無料で出来る!患者参加型安否確認訓練

無料で出来る!患者参加型安否確認訓練
災害等の発生により透析施設では平時に無い業務が生じ非常に多忙となることが想定されます。
手一杯の状況下でも電話は鳴り続け、定期通院患者の安否確認も実施しなければなりません。
1 人 1 分間ずつ電話で確認した場合、
患者 100 人で 2 時間近くかかり、実際は電話回線が不通かもしれません。
災 害 時 の 連 絡 手 段 に 総 務 省 が 推 奨 す る の は メ ー ル
総務省では災害時の連絡手段としてメールを推奨しています。メールには通信制限を受けることが少なく、
送受双方の都合で連絡し合える特徴があります。音声通話は輻輳(災害時に通信が集中した状態)になると優先
回線を除いて回線に通信制限をかけます。透析施設では電力会社や水道局などとの連絡にも電話を使いたいの
で、通信制限が無くても安否確認に電話回線を占有されてしまう状況は望ましくはないでしょう。
電 子 メー ル ・ 携 帯 メー ル を 使っ た 災害時 安否確 認支援 ツール ( 無 料 )
単にメールで安否確認を実施した場合、メーラーソフト(Outlook など)に大量の情報が羅列されます。
その整理を自動化できる安否確認支援システムがあります。安否確認対象(透析患者)は透析施設が予め配
布した既定メールに必要事項を入力して送信します。受信したメールは自動でリスト化・名簿化され印刷も
できます。商品名は【AmpiTa】(アンピタ)といい、透析患者用は Vector サイトで無料配布されています。
通信の輻輳状態
メールは 1 対多の通信可
無償安否確認支援システムの概要図
QR コードを利用した半完・半自動で居合わせた人が即時協力者
AmpiTa には QR コード発行機能があり、安否連絡用メールアドレスや送信用定型文を QR コード化すること
ができます。携帯電話やスマートフォンで QR コードを走査すると半完成状態のメールが自動的に作成される
ので、そこに必要事項だけ入力すれば安否確認メールが完成します。携帯電話を持っていない人でも家族や居
合わせた他人に QR コードを走査してもらうことで僅かな手間で安否確認連絡をすることができます。
防災意識が高まる 3 月と 9 月は安否確認訓練の好適月
3 月は東日本大震災、9 月は関東大震災が発生した月で防災意識が高まる時期です。同月には通信事業者は
災害伝言ダイヤル 171 を試験使用できるよう開放します。患者様には家族との災害時連絡の訓練をしてもら
うと同時に自院との安否確認方法についても訓練してもらう機会を設けてはいかがでしょうか。
無料で出来る!患者参加型安否確認訓練の方法(シナリオ)
1.インフラ準備
▽パソコン:Windows 搭載でインターネット通信ができれば新旧不問です。
▽通信回線:通信速度や通信会社、有線/無線などの種別は一切不問です。
▽アドレス:パソコンのメールソフトで受信できる電子メールアドレスであれば利用できます。
▽アンピタ:AmpiTa を無料で入手。USB メモリに保存すれば発災後に調達できたパソコンで動作可。
2.AmpiTa セットアップ
▽メールアドレスをセットアップします。
▽QR コードを出力します。
(画像データとして出力されます。内容は宛先アドレス・件名・定型文)。
3.連絡カード配布
▽患者様に配布する連絡カードを作成します。
▽災害時の連絡手段・QR コードの他に対応方法などを記載します。
*.市販の名刺作成シートを活用し、原稿は Excel で作成
*.居合わせた人や別居家族にも理解してもらいやすい内容
4.訓練レジュメ配布
▽安否確認訓練の概要を理解してもらうための資料を配布します。
▽QR コードを走査してメールを送ってほしい時刻だけを案内します。
*.災害が発生したと仮定する時刻なのでズレが無いよう正時(時報が鳴る時刻)をお勧めします。
*.訓練は失敗例を抽出する目的も兼ねているため細かな操作方法等は別途案内します。
文例)『○月○日○時に災害が発生したと想定し、ご自身の安否を当院までご連絡ください』
文例)『9 月 5 日に大阪府から災害発生訓練通報があります。その際、当院まで安否をご連絡下さい』
5.訓練実施
▽透析施設側も事前準備はせず、発災仮定時刻よりパソコン操作などを開始します。
▽災害対策マニュアルに従い、安否連絡の集計を行います。
▽可能な限り実際の災害時同様に目前の患者安全確保やライフラインの確認等に人員を割きます。
※発災時刻は、初回は透析を実施していない時間帯に、2 回目以降は業務時間帯や休診日などに設定。
6.PDCA
P:訓練の目的や実施方法、得られる結果の予想やエラー想定などを事前に行います。災害は想定外が多
発しますが、訓練を通して従来の想定外を想定範囲内に収めるよう計画を立てます。
D:訓練を実施します。ビデオ撮影を行い、メール受信など様々な記録を時系列でまとめます。医療では
時間管理が生命管理にも影響を及ぼす場合があるため毎回の訓練で同じ方法での記録に努めます。
C:訓練の結果と、災害対策マニュアルや理想的結果との比較検証を行います。スタッフや患者ら関係者
からのヒアリングやディスカッションをしっかりと行います。
A:抽出された課題について対策を取り、解消し難い課題や不可避な問題は想定範囲内として許容できる
よう災害対策マニュアルの改編や訓練方法の改善などを行い、PDCA サイクルを回します。