死亡災害の撲滅 ~かけがえのない命~ ◇平成27年死亡災害発生状況(豊田労働基準監督署) 死亡災害が3件発生しました。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。 発生月 事故の型 起因物 業種 災害の概要 山林の間伐作業中、スギを伐倒した直後、当該スギ 7月 飛来、落下 立木等 林業 に中折れしてかかっていたアカマツが落下し、伐倒 したスギの脇にいた被災者に激突した 整地・運搬 舗装工事で、作業場所から現場詰所までの下り坂の 9月 転倒 ・積込み用 建設業 カーブで、トラクター・ショベルが転倒し、ヘッド 機械 ガードと地面の間に、被災者(運転者)が挟まれた マンション修繕現場で単管本足場の解体中、上部か 人力クレ 12 月 飛来、落下 建設業 ら滑車により足場板をおろしていたところ、足場板 ーン等 が落下し、地上で作業していた被災者に激突した ◇死亡災害の推移(豊田労働基準監督署) 死亡者数(人) 急 増 災害傾向を示す 7人 (平成) ※平成20年までは毎年5人以上の死亡者数であったが、21年以降は、22年を除き5人未満で推移していた。残念なが ら、26年は減少傾向に逆行した。27年は減少したものの、減少傾向の流れにまで戻せなかった。 豊田労働基準監督署では、平成26年に死亡者数が急増したことを受け、代わりとなるもの が全くない大切な命を、労働災害でこれ以上なくさないために、平成27年1月から「死亡災 害の撲滅~かけがえのない命~」を掲げ、死亡災害ゼロを目標に、最重点課題として取り組ん でいます。昨年の上半期は死亡災害ゼロを達成できましたが、下半期、特に10月以降に、死 亡災害が管内で多発しました。 労働災害統計は、災害の発生地ではなく事業の所在地で計上しているため、管内の死亡災害 件数は3件となっていますが、この外に、管内の建設現場で、8月に警備員の熱中症による死 亡、10月にトラック運転者の積み荷の激突による死亡が発生しています(いずれも出張災害)。 また、建設現場では、11月に統計外となる個人事業主の死亡災害を2件確認しています。 残念ながら、昨年は死亡災害の撲滅とは程遠い結果に終わりましたが、取組みの中、「死亡 災害ゼロ:連続242日」の記録をつくることができました。 まも 死亡災害の撲滅は、働く者全ての長年の悲願です。かけがえのない命を護るため、労働災害 防止対策の強化を図り、トップから職場の一人一人までが、安全を最優先する価値観を共有し、 それぞれの立場でベストを尽くし、労働災害防止に向けた改善をなお一層進めてください。 管内全ての事業場の皆様に、企業風土としての安全文化の構築をお願い申し上げます。 平成28年1月 豊田労働基準監督署長 【管内全ての事業場の皆様へのお願い】 ◇企業風土としての安全文化◇ 安全を最優先する価値観を、管内全ての事業場の皆様と共有し、死亡災害の撲滅を目指しま す。皆様には、安全を最優先する価値観に基づき、各企業独自の文化を構築してください。そ して、企業風土として、 「安全文化」と呼べるまでに、醸成されることをお願いします。 ◇企業のトップから現場の一人一人まで◇ 「安全文化」は掛け声ではありません。企業のトップから現場の一人一人までが、安全を最 優先する価値観を持てるようになるには、たゆまぬ努力が必要です。企業に関わる全ての者が 安全を最優先する価値観を持ち、この価値観による行動がとれることが重要な鍵となります。 ◇トップが責任を持って護る命◇ 労働者の命を労働災害から護る責任は、企業のトップにあります。 トップが安全文化の先頭に立ち、全労働者をリードしていただくこ とが何よりも重要です。 企業のトップは、各企業の実情に応じ、安全衛生管理の方向性、 方針を明確に示し、強い決意とリーダーシップにより、安全衛生管 理を計画的、かつ、組織的に取り組み、災害発生のプロセスに基づ いた論理的な労働災害防止対策を推進してください。労働災害防止 の主目的は、災害発生後の対策ではなく、未然防止の対策であるこ とを常に意識してください。 ここでいう「トップ」は、企業のトップだけではありません。職制に応じた各層のトップに そして、安全衛生管理水準の継続的な向上をお願いします。 立つ方も含みます。各層のトップにも、企業のトップと同じく、配下の労働者の命を護る責任 があります。各層のトップが役割と責任を認識し、強い指導力で、安全を最優先する価値観を 各職場で共有する価値観へと導いてください。 ◇一人一人が自ら護る命◇ 管内で発生している死亡や重篤な災害では、 ○一人作業又は少人数での作業で発生している ○非定常作業、低頻度作業又は臨時の作業で発生している ○計画変更、トラブル発生等による作業の変化点で発生している といった特徴が認められます。そして、これらの災害の多くは、労働者の不安全な行動により 発生しています。労働者の不安全な行動を原因とする労働災害は、9割を超えるとも言われて います。 災害が発生する直前の行動を決定しているのは、労働者自身です。労働者の不安全な行動は、 自らの命を奪うだけでなく、時には、仲間の命を奪うことになります。 現場は日々変化しています。様々な変化点に、危険を認識し、安全を最優先した行動をとる 必要があります。死亡災害の撲滅を目指す上で、安全を最優先する価値観を持って行動するこ とができる労働者の育成は欠くことのできないものです。 ※ ※ ※ ※ ※ 管内での死亡災害統計では、死亡災害の4分の3以上が規模50人以下の中小の事業場で発 生しています。安全文化は特定の大企業だけではなく、この地域の風土として根付く必要があ ります。 管内全ての事業場で、安全文化への第一歩を踏み出していただくことを、そして、安全文化 の醸成を目指していただくことをお願いします。
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