富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 「ナラ枯れJ はその後どうなったのか? a 援林環舗懐中島審制舗(p 1 2 .7 8 ) 総浦禦遺(p 3 8 ) 1 .はじめに ーナラ枯れの多発した二次林一 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ{以 下.カシナガ}がもたらすミズナラやコ ナラの枯死線審です.森林はその成固か ら、人合唱えた『人エ林』、原生闘な『自 然林』、伐擦や山火事で務林が潮失した後 に自然に再生した『=次林』の 3つに分 けられますが.ナラ枯れはこのうち=次 林で多錯しました.富山県の二次林の多 〈は、かつて薪の縁取や艇の隼産のため 利用されていた、コナヲ、ミズナラ.ヲ i 優占する棒です.富山県の=次林面 ナt 積は 9 6 1 k m 'で、海林の 3 崎、県土の 2 3 ー を占め、平野慨をとりま〈ように分布し )、里山の主要な掻観要震ともなっ ( 園1 9 伺年代の鐙斜革命後、直書店包 ています0 1 材生産にI ま司同期されな〈なりましたが、 現在でもオガ紛やパルプ材の隼産のため 利用されているほか.野生生舗の生息地 や人々の保健休釜の場としても樋能して います. ζ のような織々な修館を持ち、 県肉に広〈分布する二次林に、ナラ枯れ は大きなインパクトを与えました. . 2では.ナラ縮れ畠曹 研究レポート町o の実態と防除や、被害跡地の寂林更新に ついてまとめましたが、 ζ のレポートで : t 餅化の は、敏容の分布と権移、被害のi 末の分解過砲、後書による海 要園、柏署E 林の変化について報告します. 園 山 田 二次林 . AI# .ョ .. 園 1 富山県の自総事事、二次称、人.:r.~事の分布 思君臨省相生・よ明作成 2 .ナラ枯れ被害の分布と推移 むね園 1の=次林と人工綜の分布暗にあ たります. 民有林全績における被害嗣査 ナラ枯れした木の•< r志、紅葉より早 い時期に薬が. . 褐色にI t 色するため、遺 〈から見τも目立ちます.そこで、富山 県でl 志、毎年夏期に車道からの回復によ りナラ枯れ木の位置と本象を飽録する翻 査を、.林振興センターで実抱してきま した.調査範囲は民有林の金績で、おお 徳容の分布と推移 被害l ま 加2年に有川県携に位置する l 目福先町の医主山で初めて発生が棺偲さ れた後、県金調 に鉱散しました〈園 2 、3 ) o 県北京傷への鉱散温度は量夫で 4 6 k m /年 a 1 ー 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 圃圃圃圃圃「一丁一−−. ・・ J DM ーーす 舗....,,...御匁<•蜘•nO 40000「 3 0 0 0 0i 盈 2 0000寸 : t e句”。寸 ~ 園 2 ナラ縮れ有臨書分布@年~纏. s•.i& " ~.2 G 鈎1 1 1 1 均単位で鏑僻 0 2 4 8 81 0 ・ a e ・ 過 隼 ’E 年か6 f 歯観年官官 園 4 3~メッシユ{鏑 1如肉における敏膏 の初舞年からの包通年豊富別@犠樋2 脈融 ’m O凹 o R ! ' m 111·1~·ii 盲腸年 圃 Sナラ枯れ織曹の鉱微温租 a:~) 0 I~ I 鎗鍋本. 園 5 績鍋本訟の年~権移{左}』E繍高分布{右} 温え’h宇co2-101孟百,2002-錨10~司~·す 〈へと、園 3の拡散過程を追うように 2 0 C l 凶年から 2 . 0 1 0年にかけて移動してい きました.各地械での也容推移を.す、 被害のあった 1 k n rメッシュそれぞれにお ける初先年からの経過年敏到の結鍋本数 を見ると〈園 4 ) . 2年後に量も多〈なり、 6年後にほぼな〈なっていました. 桔絹本.の全県個l 玄 、2 0 0 5年に急婚し、 2 0 0 9年に最大に遣して、2 0 1 1年に滋滅し 沈飾化しました【園 5左}.舗損が多かっ たのは、線高 5 0 伽前後のミズナラの優占 度が高い楓高帯でした{園 5右 〉 . と速く、 2 0 0 5年に朝田町@絹縄県域内遣 しました.県北西部へは 2 0 0 9年にJ l t 見市 北舗の石川県横に、県商酉侮【EJll続:•> へは 2 0 0 5年に旧上平材の岐阜県績に、県 南鶴{神通川流域}《肱却7年に聞大沢 野町の院阜県績に遣しました.県南東認 の標高 1 閃伽を超える有峰地区をI I て峨 阜県績に遣したのは 2 0 1 0年で、 ζ の年ま でに新たな地婚への被害の鉱触はほぼ. 7しました. 被書の滋しい地峨{園 2の赤いメッシ ユ ) I 志、県爾酉却の初舞地慮からより遺 2 ー 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 ( 3 .低標高域におけるナラ枯れの沈静化 E \恩︶幽面再ベ酷 ︵刷 カシナガの穿入履歴と被害の推移 標高の低い地域において,被害が沈静 伽1 )を対象に,被害 化した林分(標高 2 8 の発生から沈静化までの期間中,ナラの 生死とカシナガの穿入孔の有無を調べま した(図的。 被害が沈静化するまでに,ほぽ全ての ナラが穿入されていました。しかも,穿 入された年は 1年に隈らず,多くのナラ が複数年にわたって穿入されていました。 ところが,このようにほぼ全てのナラが カシナガに穿入され,さらには生き残っ たナラも再度の攻撃を受けるようになっ 0 1 1年)を境にし たとき(図 6の 2 0 1 0∼2 て,穿入孔数はみるみる減少し枯死木 の本数も次第に頭打ちとなりました。 具体的に,穿入 1年目・ 2年目・ 3年目 .・・・・・と攻撃されたその年数(穿入年数) ごとに抽出したナラの穿入孔数と枯死率 ),穿入年数が 2 を比較したところ(図 7 年目以降になると,同じくらい穿入され ているにもかかわらず枯れにくいことが わかりました。 1 5 0 1 0 0 5 0 。 ︵ま︶冊眼目碍揺 MW 1 0 8 6 4 。 2 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 穿入年敏 図 7 カシナガの穿入年数とコナラ穿入木の 穿入孔密度および本数枯死率 胸高直径 10cm以上の穿入木を調査.穿入孔密度は地 上高 0 .5 ∼1 .5 mの範囲が対象.穿入孔密度のパーの 上端と下端は最大値と最小値,ボックスの上端と下 端は第 3および第 1四分位数,ボックス肉の仕切り は中央値を示す.本数枯死率には,穿入された年の 翌年以降に量れて枯死したもの(年越し枯れ)は含 まない. 8 0 5 0 4 0 6 0 3 0 4 0 2 0 守−ON 門戸ON NFON 8 。 1 0 FFON 88 ON ~ ∞OON 。 − 。 2 0 \恩︶樹脂dJヘ品開 6 0 ︿凡E 融 ︵ま︶姻面e u πベ 1 0 0 亡コ1年自 己 コ 2年目 亡 コ 3年目 ・ ・ ・ ・ ・・ 4年目 5年目 6年目 圃枯死 イト 穿入孔密度 調査年 国 6 コナラ穿入木の生死とカシナガの穿入年数および穿入孔密度の推移 胸高直径 1 0 c m以上の立木を調査.穿入孔の有無は地上高 0 2 m .穿入孔密度は地上高 0 . 5∼1 .5 mの範囲 が対象. 3 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 被害が沈静化する過程において, ナラ とカシナガの寄主・寄生者関係に, どの ような変化が生じたのでしょうか。 口生存・穿入 1年目 口生存・穿入 2年目以降 ︵両\腎︶舗唯畢剖笹川 hJ召醤 力シナガの穿入履歴と繁殖 木の中で羽化した力シナガの成虫は, その親が空けた穿入孔を通って,木の外 へ脱出します。したがって,穿入孔に毘 を仕掛けて,脱出した成虫を捕獲すれば, 雌雄のつがいから次世代の成虫がどのく らい繁殖したかがわかります。 2箇所の林分(標高 1 6 0 m• 2 8 0 m)にお いて,ある年に被害を受けて枯死したナ ラと生き残ったナラから,翌年に脱出し た成虫を調べたところ(図 8 ),どちらの 林分でも枯死木からは多くの成虫が脱出 しましたが,生存木からは少なく,とり わけ穿入年数が 2年目以降になる生存木 からはほとんど脱出しませんでした。 これらの結果から標高の低い地域で は,ほぽ全てのナラが穿入された状態に なり,生き残ったナラはカシナガの攻撃 を受けても枯れにくく,カシナガの繁殖 にも適さなくなったと推察されました。 カシナガは古くなった枯死木でも繁殖で ( ・枯死 4 0 3 0 2 0 1 0 。 1 6 0 m 2 8 伽 調査地の楓高 園 8 コナラ穿入木の生死およびカシナガの 穿入年散と穿入木から脱出した 1穿 入孔当たりのカシナガ成虫個体数 胸高直径 1 0 c m以上の穿入木を調査.被害の発生後 4 年が経過した調査地において,地上高 0 .5 ∼1 .S mの 範囲にある穿入孔各叩個に羽化トラップを霞置. きないため,個体数が減少し被害は沈 静化したと考えられました。被害を受け て生き残ったナラではカシナガの繁殖が 困難な理由として,新たに巣作りできる 場所が少なく,餌となる菌もうまく育た ないためと言われています。 4 .高標高域におけるナラ枯れの沈静化 被害地の標高と被害の推移 被害はさらに高い地域へと拡大し,標 高 1 .00伽を超える林分まで広がりまし た。このような地域においても,被害が 沈静化した林分(標高 6 1 0∼1 .160m)を 対象に,被害の推移を調べたところ(図 的,標高が高くなるにつれて,カシナガ に穿入されていない,すなわち無被害の ナラの割合が太きく,逆に枯死木の割合 は小さくなり,被害は減少しました。こ ) のことは,「ほぽ全てのナラが穿入された 状態になると,被害が沈静化する」とい う,標高の低い地域での説明に当てはま りません。カシナガの繁殖に適した無被 害木が残存していたにもかかわらず,被 害はどうして沈静化したのでしょうか。 被害の発生は,標高が高くなると遅れ る傾向が見られますが,被害の沈静化は 0 1 2年以降)であること 同時期(図 9の 2 に注目しました。 4 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 標高 610m 1 0 0 標高 990m 口 1年目 8 0 口 2年目 ・ ・ ・ 6 0 口 3年目 4 0 ~ 4 口 4年目 5年目 2 0 。 e ロ p、 e 回 語 • 6年目 ・枯死 c . 、 < 司 司... 標高 860m ~ 1 0 0 . . ( Cilεヨ,− 標高 1160m 8 0 6 0 4 0 伺FO剖 司FO剖 ON NFON OFO副 司OON 園 口O 刷 ﹄ hOON 白白ON 司FO剖 伺FO剖 FFON NFON D ON − 司OON 旬。。副 田口ON h o o N 。 − − 2 0 掴査年 図 9 ミズナラ穿入木の生死とカシナガの穿入年散の推移 胸高直径 1 0 c m以上の立木を調査. 高の低い地域と高い地域が同時期に沈静 化したと考えられました。 ︵ば\贋︶語雄恩剖世記﹂召還 被害地の標高と力シナガの繁殖 同じ河川の流域で標高が異なる林分 ,1 6 伽1 )において,枯死し (標高 3 3 0∼ 1 たナラから脱出した成虫を調べたところ 伽1の地点ではわずかし ( 図1 0),標高 8 6 9 0 m以上の地点では全く脱出しませ か , 9 んでした。標高が高くなると,気温は低 下し,冬には長い間雷に閉ざされるため, 厳しい自然環境が力シナガの繁殖を抑制 していると考えられました。 これらの結果から繁殖していなかっ た標高の高い地域でも被害が発生したの は,標高の低い地域で繁殖したカシナガ が標高の高い地域へと移動したからであ り,標高が高くなるほど速くまで移動し なければならず,被害が減少したと推察 されました。その後,標高の低い地域で は,ほぼ全てのナラがカシナガに穿入さ れ,カシナガの繁殖が困難となったため, 標高の高い地域への移動が途絶えて,標 4 0 3 0 2 0 1 0 。 3 3 伽 610m 860m 9 9 伽 1 1 6 伽 調査地の標高 園 10 林分の標高とミズナラ枯死木から脱 出した 1穿入孔当たりのカシナガ成 虫個体数 胸高直径 1 0 c m以上の穿入木を調査.地上高 0 . 5∼ 1 .5 聞の範囲にある穿入孔各 1 0個に羽化トラップを 設置.3 3 0・ 6 1伽 の 調 査 地 は 2 0 0 9年と 2 0 1 0年 , 8 6 0・ 9 9 伽の調査地は 2 0 0 9∼2 0 1 1年 , 1 1 6 0 mの調査地は 2 0叩年と 2 0 1 1年の平均値. 5 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 5 .ナラ枯れ枯死木の分解過程 , , J( . j (加以下) n 枯れ葉が残存 枝と幹のみ m v IV l 小枝が揖存 [ ]文枝と幹のみ n 主幹の折損 [ ] 主幹の転倒 l 園1 1 枯死木の接存形態の区分 1 2),枯死後 1 ∼2年が経過すると,小枝 枯死木の危険性 被害地では.ナラの枯死木が多数発生 しました。カシナガが枯死木の中で繁殖 する期聞は,枯れた年の翌年までですが. 枯死木はその後も他の昆虫や木材腐朽薗 など,分解者の慢入にさらされます.こ れらの枯死木を立木のまま放置すると, 折損・転倒して周辺を通行する人や車に 危険を及ぼす心毘があります。 が全て脱落したW の形態が出現するよう になり,危険の大きな主幹の折損は早け ∼6年後 れば 2年後から主幹の転倒は 4 から出現していました。 これらの結果から,樹下の安全を十分 に考慮すると.枯死木は 2年以内に伐倒 することが望ましいと考えられました。 口 I 口 E 口E 枯死木が分解される過程 枯死木を残存形態の遭いによって I∼ 羽に区分し(園 1 1),枯死後の経過年数 が異なる枯死木を比較して,分解の過程 を調べました。枯れた年には枯れ葉が枝 に残っていますが( I).年を越すと脱落 して枝と幹のみとなり( I I),次に小枝が >,やがては太枝と幹のみ 脱落し始め となります(IV)。年数がさらに経過する と,主幹が折れたり( V)根元から転倒 したり(羽)します。 ・ w・ v羽 ・ 1 0 0 Ee掘 ︿ま︶伽 関 印 相 M宵 2 0 。 c m 0 年 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 枯死後の軽過年敵 園 1 2 ミズナラ枯死木の枯死後の経過年数 と残存形態 胸高直径 1 0 師以上の枯死木を調査.被害の発生 枯死木が分解されるまでの期間 被害地にある複数の林分(コナラ 4箇 所・ミズナラ 4箇所)を調べたところ(図 後 5年が経過した調査地において.枯死後の経過 年数別に抽出. 6 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 ( 森林の変化を固定調査区で捉える 森林の資源量や樹種組成が、ナラ枯れ でどのように変化したか明らかにするた 9 8 7∼1 9 9 0年に県内全域に設定した め 、1 1 6の固定調査区における、 2 0年間以上に わたる林分動態を解析しました。調査区 は、ブナ、ミズナラ、コナラのうち 1種 または 2種が優占する二次林で、コナラ は O∼400m、ミズナラは 4 0 0∼B O Om、ブナ 0 0 m以上の標高帯で優占していまし は8 た(図 1 3)。胸高直径 5cm以上の木につ 0 1 3年まで いて、毎木調査を数年間隔で 2 繰り返しました。 れ前」と「ナラ枯れ中」に分けて、調査 区ごとに年あたり本数枯死率を算出しま 4)。ナラ枯れ前にも枯死する した(図 1 木は年に剖前後ありましたが、樹種によ る差はありませんでした。これらは、主 に下層の被圧木の枯死でした。一方、ナ ラ枯れ中は、ミズナラはコナラやフナよ 4は年あ り枯死率が高くなりました。図 1 たりの枯死率ですが、ナラ枯れ中の期聞 7 %..ミズナ を通しての枯死率は、ブナ 2 9 %..コナラ 3 6 切であり、ミズナラは大 ラ7 部分の木が枯れてしまいました。ミズナ ラはコナラよりもナラ枯れしやすいこと は、普遍的な傾向として知られています。 枯死率 県肉でナラ枯れが初めて確認された 2 0 0 2年を境として、調査期間を「ナラ枯 . . . . 100 × ぷ • A 日 曜 揮 困 塩 x 80 cA × 60 × 40 量 。。 企く f ' . . × 。 20 資源量 ナラ枯れ前の期間にもある程度の枯死 4)からもわかるよ 率があったこと(図 1 うに、二次林ではナラ枯れが無くとも被 圧木の枯死により本数は減少していきま す。一方で、残存木は成長して太くなっ ていきます。そこで、ここでは資源量の 指標として、本数と幹の太さにより決ま る胸高断面積合計を用います。 フナは全期間を通じて増加傾向で、 7 調査区すべてで調査開始年より 2 0 1 3年 0 " 'o f " " ' 6. f ' . . ~ 0 0 g ~ OONF 0 N 0 f ' . . ム f ' . .12 " ' x ォ 。 。 。 恒 ) 6 .ナラ枯れによる森林の変化 ナ∼/二/ J一見。/ ミズナラ J O O 。 r o o 。 o nunununu q d 内 441 ︵ ω毛宅︶古姻標固極極量 m h円 図1 4年あたり本数枯死率 閉じアルファベットには同水準で有 意差がないことを示す a﹃ − − 市 h円 vhv門川 本 m −ホ円 小 Ehvn川 、 、 + y 由E a 白川ム ー 刷 b 圃ム auqdnu 4︸ F岨宵凶再提緩慢 a a a 行 a 白司 ︵ 吐 ナラ枯れ前 4ノ ︿ / 標高(m ) 園1 3標高と優占率(調査開始時)の関係 コ ナ ラ 長 浜て 8 9 9 02 α) ( 2 0 1 0 1 1 9 9 02 0 0 02 0 1 0 1 9 9 02 0 0 02 0 1 0 西暦年 園1 5胸高断面積合計の推移 7 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 研究レポート No.10 Mar. 2015 の方が多く、平均で 1 .4 3倍になりました ( 図1 5)。一方、ミズナラは 2 0 0 5年以降 にナラ枯れの影響を受けて顕著に減少し、 1 2調査区すベてで開始年より少なくな り、平均で 0 . 2 5倍まで激減しました。こ のことは、ナラ枯れはミズナラの資源量 に地域レベルで大きな影響を与えたこと を意味します。コナラは一部の調査区で 2 0 0 9年以降にナラ枯れの影響で減少し ましたが、開始年と比較すると 6調査区 中 5調査区で多くなり、平均で 1 .3 1倍に なりました。コナラについては、全体と してみると、ナラ枯れによる枯損量を上 回る成長量があったため、資源量へのナ ラ枯れの影響は大きくなかったと言えま す 。 することが期待されます。一方、ミズナ ラやコナラの幼木は、暗い林内では成育 できないため、あまり生えていませんで した。従って、ナラ枯れ被害が激しかっ た林では、多様な樹種が混交する林に変 化していくと推察されます。ただし、マ ルパマンサクなどの斜立した樹形にしか ならない小高木樹種が繁茂している場合 )、高木樹種による更新が進 もあり(表 1 みにくいこともあるでしょう。 ナラ枯れ被害が大きかったのは、ミズ 0 0∼8 0 伽 ナラの優占度が高かった標高 4 ( 図1 3)の二次林なので、今後は特にこ の標高帯における森林の変化を注意深く 見守っていく必要があります。 表 1ナラ枯れ木の下に生えていた木 ナラ枯れ後の森林 ナラ枯れ木の下には、コハウチワカエ デ、フナ、コシアブラ、ウワミズザクラ といった暗い林内でも成育できるタイプ の高木樹種が生えていました(表 1 )。こ れらは、枯死木にかわり上層木へと成長 樹種 生活形出現頻度幹数 (調査匡数) コハウチワカエデ高木 フナ 高木 寓木 コシアブラ 小高木 マルパマンサタ 高木 ウワミズザクラ タムシパ l 、高木 高木 アズキナシ ’ 1 8 10 8 23 5 4 3 23 自 5 4 3 3 3 3 圭の他B 彊 胸高直径 (平均 ±•Ill偏差〉 ( c m ) 1 1 . 5±4 . 5 1 3 . 0土 2 . 4 1 1 . 4±6 . 0 7 . 1 ±1 . 4 1 3 . 4±6 . 1 6 . 自主 1 . 2 . 9 1 6 . 6±3 関連成果 松浦崇遭・中島審樹(2011)ナラ枯れQ&A.富山轟研研究レポート No.2 松浦蝶遺・中島春樹(2012 )カシノナガキクイムシの穿入や繁殖に影響を及l ます寄主サイズと旧薪雌林 の齢構成ー富山県のコナラ林を事例とした被害要因の一考察ー.中部森林研究 60:143 ・1 46 松浦嫌遺・中島春樹(2015 )カシノナガキクイムシによって発生した枯死木の残存形態の経年変化.中 印刷中 部轟林研究 63: 中島春樹(2013 )ナラ枯れ跡地の森林再生ー更新方法検討に向けて.現代林業 568: 4044 中島春樹・小林裕之(2014 )富山県における植生固から区分した帯林タイプ別および民有林と固有林別 の森林分布.富山森研研報 6 : 1 1 2 N山~ima H ,I s h i d aM ( 2 0 1 4 )D e c l i n eofQuercusC1・ i s p u / a血 abandon 凶c o p p i c ef o r e s t s伺 瑚e d b y s e c o n 1 白r y s u e 伺s s i 佃 阻dJ a p 阻e s eoakw i l td i s e a s e :S t a n ddynamicso v e rtw 四t yy曲 r s .For .E c o l .1 ' 品n age .3 3 4 : 1 8 ・ 27 ¥ ' ~ 、 司 研究レポート No.10 平成27(2015)年3 月13 日発行 編集 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 〒930-1362 富山県中新川郡立山町吉峰3 電話 076-483-1511 FAX 076-483-1512 HP:http://www.fes.pref.toyama.jp/ ~ 8
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