資料2-3宮崎県地域福祉支援計画第3期計画

資料2-3
宮崎県地域福祉支援計画
第3期計画(案)
平 成 2 8 年
宮
崎
月
県
目
第1章 計画策定の基本的考え方
1 計画改定の趣旨
2 計画期間等
3 計画の位置づけ
次
………………………………………………
1
第2章 地域福祉を取り巻く状況
………………………………………………
1 人口減少・少子高齢化の進行
2 地域における見守りが必要な方々の状況
3 新たな社会的課題の顕在化
4 住民同士のつながりや支え合いの意識
5 地域福祉関係者の対応状況や意識
6 本県の地域福祉における主な課題
4
第3章 基本理念及び基本目標
1 基本理念
2 基本目標
…………………………………………………
22
第4章 施策の推進
………………………………………………………………
1 施策の体系
2 施策の展開
(1)地域福祉を担う人づくり
………………………………………………
ア 地域福祉の意識醸成
イ 社会福祉事業従事者等の確保と資質向上
ウ 地域福祉の担い手の育成
(2)地域福祉サービスの基盤づくり
………………………………………
ア 相談支援体制の整備
イ 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
ウ 福祉サービス提供体制の充実
エ 地域福祉活動を支える体制づくり
(3)みんなで支え合う地域づくり
…………………………………………
ア 住民参加で進める地域福祉活動の推進
イ 「福祉」で進めるまちづくりの推進
ウ 本県の地域や特性を捉えた地域福祉の推進
3 数値目標
……………………………………………………………………
25
26
36
48
57
第1章
第1章
1
計画策 定の 基本的 考え 方
計画策定の基本的考え方
計画改定の趣旨
急速な少子高齢化に伴う人口減少、ライフスタイルの変化による核家族化の進行、
人と関わることを好まない価値観の広がりなどが要因となって、人情味あふれる県民
性があると一般に表現される本県にあっても、地域コミュニティが持つ伝統的な助け
合いの機能は厳しい環境にさらされ、弱まりつつあります。
また、21世紀に入って急速に進んだグローバル化や、バブル崩壊以降の長引く不
況等を背景に、失業や長時間労働、経済格差の問題など、いわば行き過ぎた競争社会
の負の側面とも言える社会問題が発生し、生活困窮や自殺、孤独死などの従来の公的
制度だけでは対応できない新たな福祉課題も起こっております。
このような環境の変化と新たな福祉課題に対応していくためには、生活の基盤であ
る地域コミュニティにおいて 、地域住民はもとより 、NPO 、ボランティア等の団体 、
福祉・保健・医療等の各分野の機関や、市町村役場、市町村社会福祉協議会等がそれ
ぞれの役割を果たす中で、協働し、支え合うことが重要です。
県においてはこのような状況に対応するため、平成19年度から「宮崎県地域福祉
支援計画」を定め、地域福祉を推進してきましたが、この計画策定から現在までの間
にも、人口減少や少子高齢化は進み、新たな福祉課題は益々顕在化してきています。
このため、県ではこのような現状を踏まえ、より課題の解決に対応した施策や方向性
を示し、地域福祉を一層推進するため、平成28年度からの新たな5年間に向けて本
計画を改定し、引き続き市町村を支援していくこととしました。
2
計画期間等
計画期間は平成28年度から平成32年度までの5年間とします。
毎年度、計画の取組状況の点検を実施し、数値目標の達成状況を公表することで計
画の適切な進行管理を行うとともに、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直
しを行います。
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
第1期計画
第2期計画
第3期計画
-1-
H31
H32
第1章
3
計 画策定 の基 本的 考え方
計画の位置づけ
(1)計画の法的根拠
本計画は、社会福祉法第108条に基づくもので、市町村の地域福祉計画の達成
に資するため、広域的な見地から市町村の地域福祉の支援に関する事項として一体
的に定める「都道府県地域福祉支援計画」であり、同条において3つの「盛り込む
べき事項」が示されております。
○
社会福祉法(抜粋)
(地域福祉の推進)
第4条
地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関す
る活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域
社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる
分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなけれ
ばならない。
(市町村地域福祉計画)
第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一
体的 に定め る計画( 以下「市 町村地 域福祉 計画」と いう 。)を策定 し、又 は変
更しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営
する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な
措置を講ずるよう努めるとともに 、その内容を公表するよう努めるものとする 。
1.地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
2.地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
3.地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
(都道府県地域福祉支援計画)
第108条
都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村
を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に
掲げる事項を一体的に定める計画( 以下「 都道府県地域福祉支援計画 」という 。)
を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民そ
の他の者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、
その内容を公表するよう努めるものとする。
1.市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項
2.社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
3.福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発
達のための基盤整備に関する事項
-2-
第1章
計画策 定の 基本的 考え 方
(2)県の計画としての位置づけ
本計画は 、「宮崎県総合計画」の部門別計画とし て位置 づけるものであり、同じ
く県の総合計画の部門別計画として位置づけられた「高齢者保健福祉計画 」、「障が
い者福祉計画 」、「子ども・子育て応援プラン 」、「自殺対策行動計画」等の福祉分野
の他の計画や 、「健康みやざき行動計画21 」、「医療計画」等の保健・医療の各分
野の計画との連携・整合を図りながら 、各計画に共通する基盤を整備するとともに 、
いわゆる縦割りの福祉制度や施策について、地域の観点から横断する(つないで隙
間をなくす)役割を担います。
また、県社会福祉協議会の計画である「第4次経営基盤強化推進計画」とは、相
互に密接な連携を図りながら、本県の地域福祉を推進する関係にあります。
○
地域福祉支援計画の位置づけ( イメージ )
-3-
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
第2章
1
地域福祉を取り巻く状況
人口減少・少子高齢化の進行
(1)
本県の人口構成及び高齢化率・後期高齢化率の推移
○ 本県の人口は平成8年をピークに減少傾向にあり、平成26年の約111万5千
人から平成42年には97万9千人と 、100万人を割り込むと推計されています 。
○
年齢区分別に見ると、特に14歳以下の年少人口は年々減少しており、65歳以
上の老年人口が年少人口を上回る状況にあります。
○
高齢化率 ※ は、平成22年の25.8%(県民の4人に1人が高齢者)から、平成
37年には34.5%( 3人に1人が高齢者 )まで上昇することが予測されています 。
〇
高齢者人口は、平成37年をピークに減少に転じますが、高齢化率、後期高齢化
率 ※ はいずれもさらに上昇すると見込まれています。
(千人)
(%)
1,600
40
実績値
1,400
34.5%
1,200
1,081
77
1,000
1,051
89
1,085
103
1,152
1,176
1,169
1,176
121
141
167
204
1,170
242
1,153
271
1,135
291
25.8%
1,115
1,110
1,070
669
600
757
684
765
681
761
716
761
713
13.9%
327
317
348
335
278
266
45
50
928
23.6%
348
633
584
547
518
337
485
20
10
274
2.2%
S40
354
640
15.2%
30
979
19.9%
7.1%
200
0
740
1,027
28.6%
800
400
36.3%
推計値
55
270
240
211
187
169
159
153
150
138
126
113
106
60
H2
7
12
17
22
26
27
32
37
42
47 (年)
年少人口(14歳以下)
高齢化率(65歳以上)
生産年齢人口(15~64歳)
後期高齢化率(75歳以上)
0
老年人口(65歳以上)
資料:平成22年までは総務省「国勢調査」(総人口には年齢不詳が含まれる)、平成26年は宮崎県統計調査課「宮崎県の推計人口」
平成27年以降は国の「まち・ひと・しごと創生本部」の資料をもとに県が独自に推計
※
高齢化率:総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合
※
後期高齢化率:総人口に占める75歳以上の高齢者人口の割合
-4-
第2 章
(2)
○
地域 福祉 を取り 巻 く状況
市町村別の高齢化の状況
高齢化の状況を市町村別に見ると、中山間地域において高齢化率が高くなってい
ますが、平成37年には26市町村全てで高齢化率が30%を超えることが見込ま
れています。
資料:平成26年は宮崎県統計調査課「宮崎県の推計人口」
平成37年は「まち・ひと・しごと創生本部」の資料をもとに県が独自に推計
(3)
○
(人)
出生数及び合計特殊出生率の推移
本県の合計特殊出生率と出生数を見ると、合計特殊出生率は全国でも上位の高水
準を維持していますが、出産に適した年齢の女性数が減少していること、未婚率の
高止まりや平均初婚年齢の上昇などを背景に出生数は逓減傾向にあります。
20,000
18,438
16,986
15,000
2.5
18,123
2.3
2.15
2.14
2.13
(人)
16,991
15,262
2.11
1.93
出
1.90 12,107
11,693
1.91
生 10,000
9,738
1.68
1.75
1.76
1.62
1.54
5,000
10,094 10,337 10,292 10,170 10,217 10,152
1.70
数
1.42
1.48
1.36
1.26
9,858
1.68
1.68
1.67
9,854
45
50
55
県出生数
60
H2
7
12
9,509
1.72
1.69
1.59
1.60
1.61
1.37
1.37
1.39
1.39
1.43
1.42
1.34
1.41
1.32
18
19
20
21
22
23
24
25
1
26 (年)
1.55
0
S40
合
計
特
殊
出
生
1.5
率
2
11,037
17
宮崎県の合計特殊出生率
全国の合計特殊出生率
資料:厚生労働省「人口動態統計」
-5-
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
(4)
ア
世帯構成の変化
県内の世帯数及び一世帯あたり人員の推移
○
核家族化や単身世帯の増加など家族形態の変化により、世帯数は増加傾向にある
一方、一世帯あたりの平均人員は減少を続けています。
600
(千世帯)
5
(人)
4.05
500
3.65
3.37
3.23
300
帯
2.93
2.74
3.07
277
258
2.61
4
5人以上
4人
346
311
459
449
391
375
400
世
437
420
3
3人
2.50
2.40
数
2
200
2人
一
世
帯
あ
た
り
人
員
1
100
1人
0
S40
世帯人員別世帯数
45
50
1人
55
2人
60
3人
H2
4人
7
12
5人以上
0
17
22 (年)
1世帯あたり人員
資料:総務省「国勢調査」
イ
高齢者世帯の推移
〇
県内の高齢単身世帯(65歳以上の者一人のみ)及び高齢夫婦世帯(夫が65歳
以上、妻が60歳以上の夫婦のみ)も増加しており、平成2年から平成22年で高
齢単身世帯数は約2 . 2倍、高齢夫婦世帯数は約2 . 0倍増加しています。
180,000
(世帯)
12.2%
160,000
11.1%
140,000
9.3%
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
7.3%
7.5%
6.1%
6.3%
4.8%
5.0%
4.0%
9.1%
7.8%
10.6%
9.1%
12.7%
11.6%
10.1%
14%
(宮崎県)
(宮崎県)
(全国)
10%
9.2% (全国)
7.9%
6.5%
54,785
12%
8%
58,358
6%
48,684
4%
39,131
28,475
23,945
H2
31,626
7
39,835
12
高齢単身世帯(65歳以上)
高齢夫婦世帯数の割合(宮崎県)
高齢夫婦世帯数の割合(全国)
47,402
53,460
17
22
2%
0%
(年)
高齢夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)
高齢単身世帯の割合(宮崎県)
高齢単身世帯の割合(全国)
資料:総務省「国勢調査」
注:平成2年の高齢夫婦世帯は、夫又は妻のいずれかが65歳以上の夫婦1組のみの一般世帯
-6-
第2 章
ウ
地域 福祉 を取り 巻 く状況
ひとり親世帯数の推移
〇
本県のひとり親世帯数(推計値)は、平成3年以降増加傾向で推移しており、母
子世帯では平成3年と平成24年を比較すると、約1 . 4倍増加しています。
(世帯)
18,000
17,915
17,320
2,621
1,645
14,102
15,294
15,675
14
19
24
16,675
14,655
13,947
15,000
2,385
2,524
12,000
2,573
9,000
6,000
11,423
12,270
H3
9
3,000
0
母子世帯数
(年)
父子世帯数
資料:宮崎県 ひとり親世帯生活実態調査
2
地域における見守りが必要な方々の状況
(1)
〇
(人)
要介護(要支援)認定者数の推移
県内の介護保険制度における要介護(要支援)認定者数については、制度が開始
された平成12年と平成25年を比較すると約1 . 8倍増加しています。
70000
60000
50000
40000
57,831
50,847
44,849
31,500
30000
20000
10000
0
H12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
(年度)
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告」(各年度末数値)
-7-
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
(2)
〇
障害者手帳交付者数の推移
県内の障害者手帳交付者数は、身体障がい、知的障がい、精神障がいのいずれも
年々増加傾向にあり、特に精神障害者保健福祉手帳交付者数は平成18年度と25
年度を比較すると約1 . 8倍増加しています。
(人)
80,000
71,728
73,185
82,503
81,280
79,431
78,400
76,436
75,192
60,000
40,000
20,000
0
H18
19
20
21
22
23
24
25
合計
71,728
73,185
75,192
76,436
78,400
79,431
81,280
82,503
身体障害者手帳
59,715
60,842
62,272
62,757
63,942
64,319
65,388
65,848
療育手帳(知的障がい)
8,604
8,859
9,166
9,453
9,767
9,947
10,179
10,465
精神障害者保健福祉手帳
3,409
3,484
3,754
4,226
4,691
5,165
5,713
6,190
資料:県障がい福祉課調べ(各年度末数値)
(3)
ア
生活保護受給者を取り巻く状況
県内の生活保護世帯数、保護人員数及び保護率の推移
〇
生 活保護世帯数 及び保護人員数の増加 に伴い、保護率 ※ も増加傾向に あり、平成
10年度と平成26年度を比べると生活保護世帯は約1.9倍、保護人員は
約1 . 8倍、保護率は約1 . 9倍増加しています。
(‰)
(人・世帯)
人
員
・
世
帯
数
35,000
16.2‰ 18
30,000
16
25,000
20,000
15,000
14
11.7‰
10.7‰
18,054
8.7‰
12,387
10,209
8,949
7,195
10
13,324
8
10,075
13,807 6
4
10,000
5,000
12
保
護
率
2
0
0
H10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
(年度)
生活保護世帯
保護人員
保護率
資料:県国保・援護課調べ(各年度平均)
※
保護率:人口千人当たりの保護人員数(‰;パーミル)
-8-
第2 章
イ
地域 福祉 を取り 巻 く状況
県内の生活保護受給世帯区分の推移
〇
生活保護受給世帯のおよそ半数は高齢者世帯となっており、高齢化の進行に伴い
その数も増加しています。
(世帯)
8,000
6,846
7,000
5,632
6,000
4,995
5,000
4,000
3,000
2,557
2,177
2,000
2,375
1,358
1,232
1,101
537
1,000
0
2,342
1,512
639
688
H20
21
高齢者世帯
22
傷病者世帯※
資料:県国保・援護課調べ(各年度平均)
3
2,408
23
24
25
障がい者世帯※
26
母子世帯
(年度)
その他世帯
注:保護停止中の世帯を除くため、P.8のグラフの生活保護世帯数とは一致しない
新たな社会的課題の顕在化
(1)
ア
〇
虐待
県内の高齢者虐待の相談・通報件数の推移
県内の高齢者虐待の市町村への相談・通報件数は、平成21年度以降、毎年
200件を超えています。
(件)
350
250
200
150
100
297
291
300
112
165
104
230
209
195
177
175
262
153
223
165
128
114
124
97
50
0
H18
19
20
21
22
相談・通報件数
23
24
25
26 (年度)
虐待判断件数
資料:県長寿介護課調べ(各年度末数値)
※
傷病者世帯:世帯主が入院(介護老人保健施設入所を含む。)しているか、在宅患者加算を受けている世帯若しくは世帯主が傷病の
ため働けない者である世帯
※ 障がい者世帯:世帯主が障害者加算を受けているか、心身上の障がいのため働けない者である世帯
-9-
第 2章
イ
〇
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
県内の障がい者虐待の相談・通報件数の推移
県内の障がい者虐待の市町村への相談・通報件数及び虐待判断件数は、いずれも
調査を開始した平成24年度から増加傾向にあります。
(件)
100
80
88
85
60
66
40
31
28
12
20
0
H24
25
相談・通報件数
26
(年度)
虐待判断件数
資料:県障がい福祉課調べ(各年度末数値。平成24年度は平成24年10月~平成25年3月。)
ウ
〇
県内の児童虐待の相談対応件数の推移
県内の児童相談所が受け付けた児童虐待の相談対応件数は、増加傾向にあり平成
25年度は過去最多となりました。平成26年度は、前年度を少し下回ったものの
依然として高止まり傾向にあります。
(件)
600
400
200
234
258
H15
16
181
220
195
17
18
19
287
365
451
410
443
22
23
24
560
540
25
26
0
20
21
(年度)
資料:県こども家庭課調べ
- 10 -
第2 章
(2)
ア
地域 福祉 を取り 巻 く状況
自殺
自殺者数の推移
〇
本県の自殺者数は、平成10年に大幅に増加してから概ね300人台後半で推移
し、平成19年に過去最高の394人を記録後、減少傾向にありましたが、平成
26年は前年比9人増の265人となっています。
(人)
550
500
30,251
全 国
30,827
30,553
29,949
28,896
31,413
23,494
宮崎県
32,109
31,755
600
30,247
29,375
30,707
30,229
29,554
29,921
30,000
26,433 26,063
24,417
450
27,000
24,000
388
400
350
(人)
33,000
381
348
335
309
353
369 368
394
364
352 362
21,000
337
18,000
307 312
277
300
256 265
250
15,000
12,000
200
H9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
9,000
26 (年度)
資料:厚生労働省「人口動態統計」
イ
〇
自殺死亡率 ※の推移
本県の平成26年の自殺死亡率は、前年比1人増の23.9人となっており、全
国では3番目(九州では1番目)に高くなっています。
(%)
45
40
35
30
25
20
33.1
26.3
34.6
32.6
29.7
28.7
30.3
31.8 31.7
30.6 31.6
32.1
宮崎県
全 国
29.8
27.1 27.7
25.5
25.4 25.0
24.7
24.1 23.3 23.8
24.0 24.2 23.7 24.4 24.0 24.4 23.4
22.9 23.9
22.9
18.8
21.0
19.5
20.7
15
H9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
(年度)
資料:厚生労働省「人口動態統計」
※
自殺死亡率:人口10万人当たりの自殺者数
- 11 -
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
(3)
〇
その他多様な地域課題
いわゆる見守りの協定を結んだ民間事業者が、日常の業務の範囲で訪問先に何ら
かの「異変」を察知した場合に、警察署や消防署、市町村窓口等関係機関に繋いだ
事例をみると、自宅内で倒れているところや体調が悪いところを発見したケースが
全体の60%を占めており、死亡していたケースも20%ありました。
みやざき地域見守り応援隊から報告された事例(平成26年2月~平成27年12月)
内
容
自宅内で倒れているところを発見したケース
(うち死亡していたケース)
%
22
44.0
(10)
(20.0)
体調が悪いところを発見したケース
8
16.0
認知症又は認知症の疑い等から、対象者の安全確保等を行ったケース
8
16.0
悪質商法の疑いがあるケース
1
2.0
生活困窮の疑いがあるケース
1
2.0
10
20.0
50
100.0
その他のケース(スズメバチの巣、悩み相談等)
計
4
件数
住民同士のつながりや支え合いの意識
本県の地域福祉についての県民の意識や現状について調査するため 、「宮崎県ならでは
の地域福祉ビジョン立案のための実態調査」を実施しました。
調査結果を、人口密度の高い市町村(都市部 )、人口密度の中程度の市町村(中間部 )、
人口密度の低い市町村(過疎地域)に分類し、分析してみると、都市部においては人間関
係の希薄化等により地域の共助機能が弱まっており、過疎地域においては地域の共助機能
は残っているにも関わらず、人口減少等に伴う担い手不足によりその機能が弱まっている
ということが分かりました。
○調査の方法
調査地域:県内全市町村
調査対象:一般県民(回収数400)
調査期間:平成27年2月~7月
調査方法:市町村等に調査表の配付・
回収を依頼
- 12 -
第2 章
地域 福祉 を取り 巻 く状況
1)住民同士がつながり、支え合うことのできる範囲
全体として 、「町内会・自治会程度」の割合が最も高く、特に、都市部ではその割合
が他よりも高くなっています。過疎地域においては 、「居住する市町村程度」が16.7
%であり、人口密度が低くなるにつれ、より広い範囲でも支え合うことができるという
意識があることが分かります。
1.0%
都市部
21.9%
62.9%
9.5% 3.8%
1.0%
2.0%
中間部
23.4%
58.0%
9.3%
7.3%
2.2%
過疎地域
16.7%
0%
54.4%
20%
40%
10.0%
60%
16.7%
80%
100%
隣近所程度
町内会・自治会程度
小学校区程度
中学校区程度
居住する市町村程度
無回答
2)地域の住民同士のつながりや支え合いの強さ
人口密度が低くなるにつれて 、「強い 」「少し強い」の割合が高くなっており、過疎地
域では、その割合は75%を超えています。
5.7%
都市部
7.6%
25.7%
35.2%
24.8%
1.0%
4.4%
中間部
10.7%
過疎地域
32.2%
39.0%
43.3%
0%
20%
32.2%
40%
60%
13.7%
18.9%
80%
5.6%
100%
強い
少し強い
どちらともいえない
あまり強くない
強くない
無回答
- 13 -
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
3)10年前と比べて地域の住民同士のつながりや支え合いはどう変化したか
全体として「少し弱くなった 」「弱くなった」の割合が高くなっており、特に中間部
では、その割合が半数を超えています。
1.9%
都市部
11.4%
26.7%
32.4%
14.3%
13.3%
1.0%
中間部
7.3%
22.9%
34.6%
21.5%
12.7%
3.3%
過疎地域
5.6%
37.8%
0%
20%
35.6%
40%
11.1% 6.7%
60%
80%
強くなった
少し強くなった
変わらない
少し弱くなった
弱くなった
分からない
100%
4)10年後、地域の住民同士のつながりや支え合いはどう変化するか
全体として 「 少し弱くなっている 」「 弱くなっている 」 の割合が高くなっていますが 、
一方で過疎地域においては 、「強くなっている 」「少し強くなっている」が16.7%あ
り、他の地域よりも高くなっています。
1.9%
都市部
10.5%
27.6%
26.7%
28.6%
4.8%
0.5%
中間部
過疎地域
4.9%
22.9%
34.6%
7.8%
0.5%
7.8% 8.9%
0%
28.8%
20.0%
20%
32.2%
40%
60%
25.6%
5.6%
80%
100%
強くなっている
少し強くなっている
変わらない
少し弱くなっている
弱くなっている
分からない
- 14 -
第2 章
地域 福祉 を取り 巻 く状況
5)地域の住民同士のつながりや支え合いが「少し弱くなった」もしくは「弱くなっ
た」要因
3)において「少し弱くなった 」「弱くなった」と回答した人が、その要因として考
える理由は、人口密度が高くなるにつれて「他人と関わりたくない・関わりを煩わしい
と思う人が増えたこと」の割合が高くなることから、都市部においては価値観やライフ
スタイルの変化が地域の共助機能の弱体化に影響していると考えられます。
また、人口密度が低くなるにつれて「少子・高齢化が進行したこと」の割合が高くな
り、過疎地域では「過疎化が進行したこと」や「地域住民をつなぐリーダーが不足して
いること」の割合が高くなることから、過疎地域においては人口減少等に伴う担い手不
足により地域の共助機能が弱まっていると考えられます。
61.2%
他人と関わりたくない・関わりを
煩わしいと思う人が増えたこと
31.0%
34.7%
少子・高齢化が進行したこと
自分や家族の時間を優先する人が増えたこと
各自や各世帯の生活だけで
精一杯の人が増えたこと
会社勤めなどで昼間の人口が減少したこと
14.3%
13.0%
地域住民をつなぐリーダーが不足していること
2.0%
45.2%
52.4%
32.7%
33.0%
26.2%
32.7%
28.7%
33.3%
22.4%
27.0%
23.8%
14.8%
過疎化が進行したこと
51.3%
33.3%
40.5%
14.3%
18.3%
9.5%
核家族化が進行したこと
コミュニティ・住民交流の場が減少したこと
7.1%
集合住宅・マンションが増えたこと
7.8%
2.4%
転入者が増えたこと
8.2%
7.8%
4.8%
2.0%
車社会による生活圏域が拡大したこと
2.4%
14.3%
都市部
10.4%
2.0%
3.5%
転出者が増えたこと
20.4%
14.8%
中間部
14.3%
6.1%
6.1%
2.4%
IT・情報化社会が進行したこと
過疎地域
0.0%
0.9%
0.0%
2.0%
0.0%
0.0%
2.0%
1.7%
2.4%
広報・情報が不足していること
制度・施策が不十分であること
その他
0%
系列4
20%
- 15 -
40%
60%
80%
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
6)地域の住民同士のつながりや支え合いを強くするために今後必要なこと
全体として 、「 地域活動に参加するきっかけづくり 」の割合が最も高くなっています 。
また、人口密度が低くなるにつれて「仕事など地元に定着できる環境づくり」の割合が
高くなり、過疎地域では4割を超えています。
地域活動に参加するきっかけづくり
45.6%
55.2%
53.2%
35.2%
37.6%
34.4%
世代を超えた交流
32.4%
33.7%
34.4%
自治会の活性化
12.4%
31.2%
仕事など地元に定着できる環境づくり
44.4%
25.7%
24.9%
28.9%
活動の中心となるリーダーの育成
20.0%
17.6%
14.4%
防犯・安否確認などの見守りづくり
18.1%
16.6%
16.7%
学校、地域での福祉教育
災害時を想定した防災の取組
8.9%
13.2%
20.0%
10.5%
11.7%
14.4%
住民や関係機関・団体等を
コーディネートする人材の育成
12.4%
10.7%
8.9%
まつりなどのイベント開催
5.7%
7.3%
福祉活動の相談窓口や
支援する専門職の充実
11.1%
情報発信・広報啓発
5.7%
7.3%
4.4%
ボランティアの育成
7.6%
4.9%
6.7%
2.4%
4.4%
活動拠点の確保
都市部
9.5%
中間部
4.8%
4.9%
企業などの協力
過疎地域
1.1%
1.9%
4.4%
3.3%
必要な機材や資金の援助
系列4
1.9%
3.4%
1.1%
その他
0%
20%
- 16 -
40%
60%
第2 章
5
地域 福祉 を取り 巻 く状況
地域福祉関係者の対応状況や意識
「宮崎県ならではの地域福祉ビジョン立案のための実態調査」において、福祉関係者に
対する課題への対応状況についての調査も実施しました。
調査結果を見ると、地域福祉関係者は日頃から複雑化、多様化した様々な相談を受けて
おり、地域包括ケアシステム等の福祉・保健・医療等の関係機関が連携したネットワーク
体制の推進が必要だと考えていることが分かりました。
○調査の方法
調査対象:県内全市町村の民生委員児童委員協議会、市町村社会福祉協議会、地域包括支援センター、
社会福祉施設(回収数187)
調査期間:平成27年2月~3月
調査方法:郵送
※回収数(187機関・施設)
民生委員
児童委員協議会
108
(1)
市町村祉社会
福祉協議会
地域包括
支援センター
31
11
社会福祉施設
高齢者関係
23
障がい関係
10
児童関係
4
相談の状況や必要な体制について
1)地域住民から受けている相談内容について(※「多く受ける(月1回以上) 」、「受
けることがある」の合計)
日常生活でのちょっとした困りごとから、公的サービスを必要とする専門的課題まで
幅広い相談を受けていることが分かります。
高齢者の福祉や介護
87.7%
家族、地域間での人間関係
74.9%
日常生活でのちょっとした困りごと
81.8%
障がい者の福祉や介護
64.7%
地域の福祉や健康に関する活動
77.0%
子どもの福祉や子育て
52.4%
経済的な困窮
76.0%
権利擁護
37.4%
2)相談対応を行ううえでの課題(※◯3つまでの複数回答)
「対応や支 援が困難な相談に対し て、適切な対応が難しい 」が51.9%と最も多
く、地域住民の抱える相談内容の複雑化、多様化が対応を困難にしていることが分か
ります。
対応や支援が困難な相談に対して、適切な対応が難しい
51.9%
地域などの協力や支援が得にくい
29.9%
対応するための知識や技術を高めるための研修や自己研鑽の機会が少ない
25.1%
他の機関・団体等との協働が十分でない
23.5%
対応すべき相談が多く、現在の体制では負担が大きい
23.0%
利用できる制度や公的サービスがない
21.9%
対応や支援で困ったときに、専門的な助言などが受けられるところがない
15.0%
その他
7.5%
- 17 -
第 2章
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
3)制度上のサービスで解決できない問題(※当てはまるもの全てに◯の複数回答)
「 精 神 疾 患 に よ る 不 安 や 対 応 が 厳 し い 」「 経 済 的 な 理 由 に よ り 、 サ ー ビ ス が 的 確 に 利
用できない」等の選択が多く、支援を必要とする方の状況やサービスの制限等の様々
な理由から制度では解決できない隙間があることが分かります。
83
82
精神疾患による不安や対応が厳しい
経済的な理由により、サービスが的確に利用できない
本人と家族の関係性が困難、意見が相違している
本人がサービスの利用を拒否する
受け入れ先(施設・企業等)が不足している
本人が孤立している
買い物、ゴミ出し、家事等の生活支援サービスがない
通院・入院時の付添者がいない
本人以外の家族に対する支援が不足している
同居家族がいるためサービスを利用できない/限度がある
制度サービスにつなぐまでの当面のサービスがない
家族の年金をあてにしている
地域からの理解が得られない
相談機関等とのネットワークがない
不明
その他
74
70
66
61
61
57
56
56
45
40
18
13
8
5
0
20
40
60
80
100
4)地域において必要又は強化すべきネットワーク体制(3つまで選択)
「医療機関を含めたネットワーク」の選択が最も多く、地域包括ケアシステム等の福
祉・保健・医療等の関係機関が連携したネットワーク体制の推進が求められているこ
とが分かります。
83
医療機関を含めたネットワーク
78
小地域のネットワーク
75
高齢者支援のネットワーク
54
相談窓口の一本化
47
多様なネットワーク
46
利用者支援の地域ネットワーク
40
ボランティアのネットワーク
27
児童家庭支援のネットワーク
25
障がい者支援のネットワーク
10
不明
4
その他
0
20
- 18 -
40
60
80
100
第2 章
(2)
地域 福祉 を取り 巻 く状況
社会福祉施設における地域福祉向上のための取組
1)地域福祉の向上のために実施している活動等の有無
県内の高齢・障がい・児童の社会福祉施設に対し、地域福祉の向上のために行って
いる活動等の有無を聞いたところ 、「ある」との回答が最も多く 、「ある 」「検討して
いる」を合わせると6割を超えます。
不明
1 (2.7%)
ない
12(32.4%)
ある
検討している
ある
22
(59.5%)
ない
不明
検討している
2 (5.4%)
2)
上記で「ある 」「検討している」と回答した方の具体的な活動(複数回答)
利用者と地域の人との交流を主とした取組が多いことが分かります。
22
ボランティア、職場体験など施設・事業所への訪問受け入れ
17
施設利用者による地域主催行事への参加
14
地域住民と接するイベント、交流会の主催
12
地域住民と利用者が関われるよう施設・事業所の開放
10
社会福祉協議会と連携した事業・活動の実施
10
地域住民が参加できる講習会や勉強会の開催
9
住民福祉活動・交流の場としての拠点づくり
7
地域防災に関して、地域と連携した活動の実施
6
他の社会福祉法人・施設と連携した事業・活動の実施
地域貢献を実施するための財源確保
3
各市町村における地域福祉コーディネーター連絡会への参画
3
対象を限定しない総合的な相談支援体制づくり
3
2
地域課題を把握するための実態調査・アウトリーチの実施
新たな社会資源の創出や生活支援サービスづくり
1
施設利用者による地域住民の生活に関する作業やサービスの提供
1
0
企業と連携した事業・活動の実施
3
その他
0
- 19 -
5
10
15
20
25
第 2章
6
地域 福祉 を取 り巻 く状 況
本県の地域福祉における主な課題
地域福祉に関する各種統計や県民及び地域福祉関係者への調査結果の分析から見えてく
る本県の地域福祉における主な課題は次のとおりです。
(1)地域福祉の担い手の確保
今後も人口減少・少子高齢化が進み 、平成42年には本県の人口は97万9千人と 、
100万人を割りこむとともに、平成37年には高齢化率が34.5%となり、県民
の3人に1人が65歳以上という、さらに高齢化の進んだ社会の到来が見込まれてい
ます。また、世帯構成の変化により、一世帯あたりの人員が減少し、高齢者のみ世帯
及びひとり親世帯が増加しています。世帯単位での「自助」や地域での「共助」が今
後も弱体化することが懸念され、多様な主体による地域福祉の担い手の確保が求めら
れています。
(2)地域における見守りのさらなる充実
介護保険制度における要介護(要支援)認定者や障がい者(身体・知的・精神)手
帳交付者数は増加傾向にあります。また、生活保護制度における保護世帯及び人員も
増加傾向にあります。人口そのものは減少する一方で、様々な理由により見守りを必
要とする人たちは増加しており、地域における見守り体制のさらなる充実が求められ
ています。
(3)新たな社会的課題や本県が抱える課題への対応
障がい者虐待や児童虐待が増加傾向にあるとともに、孤独死や認知症、生活困窮な
どの課題が地域で顕在化しています。これらの新たな社会的課題に加え、自殺や災害
対策等本県が抱える課題に対する対応が求められています。
(4)地域のニーズに応じた地域福祉の推進
住民同士のつながりや支え合いに関する県民の意識について、県内各市町村を都市
部 、中間部 、過疎地域に分類し 、分析すると 、都市部では人間関係の希薄化等により 、
地域の共助機能が弱まっており、過疎地域では地域の共助機能は残っているものの、
人口減少に伴う担い手不足により、その機能が弱まっていることが分かりました。各
地域で抱える課題が異なることから、今後それぞれの地域のニーズに応じた地域福祉
の推進が必要です。
(5)福祉課題の複雑化・多様化への対応
民生委員等の地域福祉関係者が現場で受けている相談内容を分析すると、日常生活
でのちょっとした困りごとや人間関係の悩みから、公的サービスを必要とする介護、
障がい、子育て等の専門的課題まで、多岐にわたる内容となっています。地域福祉関
係者・機関が全ての課題を単独で解決することは困難であり、福祉・保健・医療などの関係
機関の連携強化や地域包括ケアシステム等のネットワーク体制づくりが必要です。
(6)社会福祉法人の地域貢献の推進
県内の多くの社会福祉施設において、地域福祉向上のための地域貢献活動が行われ
ていますが、その活動内容を分析すると、ボランティア・職場体験の受入や地域主催
行事への参加など、利用者と地域の人との交流を主としたものが多くなっています。
社会福祉法の改正後に責務となることが予定されている社会福祉法人の地域貢献に
ついては、その方向性や在り方を検討し、今後社会福祉法人が有する人材や専門的知
識・技術等の地域展開等を推進していくことが求められています。
- 20 -
第2 章
地域 福祉 を取り 巻 く状況
また、県内全26市町村に対してアンケートを行い、各市町村が抱える課題や第3期計
画において充実・強化して欲しい取組等の調査を行いました。地域福祉支援計画は、市町
村の地域福祉計画の達成を支援するものであることから、今後とも市町村との連携強化を
図りながら、計画の推進に努めます。
(1)地域福祉を推進する上での課題や問題点
市町村が地域福祉を推進する上での課題や問題点として、回答のあった主な内容は
次のとおりです。
・
・
・
・
市町村社会福祉協議会や関係団体等との連携が不十分
民生委員・児童委員の「なり手」不足
自治会機能の低下、住民同士のつながりや人間関係の希薄化
活動の中心となる方の高齢化や若者の確保、マンパワー不足
(2)第3期計画で充実・強化して欲しい取組
第2期計画で掲げる取組のうち、第3期計画で充実・強化して欲しいと回答のあっ
た主な取組は次のとおりです。
地域福祉活動の展開
災害時の支援体制の充実
福祉サービス利用者等の権利の擁護の推進
民生(児童)委員の確保と資質向上
相談・支援機関等のネットワーク化の促進
専門相談機関の機能強化
過疎地域における地域福祉の推進
身近な相談体制の整備
10市町村
9市町村
9市町村
7市町村
7市町村
7市町村
7市町村
6市町村
(3)今後取り組むべき事項
県、市町村、地域福祉関係団体、地域住民の各主体別に、今後取り組むべき事項と
して、回答のあった主な内容は次のとおりです。
◯県が取り組むこと
・災害時への対策として危機管理部門とボランティアセンターとの連携強化
・市町村を越えた買い物や通院等の交通支援
・生活困窮者支援等の新たな福祉テーマに関するアドバイス
・生活困窮者支援に対する市町村の具体的な取組への支援
◯市町村が取り組むこと
・地域包括ケアシステムの体制づくりや生活困窮者への支援策の強化
・福祉施策とその他(防災、公民館活動)の施策を一体的に進める体制づくり
・地域の特色に応じた計画策定(過疎地域、高齢化地域、少子化地域)
◯地域福祉関係団体が取り組むこと
・地域課題の把握や関係機関、行政等との連携、課題解決支援への結びつけ
・地域福祉活動を継続的に行うための基盤づくり
・要配慮者との日頃からのコミュニケーション、避難経路の情報共有
◯地域住民が取り組むこと
・主体的に地域福祉活動や地域づくりに参加するという意識の醸成
・地域福祉計画への意識向上
- 21 -
第3 章
基 本理 念及 び基本 目標
第3章
1
基本理念及び基本目標
基本理念
ともに支え合い、助け合う
あたたかい思いやりの社会づくり
社会情勢の変化等を要因として、生活困窮や自殺、孤独死などの従来の公的制度だけで
は対応できない新たな福祉課題が起こっています。このような課題を解決するために、住
民自らが地域での役割を担い、お互い助け合うことが重要だということは、誰もが、多か
れ少なかれ思っていることですが、急速な少子高齢化に伴う人口減少や、人と人との関わ
り合いを好まないといった価値観の広がり等を要因として、民生委員等の地域福祉の担い
手確保さえも難しくなってきているのが現状です。
しかしながら、私たちのふるさと宮崎は、温暖な気候と美しい自然に恵まれ、宮崎らし
い独自の文化と歴史を形成するとともに、本県のキャッチフレーズである「日本のひなた
宮崎県」にも代表されるような人情味あふれる県民性と、社会福祉事業の先駆者を生んだ
人に優しい福祉の心を育んできました。お互いに関わることを好まない人々が増えている
現状にある今だからこそ、人情味あふれる優しい県民性を生かし、一歩を踏み出すこと、
いい意味での「おせっかい」の気持ちを持つこと、そういう人の温かさや思いやりに焦点
を当てたビジョンを示すことが、本県ならではの地域福祉の実現につながるはずです。
そのことは、地域住民同士の助け合いはもとより、市町村等の行政機関、市町村社会福
祉協議会、福祉・保健・医療の各機関、NPOなど、多様な主体がそれぞれに力を発揮し、
お互いの役割を補い支え合うことにつながるものと考えております。県では、このような
考えのもと、年齢や性別、心身の障がいの有無、国籍等に関わりなく、県民誰もが住み慣
れた地域の中で、自分らしく安心して生きていくことができる地域社会の絆をつくるとい
う意味を込め 、「ともに支え合い、助けあう
あたたかい思いやりの社会づくり」を本計
画の基本理念とします。
2
基本目標
「ともに支え合い、助け合う
あたたかい思いやりの社会づくり」という基本理念の実
現を図るため、次の3つの基本目標を掲げ、様々な取組によって、その実現を目指します。
(1)地域福祉を担う人づくり
地域福祉推進の原動力となり、最も重要な基盤となりうるのは、それぞれの地域に住み、
- 22 -
第 3章
基 本理念 及び 基本目 標
地域コミュニティを形成している人です。しかしながら、都市部における価値観の変化、
過疎地域における人口減少が進む中で、地域福祉の担い手の確保が困難になってきている
ことが大きな課題となっております。
このような中、地域福祉の担い手を確保するためには、民生委員・児童委員や市町村社
会福祉協議会などの地域福祉関係者の従来からの担い手はもとより、自治会組織などの地
域住民が中心となった地縁団体、地域の社会福祉法人や民間企業の職員、また、NPOや
ボランティアまで幅広く人材として捉え、確保していくような方策が必要となってきます。
このため、啓発や福祉教育の推進、加えて積極的な情報提供により、県民一人ひとりに
対して地域福祉の担い手としての意識醸成を図るとともに、福祉サービス提供の中核とな
る社会福祉事業従事者等の確保と資質向上を図っていきます。
また、地域外からのボランティアの受け入れや、社会福祉法人の地域貢献による人材の
提供、民間企業による見守り活動など、新たな人材確保策を推進するとともに、地域の公
的な福祉機関からボランティア、地域住民までをつなぎ、調整することができるキーパー
ソンの育成を推進するなど、地域福祉の担い手確保を積極的に図っていきます。
○
地域福祉のイメージ図
※地域福祉:自分自身や家族の力で問題の解決を図ること(自助)だけでなく、地域においてお互いに助け合
うこと(共助)や、行政機関等の各種サービスといった公的な支援(公助)を上手く活用し、生活全体を支
える取組
- 23 -
第3 章
基 本理 念及 び基本 目標
(2)地域福祉サービスの基盤づくり
福祉サービスは、高齢者、障がい者、児童、生活困窮者などの各分野で、また、在宅や
施設サービスなど、多種・多様な形態で提供されており、多くのサービスは、行政がサー
ビス内容を決めていた「措置制度」から、利用者自らが福祉サービスを選択して利用する
「契約制度」に転換されています。
このような中、地域住民が、福祉サービスを適切に選択し、安心して利用できるように
することは、地域において安心して暮らすことのできる基盤づくりにつながることから、
市町村社会福祉協議会や、県の出先機関及び市町村役場等の公的機関、また民生委員等に
よる相談支援体制の充実等に努めるとともに、苦情解決体制などの利用者保護の仕組みな
ど、各サービス共通の基盤の整備を進めます。
また、福祉サービス提供の大半を担っている社会福祉法人の経営安定とサービス向上に
向けた取組を支援するとともに、社会福祉法人の地域貢献といった新たな動きを地域福祉
に活用していくため、地域住民の福祉ニーズを捉え、活動に活かしていくような仕組みづ
くりに努めます。
更に、制度の狭間にある福祉課題解決のため、地域福祉の中核となる市町村社会福祉協
議会の充実が図られるよう、市町村及び県、県社会福祉協議会が緊密に連携するとともに、
福祉・保健・医療といった公的機関の横の連携も図ることによって、地域包括ケアシステ
ム等の仕組みへ繋げていきます。
(3)みんなで支え合う地域づくり
地域で互いに支え合い、助け合う機運を醸成すること、また、住民相互の豊かな人間関
係を育むことは、近年問題になっている孤独死や虐待、自殺や生活困窮者の問題など、制
度の狭間にある福祉課題の解決を図っていくためにも、とても重要なことです。
地域福祉を推進していくためには、担い手を育成していくことは当然のことですが、何
よりも地域住民や自治会組織等の地縁団体、地域の企業や社会福祉法人、ボランティア等、
全ての地域住民が参加しやすい仕組みを地域に作っていくことが必要です。
このため、市町村が策定している市町村地域福祉計画の実践を支援することにより、住
民が地域福祉活動に参加しやすくなるような地域づくりを図るとともに、地域での地道な
取組や先駆的な取組など、地域福祉活動に取り組む人や組織を評価し、紹介していくこと
を通して、互いに支え合い、助け合う機運の醸成を図ります。
また、本県でも広がりを見せている高齢者のサロン活動や見守りネットワーク、子育て
支援などの地域福祉サービスを、住民の積極的参加を得ながら県内各地に普及させるとと
もに 、「みやざき地域見守り応援隊」や「茶のん場(茶飲み場)」のような民間企業や地域
住民による新たな取組についても推進していきます。
- 24 -
第 4章
第4章
1
施策の推進
施策の体系
【基本目標】
(1)地域福祉を担う人づくり
【柱となる方向】
【主な取組】
地域福祉の意識醸成
地域福祉の普及啓発
福祉教育の推進
社会福祉事業従事者等の確保と資質
向上
社会福祉事業従事者の確保と資質向上
民生委員・児童委員の確保と資質向上
地域福祉担当行政職員の資質向上
社会福祉協議会職員の資質向上
地域福祉の担い手の育成
NPO・ボランティア活動の支援
地域福祉コーディネーターの養成
企業や団体等の社会貢献活動の促進
社会福祉法人による地域貢献の推進
【基本目標】
(2)地域福祉サービスの基盤づくり
【柱となる方向】
【主な取組】
相談支援体制の整備
身近な相談体制の整備
相談・支援機関等のネットワーク化の促進
専門相談機関の機能強化
支援の総合化の推進
生活課題の早期発見・支援体制の充実
生活困窮者の自立支援体制の整備
福祉サービスを適切に利用できる
環境づくり
福祉サービス情報提供の充実
苦情解決体制の充実
福祉サービス利用者等の権利の擁護の推進
福祉サービス提供体制の充実
福祉サービス提供事業者の円滑な経営の確保
福祉サービスの質の向上
地域福祉活動を支える体制づくり
社会福祉協議会の充実強化
【基本目標】
(3)みんなで支え合う地域づくり
【柱となる方向】
【主な取組】
住民参加で進める地域福祉活動の
推進
市町村地域福祉計画の推進支援
地域福祉活動の展開
地域福祉活動への参加促進
「福祉」で進めるまちづくりの推進
人にやさしい福祉のまちづくりの推進
「福祉でまちづくり」の推進
本県の地域や特性を捉えた地域福祉
の推進
過疎地域等における地域福祉の推進
都市部を中心とした地域福祉の推進
災害時の支援体制の充実
自殺のない地域社会づくりの推進
- 25 -
施策 の 推 進
第 4章
2
施策 の推 進
施策の展開
(1) 地域福祉を担う人づくり
(ア) 現状と課題
○
少子・高齢化や核家族化の進行に加え、個人の価値観やライフスタイルの変化等
を背景に、地域住民同士の連帯感や他人への思いやりの意識の希薄化が進み、地域
コミュニティにおける支え合いの力が弱体化しています。
○
一方で、社会貢献や社会参加への意識が高まり、ボランティア活動などの県民の
自主的な活動が活発になるとともに、民間企業等による社会貢献活動への取組も始
まっています。
○
このような中、行政や社会福祉協議会などでは、講演会や研修会の開催等を通し
て人に優しい福祉の心の醸成に取り組んでいます。
また、学校においても小・中・高校の総合的な学習の時間等で福祉をテーマにし
た取組がなされています。
○
県民誰もが自分らしく安心して暮らすことのできる社会をつくるためには、住民
一人ひとりが地域に関心を持ち、関わりを持つような意識を持つ必要があります。
また、地域住民はもとより、地域福祉関係者や自治会組織、地域の社会福祉法人
や民間企業、また、NPOやボランティアなど、幅広い参加のもとで、地域福祉を
進めていくことが重要となるため、県全体での地域福祉の意識醸成が必要となって
います。
(イ) 基本方向
□
各種広報媒体を活用した広報、各種福祉のイベントやフォーラム、あるいはボラ
ンティア体験など様々な機会を設け、県民の「ともに支え合い、助け合う」意識の
高揚に努めます。
□
教育委員会と連携し、学校での福祉教育の推進、福祉教育に携わる指導者の育成
等を進めるとともに、児童・生徒の福祉への理解と関心を高めていきます。
- 26 -
第4章
施 策 の 推進
(ウ)主な取組
①
地域福祉の普及啓発
◎
本計画で掲げる「ともに支え合い、助け合う
あたたかい思いやりの社会づく
り」という基本理念を広く県民に啓発し、県民一人ひとりがいい意味での「おせ
っかい」の気持ちを持って一歩踏み出すこと、また、そのような「おせっかい」
を受け入れる意識の醸成を図ります。
◎
ホームページや社会福祉協議会の広報誌などの活用や社会福祉大会、福祉イベ
ントなどの開催を通じて、県民の地域福祉に対する理解を促進します。
◎
親子ボランティア体験、世代間交流など、県民が参加しやすい多様な体験・交
流機会を充実します。
②
福祉教育の推進
◎
子どもから高齢者まで、生涯を通じた福祉教育を進めます。
◎
学校教育現場における福祉教育活動を支援するため、福祉関係者を講師として
斡旋します。
◎
福祉教育に携わる指導者の資質向上を図るため、教職員等を対象にした福祉教
育セミナーの充実を図ります。
◎
地域ぐるみで福祉教育を推進するため、福祉教育推進地域(小学校区等)の指
定を行い、学校と地域の連携を強化します。
- 27 -
第 4章
施策 の推 進
(ア) 現状と課題
(社会福祉事業従事者)
○
少子・高齢化の進展に伴い、福祉サービスへの需要が増大している一方で、福祉
サービスを担う人材不足が深刻化しており、福祉人材を安定的に確保するとともに、
質の高い福祉サービスの確保が重要となっています。
○
県においては、福祉人材センターを設置し、就労相談、無料職業紹介や就職説明
会等を行い人材の確保に努めるとともに、社会福祉研修センターで社会福祉事業従
事者等を対象に専門的知識・技術の向上のための研修等を行いその資質向上に努め
ています。
さらに、介護福祉士等の資格を有しながら、その業務に従事していない潜在的有
資格者に就業を促し、職場への復帰定着を図ることが求められます。
○
また、民間企業やNPO等福祉サービス提供事業者の多様化が進んでおり、県民
がどの事業者を選択してもサービスに満足が得られるよう、その質の向上が求めら
れています。
(民生委員・児童委員)
○
民生委員・児童委員は、地域住民の身近な生活課題の相談に対し、必要に応じて
関係行政機関等につないだり、また、福祉サービスの情報を提供するなど、住民に
最も身近な支援者として地域福祉推進の重要な役割を担っており、約2,600名
の方が県内各地で活動しています。
○
長期欠員地区が存在することから、民生委員・児童委員の推薦方法の見直しや、
民生委員・児童委員個々の負担軽減を図るよう検討する必要があります。
○
地域の福祉課題が複雑・多様化する中で、介護保険制度や障害者総合支援法など
福祉施策の充実も図られており、これまで以上に福祉施策等に関する知識の習得や
問題解決能力の向上など民生委員・児童委員の資質向上が求められています。
(地域福祉担当行政職員)
○
市町村は住民に最も身近な行政主体として、地域福祉推進の主導的役割を担って
おり、市町村の担当職員には、地域の現状やニーズを的確に捉え、分析・評価し、
具体的な施策として立案できるような企画力や、計画実施に向けた調整能力など総
- 28 -
第4章
施 策 の 推進
合的な力を高めていくことが求められています。
(社会福祉協議会職員)
○
社会福祉協議会は、社会福祉法に「地域福祉の推進を目的とする団体」と位置付
けられ、地域福祉推進の中核的な役割を担っていることから、職員には、地域住民
やボランティア団体との調整など、地域福祉推進におけるマネジメント能力を一層
高めていくことが求められています。
(イ) 基本方向
(社会福祉事業従事者)
□
社会福祉施設での体験学習等による福祉の職場に対する理解を促進するととも
に、ハローワーク等と連携を図りながら就労斡旋を行うなど、人材の安定的確保に
努めます。
□
新任職員、中堅職員、管理者など階層毎やテーマ別、課題別研修を行い、専門知
識や技術力の向上に努めます。
□
サービス向上の観点から福祉サービスを提供する民間企業等の従事者への研修の
実施について検討を行います。
(民生委員・児童委員)
□
民生委員・児童委員が、地域の中で活動しやすい環境を整備します。
□
民生委員・児童委員に対し、課題解決能力向上のための研修を行うなど、資質の
向上に努めます。
(地域福祉担当行政職員)
□
地域福祉担当行政職員に対し、地域福祉を推進する上で必要となる地域住民のニ
ーズや福祉課題等の把握、具体的な施策への反映など、企画・立案やマネジメント
能力を高めるために必要な研修を行うなど資質の向上に努めます。
(社会福祉協議会職員)
□
地域の福祉課題が複雑・多様化する中で、社会福祉協議会職員に対し、地域の生
活課題や新たな課題等を解決するために必要な関係機関との調整手法など、地域福
祉推進のマネジメント能力を高めるとともに、具体的な地域福祉活動を進める実践
力を高めていくために必要な研修を行うなど資質の向上に努めます。
- 29 -
第 4章
施策 の推 進
(ウ) 主な取組
①
社会福祉事業従事者の確保と資質向上
◎
社会福祉や福祉職場についての理解促進を図るため、マスメディアや情報誌な
どによる情報発信、社会福祉施設での職場体験学習や見学バスツアー等を行い、
福祉・介護職のやりがいや魅力を県民に広く伝えます。
◎
福祉・介護職場の環境整備の促進を図り、福祉・介護職の職場定着へとつなげ
るため、優良事業者表彰を行います。
◎
福祉職場への就労促進を図るため、福祉人材センターとハローワーク等関係機
関が連携して就職説明会を開催します。
特に、潜在的有資格者に対する再就労や、学生等に対する就労の促進に努めます。
◎
県社会福祉研修センターにおいて、事業所と連携した福祉人材定着のための段
階的・体系的な人材育成研修や、テーマ別、課題別研修等を実施するなど、社会
福祉事業従事者のキャリアデザイン支援及び資質向上に努めます。
◎
福祉現場において、従事者が意欲を持って働けるような環境の充実を図るため、
福祉サービス事業者等に対し、労務管理、人事管理等の研修を実施します。
◎
民間企業等の福祉サービス事業者については、職員の資質向上のために、国や
県等が主催する研修を積極的に受講するよう、関係機関と連携しながら経営者に
働きかけます。
②
民生委員・児童委員の確保と資質向上
◎
県民へ向け、民生委員・児童委員の役割の大切さを伝え、「ともに支え合い、助
け合う」意識の醸成を図ることで、民生委員・児童委員の担い手確保につなげま
す。
◎
民生委員・児童委員の欠員地区をなくすために、民生委員・児童委員関係者か
らだけでなく、NPOやボランティア団体などの多方面から幅広く人材が得られ
るような推薦方法の見直しに努めます。
◎
福祉協力員の配置など民生委員・児童委員の活動をサポートする仕組みづくり
- 30 -
第4章
施 策 の 推進
の取組を支援します。
◎
民生委員・児童委員の活動に対する理解を深めるため、行政による積極的な広
報活動を行うとともに、自治会や地域の団体等と連携がとれるよう民生委員・児
童委員活動の理解促進に努めます。
◎
新任民生委員・児童委員を対象に、民生委員・児童委員としての役割や心構え
などの基本的事項や各種福祉制度などについての研修を実施します。
◎
地区民生委員児童委員協議会の会長、中堅リーダー、主任児童委員などを対象
に、人権に関する研修や専門研修を実施します。
◎
各種福祉制度等をまとめた「民生委員・児童委員の手引」を作成し、民生委員
・児童委員活動を支援します。
◎
県と県民生委員児童委員協議会との意見・情報交換会を実施するとともに、各
福祉事務所と地区民生委員児童委員協議会との意見・情報交換会において、モデ
ル的な地域福祉活動の情報を提供するなど、民生委員・児童委員活動を支援しま
す。
◎
平成29年度には民生委員制度創設100周年を迎えるにあたり、県民生委員
児童委員協議会が開催する記念大会等を支援します。
③
◎
地域福祉担当行政職員の資質向上
新任行政職員に対して、福祉行政を取り巻く諸課題、住民参画など地域福祉の
基本的事項に関する研修や、企画力、マネジメントなどの総合的な能力を高める
ための研修を実施します。
◎
住民の福祉ニーズを的確に捉えるための座談会やワークショップの進め方など
具体的手法の習得のための研修を実施します。
④
◎
社会福祉協議会職員の資質向上
福祉ニーズの把握や課題解決のための関係機関との調整など、地域福祉活動計
画をマネジメントする能力を高めるとともに、住民等と共に地域福祉を具現化す
る実践力を高めるための研修を実施します。
- 31 -
第 4章
施策 の推 進
(ア) 現状と課題
○
NPO・ボランティアの活動分野は、福祉・保健・医療分野をはじめとし、幅
広く専門性を持っており、地域福祉の担い手として重要な役割を果たしています。
○
平成27年6月1日現在、市町村に登録されているボランティア団体は、1,990
団体、ボランティアの人数は155,379人となっており、団体数、人数とも
増加傾向にあります。また、平成26年度末現在の県内のNPO法人数は、
423法人となっており、毎年増加しています。
○
人口減少・少子高齢化が進展する中、NPO・ボランティアの役割は今後ます
ます大きくなり、地域福祉の担い手としてさらに力が発揮できるよう養成や活動
の支援を行う必要があります。
○
地域福祉を推進する上で、地域住民とともに、様々な地域福祉活動を展開する
リーダーの役割には非常に大きなものがあります。
このため、県では、平成19年度から地域福祉コーディネーター※を養成してお
り、平成27年度までに508名の地域福祉コーディネーターが誕生しています。
○
NPO・ボランティアや自治会組織、民生委員・児童委員、老人クラブ、婦人
会など多様な団体が様々な地域福祉活動を行っているため、支援団体間のネット
ワーク化を図り、効率的な支援を行うことが求められています。
○
子ども避難所としてガソリンスタンドや事業所の開放、企業の地域貢献として
の清掃作業や施設でのボランティア活動等企業などの社会貢献活動が広がりをみ
せています。
今後、企業や団体などを地域福祉の新たな担い手として位置付け、その活動を
促進していく必要があります。
○
社会福祉法人が、地域のサロン活動に施設の栄養士を派遣し相談に応じたり、
地区公民館で認知症や介護についての講座を開いたり、子育て支援を行うなど、
社会貢献活動を展開しており、少しずつ広がりを見せています。
※
地域福祉コーディネーター:様々な福祉施策やサービス、また福祉活動を行っているNPO、ボランティア等の情報など、 地域の福
祉課題を解決するために利用できる多くの手段・情報等に精通した人材
- 32 -
第4章
○
施 策 の 推進
地域の福祉課題が複雑・多様化する中で、高い公益性と非営利性を備えた社会
福祉法人が果たす役割は非常に重要なものがあります。
今後、社会福祉法人の優秀な人材や専門的な知識・技術等を地域に展開してい
く等の地域貢献活動を進めていくことが求められています。
(イ) 基本方向
□
NPOやボランティア活動に関する啓発や人材育成等への支援を行い、その活
動の活性化を図ります。
□
福祉の専門知識を持つ社会福祉協議会や社会福祉施設の職員、行政職員等を対
象として、地域福祉コーディネーターの育成を推進します。
また、地域福祉コーディネーターが地域で活動しやすい環境づくりや福祉・保
健・医療の連携を図るためのスキルアップ研修等の充実に努めます。
□
社会福祉貢献活動の取り組みを企業・団体に紹介するなど、その社会貢献活動
の促進に努めます。
□
社会福祉法人の地域福祉活動について普及啓発するなど、社会福祉法人の地域
展開を促進します。
(ウ) 主な取組
①
◎
NPO・ボランティア活動の支援
県NPO活動支援センターや県ボランティアセンターにおけるNPO・ボラン
ティア活動に関する情報提供や相談体制の機能充実を図り、県民が活動に参加し
やすく、活動を継続できる環境の整備に努めます。
◎
NPOの設立・運営の相談等を実施するNPO活動支援センター事業や、ボラ
ンティアの活動支援や人材育成等を行うボランティアセンター事業などにより、
NPO・ボランティア活動の基盤整備を行います。
◎
行政と企業、NPO、ボランティア団体等との協働を促進します。
- 33 -
第 4章
施策 の推 進
②
地域福祉コーディネーターの養成
◎
市町村社会福祉協議会の職員や社会福祉施設の職員、行政職員等に対し研修を
行い、地域資源(人・サービス)を活用できる地域福祉コーディネーターとして
養成します。
◎
福祉・保健・医療の連携を図るため、養成した地域福祉コーディネーターの更
なる資質向上を図るための研修を行います。
◎
地域福祉コーディネーターの役割や実施したモデル事業の内容等を関係機関や
地域住民に周知したり、市町村や関係機関との地域連絡会議を行うなど、地域福
祉コーディネーターが、地域ごとの問題や求められる専門性に対応した活動がで
きるように支援していきます。
◎
養成した地域福祉コーディネーターの全体会議を開催し、活動状況等について
の意見交換などを行い、地域福祉コーディネーターとしての資質の向上を図りま
す。
③
企業や団体等の社会貢献活動の促進
◎
各種広報メディアを活用し、企業・団体等の取組を紹介するなど、社会貢献活
動の普及に努めます。
④
社会福祉法人による地域貢献の推進
◎
県内外の社会福祉法人の地域福祉の活動事例を紹介するなど、社会福祉法人の
地域福祉活動への取組を支援します。
◎
社会福祉法人の理事長研修や施設長研修などにおいて、地域福祉における社会
福祉法人の役割などのカリキュラムを取り入れた研修を実施します。
◎
社会福祉法の改正後に責務となることが予定されている社会福祉法人の地域貢
献について、県や市町村、社会福祉協議会、社会福祉法人等から組織される協議会
等を設置し、方向性やあり方について検討を行うとともに、適正な運営のための支
援を行います。また、法人が行う地域貢献について、県民に向けた広報活動を行い
ます。
- 34 -
第4章
(資料:九州保健福祉大学准教授
川﨑順子氏作成「平成27年度地域福祉コーディネーター養成研修(5日目)資料)
- 35 -
施 策 の 推進
第 4章
施 策の推 進
(2) 地域福祉サービスの基盤づくり
(ア) 現状と課題
○
市町村の福祉担当課、社会福祉協議会、地域包括支援センター ※ 、保健センタ
ー等の地域の公的機関が、住民の様々な相談に応じているほか、身近な相談窓口
として民生委員・児童委員が対応しています。
○
「公的機関の相談窓口だと、気軽に相談できない 」、また、「どこに相談してい
いのか分からない」といった地域住民の声も一部にあり、気軽に相談できる窓口
の設置や相談窓口の広報など、対応を検討する必要があります。
○
子どもの貧困等の生活困窮の課題、自殺、孤独死、ひきこもりなど、複雑多様
化する課題が発生してきており、単独の相談機関だけでは対応が困難になってい
るため、相談機関のネットワーク化が課題となっています。
○
県においても、児童相談所や保健所、高齢者総合支援センター、身体障害者相
談センター等の専門的・広域的相談機関を設置していますが、市町村の後方支援
機関として専門的支援が一層充実するような機能強化を図っていく必要がありま
す。
○
地域住民の生活課題は、福祉・保健・医療や、その他の分野のサービスを組み
合わせたり、既存の公共的サービス、民間事業所のサービス以外のNPOやボラ
ンティア等のサポートによって解決されることもあるため、多様なサービスを適
切に組み合わせることのできる総合的な相談支援体制が課題となっております。
(イ) 基本方向
□
住民が目的に応じて利用しやすいよう相談機関の情報提供を充実するととも
に、相談機関の専門性の向上やネットワーク化により、ワンストップで相談でき
る体制の整備を促進します。
□
県の専門的・広域的相談機関の機能充実を図るとともに市町村等への支援を強
化していきます。
※地域包括支援センター:高齢者等の総合的な相談に応じ、各種保健福祉サービスの情報提供や、関係機関との連絡調整などの
支援を地域において包括的・一体的に実施する機関
- 36 -
第4 章
□
施策 の推進
関係機関の協働体制の整備を図るなど、福祉・保健・医療等が分野横断的に総
合的な支援ができる体制づくりに努めます。
□
地域における見守り体制を充実させ、早期に生活課題を発見し、適切かつ迅速
に対応するように努めます。
(ウ) 主な取組
①
◎
身近な相談体制の整備
市町村や社会福祉協議会の広報誌、ホームページなど各種媒体を活用し、相
談機関についての分かりやすい情報の提供を促進します。
◎
民生委員児童委員協議会への支援や民生委員・児童委員の初任者研修等を通
じて、住民に身近な相談者としての民生委員・児童委員の資質向上を図ります。
◎
市町村社会福祉協議会や地域包括支援センター、社会福祉法人等に所属する
地域福祉コーディネーターの養成を図ることにより、住民に身近な相談者を増
やします。
②
◎
相談・支援機関等のネットワーク化の促進
市町村の福祉担当課、地域包括支援センター、市町村社会福祉協議会等の身
近な相談機関と県の専門相談機関等とのネットワーク化を図ります。
◎
各機関に所属する地域福祉コーディネーターの横の連携を図ることで、複合
的で複雑な相談に対しても適切な支援につなげられる体制の充実に努め、相談
窓口のワンストップ化を図ります。
③
◎
専門相談機関の機能強化
高齢者総合支援センターや身体障害者相談センター等の広域的に相談に応じ
ている機関の機能を活用し、複雑・多様化する県民の相談等に適切に対応しま
す。
◎
県の出先機関をはじめとする相談機関が、それぞれの専門的機能を生かして
市町村の福祉担当課、地域包括支援センター、市町村社会福祉協議会等の住民
に身近な相談機関の支援に努めます。
- 37 -
第 4章
施 策の推 進
④
◎
支援の総合化の推進
福祉・保健・医療などの関係機関の連携を強化するとともに、福祉サービス
の提供事業者、民生委員・児童委員、NPO、ボランティア等の連携・協働を
促進し、地域包括ケアシステム等の分野横断的に相談できる体制づくりに努め
ます。
◎
地域包括支援センターにおいて開催する地域ケア会議において、地域住民の
生活課題の解決につなげるため、専門職能団体と連携し、専門職個人が参加し
やすい環境づくりに努めます。
【介護保険制度における地域包括ケアシステムのイメージ】
(資料:厚生労働省老健局)
◎
各機関に所属する地域福祉コーディネーターが、地域ごとに異なる各種専門
機関等を活用した支援ができるよう、スキルアップ研修等を通じてマネジメン
ト機能を強化します。
◎
県地域生活定着支援センター※等を活用して、刑務所出所予定の高齢者や障が
い者等、福祉の支援を必要としている方々が、安心して地域生活を送ることが
できる体制づくりを支援します。
※
地域生活定着支援センター:高齢や障がいなどの理由により、刑務所等を退所した後、自立した生活を送ることが難しい人に対し、
福祉サービス等を利用できるよう関係機関と連携して、円滑な社会復帰を図るための支援や調整を行う機関
- 38 -
第4 章
⑤
◎
施策 の推進
生活課題の早期発見・支援体制の充実
住民の立場になって相談に乗り、必要な援助を行う民生委員活動の充実を支
援するとともに、地域の住民組織、団体や警察、消防などの行政機関、また民
間企業等、様々な団体間の連携を図り、自治会組織単位などでのきめ細やかで
積極的な見守りや支援体制の充実に努め、地域住民の生活課題の早期発見につ
なげます。
⑥
◎
生活困窮者の自立支援体制の整備
県や市町村において、税・保険料や公共料金の担当部局と連携した横断的な
体制づくりに努めるほか、学校や教育委員会、社会福祉協議会、民生委員・児
童委員、電気・ガス等のライフライン事業者、自治会など多岐にわたる分野と
の連携を促進することにより、生活困窮者を早期に発見・把握し、自立相談支
援機関※に繋げます。
◎
自立相談支援機関を中心に、雇用を担当する商工労働部局やハローワーク、
地域の企業や事業所等とも連携して、生活困窮者が地域で自立した生活を営む
ことを包括的に支援するための体制づくりに努めます。
◎
自立相談支援機関の相談支援員等について、国の実施する養成研修への参加
と併せて、県内での研修会を開催し、資質の向上を図ります。
◎
地域の実情に応じた子どもの貧困対策の積極的な情報共有や相談支援を充実
させるために、地域を基盤とした子どもの貧困対策会議を開催し、福祉、教育、
民間団体等が連携を図り、地域におけるネットワークの構築を図ります。
◎
低所得世帯等への資金の貸付や相談支援により自立の促進を図る生活福祉資
金貸付制度の効果的な運用を図るため、自立相談支援機関と社会福祉協議会の
連携を強化します。
自立相談支援機関:生活困窮者自立支援法に基づき生活困窮者に就労支援その他自立に関する相談等を実施するために県
・市が設置している相談窓口
※
- 39 -
第 4章
施 策の推 進
生 活 困 窮 者 自 立 相 談 支 援 事 業
生
紹
介
活
困
直
窮
者
接
訪
問
自立相談支援機関
(受付・聞き取り)
中央福祉こどもセンター
南部福祉こどもセンター
児 湯 福 祉 事 務 所
北部福祉こどもセンター
西 臼 杵 支 庁 福 祉 課
(他機関へのつなぎ)
・年金事務所
・ハローワーク
・社会福祉協議会
・法テラス宮崎 等
(意思確認・同意書)
課題を評価・分析し把握
【支援調整会議】
再
プ
ラ
ン
支援プラン案の作成
支援決定・支援実施
(プラン評価)
生活困窮状態からの脱却
(他制度へのつなぎ等)
- 40 -
・町村福祉課
・社会福祉協議会
・地区民生児童委員
・保健所
・学校関係
・ハローワーク
・消費生活センター
・地域包括支援センター
・法テラス宮崎 等
第4 章
施策 の推進
(ア) 現状と課題
○
福祉サービスは、内容が複雑で理解が難しい面がある一方、制度が措置から契
約に移行したことにより、住民自らサービスを選択し、利用しなくてはならない
ため、分かりやすい情報提供が課題となっています。
○
福祉サービスに関する苦情解決については、福祉サービス事業者における苦情
解決体制の整備や、事業者が解決困難な苦情に対処するための中立公正な福祉サ
ービス運営適正化委員会(県社会福祉協議会に設置)の整備がなされています。
また、福祉サービス事業者に対して利用者は苦情や不満を表明しにくい面もあ
ることから、今後、苦情解決制度については、一層の周知を図るとともに、体制
の充実に努める必要があります。
○
認知症高齢者などの判断能力が十分でない人が、地域において自立した生活を
送ることができるよう支援する制度として、福祉サービスの利用手続き及び金銭
管理等を援助する日常生活自立支援事業や、民法上の成年後見制度がありますが、
増加する利用者に十分に対応できておらず、体制の整備を図る必要があります。
(イ) 基本方向
□
市町村や福祉サービス事業者による適切な情報提供を促進するなど、利用者の
立場に立った分かりやすい情報提供に努めます。
□
福祉サービスに関する苦情解決のための体制の周知を図るとともに、事業者自
身の苦情解決体制の整備を促進します。
□
日常生活自立支援事業や成年後見制度の普及啓発及び利用促進を図るなど、利
用者等の権利の擁護に努めます。
(ウ) 主な取組
①
◎
福祉サービス情報提供の充実
市町村や社会福祉協議会の広報誌、ホームページなど各種媒体を活用した分
かりやすい福祉サービス情報の提供を促進します。
- 41 -
第 4章
施 策の推 進
◎
県や県社会福祉協議会のホームページで提供している福祉保健サービス情報
の充実を図ります。
◎
利用者が安心して福祉サービスを選択できるよう、福祉サービス事業者のサ
ービス実施体制や、財務状況等について積極的な情報提供を促進します。
◎「介護サービス情報の公表」制度による情報提供を推進します。
②
◎
苦情解決体制の充実
県や県社会福祉協議会のホームページ等の各種媒体を活用して、苦情解決制
度の県民への周知を図ります。
◎
苦情に対する適切な解決がサービス向上につながることについて、福祉サー
ビス提供事業者の理解を促進し、苦情受付担当者の配置、第三者委員の設置な
ど、事業者内での苦情解決体制の整備につなげます。また、苦情に対し迅速・
誠実に対応するよう指導します。
◎
市町村等関係機関と連携し、円滑な苦情処理が行われるよう努めるとともに、
福祉サービス運営適正化委員会の苦情解決機能の充実を図ります。
③
◎
福祉サービス利用者等の権利の擁護の推進
認知症高齢者や障がい者などが福祉サービスを適切に利用し、地域で自立し
た生活が送れるよう、日常生活自立支援事業の実施体制の充実を図るとともに、
市町村社会福祉協議会の法人後見受任体制の整備を支援します。
◎
福祉サービス事業所において利用者が虐待などにより権利を侵害されないよ
う、権利擁護の意識に関する啓発、指導を推進するとともに、施設職員等に対
する人権や権利擁護に関する研修を充実します。
◎
高齢者や障がい者に対する虐待のうち、対応が困難な事例については、県弁
護士会及び県社会福祉士会の会員から構成される「高齢者・障がい者虐待対応
専門職チーム」を市町村に派遣するなど、専門的な知識やノウハウ等に基づい
た業務支援を行い、高齢者や障がい者の人権を擁護します。
- 42 -
第4 章
◎
施策 の推進
市町村が実施する成年後見制度利用や地域包括支援センターが実施する権利
擁護に関する取組について、弁護士や社会福祉士等の専門職種と連携しながら
支援するとともに、市町村と協力して市民後見人を養成し、認知症高齢者等の
権利擁護が図られるよう努めます。
◎
障がい者への障がいを理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供などについ
て普及啓発を推進するとともに、障がいを理由とした差別に関する相談及び紛
争解決のための体制を整備し、障がい者への差別解消を推進します。
- 43 -
第 4章
施 策の推 進
(ア) 現状と課題
○
急速に進む少子高齢化等を背景として、介護保険制度や障害者総合支援法の施
行、子ども・子育て支援新制度の導入等、社会福祉法人を取り巻く環境は変化し
ています。
○
社会福祉法人は、利用者との契約による福祉サービス提供の大半を担っている
ため、円滑な経営の確保、コンプライアンス(法令遵守)の徹底が課題であり、
県では関係法令等に基づき社会福祉法人、社会福祉施設を対象に指導監査を実施
するとともに、県社会福祉協議会が社会福祉法人等経営支援事業を実施し、社会
福祉法人が行う施設経営全般の質の向上を図る取組に対し、専門家による指導・
援助体制を整えています。
○
また、福祉サービスは、従来の措置から契約による利用制度へと移行したこと
から、利用者はより質の高い福祉サービスを選択するため、社会福祉法人をはじ
めとした福祉サービス事業者は、常に利用者の立場に立って良質かつ適切な福祉
サービスを提供するよう努める必要があります。
○
福祉サービスの第三者評価は、福祉サービス事業者の問題点の把握や、サービ
ス向上の促進につながるとともに、評価結果の公表が、利用者の事業者選択のた
めの有効な情報になりますが、受審している施設数が低い状況にあります。
(イ) 基本方向
□
県の実施する指導監査や社会福祉法人等経営支援事業等により福祉サービス事
業者の健全な経営の確保に努めます。
□
福祉サービス第三者評価の普及を図り、受審数の増加に努めます。
(ウ) 主な取組
①
◎
福祉サービス事業者の円滑な経営の確保
県の指導監査を通じ、社会福祉法人の運営を決定する理事会の適正な運営や
情報公開等による透明性の確保等、社会福祉法人及び社会福祉施設等の適正運
- 44 -
第4 章
施策 の推進
営の基本となる事項の徹底を図るとともに、運営全般について助言、指導を行
い、適正な法人・施設運営の確保を図ります。
◎
県の指導監査を通じ、苦情解決の仕組みの定着、利用者への積極的な情報の
提供等利用者を主体とする施設運営を指導し、利用者主体の施設づくりを支援
します。
◎
県社会福祉協議会が行う社会福祉法人等に対する経営支援や研修会等の充実
を図り、社会福祉施設運営全般の質的向上に努めます。
◎
市が監査を実施している社会福祉法人について、適切な運営確保を図るため、
広域的な立場で、市職員の研修や市が実施する指導監査の助言等による支援を
行います。
②
◎
福祉サービスの質の向上
福祉サービス第三者評価について、評価基準や評価機関の認証等評価の仕組
みの周知を図るとともに、福祉サービス事業者への啓発を行い、その利用を促
進します。
◎
※
地域密着型サービス※の自己評価及び外部評価の適正な実施を図ります。
地域密着型サービス:介護保険制度改正に伴い、平成18年4月から導入されたサービスで、市町村ごとにサービス提供事業者が指
定され、住み慣れた自宅や地域で生活できるサービス
- 45 -
第 4章
施 策の推 進
エ
地域福祉活動を支える体制づくり
(ア) 現状と課題
○
県及び市町村の社会福祉協議会は、その区域内の地域福祉の推進を図ることを
目的とする団体であり、地域福祉推進の中核的役割を担っています。
○
県社会福祉協議会は、地域福祉に関する調査・企画、社会福祉関係団体等のネ
ットワーク化や福祉人材の確保・育成のほか、社会福祉事業の経営に関する指導
・助言、NPO・ボランティア等の育成・支援、市町村社会福祉協議会への支援
など、各市町村にまたがる広域的な観点から地域福祉を推進しています。
○
市町村社会福祉協議会は、住民に最も身近な地域で活動しており、住民からの
心配事相談や配食サービスなど様々な福祉サービスを行っているほか、ボランテ
ィア活動や福祉教育の支援など、地域の福祉活動の拠点としての役割を果たして
います。
○
社会福祉法人に求められる地域貢献の活動について、これまでに培ったノウハ
ウを活かしながら、地域福祉推進の民間のリーダーとして取り組んでいけるよう、
社会福祉協議会の機能の一層の充実強化に努める必要があります。
(イ) 基本方向
□
県社会福祉協議会は、広域の地域福祉の推進・支援機関として、また、市町村
社会福祉協議会は、市町村内の地域福祉の推進・支援機関として、多様な機能が
果たせるよう充実強化を図ります。
(ウ) 主な取組
①
◎
社会福祉協議会の充実強化
社会福祉協議会活動基盤強化支援事業による福祉活動指導員及び事務職員の
配置等の支援を通じ、県社会福祉協議会の活動基盤の強化に努めます。
◎
日常生活自立支援事業、福祉人材の確保・養成を進めるほか、市町村や市町
村社会福祉協議会、NPO、地域づくり団体等の地域福祉推進のための取組に
ついて、連携を図りながら支援します。
- 46 -
第4 章
◎
施策 の推進
県と県社会福祉協議会が緊密な連携を図り、効果的な地域福祉推進施策の構
築に努めます。
◎
県社会福祉協議会への支援を通じて、地域福祉活動計画の策定支援、経営基
盤の強化、相談体制の整備など、市町村社会福祉協議会の充実に努めます。
◎
県社会福祉協議会及び市町村社会福祉協議会が、地域の社会福祉法人のとり
まとめ役・リーダーとして、地域貢献のあり方の検討や取組を進めることを促
進します。
- 47 -
第 4章
施策 の推 進
(3)
みんなで支え合う地域づくり
ア
住民参加で進める地域福祉活動の推進
(ア)
○
現状と課題
地域福祉を推進していくためには、住民に最も身近な行政主体である市町村が、
地域福祉計画に基づき、住民参加による地域福祉活動を着実に推進、実行すること
が求められています。
◯
また、地域における全ての生活課題に対し、公的な福祉サービスだけでは対応が
困難となっていることから、地域住民が主体的に関わり、支え合う体制を構築する
必要があります。
○
現在、地域においては、いきいきサロン活動や地域見守りネットワーク活動、子
育て支援や高齢者の配食サービス、移送サービス等の住民参加型の福祉サービスが
広がり始めているものの、県内各地に普及するには至っておらず、また、一部の住
民の参加にとどまっています。
○
これまで活動に参加していない住民の中には、参加意欲はあるが、それが活動に
結びついていないケースも多いと思われます。
今後、社会参加意欲が高いにもかかわらず、これまで地域との関わりが薄かった
住民などが地域福祉活動に参加しやすい環境を整え、「社会参加への意欲」を「参
加」につなげる「きっかけづくり」を進めていく必要があります。
(イ)
基本方向
□
市町村地域福祉計画が着実に推進されるよう支援に努めます。
□
地域福祉活動の先進事例等の紹介を行うとともに、活動拠点の確保やモデル的取
組への支援を行い、地域福祉活動の県内各地への展開に努めます。
□
福祉イベントの開催など様々なきっかけづくりを進め、地域福祉活動への参加を
促進します。
- 48 -
第 4章
施策 の推 進
(ウ)
①
主な取組
◎
市町村地域福祉計画の推進支援
先進事例等の情報提供や専門アドバイザーの派遣を行い、市町村地域福祉計画
の推進を支援するとともに、計画の進行管理や進捗状況の評価手法について助言
を行います。
◎
地域福祉計画に基づく先駆的・モデル的事業に対し、高齢者等保健福祉基金等
を活用した支援を行い、市町村地域福祉計画の着実な推進を支援します。
②
◎
地域福祉活動の展開
地域福祉に関わる者のネットワークを形成し、地域の生活課題の情報が共有さ
れるしくみづくりを支援するとともに、市町村の地区社会福祉協議会や自治会に
おける福祉部会等の設置を促進し、多くの住民が参加できる小地域福祉活動の展
開を支援します。
◎
県域を営業エリアとして活動する電気・ガス等のライフライン事業者や宅配サ
ービス事業者等と「みやざき地域見守り応援隊」を結成し、地域住民の異常があ
った場合の通報ネットワーク活動を推進します。
◎
地域における生活課題に柔軟・迅速に対応するために、自治会やNPO、ボラ
ンティアなど多様な活動団体同士が相互に調整し、協働するしくみづくりを支援
するとともに、企業、PTA、青少年団体、大学など福祉に限らず、他の様々な
分野の多様な主体との協働を推進します。
◎
高齢者、障がい児・者、子ども、子育て中の母親など世代を超えた地域住民が
集い、交流する居場所づくりや複数の福祉サービスを一体的に提供する拠点づく
りを促進します。
◎
認知症高齢者や障がい者のためのグループホームなどの地域福祉型福祉サービ
スの普及を推進するとともに、県内全域に認知症サポーター※を養成し、認知症高
齢者の地域における見守りを充実します。
◎
これまで各地域で取り組まれてきた住民参加による地域福祉活動について、活
動事例集やホームページを活用し、県民や市町村等に情報提供していきます。
※
認知症サポーター:認知症サポーター養成講座を受講することで認知症について正しい知識を身につけ、認知症の人やその家族を
温かく見守る応援者として、自分のできる範囲で活動する人
- 49 -
第 4章
施策 の推 進
◎
手話奉仕員や点訳奉仕員等の養成を通じて、地域住民の参加による障がい者へ
の支援を推進します。
③
◎
地域福祉活動への参加促進
地域福祉活動への参加の「きっかけづくり」を進めるため、地域福祉活動の情
報提供や、住民誰もが気軽に参加できる福祉イベントを開催するとともに、民間
の社会福祉関係団体の事業の助成等に活用される共同募金等の啓発を行います。
◎
これまで地域福祉活動に参加できなかった人や、団塊の世代などの新たな人材
の参加を促進するため、市町村や民間団体等が行う住民や利用者等の交流事業の
実施を支援します。
◎
ボランティアセンターや社会福祉協議会において、地域福祉活動に対する相談
体制を充実します。
○
みやざき地域見守り応援隊のイメージ図
- 50 -
第 4章
イ
施策 の推 進
「福祉」で進めるまちづくりの推進
(ア)
○
現状と課題
本県においては、「人にやさしい福祉のまちづくり条例」に基づき、「思いやりの
ある心づくり」と「バリアフリーの施設づくり」を柱として、障がい者や高齢者を
はじめすべての人にやさしい福祉のまちづくりに積極的に取り組んできました。
○
高齢者や障がい者はもとよりすべての人が住みなれた地域で安心して暮らし、積
極的な社会参加ができるようにするためには、自宅から交通機関、まち中までハー
ド・ソフト両面にわたり利便性の高いバリアフリー環境の整備を一層推進する必要
があります。
○
また、年齢、性別、障がい、国籍等にかかわらず、すべての人にとって利用しや
すく、快適に生活できるよう配慮した施設、もの、環境、サービスなどのデザイン
をしていこうという「ユニバーサルデザイン」の考え方を実践していくことが求め
られています。
○
地域の福祉課題の解決の取組を通した、言わば福祉をテーマにして地域を活性化
させようという「福祉でまちづくり」の動きが県内で広がりを見せつつあります。
○
具体的には、地域住民が参加した子供や高齢者の見守り活動を通した地域コミュ
ニティの活性化、商店街の空き店舗を活用した高齢者サロンや幼児預かり所の開設
や高齢者等に対する買い物代行事業など産業・商業に福祉的視点を導入することに
よる活性化、更には障がい者による野菜等の栽培・販売や飲食店の運営などによる
雇用・就労の場の創出などの取組が始まっています。
○
「福祉でまちづくり」の活動をさらに発展させていくため、障がい者団体や地域
団体等との連携、ネットワーク化を図る必要があります。
(イ)
□
基本方向
ソフト・ハード両面にわたり「人にやさしい福祉のまちづくり」を推進するとと
もに、ユニバーサルデザインの考え方の普及を図ります。
□
「福祉でまちづくり」の普及啓発に取り組むととともに、福祉をテーマとした産
業等の振興に努めます。
- 51 -
第 4章
施策 の推 進
(ウ)
①
◎
主な取組
人にやさしい福祉のまちづくりの推進
人にやさしい福祉のまちづくり推進月間における広報などを通じて、人情味あ
ふれる優しい県民性を生かした思いやりのある心づくりを推進します。
◎
福祉保健施設をはじめとする公共的施設について、スロープ、手すりなどの整
備の促進や整備を行う事業者への金融支援等により、高齢者や障がい者などが利
用しやすいバリアフリーの施設づくりを促進します。
◎
ノンステップバス等の導入促進と併せたバス停の改善や、歩道の拡張、段差・
勾配の改善など、バリアフリー環境の充実に努めます。
◎
ユニバーサルデザインについての啓発・広報を行い、県民の理解と関心を深め
ます。
②
◎
「福祉でまちづくり」の推進
「福祉でまちづくり」という考え方が地域活性化につながることや、その取組
事例の紹介等を通じた啓発を図ります。
◎
地域福祉活動に取り組む団体とまちづくり団体との連携を促進します。
◎
空き店舗や公共施設を活用した、子どもの一時預かりや親子交流ができる場な
どの情報提供を行い、保護者や地域の多様な子育て支援ニーズに応じた取組を支
援します。
◎
買い物代行事業や宅配事業など、地域の福祉ニーズに応じた新たな取組を支援
します。
◎
地域の資源を活用して、地域の福祉課題解決のためのサービスを提供するソー
シャルビジネス※、コミュニティビジネス※の取組を促進します。
※
ソーシャルビジネス:これまで主に行政が対応してきた環境、地域活性化、少子高齢化、福祉、生涯教育など社会的課題への取組を、
企業等が収入を得て継続的な事業活動として進めていく取組
※ コミュニティビジネス:市民が主体となって、地域が抱える課題をビジネスの手法により解決し、また、コミュニティの再生を通じて、その活
動の利益を地域に還元するという事業の総称(NPO コミュニティビジネスサポートセンターより)
- 52 -
第 4章
ウ
施策 の推 進
本県の地域や特性を捉えた地域福祉の推進
(ア)
○
現状と課題
平成22年国勢調査による本県の過疎地域の人口は197,712人で、県人口
に占める割合は、17.4%となっています。
○
過疎地域等では、バス等公共交通機関の廃止や減少により、買い物や通院などへ
の影響が生じています。また、人口減少や高齢の一人暮らし世帯等が地域的に分散
して居住していることもあり、住民が安心して住み続けるためには、移動手段の確
保や買い物支援、ちょっとした困りごとへの対応支援等が求められています。
○
一方、都市部を中心とした地域では、人間関係の希薄化が進む中で、孤独死、虐
待、生活困窮、自殺などの今日的な福祉課題に対応していく必要があります。
○
平成23年3月に発生した東日本大震災は、我が国に未曾有の被害を与え、多く
の課題と教訓を遺しました。本県は、台風等による風水害や霧島山火山の噴火によ
る火山災害などにより、大きな被害を被ってきたほか、南海トラフ巨大地震など、
今後も様々な自然災害が発生するおそれがあり、高齢者、障がい者、妊産婦、外国
人住民等の要配慮者をいかに守っていくかが、課題となっています。
◯
平成26年の本県における自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は
23.9人と全国ワースト3位となっており、自殺のない地域社会づくりに取り組
んでいく必要があります。
(イ)
□
基本方向
過疎地域等でニーズの高い買物、通院等への支援や高齢者等の見守り体制の充実
に努めます。
□
孤独死、虐待、生活困窮、自殺などの都市部を中心とした新たな課題に対して、
地域で支え合い、見守っていく体制づくりの充実に努めます。
※
過疎地域:過疎地域自立促進措置法第2条第2項で定める地域
- 53 -
第 4章
施策 の推 進
□
市町村と連携しながら高齢者、障がい者、妊産婦、外国人住民等の要配慮者の避
難対策の充実を図るとともに災害ボランティアを育成するなど、災害時支援体制の
充実に努めます。
□
自殺は地域の課題であるという認識を行政、民間そして地域住民が共有し、地域
が主体的に「地域の絆づくり」や「孤立防止」などに取り組む体制や環境を構築し
ます。
(ウ)
①
◎
主な取組
過疎地域等における地域福祉の推進
国、市町村、交通事業者、民間団体等と連携を図りながら、地域の実情に応じ
た移動手段が将来にわたって安定的に確保されるよう努めます。
◎
商店街や商工団体及び市町村社会福祉協議会等が中心となって展開する高齢者
等への宅配サービスなどの買い物支援を促進します。
◎
近隣住民や地域ボランティアに加え、NPO等と連携して組織的な見守り体制
づくりに努めます。
◎
人口減少や世帯構成の変化に伴い孤立しがちな高齢者のサロン活動や「茶のん
場」等の居場所づくりへの支援を通じて、地域住民が気軽に集う拠点整備を進め
ます。
◎
社会福祉法人やNPOが有する人材や施設・設備等を活用した困りごとを解決
する地域ヘルパーサービスや配食サービス等の実施など、人口減少に対応した地
域の支え合いシステムの構築を促進します。
②
◎
都市部を中心とした地域福祉の推進
孤独死や虐待など身近にいなければ早期発見が困難な課題に対し、自治会、町
内会などの地縁団体やNPO、ボランティア団体及び配達を行う企業等との連携
を図り、「おせっかい」の精神による地域見守り体制の充実を図ります。
◎
人間関係の希薄化による地域での孤立を防ぐため、高齢者、障がい児・者、子
ども、子育て中の母親など世代を超えた地域住民が集い、交流する居場所づくり
- 54 -
第 4章
施策 の推 進
や複数の福祉サービスを一体的に提供する施設整備を促進します。
◎
社会福祉事業従事者等への研修等に、虐待や生活困窮、地域包括ケア等の取組
に関する内容を盛り込むことなどにより、新たな課題に対して対応できるよう、
その資質向上を図り、核となる人材の確保に努めます。
③
◎
災害時の支援体制の充実
宮崎県地域防災計画に基づき市町村や関係機関と連携し、平常時から高齢者等
の災害時における要配慮者の避難支援体制の整備に努めます。
◎
市町村における緊急通信システムの整備や障がい者が必要とする情報等を掲載
した防災マップの作成等を促進します。
◎
日本赤十字社宮崎県支部や県社会福祉協議会等と連携しながら、災害ボランテ
ィアに対する具体的な指導や現場における指示を的確に実施できるキーパーソン
の育成に努めます。
◎
県及び市町村の防災訓練における災害ボランティアセンターの立ち上げ訓練や、
災害ボランティアセンターの立ち上げ支援など、災害時におけるボランティアコ
ーディネート機能の充実を図ります。
◎
自然災害の発生により住家被害があった被災者に対し、「宮崎県・市町村災害時
安心基金」に基づく支援金や国の被災者生活再建支援制度等により、被災者の生
活再建を支援します。
◎
災害時に社会福祉施設間で相互に人的・物的応援を行う「宮崎県社会福祉施設
等災害時相互応援協定」により、要配慮者への支援ネットワークの充実を図りま
す。
◎
市町村が高齢者等入所施設等と連携して行う、災害時の福祉避難所※の指定、整
備を促進します。
※
福祉避難所:高齢者、障がい者、妊産婦、外国人住民等の要配慮者に対して、バリアフリー化されているなど特別な配慮をしてい
る避難所
- 55 -
第 4章
施策 の推 進
④
◎
自殺のない地域社会づくりの推進
福祉、保健、医療、教育、労働など多種多様な団体・機関からなる市町村・保
健所単位での自殺対策ネットワークを活用し、自殺防止や自殺予防に地域社会全
体で取り組みます。
◎
市町村や民間団体が主体的に取り組む「声かけ・見守り」活動や、誰でも気軽
に立ち寄ることのできる居場所づくりなど、地域に密着したきめ細やかな自殺対
策の支援を行います。
- 56 -
第 4章
3
施策 の推 進
数値目標
計画に掲げる施策の推進状況を評価・点検する指標について、以下のとおり設定します。
項
目
福祉人材センターにおける就職率(%)
現況値
目標値
H26
H32
30.7
36.0
7
22
97.7
100.0
民生委員・児童委員一人あたりの年間活動件数(訪問回数)
184
200
地域福祉コーディネーター養成人数
442
760
1,961
2,080
社会福祉法人において地域貢献を行った法人の割合(%)
-
100.0
福祉サービス第三者評価件数
17
80
生活困窮者の自立相談支援機関における1ヶ月あたりの新
-
16
法人後見に取り組む市町村社会福祉協議会数
4
16
みやざき地域見守り応援隊への参画事業者数
14
17
世代間交流・多機能型福祉拠点支援事業により整備した拠
-
26
70,831
150,000
20
26
福祉職員キャリアパス対応生涯研修※回数
民生委員・児童委員の充足率(%)
ボランティア団体数
規相談受付件数(人口10万人あたり)
点数
認知症サポーター養成数
福祉避難所の設置市町村数
※ 福祉職員キャリアパス対応生涯研修:福祉・介護職員が、自らのキャリアアップの道筋を描き、初任者、中堅職員等それぞれの
キャリアの段階に応じて共通に求められる能力の向上を図ることを支援するとともに、各施設、事業所が主体的に職員のキャリア
パスを整備し、これに沿った職員育成施策を確立・実施することを支援するために行う研修
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第4章
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施 策 の 推進