死亡災害撲滅リーフレット

死亡災害撲滅
H26年7人
急増
【かけがえのない命】
平成26年は、豊田労働基準監督署管内(豊田市、みよし市)で、労働災害により尊い
7人の方の命が失われました。平成21年から25年の5年間の平均死亡者数は3.6人
ですので、平均値の倍増となります。
なくなった命を元に戻すことはできません。亡くなられた方にとっては、人生が終焉し
てしまう唯一の命なのです。
代わりとなるものが全くない大切な命を、労働災害でこれ以上なくすことはできません。
当署管内で過去死亡者数が最小であったのは、平成21年の2人です。1年間死亡災害
をゼロにできたことは一度もありません。
しかし、死亡災害が多発している今こそ、管内の全ての事業場が力を合わせ、死亡災害
の撲滅を目指そうではありませんか。
今年(平成27年)の当署の目標は、管内の「死亡災害の撲滅」とします。
【管内全ての事業場の皆様へのお願い】
◇労働災害防止対策の強化◇
当署管内で過去10年間に発生した労働災害による死亡者数は53人ですが、交通事故によ
り同時に2人の方が亡くなったケースを除き、全て異なる事業場で発生しています。死亡災害
を撲滅するには、死亡災害を発生させた事業場だけでなく、発生していない事業場において、
如何に労働災害防止対策を強化していただけるかにかかっています。
死亡災害の撲滅には、管内全ての事業場において、労働災害防止対策を強化していただくこ
とが必要です。管内全ての事業場にお願い申し上げます。
機械・設備などの物的原因に対する対策、不安全行動など
の人的原因に対する対策、責任体制の不備などの管理的原因
に対する対策などの強化を図ってください。強化にあたって
は、論理的な安全衛生管理を推進してください。
◇安全文化◇
発生した死亡災害には、次のような特徴が認められます。
○ 一人作業において、多くの死亡災害が発生しています。
○ 非定常作業、低頻度作業において、多くの死亡災害が発生しています。
○ 労働者の不安全な行動によって、多くの死亡災害が発生しています。
これらの特徴から今後重要となるのは、労働者の安全意識を高め、常に安全を最優先する行
動が自然にとれるように、労働者を育成していくことです。
幸いなことに、管内には、安全文化を企業風土として創ろうとしている企業がたくさんあり
ます。安全文化とは、トップから現場の一人一人まで、安全を最優先することを共有の意識と
して持ち、常に安全を最優先にした行動をとることができ、それが文化と言えるまでに醸成さ
れていることです。「安全最優先」と言うのは簡単ですが、「言うは易く行うは難し」で、一
朝一夕に安全文化を創ることはできません。しかし、安全文化を目指さなければ、死亡災害の
撲滅はできません。
管内全ての事業場で、企業風土としての安全文化を目指して戴くことをお願い申し上げます。
平成27年1月
豊田労働基準監督署長
[参考資料]
◇豊田労働基準監督署
死亡災害の推移
※平成26年は12月末現在の速報値
死亡者数(人)
災害傾向を示す
※平成20年までは毎年5人以上の死亡者数であったが、平成21年以降は、22年を除き5人未満で推
移していた。残念ながら、26年は減少傾向に逆行した。
◇平成26年死亡災害の概要
発生月
事故の型
起因物
6月
9月
10 月
10月
11 月
災害の概要
自動積込計量装置内に立ち入り、サイロ内に
貯蔵してあった砂に埋もれ窒息した。
通電していないトランスの撤去作業中、トラ
感電
電力設備
商業
ンスの上方にある充電回路に接触し感電し
た。
グラップル(*)を搭載したトラックで、土場に
保管してある木材を荷台に積み込むため、グ
移動式クレー
ラップルの操作席に向う際に、階段状のステ
激突
製造業
ン
ップで右足を踏み外し、ステップの角に右膝
を打ち付け負傷した。約1ヶ月後、負傷を起
因とする疾病により死亡。
飲食店の業務終了後、帰宅ついでに他店舗の
交 通 事 故 乗用車、バス、
同僚に頼まれた調味料を届けるため、バイク
接客娯楽業
(道路)
バイク
で走行中、交差点(信号無、相手方に一旦停
止義務有)で衝突した。
橋梁補修工事で、アーチ部に吊足場を設置す
建築物、構築
墜落、転落
建設業
る作業中、吊チェーンの取り付け箇所の確認
物
のためにアーチ上面に上った際に滑落した。
普通貨物自動車で支店に荷物を受け取りにい
交通事故
トラック
接客娯楽業 く途中、センターラインをはみ出し、対向車
(道路)
と正面衝突した。
塵芥収集車でペットボトルの巡回回収作業
はさまれ、
中、回収を終えたと判断した作業者が回転板
清掃・と畜
巻 き 込 ま トラック
の起動ボタンを押したところ、別の作業者が
業
れ
異物を除去しようとしていたため、回転板に
頭部を挟まれた。
2月 墜落、転落 石、砂、砂利
2月
業種
製造業
*グラップル/建設機械、クレーンなどのアタッチメントの一種。物を掴む機能があり、主に林業の現場、家屋の解体、
廃棄物の分別などに使用される。なお、グラップルを搭載したトラックは移動式クレーンに該当する。