2016年2月15日 Japan tax alert EY税理士法人 タイ、 保税オペレーション 「フリーゾーン(FZ)、 輸出加工区 (EPZ)」の規則改定−タイ国内流通品 に適用される関税の取扱いの変更 EYグローバル・タックス・アラート・ ライブラリー EYグローバル・タックス・アラートは、オン ライン/pdfで以下のサイトから入手可能 です。 www.ey.com/taxalerts 2015年12月17日、タイ財務省(MOF)は「関税定率法」13の第12条に基づく関 税率の免除及び低減に関する財務省通達を発表しました。 この通達の目的として、 次の2つが挙げられます。 • フリーゾーン (以下FZ) 又は輸出加工区 (Export Processing Zone:以下EPZ) で生産され、 その後国内で販売又は消費される物品に適用される特恵関税、 及 び関連する原産地規則に係る2012年1月6日付の通達の第2条第7項7.2号の 改正 • タイに輸入後、国内で再販売又は消費されるためにFZ/EPZに搬入される物品 の特恵関税上の取扱いを明確にするため、 4/1条の追加 2015年の通達は、官報に掲載された2015年12月22日から180日(2016年6月 20日)以内に施行されます。 FZ/EPZの利用者が現行の2012年通達の第2条第7条7.2号の下で、既に関税の 減免税を認められている場合、 又は新しい通達が施行される時点で関税の減免税 に関する税関の決定を待っている場合、 該当する物品について、 新通達の施行日か ら2年間は2012年通達に基づく関税の減免を享受することができます。 第2条第7項7.2号の主要な改正 第 2 条第 7 項 7.2 項の改正の目的は、特恵関税制度を簡略化 することに加えてより厳格な原産地基準を導入することになり ます。主要な改正点は、 以下のとおりです。 1. 関税優遇措置の簡略化 2012年の通達では、適用される特恵税率はFZ/EPZ事業 者が選択するFTAによって異なり、 また物品は当該FTAの 付加価値基準を充足する必要がありましたが、新しい通達 では、ルールが一本化されました。今後、FZ/EPZで生産さ れた後、タイ国内で販売又は消費される物品に適用され る優遇関税率は、下記の原産地基準を満たせば0%となり ます。 2. FZ/EPZ事業者の生産品に対するより厳格な 原産地基準 関税0%で輸入するためには、FZ/EPZ事業者は、下記の付 加価値基準及び工程基準を満たす必要があります。 i) 付加価値基準:次のいずれか一つの条件を 充足しなければなりません。 • タイを原産とする原材料、物品を製造するのに実際 にタイで費やした人件費及びその他の生産コスト (利益を含む)の合計額が物品の工場渡し価格の 40%以上、又は • ASEAN諸国を原産とする原材料、物品を製造する のに実際にタイで費やした人件費及びその他の生 産コスト (利益を含む)の合計額が物品の工場渡し 価格の40%以上、 又は • タイ及びASEAN諸国を原産とする原材料、物品を 製造するのに実際にタイで費やした人件費及びそ の他の生産コスト (利益を含む)の合計額が物品の 工場渡し価格の40%以上であること 付加価値基準の変更により、FZ/EPZ 事業者は、FZ/ EPZで生産され、国内で販売又は消費される物品の原 産材料コストにはタイ及び他のASEAN原産の原材料 のみを含めることができます。 したがって、 今後は中国、 日本及び韓国等、 タイが締結しているASEAN以外の主 要FTAの相手国を原産とする原材料コストは付加価値 率の計算上、 非原産とみなされます。 2 さらに、2015 年の通達では、別の FZ/EPZ から搬入 された原材料価格は、原材料がFZ/EPZに持ち込まれ た時点の本船甲板渡し(FOB)価格と定義されています ( 2012 年の通達では、工場渡し価格が適用されてい ます) 。 | Japan tax alert 2016年2月15日 ii)工程基準 これは新しく追加された基準で、 基本的には物品はFZ/ EPZ内で実質的な変更が起きなければならないとして います。工程基準の詳細は、 タイ工業省又はその他の 関連省庁により将来発表される予定です。 3. FZ/EPZ事業者が現地調達した生産原材料に 係る原産資格の厳格化 原材料の原産資格に係るいくつかの主要な用語が、 より詳 しく定義されました。 • 「タイ原産の原材料」 :FZ/EPZを含むタイ国内で、実 質的な変更を経て生産されたと認められる原材料で、 軽微な加工によるものではないもの • 「軽微な加工」 :完成品への部品の取り付け、単純な分 解、 単純な組立又は形成による完成品の製作 原産地認定は関税局が定める税関手続に従って行われま すが、 詳細は今後発表される予定です。 タイ関 なお、2015年の通達には、税関手続の一環として、 税局はタイ国内で行われるいかなる生産工程をも調査す る権限を有することが特筆されています。 4. 他の主要な定義の追加 • 「工場渡し価格」 :タイ原産・ASEAN 原産・その他の国 原産 (原産地が不明なものを含む) の原材料費、 及び物 品及び利益を生み出すためにタイで実際にかかった人 件費及びその他の生産コストの合計額 • 「生産コスト」 :タイ原産・ASEAN原産・その他の国原産 (原産地が不明なものを含む)の原材料費、及び物品 を生産するためにタイで実際にかかった人件費及びそ の他の生産コストの合計額 • 「利益」 :工場渡し価格から生産コストを差し引いたも ので、 一般会計原則に適合するもの 2012年の通達には、 「生産コスト」 と 「利益」の定義は含ま れていませんでした。第7条第2項7.2条において、 これら の定義を追加することにより、工場渡し価格には利益を含 むべきであることを明確にする意図があると思われます。 5. その他の適格要件 2015年の通達において0%関税の適用を受けるには、以下 の要件が規定されています。 • 輸入者は対象物品が付加価値及び工程基準を満たすこ とを証明できなければならない • 当該物品はタイ関税当局長(DGC)が発行した通達にお いてFZ/EPZへの搬出入を禁止している物品であって はならない • 2015 年の通達に基づく関税の減免申請に疑義があ る場合、関税局長は通達に記載された基準及び条件に 従って申請を認可又は却下する権限を有する 6. タイに輸入され、国内における再販売又は 消費のためにFZ/EPZに搬入される物品に係る 新条文4/1 二国間又は地域間FTAにより、特恵関税率を適用してタイ に輸入した物品について、 配送、 分類、 選別、 包装、 ラベル等 の貼付、再包装、品質検査、性能検査、消毒、又はその他商 かつ、 業上必要な作業を行うためだけにFZ/EPZに搬入し、 関税分類上の変更が起きず、 FZ/EPZに保管されていた他 の物品を同梱しない場合に限り、 当該物品をタイ国内での 販売又は消費のためにタイ国内へ輸入する際には、 当初輸 入時のFTAの特恵関税率を適用できます。 日系企業への影響 FZ/EPZ域内からタイ国内に貨物を引き取る際の特恵原産地 基準について、 タイ及びASEAN原産の原材料のみが原産材 料として認められることとなり、 これまで以上に狭く解釈される こととなりました。この改定を受け、域外からの部品調達比率 が高い企業によっては原産地基準を充足できない事態が生じ ることが考えられます。タイ国内への輸入額が大きい場合に 特恵税率を適用できなければ、大幅なコスト増となります。そ のために、 FZ/EPZ内の工程数の増加や調達先の変更など、原 産比率を上げるための工夫が必要となります。2015年12月 に、 ASEAN Economic Community(AEC)が創設されたこと もあり、 日系企業は今後、 ASEAN域内のサプライチェーンを包 括的にレビューし、効果的なFZ/EPZの活用を検討することが 推奨されます。 メールマガジンのお知らせと登録方法 @EY_TaxJapan 弊法人では、 上記ニュースレター、 専門雑誌への寄稿記事及び海外の税制動向を定期的にメールマガジン にて配信しております。 メールマガジン配信サービスのお申し込みをご希望される方は、 以下をご参照ください。 1. http://www.eytax.jp/mailmag/ を開きます。 2. 「メールマガジンの新規登録について」に従い、 メールマガジン登録ページよりご登録ください。 * なお、本メールマガジン登録に際しては、 「個人情報の取扱い」 についてご同意いただく必要がござい ます。 ニュー スレタ ー 全 般 に 関 するご質 問・ ご意 見 等 がござ いましたら、下 記まで お問い合わせください。 EY税理士法人 ブランド、 マーケティング アンド コミュニケーション部 [email protected] 最新の税務情報を配信しています。 EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory EYについて EYは、 アシュアランス、 税務、 トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリー ダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、 世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらし ます。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出してい きます。そうすることで、 構成員、 クライアント、 そして地域社会のために、 より良い社会の構築に貢献 します。 EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もし くは複数のメンバーファームを指し、 各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アン ド・ヤング・グローバル・リミテッドは、 英国の保証有限責任会社であり、 顧客サービスは提供していませ ん。詳しくは、 ey.com をご覧ください。 EY税理士法人について EY税理士法人は、EYメンバーファームです。税務コンプライアンス、 クロスボーダー取引、M&A、組 織再編や移転価格などにおける豊富な実績を持つ税務の専門家集団です。 グローバルネットワーク を駆使して、各国税務機関や規則改正の最新動向を把握し、変化する企業のビジネスニーズに合わ せて税務の最適化と税務リスクの低減を支援することで、 より良い社会の構築に貢献します。詳しく は、 www.eytax.jp をご覧ください。 © 2016 Ernst & Young Tax Co. All Rights Reserved. Japan Tax SCORE 20160215 本書は、 一般的な参考情報の提供のみを目的に作成されており、 会計、 税務及びその他の専門的なアドバイスを行うものではありませ ん。EY税理士法人及び他のEYメンバーファームは、 皆様が本書を利用したことにより被ったいかなる損害についても、 一切の責任を負 いません。具体的なアドバイスが必要な場合は、 個別に専門家にご相談ください。 www.eytax.jp Japan tax alert 2016年2月15日 | 3
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