ヒガシガシ2014冬号no1

八坂上町店と白川通新橋店の2店舗を東山
区に構える、手造り時計とアクセサリーの
お店「dedegumo」。今回は職人長の堀さく
らさんから、手作り時計の魅力と、仕事と
してのものづくりの面白さ・難しさを語っ
ていただきました。
dedegumo 職人長 堀 さくらさん ●――お名前と現在の活動について教えてください。
手造り時計とアクセサリーを取り扱っている
「dedegumo」の職人長、堀さくらです。職人仕事なので、
時計のデザインから、制作、新作発表、店頭販売まです
べて携わっています。店頭の商品も、1点ものではない
ので、売れるたびに再度制作しています。dedegumoは東
山区に2つの店舗を構えているほか、卸しとオンライン
ショップもしていて、今は主力で作れる職人が私だけな
ので、全店舗分の時計をほぼひとりで作っています。他
のデザインの仕事を考えたこともあったのですが、自分
でデザインした時計を、自分で作って自分で販売できる
仕事ってなかなかないので、離れられなかったですね。
●――現在のお仕事を始めたきっかけは?
昔からものづくりが好きで、特に絵が好きだったんで
す。ちっちゃい頃から画塾にずっと通っていて、高校も
公立の美術学校に進学したんですよ。その流れで大学も
京都の美大の油絵科に進学したんですけど、美術の学校
に入った時に、親に「絵では食べていけないよ」ってず
っと言われていて。それに自分自身も絵で食べていく気
はなくて。というのも、絵は自分にとって「自己表現」
であって、言葉にできない心の内面を表面化する手段だ
ったので、それを売るとなると違うなっていうのをずっ
と感じてたんです。そう思っていたこともあって、大学
の時は就職について悩んでいました。アーティストにな
るといっても、このご時世ですから、面白さやインパク
ト、そういうタレント性が重視される世界と感じていて、
それもしっくりこないから諦めていたんです。でも諦め
きれない気持ちもあったので、舞台美術のスタッフとか、
アニメーターとか、ちょっとでも美術に携われる仕事を