【術後患者のインシデントから見える看護師のアセスメント視点】勝部健太

術後患者のインシデントから見える看護師のアセスメント視点
浜田医療センター 3階南病棟
○勝部健太 廣瀬愛子 安井裕貴 上原明美 河野美穂子 下手麻美
Ⅰ.研究目的
インシデントレポートと経験年数別による看護師の
をとる可能性が示唆された.そのため,認知症の有
無に関わらず,先入観をもたずその人自身を見つめ
アセスメント視点に関するアンケートにより,術後患
ていく必要がある.
者への安全管理の示唆を得る.
3)インシデント発生の時間帯について
Ⅱ.研究方法
1.研究期間
平成 25 年4月~平成 25 年 11 月
2.研究対象者
A 病棟看護師 25 名
インシデントが発生しやすい時間帯について,平
野順子らによると 20 時から2時の夜間帯での事故
が最も多く 54%とされている.A 病棟においても,
消灯直後から夜間帯の 21 時から 24 時までがインシ
デント最も多かった.また、A 病棟ではどの時間帯
3.分析方法
でもインシデントが発生していたため,インシデン
1)平成 24 年度1月~12 月のインシデント内容につ
トのリスクは常にあることを認識しておかなければ
いて先行研究を基に研究者間で話し合い,A 病棟のイ
ならない.
ンシデントの要因を 12 項目に選別し,患者の分析を
する.
2.アセスメント力の強化について
今回のアンケートの結果では1~3年目まで決め
2)A 病棟看護師に対し,以下の項目でアンケートを
られた時期にアセスメントシート活用をしていたが,
行った.①経験年数②術前の患者の危険防止のための
4年目以降はそれに加え,患者の状態に応じて適切
環境調整についてのカンファレンスの時期と内容③
な時期を判断しアセスメントシートを活用していた.
カンファレンス内容の看護記録への記載と看護計画
カンファレンスの開催についても4年目以降になる
への反映について④どんな患者に転倒・転落や自己抜
と「危険だと思った時」などに適宜開催していた.
去の危険性があるか,⑤A 病棟での転倒転落アセスメ
このような実践知を明らかにして共有していくこと
ントシート,チューブ管理・不穏行動早期対応アセス
で,危険を予見する力を養うことができる.
メントシートの評価時期のアンケートを実施する.
Ⅲ.倫理理的配慮
対象には研究の主旨,個人情報の守秘性,研究への
Ⅳ.結語
インシデントレポート,アンケートにより,術後患
者がインシデントを起こすことなく安全に入院生活
参加の拒否や中断が可能であることを口頭・文章で説
を送るために3点の示唆を得た.
明し承諾を得た.
1.高齢や認知症であることにとらわれるのではなく
Ⅳ.結果・考察
1.術後患者のインシデントの要因
1)年齢
インシデントの件数は 70 歳以上が 84%と高値で
あった.手術を受けた高齢者では更にインシデント
のリスクは増すと考えられる.
2)認知症の有無
小木曽加奈子らの調査によると,高齢者で認知症
のある患者は転倒・転落などのインシデントにつな
がる危険性が最も高いとされている.A 病棟では認
知症の有無にかかわらずインシデントにつながって
いる結果であった.認知症がなくても,危険な行動
今回得られた結果を踏まえ患者状態を正しくアセス
メントする.
2.夜間はインシデントの危険が高まるが,その他の
時間帯にもインシデントは発生していたため,常に
危険を認識し,患者と関わっていく.
3.経験年数別でアセスメントの視点が異なるため経
験豊富な看護師と密なコミュニケーションをとり
インシデント予見のために実践知を磨いていくこ
とは有効である.
術後患者
看護師
見
視点
3階南病棟
勝部健太 廣瀬愛子 安井裕貴
上原明美 河野美穂子 下手麻美
昨年度A病棟
発生
外科術後患者
件
防止 役立
振 返 要因 分析
A病棟看護師
対
対策
時期 異
感
明
行
研究目的
経験年数別
患者
視点 関
安全管理 示唆 得
看護師
術後
用語



定義
術後 外科的手術 受
患者全般
実践知 技能 習慣的 使 実践 従事
得
知識
中 看護師 共有
知
転倒 転落
類自己抜去
倫理的配慮
対象
研究 主旨 個人情報 守秘性 研究
参加 拒否 中断 可能
口頭
文章 説明 承諾 得
研究方法
研究
量的記述的研究
研究期間
平成25年4月 平成25年11月
研究対象者
病棟看護師25名
(1)
分析
H24年1月 12月間
先行研究 元
抽出 患者 分析
各項目 関連性
分析
要因 12項目
集計 X 乗検定 行
A病棟看護師 対
経験年数
術前患者
時期 内容
内容 記録 計画
記載 反映
患者
危険
評価時期
経験年数 院内
従 1年目
3年目 7年
目以上 分類
結果
分析
性別
年代別
術後日数別
認知症 有無
妄 有無
時間帯別
前
状況
看護師 対
結果
回収率 23名 92
経験年数 1年目 1名
年目
名 年目以上
年目
名
名
時期 内容
誰
1年目
手術前後
2
3年目
入院当日
手術前 前後
入院3日目
自己抜去
抑制解除時
4
6年目
入院時危険
患者
手術前後 術後数時間
ADL拡大時
言動
時
触
時
主治医
手術前後 直後
妄出現時
夜間不穏
場合
認知症
危険
危険
思
時
離床時
手術後一緒 対応
看護師
7年目以上
患者
患者 転倒 転落
自己抜去
危険性
1年目
2 3年目
4 6年目
7年目以上
認知症
1
5
5
10
ADL
0
3
0
2
神経質
0
1
0
2
不眠
0
0
0
1
高齢者
0
3
3
5
術後
0
0
3
1
1
2
3
4
麻痺
0
1
1
1
発熱
0
0
0
2
疼痛
0
0
0
1
筋力低下
0
0
0
1
不穏行動
0
2
2
2
術後個室
0
0
0
1
薬剤服用
0
1
0
1
精神疾患
0
0
1
1
血圧低下
0
0
0
1
妄
転倒転落
評価時期
1年目
2
3年目
4
6年目
7年目以上
0
2
2
5
入院3日目
1
1
3
0
脳外2日目
0
1
2
1
0
1
3
3
転入時
0
1
2
1
手術当日
0
1
3
6
手術翌日
0
1
0
0
状態変化時
0
2
2
4
部屋替 時
0
1
0
0
転倒転落時
0
0
3
4
ADL拡大時
0
0
0
1
手術後毎日
0
0
0
1
他3日目
管理 不穏行動早期対応
評価時期
1年目
2 3年目
4 6年目
7年目以上
入院時
0
2
4
6
1週間目
0
2
2
1
2週間目
0
1
0
0
転入時
0
0
3
0
手術当日
0
1
2
7
不穏時
1
0
1
0
状態変化時
0
0
2
4
挿入
0
0
0
3
ADL拡大時
0
0
0
1
手術後毎日
0
0
0
1
時
考察
年齢 認知症
高齢者
手術侵襲
身体機能 衰
実感
高齢 認知症
因子
1人1人 能動的
行動 結果
認知症 有無 関
注意
必要
発生時間帯
20時 2時
54
一般的
21時 24時
24
A病棟
他 時間帯
術後患者
2件
常
力
3年目
7年目以上
実践知
強化
規定時期
評価
危険 感
適宜
時
結語
高齢 認知症
得
結果 踏
今回
患者状態 正
夜間
危険 高
他 時間
帯
発生
常 危険 認
識 患者 関
経験年数別
視点 異
経験豊
富 看護師 密
予見
実践知 磨
有効
清聴