こ遅 延 心に響く言葉 落語家の林家たい平さんをご存じの方も多いと思います。日曜日の夕方にテレビで放映されている長 寿番組「笑点」のレギュラーメンバーの一人です。同時に某美術大学の客員教授もされている、この林 家たい平さんがある教育シンポジウムにシンポジストとして参加されたときの発言を紹介したいと思い ます。 林家たい平さんは、 「私は小学校や中学校の時、先生にとってなかなか扱いづらい子どもでした」とお っしゃっています。しかし、その「扱いにくい」自分をとても見事に「扱ってくれた」先生がおられた そうです。 中学 1 年の時には英語が大嫌いだったそうですが、その時の英語の先生が「きみ、外国の歌が好きな ようだから、これから毎回授業の前に好きな洋楽の歌詞を書いてきて、みんなの前で歌いなさい。」と言 われたそうです。たい平さんは最初は歌を歌うだけでしたが、次第に歌詞の意味を知りたくなり、自然 に辞書を引くようになり、英語が好きになったそうです。 また、同じく中学校の社会科の歴史のテストで「徳川家康と石田三成は( )で戦いました」 という問題が出題されたときのことです。たい平さんは正解がわかっていましたが、反抗的な生徒だっ たので、あえて、 「必死」で戦いましたと答案用紙に記入したそうです。しかし、その問題の採点は×で はなくて△が付けてあり、5 点中 3 点でした。さらには赤ペンで「確かに必死で戦ったに違いない。この 発想は悔しいけど先生にはなかった。君だけの発想だから否定しない。」と書かれていたそうです。 たい平さんを美術に夢中にさせてくれた高校の先生は卒業の時に、次のように言われたそうです。 「毎 日美術館に行けるわけではない。毎日素敵なお芝居が見れるわけではない。しかし小さいことは周りで いっぱい起こっているのだ。些細なことで感動する心を養っておくんだよ。そしたら人に感動を伝える ことができる。 」たい平さんはこうした先生からの言葉で、人生、答えは一つじゃないということを学ん だそうです。 私も子どもの頃はもとより、大人になってからも、先輩からかけてもらった言葉がきっかけで、目の 前に道がパッと広がった経験が幾度もあります。ですから、最近は特に大人が子どもにかける言葉の重 みをひしひしと感じています。「もう、何をしてるの!?」「そんなことでは駄目だろう!!」等々、子 どもの言動に対してついつい投げかけてしまう私たち大人の言葉です。しかし、これらの言葉は大人の そのときの感情を顕しているだけであって、これらの言葉で子どもが俄然やる気を持ってくれるとは思 いません。それより、心が折れたり、壁にぶつかってマイナス思考になっている子どもが、一転してや る気を持ってくれるような言葉をかけられる大人でありたいですね。このことを新年にあたっての私の 1 年目標に掲げようと思っています。本年もよろしくお願いいたします。 校長 五十嵐 信博
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