にその真価を
最初の1台を納品できたのは、提案活動
の10倍は存在する」
。富田はVORTEX
て技術的な裏付けを自ら調べ尽くすよう
られる体制を整えている。
理解してもらえない可能性もあるからだ。
開始から2年後だった。しかし問題意識
のポテンシャルをそう分析する。必要な
な技術者的行動には無縁だ。
富田がユーザーに喜ばれる機械や工
VORTEXは、マシニングセンタによる
VORTEXはフィルタの内蔵などによ
の定着から丁寧に段階を踏んできてお
ところに 確 実 にリーチ するために、
しかし富田が目を付けた製品は、なぜ
具をかぎわける際のポイントは、極めて
切削加工で、加工部に吹き付ける切削
り、クーラントユニットの構成自体を変
り、価値の共有ができている。そのため
VORTEXに対する知識を深め、各課に1
かいつもユーザーに高く評価される。東
シンプル。
「顧客の課題解決に直結する
液を送り込むクーラントポンプ。通常、
えてしまう。クーラントユニットに対す
その後も相次いで購入されているという。
人ずつVORTEXのスペシャリストを配
陽が取り扱う工作機械や産業機械、工
もの」という点だけだ。常時寄り添うよ
クーラントのシステムでは切削液を循環
る顧客の既成概念が強ければ強いほど、
遠回りな提案は、下手をすれば実ビジ
置し、戦略的な営業活動を可能にしよう
具などのメーカーにとっては、富田に認
うな形で顧客のものづくりを長年サポー
させて再利用するため、液をろ過する装
VORTEXは理解されにくいだろう。富
ネスに結びつかない恐れもある。しかし
というのがVプロジェクト発足の狙いだ。
められることが、製品の市場での評価を
トしてきた経験が、顧客にとって何が課
置も組み合わせて、吹き付けた後の液
田も「自分自身、クーラントポンプに対
「必ず顧客の課題を解決できる」という
占う一つのバロメータと言われるぐらいだ。
題で、どういうものを用意すれば解決で
から切粉を除去しなければならない。
する思い込みがあった」と振り返る。
確信と、
「顧客のものづくりに貢献する」
例を積み重ね、それを全社で共有するこ
東陽は、ものづくりの現場で必要な機
きるかを判断できる能力の下地にある。
VORTEXはこのろ過のためのフィルタ
ならば「最初に必要なステップは、その
という揺るぎない信念を富田が持ち続
とで大きな潜在需要を引き出せるはず」
械や工具を幅広く扱う専門商社。富田
富田はある日、一つの製品に対して
をポンプに内蔵しているのが特長で、そ
既成概念を崩すこと」
(富田)
。しかもそ
けたからこそ、理想的な結果に行き着い
と富田は意気込む。
が率いる第二営業部や第六営業部は、
「これは顧客が関心を持つに違いない」
のフィルタは日本オイルポンプが独自に
の既成概念を崩さなければならない相手
たのだろう。
富田がVORTEXに注力する背景には、
同社の主要顧客である自動車関連メー
と嗅覚を働かせた。ユニット型クーラン
開発したタービュランスフィルターによ
は、顧客だけではない。クーラント装置メー
り自浄機能を持つ。
カーも納得させなければ、VORTEXを組
「まだまだユーザーを広げられるはず」
VORTEXへのユーザーの評価が定着す
しかし技術に長けているわけではない
み合わせたユニットは実現しないはずだ。
2015年4月、東陽社内にあるプロジェ
れば、同製品の取扱商社が一層増える
ものづくりの現場で定着したクーラン
クトチームが立ち上がった。VORTEX拡
ことが予想される。激戦を勝ち抜くには、
トへの既成概念をどうやって崩していく
販のために製品知識を高めることを目指
高度なサポートなどで差別化を図らなく
べきか。富田はVORTEX開発元の日本
した勉強会を行うチームだ。VORTEXの
てはならない。
オイルポンプの担当者と思案を巡らす中
名を冠し「Vプロジェクト」と名付けられた
しかし顧客の既成概念を崩し、問題
で、一つの戦略に行き着いた。
プロジェクトでは、富田配下の部門のう
意識を持たせて需要を生み出すという、
ち三河地区の6つの課から1名ずつの代
商談成立までの“ 方程式 ”を確立した同
脇役に問題意識を持ってもらう
表者が毎月集まり、日本オイルポンプの
社の優位性は、そう簡単には揺るがない
その戦略とは「敢えてVORTEXを積
担当者を招いて勉強会を開催している。
だろう。
(敬称略)
東陽は工作機械や工具の専門商社として、自動車関連メーカーなどを顧客に持ち、国内だけ
でなく海外でも幅広く事業を展開している
「自分も思い込みがあった」
日本オイルポンプのユニット型クーラントポ
ンプ「VORTEX 」は、クーラントユニットに求
められるろ過機能を一体にした。ろ過用のフィ
ルターは独自開発の機構により自浄機能を持
つ。写真は2014 年 10月発売の大流量タイプ
「VORTEX CI 」
URL ◦ http://www.nop-vortex.jp/
「専門知識を活かした営業活動で導入事
ライバル 商 社との 競 争 激 化 がある。
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