平成 27年度 第 39回 臨床検査精度管理調査 《微生物学的検査

平成 27年度 第 39回 臨床検査精度管理調査
《微生物学的検査》
【サンプルⅠ:便由来株】
患者・現病歴
:10 歳代、男性
朝より発熱を認め、近医にて CFDN 等が処方された。その後、
体温 40℃、悪寒、戦慄、嘔吐などを認め救急外来を受診し入院
となった。下痢はなかった。急性胃腸炎が疑われ FOM 点滴静注さ
れたが、急性腎不全状態となり、抗菌薬を MEPM に変更、γグロ
ブリン投与、持続的血液濾過透析などが施行された。一旦良くな
り退院となったが、退院 3 日後から、発熱、下痢、全身倦怠感な
どの症状が出現し、再入院となった。
血液生化学検査:WBC 1,100/μL、CRP 4.3 ㎎/dL(初回入院時)
微生物検査
:再入院時の便から本菌が分離された。
貴施設の日常検査法によって菌を分離し、同定検査を実施してください。
【サンプルⅡ:尿由来株】
患者・現病歴
:70 歳代、女性
20 年前より糖尿病。3 年前から悪化してきた下腿浮腫治療目的に入
院となった。入院時より悪寒発熱があり、尿培養で菌が検出されたた
め、CTM200mg×3/day を 3 日間投与、その後 MEPM0.5g×2/day
で 10 日間投与。症状軽快し 4 週後退院となった。
血液生化学検査:入院時 WBC 6,800/μL、CRP 0.9mg/dL 退院前日 WBC 8,300/μL、
CRP 0.2mg/dL
尿検査
:入院時 色調淡黄色、混濁(+)、pH5.5、比重 1.005、蛋白(3+)、糖
(2+)、ケトン体(-)、潜血(+/-)、ウロビリノーゲン(+/-)、ビリルビン(-)、
亜硝酸塩(2+)、白血球反応(3+)
退院前日 色調淡黄色、混濁(+/-)、pH6.5、比重 1.015、蛋白(3+)、
糖(+/-)、ケトン体(-)、潜血(+/-)、ウロビリノーゲン(+/-)、ビリルビン
(-)、亜硝酸塩(-)、白血球反応(-)
微生物検査
:入院時の尿培養からは、Klebsiella oxytoca が >105CFU/mL 分離さ
れ、その後、退院前日の尿培養より本菌が、104CFU/mL 分離された。
貴施設の日常検査法によって菌を分離し、同定検査と薬剤感受性検査を実施してく
ださい。
【サンプルⅢ:フォトサーベイ 喀痰由来株】
患者・現病歴
:60 歳代、男性
患者は肺癌に対して外科的手術の既往があり、長引く発熱と咳嗽など
のため近医を受診した。受診時の体温は 38℃で、レントゲンにて胸水の
貯留を認めたため入院となった。その後、精査にて膿胸と診断され開窓
術が施行された。
血液生化学検査:WBC 10,500/μL(好中球 84.3%)、CRP 7.6mg/dL
微生物検査
:手術時、膿培養を実施した。
血液寒天培地で 35℃、2 日間培養後、表面が綿毛状で白色から暗緑
色を示す集落が形成された(フォト a)。
ラクトフェノール・コットンブルー染色にて隔壁を持つ菌糸、表面平滑な
分生子柄、頂囊、分生子が観察された(フォト b)。分離株の巨大集落
(29℃、3 日間培養)をフォト c に示す。
患者背景およびフォトから微生物名を推定してください。
[フォト a]
[フォトc]
[フォトb]
結果記入上の注意
1. 菌名は学名で記載して下さい。省略せず、属種フルスペル、半角イタリックで記入し
て下さい。属までの場合は「sp.」として下さい。(エクセルファイルの菌名のセルは、イ
タリックで固定されています。「sp.」の部分もイタリックのままで結構です。)亜種まで判
明した場合は、亜種まで記載して下さい。
2. 従来法の欄は、従来法のみを対象とします。同定キットや自動機器で判定された性
状は記入しないで下さい。
3. 薬剤感受性検査は、表に記載の薬剤で行って下さい。貴施設にない薬剤は空欄の
ままでお願いします。
4. 薬剤の判定は、阻止円直径ないしMIC値から、S・I・Rを判定して下さい。ブレイクポ
イントは原則として、CLSI M100-S20 以降を使用して下さい。ただし、ESBL等の
耐性菌を疑う場合は確認試験を実施し、その結果をフリーコメントに記載して下さい。
5. ディスク法で阻止円が認められない場合は、『0』として下さい。
6. MIC値の表記に使用する不等号は、『≦』,『<=』,『<』,『>』,『≧』,『>=』など、原
則として機器で表示された記号で記入して下さい。なお、MIC 値がはっきりと出た薬
剤はそのまま数値のみ記入して下さい。例:0.5,1,2,4 等
7. 感染症法において、届け出が必要な場合は、フリーコメントに記載して下さい。