海外だより[D.C.通信]53 アメリカの地域支援型農業(CSA

D.C.通信
海外だより
連載 53
中村岳志(JA全中農政部WTO・EPA対策課<在ワシントン>)
October, 2015
アメリカの地域支援型農業(CSA)
前回に続き、アメリカにおけ
る地産地消の取り組みとして、
地 域 支 援 型 農 業(Community
Supported Agriculture:CSA)
をご紹介したい。
・消費者と直接つながる機会を得
ることができる。
【消費者】
・栄養価が高く食味も良い、新鮮
な旬の農産物が手に入る。
・農場を訪問し、農業者との直接
の関係を築くとともに、農業に
触れることができる。
・地元の活性化につながる。
■ CSA とは
ほ じょう
地域住民でにぎわう圃場
を通じ、スタッフは着実に技術
を身に付け、農場の多くが彼ら
米国農務省(USDA)による
■地元の CSA 農場を訪問
に任されている。また、小学校
と、CSA とは、
「 住 民 のコミュ
CSA の現場を一目見たいと、
から大学まで、近隣の学生を受
ニティーが特定の農場・農業者
地元メリーランド州の「レッド
け入れ、農業体験・研修にも取
を支援することを約束し、農業
ウィグラー(みみず)コミュニ
り組んでいる。この農場で経験
注1
」を訪問した。代
生産の利益とリスクを共有しな
ティー農場
がら、相互に支え合っていく農
表のウッディ氏は、
「農業を通じ、
るとのことだった。
業の形」と定義されている。多
障害者の技術指導と雇用創出、
私の訪問日は、ちょうど農産
くの場合、CSA メンバーである
地域貢献に取り組みたい」との
物の受け取り日で、農場は多く
思いで、1996年に農場を設立。
の人々でにぎわっていた。収穫
種前に「シェア」と呼ばれる持
以来、共感した地域の人々や自
物は実に多様で、どれも色鮮や
ち分を購入し、その対価として、
治体、企業などの支援を受け、
かで味が濃く、量販店とは一線
収穫期を通じ、新鮮な農産物を
障害のある方々をスタッフとし
を画す品質。親子連れを対象と
受け取れることとなっている。
て雇用して農業に取り組んでき
した農業体験も行っているよう
た。現在では約 5 ha の農場で生
で、自然と農業への共感・理解
■ CSA のメリット
産した農産物を、120戸のシェ
も身に付くのではないだろうか。
農業者および消費者にとって
アホルダーに週30ドル(約3,630
農家・消費者の双方にメリット
の CSA のメリットとしては、以
円 注 2 )で供給するほか、近隣の
があり、地域に貢献するこうし
下のようなものが挙げられる。
障害者施設やフードバンクに対
た CSA が、今後とも、ますます
し定期的に食料を寄付している。
発展していくことを願いたい。
■雇用創出・研修・教育の場
1:Red Wiggler Community Farm
(https://redwiggler.org/)
2: 1 ドル =121円で計算。
は
住民(シェアホルダー)は、播
しゅ
【農業者】
・農繁期が始まる前に販売に取り
組むことができる。
・早い段階で支払いを受けること
で、安定経営の一助となる。
毎日の生産・出荷・販売作業
を積んで、独立した研修生もい
2015/10
月刊 JA
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