TPPに対する静岡県の基本方針 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、21 世紀のアジア・太平洋地域に自由 で公正な「一つの経済圏」を構築する取組である。世界のGDPの約4割を占める巨 大な経済圏において、各国が高水準の貿易・投資ルールを共有することにより、かつ てない経済連携と人口8億人という巨大市場が創出される。この 21 世紀型のルール は、今後さらに世界のスタンダードになっていくと見込まれている。 政府は、TPPを、企業の海外展開、国内産業の高付加価値化や生産性向上による 経済発展につなげるとともに、影響が懸念される農林水産業に対しては、国民の不安 を払拭するなど、TPPの効果を最大限に活かし、真に我が国の経済再生、地方創生 に直結させるために必要な政策を推進するとしている。 本県は、全国有数の“ものづくり県”であるとともに、“農芸品”とも呼ぶことの できる高品質の農林水産物を誇る産業県である。本県としては、TPP締結を、本県 産品を世界に向けて発信し、力強い県内経済を構築する好機ととらえ、以下の方針に 基づき、県内産業の構造転換と本県産品の競争力強化に取り組む。 1 本県産業の世界展開を推進する TPPがもたらす効果は、これまで海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中 小企業にこそ幅広く及ぶと言われるとおり、TPPは企業の海外展開に絶好の機会 と環境を提供することから、国内トップクラスの技術力を誇る本県企業が、8億人 市場への効果的な進出を果たせるよう、全力を挙げて海外展開を後押しする。 2 力強い「攻め」の農林水産業を創る TPPの影響を最小限にとどめるだけでなく、むしろ成長産業としての本県農林 水産業を確立する積極的な契機とするため、基盤整備や技術革新による生産性向上 を進めるとともに、6次産業化や県産品のブランド力強化など、高付加価値化に向 けた意欲ある事業者への支援を一層強化することによって、本県農林水産業の競争 力強化を図り、「攻め」の農林水産業を創出していく。 3 現場主義で県民の声に応える TPPは、海外からの輸入増加が予想される食料品をはじめ、県民生活の様々な 分野に及ぶことから、食品の安全性や保険制度など、生活に密接に関連する分野に おいて、影響を懸念する声がある。政府に十分な情報提供を求めるとともに、現場 主義を徹底して県民の声に応え、豊かな県民生活の実現につなげていく。
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